サイトアイコン That's Movie Talk!

エヴァの告白 The Immigrant (2013)

アメリカに移住し辛い思いをしながら懸命に生きようとする女性を描く、製作、監督、脚本ジェームズ・グレイ、主演マリオン・コティヤールホアキン・フェニックスジェレミー・レナー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ジェームズ・グレイ

製作
グレッグ・シャピロ
クリストファー・ウッドロウ
アンソニー・カタガス
ジェームズ・グレイ
製作総指揮
アニエス・メントレ
ヴァンサン・マラヴァル
ブラヒム・シウア
脚本
ジェームズ・グレイ
リチャード・メネッロ
撮影:ダリウス・コンジ
編集
ジョン・アクセルラッド
カイラ・エンター
音楽:クリストファー・スペルマン

出演
エヴァ・シブルスカ:マリオン・コティヤール
ブルーノ・ワイス:ホアキン・フェニックス
オーランド・ザ・マジシャン/エミール:ジェレミー・レナー
ロージー・ヘルツ:エレーナ・ソロヴェイ
ベルヴァ:ダグマーラ・ドミンスク
エディタ・ビストリッキー:マヤ・ワンパブスキー
ヴォイテック・ビストリッキー:イリア・ヴォロック
マグダ・シブルスカ:アンジェラ・サラフィアン
トーマス・マクナリー:アントニ・コローネ
ロジャー:ディラン・ハーティガン
バンディッツ・ルースト・タート:ディーディー・ルキシー
配達の少年:ガブリエル・ラッシュ
宣教師:ケヴィン・キャノン

アメリカ/フランス 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2013年製作 117分
公開
フランス:2013年11月27日
北米:2014年5月16日
日本:2014年2月14日
製作費 $16,000,000
北米興行収入 $2,013,460
世界 $5,867,690


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1921年1月、ニューヨークエリス島
祖国ポーランド第一次大戦後の混乱(シレジア蜂起)から逃れ、叔母を頼り入国しようとしていたエヴァ・シブルスカ(マリオン・コティヤール)は、医師の診察を前に、具合の悪い妹のマグダ(アンジェラ・サラフィアン)の様子を気にする。

咳をするマグダは肺病を疑われ、半年、隔離されて、回復しない場合は強制送還されると言われる。

入国手続き中もマグダを気にするエヴァは、ポーランドでの職業を聞かれて、イギリス外交官の看護師だったと答える。

船上でトラブルを起こしたことに触れられ、それを否定したエヴァだったが、叔母夫婦の住所も存在しないと言われ、再審査と判断される。

失意のエヴァは、旅行者援助会のブルーノ・ワイス(ホアキン・フェニックス)が、英語が堪能な女性を探していることを知り、彼に声をかける。
...全てを見る(結末あり)

エヴァの審査結果や妹の病気のことを知ったブルーノは、その場を去ろうとするが、働けると言ってすがるエヴァの希望を聞き入れて係官のトーマス・マクナリー(アントニ・コローネ)と話す。

マクナリーに金を渡して説得したブルーノは、フェリーで待っていることをエヴァに伝えてその場を去る。

フェリーに乗せられたエヴァはマグダの身を案じ、最善の治療を受けられるとブルーノから言われ、住居も提供してもらえることになる。

住む家に着いたエヴァは不安になり、ブルーノから、援助を受けるための書類に記入するよう言われるものの、その場を去ろうとする。

行く場所がないならここで働けばいいとブルーノに言われたエヴァは、警戒しながらベッドで眠ってしまう。

翌朝、目覚めたエヴァは、ブルーノから電報を渡され、マグダが結核と診断されたことを知る。

治療費は高く、コネがあるため回復前にマグダを引き取ることもできるが、それにも金がかかると言うブルーノは、働く考えがあるエヴァを自分の劇場に誘う。

そこでお針子をすればいいと言うブルーノは、エヴァに浴場で体を洗うように指示する。

浴場にいた女達がブルーノに雇われていることを知ったエヴァは、劇場に連れて行かれる。

ブルーノに迎えられたエヴァは、店主のロージー・ヘルツ(エレーナ・ソロヴェイ)に挨拶する。

エヴァをお針子より踊り子にしたいとロージーに言われたブルーノは、自分に任せてほしいことを彼女に伝える。

会食にエヴァを連れて行ったブルーノは、ヨーロッパの戦火を逃れてきた彼女を紹介し、ロージーに感謝する。

その場で踊り子のコンテストが始り金が集まり、エヴァは、目の前の帽子の中の紙幣を盗んでしまう。

同席していた踊り子達の振る舞いに馴染めないエヴァは、その後、写真を見てマグダや両親を想う。

ブルーノは、両親が兵士に殺されたことを知り、同情してエヴァを抱き寄せる。

それを拒まれたために激怒したブルーノは、恥を知れと言って、面倒をみているにも拘らず、金を盗んだことでエヴァを責める。

踊り子のベルヴァ(ダグマーラ・ドミンスク)を呼んだブルーノは、彼女に金を返したエヴァを許し、翌朝から劇場で踊りの稽古をするよう命ずる。

それに従うと答えたエヴァは、自分のことを考えた提案だとブルーノに言われる。

その後、慣れないまま舞台に立たされたエヴァだったが、その美しさが評判になる。

楽屋で踊り子に酒を飲まされたエヴァは、酔ってしまう。

ある男性に息子レオを男にしてほしいと言われ、相手にエヴァを指名されたブルーノは、大金を見せられるものの、それを断り、彼女を家に帰す。

その後、現れたブルーノは連れてきたレオを残してその場を去り、エヴァは相手をすることになる。

レオは父親に言われてきたと言ってエヴァに優しく接するものの、彼女はそれを拒む。

ブルーノは、自分には決定権はなく、妹を助けるために厳しい現実を受け入れるようエヴァを説得してレオを呼ぶ。

エヴァを食事に連れ出したブルーノは、彼女に取り分を渡す。

ブルーノも自分も嫌いだと言うエヴァは、行いを後悔する。

酔ったブルーノと家に戻ったエヴァは、彼が酔い潰れたため、荷物を持ってその場を離れ、叔母の家を探す。

路上の男性に住所を聞いたエヴァは、それが橋を渡ったブルックリンだと言われる。

目的の家を見つけたエヴァは、叔母エディタ・ビストリッキー(マヤ・ワンパブスキー)との再会を喜び、彼女の夫ヴォイテックに歓迎される。

自分達がエリス島に到着していないことになっていて、迎えもなく住所も違うと言われたとエディタとヴォイテックに話したエヴァは、マグダが病気であることを伝える。

マグダを引き取るために手を貸してほしいと言われたエディタは、安心させてエヴァを休ませる。

翌日、現れた警官に連行されることになったエヴァは、船で起きたことをエリス島で知ったヴォイテックから、恥知らずだと言われて罵られる。

信実ではないと言うエヴァの言葉を聞き入れないヴォイテックは、姪を擁護しようとするエディタを黙らせる。

エリス島に連れて行かれたエヴァは、病棟のマグダには会える可能性はなかった。

今晩の慰問ショーがあるため、元気であればマグダが見に来るかもしれないとエヴァは言われる。

敬虔なカトリック教徒であるエヴァは、マグダに会せてほしいと聖母マリアに祈りを捧げる。

その夜、慰問ショーは始り、エヴァは、マジシャンのオーランド(ジェレミー・レナー)のショーを見ながら、その場にマグダがいることに気づいて近づく。

人違いだったためにエヴァは席に戻り、その間ステージでは、拘束されて棺桶に入れられたオーランドが銃撃されるものの、姿を消して皆を驚かせる。

会場の奥から現れたオーランドは拍手を受け、美しいエヴァに気づき、跪いて一輪の花を渡す。

夜中にブルーノが現れ、国に送還されると言って、これ以上力になれないことをエヴァに伝える。

ブルーノを頼るしかないエヴァは、金を稼ぎたいことを彼に伝える。

取り分は半分で承知させたブルーノは、エヴァを連れて帰る。

その後、娼婦に身を落したエヴァは、ある日、劇場にオーランドがいることに気づく。

ロージーが、問題のある従兄のオーランドを雇うことを知ったブルーノは反対するものの、経営者である彼女には逆らえなかった。

ブルーノと話したオーランドは、トラブルを起こさないことを約束する。

エヴァに気づいたオーランドは声をかけようとするが、ブルームが部屋のドアを閉めてしまう。

その夜、オーランドのショーは始り、彼はエヴァをステージに上げてしまう。

エヴァは客達にからかわれるが、酔っ払いは気にするなとオーランドに言われる。

侮辱を受けるエヴァを守ろうとしたオーランドは、彼女と共にステージを下り、その行為をブルーノに非難される。

オーランドはエヴァを気遣うものの、彼女にも責められる。

エヴァに近寄るオーランドに襲いかかったブルーノは、逃げる彼を追いかける。

騒ぎを起こしたブルーノは、ロージーに罵倒されて追い払われる。

ブルーノは、エヴァや踊り子達を連れてその場を去り、路上で彼女達を売り込む。

少年ロジャー(ディラン・ハーティガン)に声をかけられたエヴァは、彼と共に家に向かう。

そこにオーランドが現れ、ロジャーに小遣いを渡して帰るよう指示する。

昨夜のことを謝罪しただけで帰ろうとするオーランドに、エヴァは、彼が今もエリス島で働いていることを確認する。

エリス島ではブルーノの方が顔が利くと言うオーランドは、かつて一緒に暮らし仲が良かった彼が変わってしまったことを話す。

送還されそうになったところを救ってもらったと言うエヴァが、親戚にも見放され、辛い目に遭っていることを知ったオーランドは、仕事を恥じることはなく、幸せになる権利はあると伝えて彼女を励ます。

ロジャーから偽札を渡されたことに気づいたブルーノはエヴァの元に向い、その場にオーランドがいたために驚く。

エヴァに席を外すよう指示したブルーノは、オーランドと話し合い、彼女に近づくなと警告する。

惹かれているのに売春をさせている矛盾を追及されたブルーノは、刃物を手にしてオーランドに襲いかかり、エヴァが警官を呼び二人は連行される。

ブルーノがいないことに不安を感じるベルヴァに、エヴァは、自分には必要ない男だと伝える。

自分達の不幸をエヴァのせいにするベルヴァは、彼女の稼ぎの分配を要求する。

しかし、女をゴミ扱いするブルーノに屈する気はないと言うエヴァは、襲いかかろうとするベルヴァにハサミを向けて脅し、その場を去る。

劇場に向かったエヴァは、釈放されていたオーランドに会い、部屋に忘れていた彼のスカーフを渡す。

オーランドが巡業でカリフォルニアに行くことを知ったエヴァは、アシスタントとして同行することを提案される。

エリス島にいる病気の妹に治療費を送っているため無理だと答えたエヴァは、オーランドから、記念だと言ってスカーフを渡されて別れる。

釈放されたブルーノを迎えに行ったエヴァは家に戻り、オーランドには近づくなと言われる。

オーランドが遠くに行ったことを伝えたエヴァは、かつて付き合っていた女性に仕事を隠して紳士を装っていたが、オーランドは彼女を劇場に連れて来て、挙句に二人で去ったことをブルームは語る。

オーランドが最低の男だと言うブルーノは、彼には近づくなとエヴァに念を押す。

翌日、教会に向かったエヴァは、聖母マリアに祈りを捧げる。

懺悔室に入ったエヴァは、嘘をつき、食べ物盗み、金を盗もうとしたことを神父に話す。

移民船内で男達に乱暴されたため、ふしだらな女と言われたこともエヴァは話す。

妹は病気で、現れたある男性が自分達を助けてくれると言ったためそれに従い、体で金を稼ぎ、彼に自分を利用させている自分を恥じていることをエヴァは語る。

神に罰せられると神父に言われたエヴァは、自分は天国には行けないと伝えて涙する。

どんな魂も救われるため、それを信じるようにと言われたエヴァは、その男性とは別れるようにと神父に助言される。

苦悩するエヴァは、自分が地獄に堕ちると考える。

それを聞いていたブルーノは、その場を去る。

その夜、旅立ったはずのオーランドが現れ、興行主と対立してたため、エヴァが気になり戻ったことを伝える。

良い知らせがあると言うオーランドだったが、ブルーノが帰ってくるとエヴァに言われ、彼が銃を持っていることを知らされる。

隠してあった銃を取り出して弾を抜いたオーランドは、カードで大金を稼いだため、妹を救い出して一緒に西部に行くことをエヴァに提案する。

戸惑うエヴァは、翌日、話すことを約束して、オーランドにキスして帰るようにと伝える。

ブルーノが戻ったため、エヴァは彼と廊下で話す。

自分が信用されていないことを悔やむブルーノは、マグダとの面会証を取ることをエヴァに約束して、回復しているという妹と頻繁に会えるようになると伝える。

部屋から出てきたオーランドは、銃を手にしてブルーノを脅し、エヴァを自由にすることを強要する。

銃が空だと知らなかったブルーノは、オーランドを刃物で刺してしまう。

倒れ込んだオーランドを部屋に運んだブルーノは、自分が銃の隠し場所を教えたせいだと言って動揺するエヴァを落ち着かせる。

ブルーノは巻き込まれたら終りだとエヴァに伝えながら部屋に入り、その様子をベルヴァが見ていた。

オーランドの遺体を運んで捨てたブルーノは、ついて来たエヴァに、何も知らない振りをしているようにと指示する。

翌日、客をとろうとしていたブルーノとエヴァは、ベルヴァの通報で現れた警官に追われる。

警官はブルーノを捕え、エヴァが殺人を犯したという踊り子の通報を受けたことを伝えて、彼女の居場所を吐かせようとする。

痛めつけられたブルーノは、隠し持っていた現金を奪われ、翌日、エヴァを引き渡すようにと警官に言われる。

家に戻ったブルーノは、エヴァに逃げるよう伝えるが、彼女は妹を置いてはいけないと答える。

妹を救い出す金は持っていたが、エヴァと別れたくなかったために、それを使わなかったことをブルーノは話す。

その金も警官に奪われたと言われたエヴァは、金を手に入れる手段があることをブルーノに伝える。

金を持ってレストランに来るよう言われたエヴァは、叔母エディタの元に向う。

教会で祈りを捧げたことを話したエヴァは、悪いことはしたが生きることは罪なのかをエディタに問う。

エヴァは、対面を重んじる夫の理解を得るのは無理だとエディタに言われる。

救いがあると言うエヴァは、神が遣わした罪深い者に自分の人生も罪深いものにされたが、苦しんでいる彼を赦す気になったことを伝える。

マグダを救うために大金が必要だと言うエヴァは、二度とこの場にはこないことを約束してエディタに助けを求める。

レストランにいたブルーノに現金を見せたエヴァは、彼と共にボートでエリス島に向かう。

マクナリーと話を付けたブルーノは、マグダを待つ間に、カリフォルニアに向かうまでの列車のキップをエヴァに渡す。

追われる身の自分は同行しないとエヴァに話すブルーノは、捕えられた場合は白状する覚悟を伝える。

感謝するエヴァに、一目見た時から利用する気で、マクナリーに金を払い、叔父ヴォイテックに嫌われるよう仕向けたと言うブルーノは、惹かれてしまったために巻き込んだことを伝える。

憎まれるべき男である自分やこの街のことを忘れて去るようにと伝えたブルーノは、エヴァの全てを奪い、何一つ与えなかったと言って嘆く。

この場を去るよう言われたエヴァはブルーノを気遣い、何も悪くないと伝える。

現れたマグダに駆け寄ったエヴァは、彼女を抱きしめる。

ブルーノは、エヴァとマグダを見守りながらその場を去る。

エヴァとマグダはボートに乗り、ニュージャージーに向かう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1921年1月、ニューヨークエリス島
祖国ポーランドの混乱から逃れ、叔母を頼り入国しようとしていたエヴァ・シブルスカだったが、妹のマグダが病気で隔離されてしまう。
船上で問題を起こし、叔母の住所も存在しないと言われたエヴァは再審査となり絶望する。
英語が堪能な女性を探していたブルーノは、エヴァに声をかけられ、働きたいと言う彼女の希望を聞き入れる。
実は劇場の興行主であり、踊り子達に売春もさせていたブルーノは、病気の妹を救うためだと言って説得し、エヴァも劇場で働かせる。
売春も強要されたエヴァは、ある夜、叔母エディタの家を探して見つけ、彼女に助けを求める。
しかし、船で問題を起こしたことなどを叔父に責められたエヴァは警察に連行されてエリス島に送られる。
その場で知り合った芸人のオーランドが、連れ戻しに来たブルーノの従兄だと知ったエヴァは、優しくしてくれる彼が自分を救ってくれる希望だと考えるのだが・・・。
__________

まず、インパクトのある邦題の”告白”に気をとられ過ぎると空振りしてしまう内容だ。

敬虔なカトリック教徒である主人公は、絶望の中で常に神に祈りを捧げているため、原題の”The Immigrant/移民”とするのに抵抗があるなら、せめて”エヴァの祈り”とでもした方がよいと、タイトルを考える方々は思わないのだろうか・・・。

演技、実力、人気共に誰もが認めるマリオン・コティヤールホアキン・フェニックスジェレミー・レナーの共演は注目で、主人公を翻弄する二人の男性の思惑や言動の微妙な変化が見所の作品でもある。

第66回カンヌ国際映画祭では、パルム・ドールにノミネートされた。

ドラマのキーポイントとなるエリス島のロケなども効果的に使われ、モノトーンの映像などが、その時代の雰囲気を出している。

上記のように、主人公三人の演技は見応えあるのだが、製作、脚本を兼ねるジェームズ・グレイの演出はやや単調で、どこかの”名作”を意識し過ぎているオマージュのように思えるのは私だけだろうか・・・。

苦悩する移民女性を深い演技で演ずるマリオン・コティヤール、詐欺師であるか愛ゆえの行動か・・・難しい役柄を彼らしく重々しく演ずる、主人公に手を差しのべる興行主ホアキン・フェニックス、その従兄で、同じように善悪を持ち合わせた芸人を好演するジェレミー・レナー、劇場のオーナー、エレーナ・ソロヴェイ、踊り子のダグマーラ・ドミンスク、主人公の叔母マヤ・ワンパブスキー、叔父イリア・ヴォロック、主人公の妹アントニ・コローネなどが共演している。


モバイルバージョンを終了