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ベスト・キッド The Karate Kid (1984)

いじめに遭う転校生と空手の達人である日本人の老人との親交を描く、監督、編集ジョン・G・アヴィルドセン、主演ラルフ・マッチオノリユキ・パット・モリタエリザベス・シュー他共演によるドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
製作総指揮:R・J・ルイス
製作:ジェリー・ワイントローブ
脚本:ロバート・マーク・ケイメン
撮影:ジェームズ・クレイブ

編集
ジョン・G・アヴィルドセン

ウォルト・マルコネリ
バド・ S・スミス
音楽:ビル・コンティ

出演
ダニエル・ラルッソ:ラルフ・マッチオ
ケースケ・ミヤギ:ノリユキ・パット・モリタ
アリ・マイルズ:エリザベス・シュー
ジョニー・ローレンス:ウィリアム・ザブカ
ジョン・クリーズ:マーティン・コーヴ
ルシール・ラルッソ:ランディ・ヘラー
フレディ・フェルナンデス:イスラエル・フアルベ
ダッチ:チャド・マックイーン

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1984年製作 126分
公開
北米:1986年6月22日
日本:1985年2月16日
北米興行収入 $90,815,560


アカデミー賞 ■
第57回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(ノリユキ・パット・モリタ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
高校生のダニエル・ラルッソ(ラルフ・マッチオ)と母ルシール(ランディ・ヘラー)は、ニュージャージーからロサンゼルスサンフェルナンド・バレーに引っ越してくる。

ダニエルは、住居となるアパートに到着し、隣人のフレディ・フェルナンデス(イスラエル・フアルベ)と親しくなる。

その後、部屋の水道が壊れているのに気づいたダニエルは、アパートの管理人で異様な雰囲気の東洋人ケースケ・ミヤギ(ノリユキ・パット・モリタ)に修理を依頼する。

その夜、フレディからビーチ・パーティーに誘われたダニエルは、同じ高校に通うことになるはずの裕福な家庭の少女アリ・マイルズ(エリザベス・シュー)に一目惚れしてしまう。

しかしダニエルは、ビーチに現れたアリの元ボーイフレンドのジョニー・ローレンス(ウィリアム・ザブカ)に目を付けられ、得意の空手でのされてしまう。
...全てを見る(結末あり)

ダニエルにも空手の心得はあったのだが、ジョニーには全く歯が立たなかった。

翌日、高校でアリから声をかけられたダニエルは、平穏な生活を始めるが、空手を上達させようとする。

街の道場を見学に行ったダニエルだったが、そこはジョニーらが通う道場だった。

そして、再びジョニーらに痛めつけられたダニエルは、彼らに自転車を壊されてしまう。

傷ついた息子を見た母ルシールは心配して、ダニエルはこの地に来たことを後悔する。

その後ダニエルは、アリと仲良くすれば、ジョニーらの嫌がらせに遭うため、彼女を避けるようになってしまう。

ダニエルは傷つき怯えるが、ミヤギが自転車を修理してくれたのを知り、彼にお礼を言う。

そしてダニエルは、日本の沖縄出身だというミヤギに、”盆栽”の手入れを教わり、彼に神秘的な魅力を感じ始める。

その後、人との接触を嫌うダニエルは、ミヤギに背中を押され、ハロウィンの仮装パーティーに向かい、アリと久し振りに会話を楽しむ。

そこでダニエルは、ジョニーに一泡吹かせるものの、彼らに追われて暴行されてしまう。

しかし、その場にミヤギが現れ、ジョニーらを空手で撃退する。

ミヤギに介抱され、助けられたことを知ったダニエルは、彼に弟子入りしようとする。

しかし、ダニエルがジョニーらへの復讐だけを目的に考えていることから、護身の手段である空手に対する精神に反すると、ミヤギはそれを断る。

それに納得しないダニエルを見て、仕方なく彼に空手を教えることにしたミヤギは、ジョニーの師匠ジョン・クリーズ(マーティン・コーヴ)の道場に向う。

空手トーネメントが開催されることを知ったミヤギは、試合で勝負をつけるまでは、ダニーには手を出さないことをクリーズに約束させる。

ミヤギの家で、早速、修行を始めるダニエルだったが、指示されたのは車の洗車だった。

戸惑うダニエルだったが、ミヤギの指示通りに、車を洗車してワックスをかける。

週末、アリとデートの約束をしたダニエルは、母ルシールの送り迎えをジョニーらにからかわれながらも、楽しいひと時を過ごす。

翌日、ミヤギの家に行ったダニエルは、床板を磨くように指示され、夜までそれを続ける。

そして翌朝、ダニエルは、ミヤギに板塀のニス塗りを命ぜられる。

翌日、ミヤギからの、今度は家の壁のペンキ塗りをするようにという書置きを見たダニエルは苛立つが、彼は仕方なくそれを済ませる。

その夜、空手を教えないミヤギに、ダニエルは不満をぶつけるが、自分がやらされたことが、全て空手の防御の基本だったことを知らされる。

ミヤギの言う、空手の基本防御を理解したダニエルは、その後、バランスを養うための修行に入る。

アリをデートに誘おうとしたダニエルは、クラブで食事中の彼女とジョニーが親しげにしているのを見て動揺し、騒ぎを起こし恥をかいてしまう。

その後、ミヤギの家に向ったダニエルは、彼が第二次大戦中にアメリカ兵として戦ったにも拘わらず、妊娠中の妻が日系人収容所に入れられた末、難産で死亡したという辛い過去を背負っていることを知る。

ダニエルはミヤギの人間性にも引かれながら、修行の日々を送る。

ミヤギは、ダニエルの誕生日に、妻が作った刺繍を付けた空手着と、運転免許を取った彼に車をプレゼントする。

裕福なアリと、それを気にし過ぎるダニエルはギクシャクしながらも、友好を深めていく。

そして、心の支えも出来たダニエルは、いよいよトーナメントに挑む。

初めての経験で動揺するダニエルだったが、ミヤギの助言により、順調に勝ち進んでいく。

準々決勝で、クリーズの道場のダッチ(チャド・マックイーン)と対戦したダニエルは、試合には勝つものの、わき腹を痛める。

その後、ジョニーが決勝進出を決め、ダニエルは準決勝で、クリーズから指示を受けた相手から、足への攻撃の反則を受けて負傷してしまう。

反則勝ちになったダニエルだったが、決勝を棄権する危機に追い込まれる。

ミヤギは、後悔が残ると言うダニエルのために、負傷した足を治し、彼は決勝に挑み、ジョニーからポイントを奪う。

ジョニーは、クリーズからダニエルの負傷した足への攻撃を命ぜられ、ポイントを重ねる。

ダニエルはそれを必死にこらえ、そして片足でバランスを取り、ジョニーに決着を付ける一撃を食らわせ、彼を見事に倒してトーナメントを制する。

負傷しながらも、正々堂々戦ったダニエルをジョニーは称え、潔く負けを認める。

そしてダニエルは、ミヤギ、アリ、母ルシールに感謝し、優勝トロフィーを手にする。

それを見たミヤギは、ダニエルが心身ともに大きく成長したことを確認し、誇らしい笑みを浮かべ彼を見つめる。


解説 評価 感想 ■

参考:
・「ベスト・キッド」(1984)
・「ベスト・キッド2」(1986)
・「ベスト・キッド3」(1989)
・「ベスト・キッド4」(1994)
・「ベスト・キッド」(2010)

*(簡略ストー リー)
東部から、ロサンゼルスに引っ越してきた高校生ダニエル・ラルッソは、同じ高校に通う裕福な少女アリに一目惚れしてしまう。
しかしダニエルは、アリの元ボーイフレンドのジョニーらに目を付けられ、空手で痛めつけられてしまう。
その後も、ジョニーらの嫌がらせを受けて、それを避けようとするダニーは怯える。
そんな時ダニエルは、アパートの管理人である日本人のミヤギと知り合い、彼から空手を習うことになるのだが・・・。
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ロッキー」(1976)で世界的な知名度を得たジョン・G・アヴィルドセンの監督作品にも拘わらず、公開前と直後も全く注目されずにいたところ、全世界で予想を遥かに超える大ヒットを記録した痛快青春ドラマ。

転校してきた高校生、いじめ、恋、師匠との出会い、そして対決と勝利という、日本人とその文化との交流を、空手を通した単純で分かり易いストーリーで描きながら、ラストの盛り上がりで感動を呼ぶ。

ただの青春映画ではなく、少年と日本人の老人との心の触れ合いをメインに描いた、ジョン・G・アヴィルドセンの繊細な演出は、空手アクション映画の枠を超えた作品となっている。

ロッキー」(1976)でもジョン・G・アヴィルドセンと組んだビル・コンティの、感動を誘う爽やかな音楽も印象に残る。

第57回アカデミー賞では、ノリユキ・パット・モリタが助演男優賞にノミネートされた。

主演のラルフ・マッチオは、「アウトサイダー」(1983)などにも出演していたものの、本作で一躍脚光を浴びることになる。

どこにでもいる少年という感じの彼は、初々しい演技が実に爽やかだ。

ダニエルの空手スタイルは、日本人から見ると滑稽に見えるが、その防御の心得を教え込むノリユキ・パット・モリタの、淡々とした演技がなかなかいい。

時々口にする、完璧な発音の日本語も嬉しい。

エリザベス・シューも、嫌味のない裕福なお嬢様役を好演している。

主人公の敵役で、最後には潔く負けを認めるウィリアム・ザブカ、彼の師匠マーティン・コーヴ、主人公の母親ランディ・ヘラー、隣人イスラエル・フアルベ等が共演している。
スティーヴ・マックィーンの息子チャド・マックイーンも、悪童一味で出演している。

本作での最大の疑問は、邦題に原題の「The Karate Kid」をなぜそのまま使わなかったかということだ。
本作で登場する空手を、本物と認めるわけにいかなかったのだろうか、不思議でならない。


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