第二次大戦下、ナチス・ドイツの暗号機”エニグマ”の解読に挑んだ数学者アラン・チューリングの苦悩を描く、監督モルテン・ティルドゥム、主演ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド、マーク・ストロング他共演の実録ドラマ。 |
・ドラマ
・ベネディクト・カンバーバッチ / Benedict Cumberbatch 作品一覧
・マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:モルテン・ティルドゥム
製作
ノーラ・グロスマン
アイドー・オストロウスキー
テディ・シュワルツマン
製作総指揮:グレアム・ムーア
原作:アンドリュー・ホッジス”Alan Turing: The Enigma”
脚本:グレアム・ムーア
撮影:オスカル・ファウラ
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ
美術・装置
マリア・ジャーコヴィク
タチアナ・マクドナルド
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演
アラン・チューリング:ベネディクト・カンバーバッチ
ジョーン・クラーク:キーラ・ナイトレイ
ヒュー・アレグザンダー:マシュー・グッド
ロバート・ノック刑事:ロリー・キニア
ジョン・ケアンクロス:アレン・リーチ
ピーター・ヒルトン:マシュー・ビアード
アラステア・デニストン中佐:チャールズ・ダンス
スチュアート・メンジーズ少将:マーク・ストロング
ジャック・グッド:ジェームズ・ノースコート
スタール巡査部長:トム・グッドマン=ヒル
スミス警視:スティーヴン・ウォディントン
キース・ファーマン:イラン・グッドマン
アラン・チューリング(少年期)アレックス・ロウザー
クリストファー・モーコム:ジャック・バノン
ヘレン・スチュアート:タペンス・ミドルトン
ウィリアム・ケンプ・ロウサー・クラーク:デイヴィッド・チャーカム
ドロシー・クラーク:ヴィクトリア・ウィックス
アメリカ/イギリス 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2014年製作 114分
公開
イギリス:2014年11月14日
北米:2014年11月28日
日本:2015年3月13日
製作費 $14,000,000
北米興行収入 $91,121,450
世界 $215,528,230
■ アカデミー賞 ■
第87回アカデミー賞
・受賞
脚色賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ベネディクト・カンバーバッチ)
助演女優(キーラ・ナイトレイ)
編集・作曲・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1951年、イングランド、マンチェスター。
逮捕されたアラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は、ロバート・ノック刑事(ロリー・キニア)の尋問を受ける。
チューリングは、これから話すことを注意して聞き、責任は自分にあることを理解するようノックに伝える。
数日前。
警察はチューリングの家を調べる。
秘密情報部(SIS/MI6)本部。 ケンブリッジ大学の数学者であるチューリングの家に向かったノックは、スタール巡査部長(トム・グッドマン=ヒル)から、何も盗まれていないと言われる。 その場で床にこぼれた青酸カリを回収していたチューリングは、侵入者の通報があったとノックとスタールから言われ、何も盗まれていないと話したことを疑問視される。 君達では捕まえられるような相手ではないと言うチューリングは、ノックとスタールを追い払う。 その態度を気にするノックは、チューリングが何かを隠していると考える。 1939年9月3日、ロンドン。 アラステア・デニストン中佐(チャールズ・ダンス)に会ったチューリングは、採用不適格と判断される。 ドイツ語が話せないのにどのようにしてドイツの暗号通信を解読するのかと訊かれたチューリングは、クロスワード・パズルでと答える。 話にならないと言って秘書を呼んだデニストンだったが、ドイツの暗号はパズルだと伝えたチューリングは、”エニグマ”と口にする。 秘書を下がらせたデニストンは、最高機密の計画である、ドイツのエニグマ暗号機の解読だとチューリングから言われる。 連合軍が暗号解読に成功すれば、戦争の終結が早まると言うチューリングは、試す価値があると伝えて自分を売り込む。 ヒュー・アレグザンダー(マシュー・グッド)、ジョン・ケアンクロス(アレン・リーチ)、ピーター・ヒルトン(マシュー・ビアード)らで組まれたチーム”Hut 8”は、毎日、傍受する数千の通信を解読できないことをデニストンから知らされる。 チューリングは、目の前のエニグマがあっても解読できるわけではないことは分かっていた。 その設定を知る必要があると言うデニストンは、毎日、深夜0時に設定が変わるため、午前6時から傍受して18時間以内に解読しなければならないと話す。 毎日、159の後に0が18個付く設定の可能性があると指摘するリーダーのアレグザンダーは、チェスのイギリス・チャンピオンに2度輝いたと言うデニストンから皆に紹介される。 チームで仕事をする気のないチューリングだったが、その場にいたメンジーズは、一緒にやれないのならこの話はなしだと言われる。 MI6のメンジーズを紹介されたチューリングは、今この瞬間も同胞が死んでいると彼から言われ、その指示に従うしかなかった。 天文学的な数字の設定を試すことは不可能であり、協調性のないチューリングは、それを解くマシンを作ろうとする。 1951年。 マシンを作る費用として10万ポンドが必要だとデニストンに伝えたチューリングは、高度なマシンのエニグマに対抗できるのはマシンしかないと説明する。 自分を厄介者扱いするリーダーのアレグザンダーがマシン作製を却下したため、それに従うよう指示されたチューリングは、デニストンの指揮官は誰かと尋ね、チャーチル首相だと言われる。 チャーチルへの手紙をメンジーズに託したチューリングは、首相から責任者に指名され、無能だと言ってキース・ファーマン(イラン・グッドマン)らをクビにする。 その行為をアレグザンダーらから非難されたチューリングは、学校でも”人気者”だっただろうとメンジーズから言われて、当時のことを思い出す。 1928年、シャーボーン・スクール。 人手が足りないため、新聞のクロスワード・パズルの広告を出したチューリングは、解けた者をテストすることを考える。 メンジーズも同席する場で応募者をテストしようとしたチューリングは、女性としてそれに挑戦したジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)が、6分の時間制限にも拘らず5分でパズルを解いたために驚く。 自分でも8分かかるとメンジーズに伝えたチューリングは、クラークが図抜けた才能の持ち主であることを知る。 採用されたクラークとジャック・グッド(ジェームズ・ノースコート)は、情報局の仕事に関係するため、情報を漏らした場合は、反逆罪で死刑になるとメンジーズから警告される。 何をするのかとクラークから訊かれたチューリングは、ナチの暗号を解読して戦争に勝つと答える。 1928年。 1940年。 帰宅したクラークから採用を断ると言われたチューリングは、彼女を強引にブレッチリーに連れて行こうとする。 男性ばかりの無線機製造工場では働けないと伝えたクラークは、女性従業員と働くことになるとチューリングから言われて納得する。 そのため、クラークが機密情報を扱えるよう配慮しなければならなくなったチューリングは、意外な人物が偉業を成し遂げる可能性があり、それが採用の理由だと伝えてその場を去る。 1951年。 チューリングがスパイ活動に関与している可能性を指摘するノックは、それを知りたくないかとスミスに問う。 深夜0時に振り出しに戻る日々が続き苛立つアレグザンダーは、チューリングが組み立て始めたマシンを壊そうとする。 アレグザンダーはケアンクロスに制止され、ヒルトンもチューリングに不満を訴える。 自分のマシンを信じるチューリングは、暗号文と読み取った文を隠し持ってクラークのアパートに向かう。 それぞれの文に関係する”鍵”を見つけて自分のマシンである電気頭脳、デジタル計算機の”クリストファー”で解読することを、チューリングはクラークに説明する。 翌日、チーム内にソ連のスパイがいることをデニストンから知らされたチューリングは、証拠である”ビール暗号”文を見せられる。 自分が二重スパイであることを疑われたチューリングは、それを否定するものの、デニストンから警告を受ける。 その後チューリングは、試す必要のない設定を除外することをクラークから提案される。 パブにいた二人は、現れたアレグザンダーから声をかけられ、挨拶したクラークは好印象を与える。 どんなに優秀でもエニグマには勝てないとクラークから率直に言われたチューリングは、仲間の協力が必要だと助言される。 仕事場に戻ったチューリングは、仲間達にリンゴを配り、クラークから言われたと伝える。 1928年。 1941年。 結果が出ないために”クリストファー”を止めたデニストンは、チューリングを解雇しようとする。 しかし、信頼関係が築かれていたアレグザンダーらは、チューリングが行っていることは唯一の可能性であり正しいと言って、彼を解雇するなら自分達も辞めるとデニストンに伝える。 ケアンクロスらも辞める覚悟があり、半年の猶予が欲しいとアレグザンダーから言われたデニストンは、1か月で結果を出すようにと伝えて、チューリングらに仕事を続けさせる。 アレグザンダーに感謝したチューリングは、自分がスパイでないことを伝える。 当然だと言う、ビール暗号を解読したアレグザンダーは、それが、”求めよ、さらば与えられん”という、マタイ第7章が鍵だったことをチューリングに知らせる。 1951年。 スタールから、チューリングがスパイではなく同性愛者だと言われたノックだったが、そんな話ではなく、彼は重大なことに関わっていると考える。 チューリングを連行するようスタールに命じたスミスから、ノックは尋問する許可を得る。 ”クリストファー”の処理能力に満足できないチューリングは焦る。 両親の考えに従い辞職を決意したとクラークから言われたチューリングは、彼女を引き止める。 互いに惹かれ合っていることを確認しながら、独り身であることも辞職の理由だと言うクラークに、夫がいれば考えが変わると思い、チューリングは配線で指輪を作り彼女にプロポーズする。 平凡を嫌うクラークはそれを受け入れ、チューリングと共に皆が待つパブに向かう。 クラークとアレグザンダーが楽しそうに躍る姿を見ながら考えこむチューリングは、隣にいたケアンクロスに、自分が結婚を望んでいないとしたらどう思うかを尋ねる。 チューリングが同性愛者だと気づいていたケアンクロスは、告白すべきかを問われ、話さない方がいいと助言する。 ケアンクロスは、自信がないと言うチューリングに、違法であるため、デニストンに知れたら刑務所行きだと伝える。 1928年。 1951年。 同性愛者として逮捕されたものの、ノックがマシンのことを尋ねたため、マシンは、人間とは違う考え方をするとチューリングは答える。 それを解説した論文が”イミテーション・ゲーム”であり、答える相手がマシンか人間かを判定するテストをすることを、チューリングはノックに提案する。 戦争中に何をしたかを訊かれたチューリングは、無線機の製造と答え、再び同じ質問するノックに、本当のことを話し始める。 期限の1か月が近づき、未だに成果が出ないチューリングらは、その日も深夜の0時で作業を終えてパブに向かう。 その場でクラークと話していた、通信傍受担当の職員ヘレン・スチュアート(タペンス・ミドルトン)は、アレグザンダーが気になりチューリングに紹介される。 ヘレンが、特定の無線塔からの通信を毎日、傍受し、相手のドイツ人には恋人がいるが、情が移り恋心まで抱いたと言われたチューリングは、あることが閃く。 そのドイツ人になぜ恋人がいると思ったのかをヘレンに尋ねたチューリングは、通信が毎回5文字の”CILLY”で始まり、それが恋人だと確信したと彼女から言われる。 ドイツ軍は毎回、異なる5文字を使うはずだと言うチューリングに、この相手は違うとヘレンは伝える。 ナチス・ドイツは”愛”で戦争に負けたと呟きながら、チューリングは研究室に向かう。 アレグザンダーらもそれを追い、通信の中で必ず使う言葉だけを”クリストファー”が検索したとしたら、格段に処理能力が増すと考えたチューリングは、その言葉を確定しようとする。 それが毎日の”天気”と”ハイル・ヒトラー”であることが分かったチューリングらは、文字列の設定をして”クリストファー”を動かす。 ”クリストファー”が間もなく停止したために驚いたチューリングは、その結果を利用してエニグマに文字を打ち込み、ドイツ軍の魚雷艇の位置を確認する。 エニグマ解読に必要な言葉が、”ハイル・ヒトラー”だけだったと知ったチューリングは感激する。 チューリングは、仲間達と共に喜び合う。 その後も解読を続けたチューリングらは、大西洋のドイツ軍船団の位置を全て把握する。 その時、クラークはイギリス旅客船団がUボート攻撃されることに気づき、アレグザンダーがデニストンに連絡しようとする。 それを制止したチューリングは電話を壊してしまい、アレグザンダーは彼を殴る。 情報を基に味方が行動を変更すれば、ドイツ軍はエニグマを解読したことを知り、通信を止めて構造を変更してしまうのは明らかだった。 旅客船団には500人の民間人が乗船していると言われたチューリングだったが、自分達の目的は船団の救出ではなく、戦争の勝利だと皆に伝える。 動揺するヒルトンは、船団の一隻に兄が乗っているため、救ってほしいと言って懇願する。 チューリングは、ヒルトンの涙の訴えも聞き入れる訳にはいかなかった。 今後に起きる事態に対処するため、クラークと共にメンジーズに会ったチューリングは、得た情報を利用することを判断するシステムを作る提案をする。 最小限の行動で戦争に勝つ、敵が気づく前に最大限の効果を上げる、統計的な判断をするために協力を求めるチューリングは、MI6が発する偽の情報源が必要だとメンジーズに伝える。 それがエニグマと無関係であることが重要だと言われたメンジーズは、ドイツ軍と共に自国軍にも流すようチューリングから要求される。 政府最高レベルの”嘘”は自分の得意分野だと言って、それを約束したメンジーズは、期待した通りの人物だったとチューリングに伝える。 情報の暗号名は”ウルトラ”と決まり、扱う情報量は、軍事諜報史上最大の規模となる。 ヒルトンに恨まれていることも仕方なく思うチューリングは、彼の冷たい態度も許した。 そんな時チューリングは、ケアンクロスの机の上の聖書に気づき、マタイ第7章の”求めよ、さらば与えられん”のページが折られていることに気づく。 それを知ったケアンクロスは、その場にいたグッドに席を外してもらい、ソ連とは同盟国であり、祖国のためにしたことだとチューリングに伝える。 デニストンに報告すると言うチューリングだったが、同性愛者であることを話すとケアンクロスに脅される。 メンジーズに連絡したチューリングは、家を調べていた彼から、クラークが軍事刑務所に入ったことを知らされる。 クラークのベッドの横にエニグマの解読文書がある理由を問われて弁解したチューリングは、ソ連のスパイがいるとデニストンから聞いたとメンジーズから言われる。 クラークではなくケアンクロスだと言うチューリングに、彼がブレッチリーに来る前からそれを知っていたため採用したとメンジーズは伝える。 メンジーズは、ケアンクロスの動きを探るようチューリングに指示して協力を求める。 クラークを釈放するのが条件だと言うチューリングだったが、彼女は買い物に出かけただけで、すぐ戻るとメンジーズは伝える。 メンジーズが信用できなくなったチューリングは、辞職して街を去るようクラークに指示し、婚約を解消しようとする。 納得しないクラークに、自分は同性愛者だと告白したチューリングは、知っていたと答える彼女から、自分達なりに愛し合い生きていけばいいと言われる。 互いに惹かれ合っているとクラークから言われて、それを否定したチューリングは、自分は好きではないと彼女に伝える。 エニグマ解読に必要だっただけだと言うチューリングは、クラークを突き放そうとする。 チューリングの頬を殴ったクラークは、何よりも重要な仕事をしている自分の行動を邪魔させないと言って、アレグザンダーらが話していたように、”モンスター”だったと伝えてその場を去る。 1951年。 終戦と共にチームは解散することになり、チューリングらは、全ての資料を燃やすことをメンジーズから命ぜられる。 皆、面識もなくエニグマも存在しない・・・、運がよければ二度と会わないだろうととメンジーズに言われたチューリングらは、その場を去る。 1951年。 判定できないと言われたチューリングは、それならば自分の助けにはならないとノックに伝える。 1928年。 友人ではないと答えたチューリングは、クリストファーが結核で亡くなったとことを知らされて動揺する。 病気のことは知っていたはずだと言われたチューリングはそれを否定し、悲しみを堪えながら、クリストファーとは親しくなかったと校長に伝える。 ノックは、チューリングがわいせつ罪で有罪判決になったことを新聞記事で知る。 訪ねて来たクラークから証言をして協力できたと言われたチューリングは、手が震えて体調がすぐれないことについて訊かれ、薬物治療を受けていると答える。 2年の服役かホルモン療法の選択を迫られ、後者を選んだと言うチューリングは、医者や弁護士と話をするとクラークから言われる。 クラークの協力を拒むチューリングは、独りで耐えるのかと言われ、それを否定して、目の前の”クリストファー”を見つめながら、賢くなったと呟く。 治療を続けなければ”クリストファー”を取り上げられてしまうと言うチューリングは、それだけは避けたい、独りになりたくないと嘆きながら泣き崩れる。 チューリングを落ち着かせて座らせたクラークは、夫の話をしながら、新聞のクロスワード・パズルを彼に解かせようとする。 後にすると言ってペンを置いたチューリングから、仕事や夫、そして普通の暮らしを手に入れたと言われたクラークは、彼に語り掛ける。 街や男性達を救い、科学研究の基礎を築いたのはチューリングだと言うクラークは、あなたが不通を望んでも自分は納得できないと伝える。 普通ではなかったために、素晴らしい今の世界があるとクラークから言われたチューリングは、本当にそう思うかを問う。 ”意外な人物が偉業を成し遂げる可能性がある・・・”、自分を研究に誘ってくれた時のチューリングの言葉を伝えたクラークは彼を励ます。 クラークが帰った後、チューリングは、安堵の表情で”クリストファー”を見つめる。 1年間のホルモン治療の末、1954年6月7日、アラン・チューリングは自殺した(享年41歳)。 1885年から1967年までのイギリス法により、約4万9000人の同性愛者の男性が、わいせつ罪で有罪となった。 2013年、エリザベス女王は、チューリングに死後恩赦を与え、前例のない彼の偉業を称えた。 エニグマの解読は、終戦を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと歴史家は考える。 この件は、50年以上も政府の機密扱いだった。 チューリングの功績は”チューリング・マシン”の研究へとつながる。 現在、それはコンピュータと呼ばれる。
スチュアート・メンジーズ(マーク・ストロング)は、アラン・チューリング宅で盗難があったという報告を受ける。
...全てを見る(結末あり)
イギリスはナチス・ドイツに宣戦布告し、チューリングは、ミルトン・キーンズの”ブレッチリー・パーク”に向かう。
数学の教授のチューリングの軍歴が機密事項だと言われたノックは、疑問に思いながらそれを調べる。
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成績優秀だったチューリング(アレックス・ロウザー)はいじめられていたが、クリストファー・モーコム(ジャック・バノン)に助けられて親交を深める。
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クリストファーから暗号の本を借りたチューリングは、それに興味を持ち、彼に惹かれるようになる。
姿を見せないクラークの家に向かったチューリングは、彼女の両親ウィリアム(デイヴィッド・チャーカム)とドロシー(ヴィクトリア・ウィックス)に会い話をする。
署に戻ったノックは、チューリングの軍歴資料がないことを上司のスミス警視(スティーヴン・ウォディントン)に伝え、侵入して何も盗まなかった者達の”陰謀”も視野に入れる。
暗号でクリストファーと手紙をやり取りしていたチューリングは、2週間の休みが過ぎたら会えるというクリストファーからの手紙を受け取る。
マシンのワイヤーを対角に繫げば、検索スピードが500倍速くなるとアレグザンダーから助言されたチューリングは、それを早速テストする。
チューリングが男娼と接触したことで逮捕できることをノックとスミスに伝えたスタールは、相手の男がチューリングの家に侵入したことも話す。
暗号でクリストファーに愛を伝える手紙を書いたチューリングは、休みが終ったにも拘らず彼が戻らなかったためにショックを受ける。
逮捕されたチューリングは、ノックの尋問を受ける。
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そこまで話したチューリングは、戦争は更に2年続き孤独だったとノックに伝え、日々、人の生死を分ける計算をして、知られないまま連合軍を勝利に導いたと語る。
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信じられないと言うノックに判定を求めるチューリングは、自分がマシンか人間か、それとも戦争の英雄か犯罪者かを問う。
校長に呼ばれたチューリングは、クリストファーと親しかったことを訊かれる。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
1939年9月。
イギリスはナチス・ドイツに宣戦布告し、秘密情報部(SIS/MI6)のメンジーズは、傍受した敵の通信を解読するため、数学者のアラン・チューリングらをブレッチリーに招集する。
ドイツの暗号機”エニグマ”を利用し暗号化された通信を解読することになったチューリングは、チェスのチャンピオンであるアレグザンダーらと共に作業を始める。
協調性がないチューリングは、仲間達の反感を買いながらも、毎日、変わるエニグマの設定を知るためのマシンを作ることに没頭する。
行き詰ったチューリングは、クロスワード・パズルを解くことに関しては自分を上回る才能の持ち主である女性クラークの協力を得ながら、困難な作業を続けるのだが・・・。
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1983年に発表された、アンドリュー・ホッジスの著書”Alan Turing: The Enigma”を基に製作された作品。
第二次大戦中、勝敗を決する鍵となった暗号機”エニグマ”の解読に挑んだ数学者アラン・チューリングと、彼を支えた人々や利用する者達との関係を描くドラマ。
歴史に残る偉業を成し遂げたと言っていいアラン・チューリングの業績と共に、非凡な才能に隠された同性愛者としての苦彼の悩も描く物語。
同性愛者であることが、いかにアラン・チューリングの人生に大きな影響を及ぼしたかを、かなりの部分を割いて描写し、少年時代に体験した淡い”恋”でそれを強烈に表現する、モルテン・ティルドゥムの繊細かつ大胆な演出も注目だ。
あれほど苦労した”エニグマ”の設定を解く鍵が”ハイル・ヒトラー”だったという、あまりにも月並みな言葉には拍子抜けしてしまったが、電気頭脳、デジタル計算機、そしてコンピュータにつながるアラン・チューリングの理論を、理解は難しいが知る上で非常に参考になる作品でもある。
第87回アカデミー賞では、脚色賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ベネディクト・カンバーバッチ)
助演女優(キーラ・ナイトレイ)
編集・作曲・美術賞
北米興行収入は約9100万ドル、全世界では約2億1500万ドルの大ヒットとなった。
主演のベネディクト・カンバーバッチは、苦悩しながら歴史的な偉業を成し遂げたアラン・チューリングを、迫真の演技で熱演する。
チューリングの理解者であり、決して見捨てずに彼を支えるジョーン・クラークを好演するキーラ・ナイトレイ、エニグマ解読チーム”Hut 8”のメンバー、ヒュー・アレグザンダーのマシュー・グッド、ソ連の二重スパイのまま泳がされるジョン・ケアンクロスのアレン・リーチ、ピーター・ヒルトンのマシュー・ビアード、ジャック・グッドのジェームズ・ノースコート、初期メンバーのイラン・グッドマン、暗号解読の現場責任者アラステア・デニストン中佐のチャールズ・ダンス、主人公らを監視するMI6のスチュアート・メンジーズ少将マーク・ストロング、チューリングが単なる同性愛者とは思えないため、それを探る刑事のロリー・キニア、その部下である巡査部長トム・グッドマン=ヒル、上司の警視スティーヴン・ウォディントン、チューリングの少年期アレックス・ロウザー、彼と親交を深めるジャック・バノン、通信傍受担当の女性職員タペンス・ミドルトン、ジョーン・クラークの両親デイヴィッド・チャーカムとヴィクトリア・ウィックスなどが共演している。