1971年に発表された、フレデリック・フォーサイスの小説”ジャッカルの日”を基にフレッド・ジンネマンが演出したサスペンス映画の傑作「ジャッカルの日」(1973)のリメイク。 MVD(ロシア内務省)少佐とアメリカの要人の暗殺を請け負った謎の暗殺者”ジャッカル”とそれを追うFBIと元IRAの戦いを描く、製作、監督マイケル・ケイトン=ジョーンズ、主演ブルース・ウィリス、リチャード・ギア、シドニー・ポワチエ、ダイアン・ヴェノーラ他共演のサスペンス。 |
・ブルース・ウィリス / Bruce Willis 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
製作総指揮
マーク・ゴードン
テレンス・クレッグ
ハル・リーバーマン
製作
マイケル・ケイトン=ジョーンズ
ジェームズ・ジャックス
ショーン・ダニエル
ケヴィン・ジャール
脚本:チャック・ファーラー
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ
編集:ジム・クラーク
音楽:カーター・バーウェル
出演
ジャッカル:ブルース・ウィリス
デクラン・マルクィーン:リチャード・ギア
カーター・プレストンFBI副長官:シドニー・ポワチエ
ヴァレンティーナ・コスロヴァ少佐:ダイアン・ヴェノーラ
イザベラ・ザンコーナ:マチルダ・メイ
T・I・ウィザースプーン捜査官:J・ K・シモンズ
テレク・ムラド:デヴィッド・ハイマン
イアン・ラモン:ジャック・ブラック
マクマーフィー捜査官:リチャード・ラインバック
ドナルド・ブラウンFBI長官:ジョン・カニンガム
大統領夫人:テス・ハーパー
本人:ラリー・キング
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1997年製作 124分
公開
北米:1997年11月14日
日本:1998年6月20日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $54,910,560
世界 $159,330,280
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
モスクワ。
FBI副長官カーター・プレストン(シドニー・ポワチエ)とMVD(ロシア内務省)のヴァレンティーナ・コスロヴァ少佐(ダイアン・ヴェノーラ)らは、アゼルバイジャンのマフィアを捕らえようとする。
あるクラブに乱入したプレストンとコスロヴァは、マフィアに逮捕状を突きつけるが、相手は暴言を吐きながら暴れ始める。
コスロヴァは、襲い掛かってきたマフィアを射殺してしまう。
ヘルシンキ。
FBIに弟を殺されたマフィアの大物テレク・ムラド(デヴィッド・ハイマン)は、その連絡を受け、今回の件を宣戦布告と考え復讐を誓う。
ムラドは、謎の暗殺者ジャッカル(ブルース・ウィリス)に、弟を殺したMVD局員とアメリカの要人の暗殺を依頼する。 ジャッカルは、報酬7000万ドルを要求し、ムラドはそれを承知する。 モスクワ、アメリカ大使館。 空港で、ある男のパスポートを盗んだジャッカルはロンドンに向い、それを利用して偽造パスポートを作り、報酬を各銀行に振り分け、武器を手配する。 ムラド一味の一人を捕まえ、暗殺者”ジャッカル”が絡んでいることを知ったプレストンとコスロヴァらは、早速、追跡チームを編成する。 プレストンとコスロヴァは、捕らえた男が、ドナルド・ブラウンFBI長官(ジョン・カニンガム)の写真を持っていたことから、標的が彼だと確信する。 2人はジャッカルを追おうとするが、変装の達人にしてプロ中のプロの彼を、捜し当てることは容易ではなかった。 モントリオール。 帰国したプレストンらは、ジャッカルの素顔を知る、元ETA(バスク祖国と自由)のイザベラ・ザンコーナ(マチルダ・メイ)の存在を知るが、彼女の所在はつかめなかった。 プレストンとコスロヴァ、そして捜査官T・I・ウィザースプーン(J・K・シモンズ)らは、かつてイザベラと関係し、武器密輸により、アメリカで50年の刑で服役中の元IRAのスナイパーでアイルランド人テロリスト、デクラン・マルクィーン(リチャード・ギア)に協力を要請する。 マルクィーンは、イザベラの安全の保障と自らの釈放を要求するが、彼女の件のみが受け入れられる。 そこでマルクィーンは、自分がジャッカルを知り見分けられることを伝え、プレストンは、釈放とイザベラに会わせるという、彼の条件を呑む。 その頃ジャッカルは、リモートコントロールで操作が可能なポーランド製ZU33114.5ミリ高速銃を入手し、その台座をイアン・ラモン(ジャック・ブラック)に発注する。 ヴァージニア州、フィーバス。 マルクィーンを逃がすために、イザベラは現金とパスポートなどが入ったロッカーの鍵を渡し、今の幸せを奪われたくないことを彼に話す。 ジャッカルの追跡チームのメンバーは彼を見くびっていたが、マルクィーンは、相手がこちらの動きを呼んでいることを警告する。 同じ頃ジャッカルは、変装して苦もなくワシントンD.C.入りし、犯行現場となる新設の病院を視察する。 モントリオールに戻ったジャッカルは武器を入手し、台座を仕上げたラモンに会うが、彼は報酬以上のものを要求する。 ジャッカルは、武器と台座をテストすると言ってラモンにその場所に案内させ、彼を標的替わりにして殺害する。 モントリオールに拠点を移したプレストンらは、ラモンの殺害事件を知り彼の住居に向かい、リモコン銃の台座の設計図を発見する。 その後ジャッカルは、ヨットを利用してアメリカに入国使用とするが、追跡チームにアイルランド人のマルクィーンがいることが知らされる。 マルクィーンは、ジャッカルが、陸路でアメリカ入りするのは不可能と考え、彼がミシガン湖で催されるレガッタを利用することに気づく。 現場に向かったプレストンらは、手分けをしてジャッカルを捜し、マルクィーンは彼を見つける。 ジャッカルもそれに気づき、驚く気配も見せずマルクィーンに銃を向けるが、コスロヴァが現れ銃撃戦となる。 マルクィーンは水中に飛び込み、ジャッカルは用意してあったミニバンで逃走する。 ジャッカルが自分を見ても驚かなかったことで、マルクィーンは内通者がいると考え、それをプレストンに伝える。 プレストンは、個人的な恨みだと言ってその意見を退けようとするが、 かつて愛し合っていたマルクィーンとイザベラが、2人の間に生まれるはずだった子供を、ジャッカルに殺されたことを知らされる。 マルクィーンは恨みを持っていたのは確かだったが、復讐ではなく、人生をやり直したいだけだと語り、プレストンはそれを理解する。 その後、ヴァージニア州のナンバーを車に付けたジャッカルは、イザベラの家に向かう。 内通者が、追跡チームのコスロヴァの上官の大佐だと分かり、彼女は大佐を強制送還させる。 非常線を突破したジャッカルは、内通者が見つかったことを知り、同じ頃、コスロヴァがイザベラを避難させる。 イザベラの居場所が、ジャッカルに知られるはずがないと考えるプレストンだったが、部下のウィザースプーンが報告書の連絡で、彼女の名前を出してしまっていたのを知る。 その頃、イザベラの家で警戒するコスロヴァらをジャッカルが襲い、マクマーフィー捜査官(リチャード・ラインバック)とウィザースプーンが殺される。 ジャッカルはコスロヴァも銃撃し、マルクィーンに”貴様は女も守れない”というメッセージを残し立ち去る。 瀕死のコスロヴァは、駆けつけたマルクィーンにジャッカルのメッセージを伝えて息絶える。 ジャッカルは、以前知り合っていたゲイの男の家の潜伏する。 その後マルクィーンは、ジャッカルの残した”女も守れない”というメッセージから、標的が大統領夫人(テス・ハーパー)だということを確信する。 ブラウンを殺したジャッカルは、警官に扮装して、大統領夫人が出席する病院開設式典の演説会場に向う。 ジャッカルは、ミニバンに仕掛けたリモコン銃の準備を遠隔で始め、プレストンとマルクィーンも現場に到着する。 マルクィーンは、武器の搭載されているミニバンに気づき狙撃するが、ジャッカルは銃を乱射する。 プレストンが大統領夫人を守り、狙撃手がミニバンを狙い撃ちして大破させる。 ジャッカルは地下鉄のホームに逃げ込み、それを追ってきたマルクィーンに気づき線路に逃れる。 マルクィーンはジャッカルの足を撃ち抜くが、彼はホームにいた少女を人質にとる。 追いついたマルクィーンに、銃を捨てさせたジャッカルだったが、現れたイザベラが彼を銃撃する。 そして、死んだ振りをしていたジャッカルが、隠していた銃を抜こうとするが、マルクィーンが彼を銃撃し息の根を止める。 その後、ジャッカルの遺体は粗末な墓に埋葬され、それを見届けたプレストンとマルクィーンは、イザベラから貰った鍵のロッカーにある、パスポートと現金の話をする。 プレストンはマルクィーンに感謝して、近くのコーヒースタンドに行くことを彼を伝える。 そして2人は別れ、 マルクィーンは姿を消す。
...全てを見る(結末あり)
プレストンとコスロヴァは、自分達に賞金を懸けるムラドの動きを察知し行動に移そうとするが、彼をガードする部下達は、元スペツナズ(特殊任務部隊)の精鋭だった。
何人かの男に扮し、武器の受け入れを手配したジャッカルは、潜伏して犯行の準備を始める。
イザベラと再会したマルクィーンは、彼女にコスロヴァを紹介してジャッカルの情報を得る。
*(簡略ストー リー)
FBIの副長官プレストンとMVD(ロシア内務省)のコスロヴァ少佐は、マフィアを捕らえようとして殺害してしまう。
弟を殺されたマフィアの大物ムラドは復讐を誓う。
ムラドは、弟を殺したMVD局員のコスロヴァとアメリカの要人の暗殺を謎の暗殺者”ジャッカル”に報酬7000万ドルで依頼する。
プレストンとコスロヴァは、ムラドの部下を捕らえ、”ジャッカル”の存在を確認するが、変装の達人で情報のない彼の捜査は困難を極める。
その頃ジャッカルは、武器の手配を済ませた後モントリオールに向い、準備を整えてアメリカに入国しようとする。
一方、プレストンらは、ジャッカルを知る元ETA(バスク祖国と自由)のイザベラの所在を捜すために、彼女と関係のあった元IRAのスナイパーで服役中のテロリスト、デクラン・マルクィーンに協力を要請する。
マルクィーンもジャッカルを知っているため、釈放とイザベルの保護を求めプレストンに了解させる。
そして、イザベルに再会したマルクィーンは、その後、ジャッカルがモントリオールで武器の準備をした形跡を見つけ、アメリカに向かった彼を追う・・・。
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1971年に発表された、フレデリック・フォーサイスの小説”ジャッカルの日”を基にフレッド・ジンネマンが演出したサスペンス映画の傑作「ジャッカルの日」(1973)のリメイク。
しかし、原作者のフレデリック・フォーサイスや監督フレッド・ジンネマンから横槍が入り、彼等としては”リメイク”と認めたくない作品のようだ。
*フレッド・ジンネマンは公開の8ヶ月前に亡くなっている。
「ジャッカルの日」(1973)とほぼ同じ状況のシーンが多くあり、第三者から見れば紛れもなく”リメイク”だと言える作品・・・。
時代背景が1960年代の前作は、当時のフランス大統領ドゴールの暗殺計画を描くサスペンスだったのに対して、本作はアクションを重視している。
北米興行収入は約5500万ドルに留まるが、全世界では、約1億6000万ドルのヒットとなった。
主演のブルース・ウィリスは、巧みな変装などで熱演はしているが、前作のエドワード・フォックスの、隙のない洗練された暗殺者”ジャッカル”には遥かに及ばないという感じだ。
前作にはないキャラクターで、元IRAのスナイパー、リチャード・ギアの方が新鮮な感じを受けるものの、ミス・キャストという声も聞かれた。
確かに、容姿、雰囲気共にテロリストには見えない。
FBIの副長官自らが、最前線で指揮を執るのだろうかと疑問も残るが、70歳を迎えたシドニー・ポワチエの燻し銀の存在は、本作に重厚さを与えてくれている。
男勝りで逞しいMVD局員ダイアン・ヴェノーラ、美しいバスクの闘士マチルダ・メイ、欲を見せて抹殺される銃の台座を作製する若者ジャック・ブラック、FBI捜査官J・ K・シモンズ、リチャード・ラインバック、FBI長官役のジョン・カニンガム、大統領夫人のテス・ハーパー、そして、本人役でラリー・キングも登場する。