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ダニー・ケイの検察官閣下 The Inspector General (1949)

1836年に発表された、ニコライ・ゴーゴリの戯曲”The Government Inspector/検察官”を基に製作された作品。
”検察官閣下”に間違われた善良な青年が巻き起こす騒動を描く、監督ヘンリー・コスター、主演ダニー・ケイウォルター・スレザックバーバラ・ベイツエルザ・ランチェスタージーン・ロックハートアラン・ヘイル他共演のミュージカル・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ミュージカル


スタッフ キャスト
監督:ヘンリー・コスター

製作:ジェリー・ウォルド
原作:ニコライ・ゴーゴリThe Government Inspector”(戯曲)
脚本
フィリップ・ラップ
ハリー・クルニッツ
撮影:エルウッド・ブレデル
編集:ルディ・フェール
作詞・作曲:シルヴィア・ファイン
音楽:ジョニー・グリーン

出演
ジョージ:ダニー・ケイ
ヤコフ:ウォルター・スレザック
リザ:バーバラ・ベイツ
マリア:エルザ・ランチェスター
クレメンチ村長:ジーン・ロックハート
コヴァッチ:アラン・ヘイル
フランツ・キャスティン大佐:ウォルター・キャトレット
バービス:バイロン・フォールジャー
テレッキー:ベニー・ベイカー
検察官閣下:リス・ウィリアムズ

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1949年製作 100分
公開
北米:1949年12月31日
日本:1952年8月14日
製作費 $2,873,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ブロドニー。
”検察官閣下”が現れることを知ったクレメンチ村長(ジーン・ロックハート)は、汚職などが知られることを心配し、怯える側近たちを落ち着かせる。

村長は、検察官閣下を村に入れないために、警察署長コヴァッチ(アラン・ヘイル)に、24時間体制の警備を命ずる。

芸人ジョージ(ダニー・ケイ)らと共に偽万能薬を売るジプシーのヤコフ(ウォルター・スレザック)は、村人を騙そうとしていた。

薬を買ってくれた老女を気の毒に思い、偽ものだと話してしまったジョージは、怒った村人に襲われる。

ヤコフと共に逃げたジョージは、まともに薬も売れないことを責められ、彼と別れようとする。
...全てを見る(結末あり)

薬売りで使う”ナポレオン”の文書を読むようヤコフに指示されたジョージは、文盲であることを侮辱され追い払われる。

その後、靴に穴が開いたために、ナポレオンの文書のサインの部分半分を破り靴底に入れたジョージは、ブロドニー村に到着する。

空腹に耐えられず馬のエサを食べたジョージは、荷馬車を奪おうとした浮浪者と思ったコヴァッチに逮捕され、牢屋に入れられる。

コヴァッチから浮浪者を牢屋に入れたことを知らされた村長は、それが検察官閣下の可能性があるため動揺する。

村長が来たことを看守から知らされたジョージは、絞首刑にされると思い込み取り乱す。

牢屋を開けた村長は、ジョージの靴から落ちた紙にナポレオンのサインがあったため、彼が検察官閣下であることを確信する。

検察官閣下(ジョージ)を歓迎する村長は、変装した抜き打ちの調査だと思い、ご馳走の話をして家に招待することを伝える。

村長は、無礼な行為をしたコヴァッチの制服をジョージに与える。

その頃、村長の妻マリア(エルザ・ランチェスター)は、使用人のリザ(バーバラ・ベイツ)らと共に、検察官閣下を迎える食事の準備をする。

村長と共に家に到着したジョージは、マリアらに歓迎される。

ジョージを酔い潰すためにブランデーで乾杯した村長は、酒を変えて何度も乾杯し、彼を食卓に案内する。

ようやく食べ物を前にした空腹のジョージだったが、マリアに話しかけられ食べることができず、村長が乾杯を続けるために酒ばかり飲んでしまう。

ジョージに酒を注ぐリザが制服にこぼしてしまったために憤慨した村長だったが、ジョージは彼女をかばう。

ようやく食事ができたジョージは、焦って食べたために気分が悪くなり、飲まされた薬がヤコフの万能薬だったために驚く。

気を失ってしまったジョージは、翌朝マリアに起こされる。

ジョージは、朝食後に村の視察、歓迎会、パレード、悪党の絞首刑の予定があることを村長から知らされる。

その後、視察と行事を終えたジョージは、村人に見送られながら村を去ろうとする。

その様子を見ていたヤコフは驚き、検察官閣下の従者に成りすまし、秘密の命令を受けたと言ってジョージと村に居座ろうとする。

村を出ようとするジョージだったが、村人が役人から高い税を課せられ、横領も横行していることをヤコフから知らされる。

村長らを強請り金を奪うことを考えるヤコフは、検察官閣下の地位を利用し協力するようジョージに指示する。

ヤコフは、検察官閣下が滞在を延長することを決め、財政監査を行うことを村長らに伝える。

ヤコフの指示に従うしかなく戸惑うジョージだったが、今後の振舞い方を考える。

財政監査を始めたジョージは、村長からサインを求められ、部屋でゆっくり調査すると言って帳簿を持ち帰る。

薬を売っていた際に見物していた片目の警官を見かけたジョージは、身を隠すものの入った部屋は訓練室だった。

片目の警官が現れ、訓練に紛れ込んだジョージは、何とかバレずに済む。

村長の家に戻り、村を去ろうとしたジョージだったが、美しいリザに惹かれてしまう。

帰宅したマリアに生い立ちなどを話したジョージは、自分に好意を抱く彼女に迫られたために戸惑う。

役人のバービス(バイロン・フォールジャー)から、税金帳簿の改ざんは村長の命令だと知らされたジョージは、彼から口封じのためのワイロを受け取る。

そこにテレッキー(ベニー・ベイカー)が現れたために、バービスはベッドの下に隠れる。

汚職が蔓延していると話すテレッキーは、ジョージにワイロを渡す。

そこに郵便局のイジックが現れたために、ジョージはテレッキーを隠す。

イジックからワイロを受け取ったジョージは、誰かが来たために彼をクローゼットに隠す。

現れたコヴァッチは、横領した金をジョージに渡す。

誰かが来たのでコヴァッチはベッドにもぐり、ジョージは、現れたイジックの双子の弟ギジックをクローゼットに入れる。

そこにラズロも現れ、ワイロを渡されたジョージは、誰かが来たためにベッドの上に彼を隠す。

現れたヤコフを外に出したジョージは、部屋に隠れている役人たちからワイロを受け取ったことを伝える。

そこにワイロを持った村長が現れるが、役人たちが隠れていることを知る。

ジョージはワイロを持ってその場を去り、検察官閣下が慈善事業に寄付をしていると話すヤコフは、村長に10万クラウンを要求する。

断れば全員絞首刑だと言われた村長とコヴァッチは、木こりのヴィータルに検察官閣下を殺させようとする。

リザは、二人の話を聞いてしまう。

ワイロを部屋に戻したジョージは、金額を数えようとするヤコフと揉める。

そこに洗濯物を持ってきたリザが現れ、メモがあることを知ったジョージは、それを読むことができない。

ラブレターだと思ったジョージは、それをヤコフに読んでもらう。

村長とコヴァッチがジョージを殺そうとしていることを知ったヤコフは、リザからの愛の告白だと言って、夜中に納屋で待っていると書かれていると伝える。

その夜、歓迎会が開かれ、マリアから逃げる準備はできたと言われたジョージは戸惑う。

ヤコフは、金の用意ができたと言う村長から、納屋で引き渡す予定だと知らされる。

ジョージは、納屋のことは了解しているとリザに伝える。

そこにフランツ・キャスティン大佐(ウォルター・キャトレット)が現れ、検察官閣下とは旧知だと言われたヤコフは、彼が目が悪いことを知る。

キャステイン大佐のメガネをわざと落としたヤコフは、それを踏んで壊してしまう。

そのまま出席者に大佐のことを紹介したヤコフは、ジョージに彼を歓迎する歌を披露するよう指示する。

ジョージにワインを渡したバービスから、毒入りだと知らされた村長はそれを喜び、自殺するために用意したと言われて驚く。

ジプシーの歌を歌い始めたジョージは、なかなかワインを飲もうとせず、ダンスまで始める。

結局ジョージは、ワインを飲まないまま歌い終わる。

祝宴は続くものの、12時になったジョージは納屋に向かい、ヤコフはその様子を見守る。

納屋に隠れていたヴィータルはジョージを殺しそこない、人と会う約束をしていると言う彼からメモを見せてもらう。

それが殺されることを警告する内容だったことを知ったジョージは驚き、ヤコフを信じていたためにショックを受ける。

隠れていたヤコフは、背後から迫りジョージを殴る。

その後ヤコフは、薬売りの芸を利用し、ジョージの生首を村長らに見せて殺されたように思わせる。

大金を受け取ったヤコフは、ジョージにキスしてその場を去る。

旅立つ支度をしたマリアは、ジョージの首を見て失神してしまう。

意識が戻ったジョージは、逃げようとしているヤコフを捕まえて、現れたリザと共に彼を殴り倒す。

ジョージとリザは、馬車を奪いその場から逃げる。

祝宴は続いていたが、そこに本物の検察官閣下(リス・ウィリアムズ)が現れ、村長は卒倒しそうになる。

村長は、偽者に騙されたことを検察官閣下に伝える。

村人のためにオルガンを手に入れて戻ったジョージは、村長と汚職役人の罪を追及する。

その場に本物の検察官閣下がいることを知ったジョージは驚き、ヤコフと共に逮捕されてしまう。

ジョージと共に死刑に処せられるため牢屋から出されたヤコフは、検察官閣下から信任状を盗み、それをジョージの懐に隠す。

ジョージから信任状を見せられた村長とコヴァッチは驚き、本物の検察官閣下を絞首刑にしようとして牢屋に入れる。

死刑執行命令書にサインを求められたジョージは、読み書きができないことを村長に伝える。

書けたとしてもサインしないと言うジョージは、自分は偽者の検察官閣下であり、牢屋に入れられている人物が本物だと伝える。

解放された検察官閣下は絞首刑を中止し、ジョージこそ真の正直者だと言って、村長の首飾りを彼にかける。

無学で読み書きもできないと言うジョージに、それ以上に大切なものがあると伝えた検察官閣下は、コヴァッチを解任してヤコフを警察署長に任命する。

新村長となったジョージは村人の前に現れ、リザを呼び寄せる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ジプシーのヤコフと共に偽万能薬を売るジョージは、詐欺がバレて逃亡する。
ヤコフと揉めて別れたジョージは、ブロドニー村にたどり着く。
村長をはじめ汚職役人の横領などが蔓延していた村に”検察官閣下”が訪れることになり、悪事がバレることを恐れる村長らはその対策を考える。
浮浪者として捕えられたジョージが、変装した検察官閣下だと思い込んだ村長は、彼を歓迎すると見せかけて、自分たちの悪事を隠そうとするのだが・・・。
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小説家であり劇作家のニコライ・ゴーゴリの有名な同名戯曲を基に製作された作品。

純真な心の持ち主である無学の青年が、悪事を隠蔽しようとする汚職役人などに翻弄されながら巻き起こす騒動を描くミュージカル・コメディ。

ヒューマニズム溢れるコメディなどを得意とするヘンリー・コスターが、ダニー・ケイの持ち味を十分に活かして演出し、実に愉快な作品に仕上がっている。

見事なパフォーマンスを存分に披露してくれる主演のダニー・ケイは、無学だが正直者の青年を熱演し大いに楽しませてくれる。
作詞、作曲のシルヴィア・ファインダニー・ケイ夫人であり、二人は彼が亡くなるまで(1987年没)結婚生活を共にした。

主人公を利用するジプシーの偽万能薬売りを愉快に演ずるウォルター・スレザック、主人公と惹かれ合う村長の家の使用人バーバラ・ベイツ、主人公に惹かれ誘惑する村長夫人のエルザ・ランチェスター、悪事を仕切る村長のジーン・ロックハート、同じく汚職に手を染める警察署長のアラン・ヘイル、検察官閣下の旧友である大佐ウォルター・キャトレット、気弱な汚職役人のバイロン・フォールジャー、同じくベニー・ベイカー、本物の検察官閣下リス・ウィリアムズなどが共演している。


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