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キッド The Kid (1921)

捨て子を育てることになった主人公が貧しいながらも逞しくその時代を生きる姿を描く、チャールズ・チャップリン製作、監督、脚本編集、音楽(1941年版)による初の長編でもある傑作コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督:チャールズ・チャップリン

製作:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
撮影:ローランド・トザロー
編集:チャールズ・チャップリン
音楽:チャールズ・チャップリン(1971年版)

出演
放浪者:チャールズ・チャップリン
女性:エドナ・パーヴィアンス
キッド”ジョン”:ジャッキー・クーガン
画家:カール・ミラー
バリー:チャールズ・ライスナー
警官:トム・ウィルソン
すり/客/悪魔:ジャク・クーガンSr.
夜間宿泊所管理人:ヘンリー・バーグマン
宿泊所の男:アルバート・オースチン
軽薄な天使:リタ・グレイ

アメリカ 映画
配給 First National
1921年製作 68分/53分(1971年版)
公開
北米:1921年1月21日
日本:1921年7月
製作費 $250,000
北米興行収入 $2,500,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
身よりのない女性(エドナ・パーヴィアンス)が、慈善病院で男の子を出産して退院する。

その父親と思われる画家(カール・ミラー)は、女性の写真を暖炉に落としてしまい、拾い上げるものの、そのまま燃やしてしまう。

子供を育てる自身のない女性は、路上に駐車してあった高級車に、生まれたばかりの息子を置き去りにする。

その後、車は二人組に盗まれ、鳴き声に気づいた男達は子供を路地に捨てて走り去る。

朝の散歩をしていた放浪者(チャールズ・チャップリン)は、路地で子供を見つける。
...全てを見る(結末あり)

乳母車の婦人の”落し物”だと思った放浪者だったが、彼は追い払われ、現れた警官に見つかったため、子供をその場から連れて行くことになる。

その後、通りにいた老人に子供を渡して逃げ去った放浪者だったが、子供は婦人の乳母車に乗せられてしまう。

通りがかった放浪者を追った婦人は、現れた警官を呼び止める。

母親のメモを見つけた放浪者は、仕方なく子供を家に連れて行き、近所の女性達にその子の名前を聞かれて”ジョン”名付ける。

その頃、女性は自分のしたことを後悔して車の元に戻り、それが消えていることに気づいて焦り、持ち主の屋敷を訪ねるが、取り乱して気を失ってしまう。

5年後。
ジョン(ジャッキー・クーガン)を男手で育てた放浪者は、貧しいながらも”堅実”な仕事をして、二人は仲良く暮らしていた。

放浪者は、ジョンに石でガラスを割らせて、偶然に通りがかったように見せかけて、ガラス修理の仕事を請け負うというイカサマ商売をしていた。

ある日、警官(トム・ウィルソン)は少年ジョンと、ガラスを直す放浪者の行動を不審に思う。

怪しまれながら、13件目の仕事をしていた放浪者とジョンだったが、そこは警官の家で、二人は何んとかその場から逃れる。

同じ頃、ジョンの母親は大女優となっていたが、貧しい人々に手を差し伸べていた。

女性は、ある婦人の子供を抱かせてもらい我が子を想い、その場にいたジョンが自分の子だとも気づかずに、彼におもちゃを与えて立ち去る。

その後ジョンは、近所の子供におもちゃを盗まれて喧嘩になる。

ジョンは相手を殴り、現れた子供の兄バリー(チャールズ・ライスナー)が放浪者に因縁を付けるが、そこに女性が現れる。

バリーは納得しなかったが、放浪者は家の中に逃げて何とか彼を交わす。

女性は、ジョンが病気だということに気づき、それを放浪者に伝え、彼は医者を呼ぶ。

医師は手厚い看護が必要だと放浪者に伝え、ジョンが、メモ書きを残してあった捨て子だと知る。

数日後、医師の手配で児童養護施設の職員が現れ、回復に向かっていたジョンを、無理矢理に連れて行こうとする。

放浪者は、嫌がるジョンのために抵抗するが、そこに警官が呼ばれる。

部屋は大混乱となり、施設員と警官は放浪者を押さえつけ、その隙にジョンは連れて行かれる。

しかし、その場を逃れ警官の追跡を交わした放浪者は、ジョンを追い彼を奪い返す。

子供の様子を見に放浪者の家を訪ねたた女性は、医師から自分が書いたメモを見せられ、ジョンが我が子だと気づき驚く。

夜間宿泊所に泊まることにした放浪者は、管理人(ヘンリー・バーグマン)の目を盗み、ジョンを窓から侵入させてベッドにもぐり込ませる。

管理人は、ジョンを見つけて放浪者から代金を受け取り、その後、5歳児を見つけた者には1000ドルの報奨金が出るという新聞記事に気づく。

同行する男の人相が放浪者に似ていたため、管理人は寝ているジョンを連れ去り警察署に向かう。

それに気づいた放浪者は驚き、ジョンを捜して街をさ迷う。

翌朝、知らせを受けた女性は警察署に向かい、ジョンを見て微笑み抱きしめる。

ジョンを見つけられなかった放浪者は、疲れて家の前で眠ってしまう。

天使になった夢を見た放浪者は、バリーに彼を誘うよう指示された天使(リタ・グレイ)に誘われる。

嫉妬したバリーに殴られた放浪者は揉み合いになり、現れた警官に連行されそうになるが逃亡する。

しかし、空を飛んで逃げようとした放浪者を、警官は射殺してしまう。

警官に起こされて目覚めた放浪者は、女性の屋敷に連れて行かれて、ジョンと再会する。

放浪者の善意を知った警官に、放浪者は握手を求められ、彼は、ジョンを抱きながら女性に屋敷の中へと案内される。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
身寄りのない女性は、生んだ子を捨ててしまい、その子を拾った放浪者はジョンと名付け、貧しいながらも子共を育て、やがて二人はある仕事を始める。
5歳のジョンは石を投げて窓を割り、偶然通りがかったように見せかけた放浪者が、それを直すというイカサマ商売だった。
二人の行動に目を付けた警官は不審に思うが、彼らは何んとかそれを逃れる。
その頃、我が子を捨てたことを後悔した女性は、成功して大女優となり、貧しい人々に手を差し伸べていた。
ある日、女性は偶然に会ったジョンが病気だと知り、放浪者に伝えてその場を去る。
ジョンを診察した医師は、彼が捨て子だと知り、養護施設に預けるための連絡をしてしまう。
引き裂かれそうになった放浪者とジョンは、必死に抵抗して難を逃れるが、女性は、少年が我が子だと気づく・・・。
__________

長男の死亡、最初の妻ミルドレッド・ハリスとの離婚問題を抱えながらも、初の長編ということもあり、本作に全てを注ぎ込んだチャールズ・チャップリンの意欲作である。

コメディに徹する作風から、冒頭にもあるように、”喜劇であり、涙も誘う”という悲喜劇に挑戦した、チャップリンの少年期やその生活への想いが込められ、またうまく生かされている作品だ。

浮浪者に近い貧しい主人公は、身なりとは対照的に、どことなく人間としての誇りを感じさせる。
幸薄い女性と、主人公に目を付ける巨体の警官の登場、粗末な食事を御馳走のように見せる工夫、チャップリン自身の無駄のない身のこなしや細やかで丁寧な表現力など、彼の作風を満喫できる一編として高く評価したい。

少年の母親で、チャップリン作品の常連女優のエドナ・パーヴィアンス、数百万ドルを稼ぐ子役として大成することになる、主役級の演技を見せる愛らしいジャッキー・クーガン、その父親であろう画家のカール・ミラー、近所のいじめっ子の兄チャールズ・ライスナー、警官役のトム・ウィルソン、すり、客、悪魔を演ずるジャッキー・クーガンの父ジャック・クーガンSr.、夜間宿泊所管理人ヘンリー・バーグマン、宿泊所の男アルバート・オースチン、そして、その後チャップリン夫人となるリタ・グレイが、軽薄な天使役で登場する。


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