ピューリッツァー賞受賞作家スティーブン・ミルハウザーの短編小説、”Eisenheim the Illusionist”の映画化。 かつて愛し合っていた天才イリュージョニストと公爵令嬢の命懸けの行動を描く、監督、脚本ニール・バーガー、主演エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビール他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ニール・バーガー
製作総指揮
ジェーン・ガーネット
トム・ヌーナン
テッド・リーボヴィッツ
ジョーイ・ホーヴィッツ
製作
マイケル・ロンドン
ブライアン・コッペルマン
デヴィッド・レヴィーン
ボブ・ヤーリ
キャシー・シュルマン
原作:スティーブン・ミルハウザー”Eisenheim the Illusionist”
脚本:ニール・バーガー
撮影:ディック・ポープ
編集:ナオミ・ジェラティ
音楽:フィリップ・グラス
出演
幻影師アイゼンハイム/エドゥアルド・アブラモヴィッチ:エドワード・ノートン
ウォルター・ウール警部:ポール・ジアマッティ
公爵令嬢ソフィ・テッシェン:ジェシカ・ビール
皇太子レオポルド:ルーファス・シーウェル
ジョセフ・フィッシャー:エディ・マーサン
ヤルカ:ジェイク・ウッド
ウィリグート:トム・フィッシャー
エドゥアルド・アブラモヴィッチ(少年期):アーロン・テイラー=ジョンソン
ソフィ・テッシェン(少女期):エレノア・トムリンソン
医師/老紳士:カール・ジョンソン
アメリカ/チェコ 映画
配給 ヤーリ・フィルム・グループ
2006年製作 109分
公開
北米:2006年8月18日
日本:2008年5月24日
製作費 $16,500,000
北米興行収入 $39,825,800
世界 $84,276,180
■ アカデミー賞 ■
第79回アカデミー賞
・ノミネート
撮影賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀末。
ハプスブルク家統治下のオーストリア=ハンガリー帝国、首都ウィーン。
ウォルター・ウール警部(ポール・ジアマッティ)は、舞台上のエドゥアルド・アブラモヴィッチ(エドワード・ノートン)、またの名”幻影師”アイゼンハイムを公共秩序妨害、詐欺、帝国に対する脅威などの罪で逮捕する。
ウールは、それを皇太子レオポルド(ルーファス・シーウェル)に報告し、アイゼンハイムの過去を振り返る。
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家具職人の子として生まれたエドゥアルド(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、ある日、ひとりのマジシャンと出会う。
その後、エドゥアルドは独学で奇術を学び、人々から”変わった少年”と言われる。
そしてエドゥアルドは、公爵令嬢ソフィ・テッシェン(エレノア・トムリンソン)に出会う。 エドゥアルドの奇術に見せられたソフィだったが、身分違いの彼と引き離されてしまう。 しかし、二人は周囲の目を盗み密かに会い続け、惹かれ合う間柄になる。 そして、エドゥアルドはソフィのために、細工したロケットを贈る。 やがて二人は再び引き離され、エドゥアルドは世界中を旅した後、奇術を始めて、名前を”アイゼンハイム”と改める。 15年後、ウィーン。 レオポルド皇太子が、アイゼンハイムの奇術を見ることになり、ウール警部は警備のため、事前に劇場内を調べる。 ウールはそれを口実に、奇術のトリックを探ろうとするが、もちろんアイゼンハイムは簡単には種を明かさない。 そして、皇太子を迎えたアイゼンハイムの奇術は終盤を迎える。 観客から参加者を求めたアイゼンハイムは、皇太子の指示で舞台に上がった女性を見て驚いてしまう。 その女性は、公爵令嬢ソフィ・テッシェン(ジェシカ・ビール)であったが、彼女はアイゼンハイムを知らないと言い切る。 アイゼンハイムは、ソフィの協力により鏡のマジックを見事に成功させる。 その後、アイゼンハイムは皇太子と面会し、王宮での夜会でもう一度奇術を見せることになる。 やがて、アイゼンハイムの元にソフィから手紙が届き、そして二人は密かに会うことになる。 ソフィは、警護という名目の皇太子の監視が厳しいために、舞台でアイゼンハイムを知らない振りをしていたのだった。 皇太子との婚姻も噂されるソフィだが、アイゼンハイムへの気持ちは今も変わっていなかった。 ソフィの監視を続けるウールは、彼女が馬車を使いその中でアイゼンハイムに会っていたという報告を受ける。 ウールはアイゼンハイムを呼び出し、ソフィとの密会を追及し、身分違いを強調する。 王宮でのアイゼンハイムを招いてのショーが始まり、最初のマジックで、いきなり皇帝は皮肉まじりに種明しをしようとするが、アイゼンハイムはそれに動じない。 次にアイゼンハイムは、皇太子の剣を使ったマジックで、彼に恥をかかせてしまう。 皇太子は席を外し、ウールにアイゼンハイムを破滅させるようにと指示を出す。 その後、ソフィはアイゼンハイムの元に現れ、彼に危険を知らせ、そして二人は愛し合ってしまう。 ソフィは、婚約発表のために、ブダペストに向かうことをアイゼンハイムに告げ、彼はそれに悩む彼女を連れて逃亡することを決意する。 皇太子の反感を買ったアイゼンハイムは、予想通り追放されることになり、劇場は閉鎖されてチケットが完売していた公演は全て中止となる。 銀行から全財産を引き出したアイゼンハイムは、ソフィに現金が入った鞄を渡したところを、ウールの部下に目撃されてしまう。 ウールは、二人の密会と、何かを企んでいるということを皇太子に報告する。 皇太子はソフィを責め、彼女は計略結婚を拒絶してその場を立ち去るのだが、激怒した皇太子はソフィを傷つけてしまう。 アイゼンハイムは、現れないソフィの行方を捜して、川で彼女の遺体を見つける。 現場に現れたウールは、ソフィの遺体を確認し、公爵家の医師(カール・ジョンソン)に、遺体から宝石の粒が見つかったことを知らされる。 興奮したアイゼンハイムは、皇太子が犯人だとウールに言い寄る。 数日後、容疑者が逮捕されるが、アイゼンハイムは納得しなかった。 公演を再開したアイゼンハイムは、死者を舞台に登場させる新しいマジックを披露し、彼の人気はさらに高まる。 皇太子は、そのトリックを暴きアイゼンハイムを逮捕するようにウールに命ずる。 仕方なくウールはアイゼンハイムを連行するが、彼の支持者は釈放を求める。 アイゼンハイムは、集まった民衆に、ショーは喜ばせるためのトリックだと伝え釈放される。 皇太子は、ウールを無能だと言って罵り、自らが決着をつけようとする。 平民に扮した皇太子は、アイゼンハイムのショーを見るために劇場に向かう。 アイゼンハイムは舞台に上がり、ソフィの霊を呼び寄せる。 観客は、ソフィを殺した犯人を聞き出そうとするが、彼女は観客席にいる誰かだと語る。 以前にも、女性を殺したと言われている皇太子が、犯人ではないかと観客がソフィに問う。 皇太子本人は動揺してしまい、その直後、アイゼンハイムのパワーが尽きソフィは消えてしまう。 皇太子は、トリックの”女優”がソフィに似ていないとウールに強がりを言い、騒ぎ立てた観客とアイゼンハイムを次の公演で逮捕するよう命ずる。 正気を逸している皇太子に、表面上は従うウールだったが、彼はアイゼンハイムを逮捕したくないことを彼に告げる。 ウールはアイゼンハイムの技に敬意を表しつつ、ショーの中止を求める。 アイゼンハイムは、劇場閉鎖時に去っていたフィッシャーを呼び寄せ、財産の管理を任せて協力を要請する。 そして、アイゼンハイムのショーは始まり、彼は再びソフィの霊を呼ぶ。 ソフィは、かつてアイゼンハイムから贈られたロケットがないことを告げる。 観客が騒ぎ始めたところでウールは舞台に上がり、アイゼンハイムを逮捕しようとする。 しかし、アイゼンハイムは最後の力を振り絞り、自分の姿を消してしまう。 ウールは、アイゼンハイムの部屋のトリックの記されている書を手がかりに、皇太子の狩猟用の館の厩舎でソフィのロケットを見つける。 そして、その脇に落ちていた宝石と、ソフィの遺体から見つかった宝石が、皇太子の剣のものであることをウールは確認する。 皇太子の元に向かったウールは、彼の”皇帝退位計画”を含めて、既に皇帝側近に知らせてあることを告げる。 ウールに銃を向けた皇太子は、彼に剣を戻すよう強要するが、そこに皇帝の使者が到着する。 混乱した皇太子は、自らのこめかみを撃ち抜き自害する。 その後、館を離れたウールは、少年から包みを渡される。 中には、以前、興味を抱いたオレンジの木のトリック書が入っていた。 ウールはポケットのロケットがなくなっていることに気付き、肩が触れ合った通行人の男を追う。 男は変装したアイゼンハイムで、彼は駅から汽車に乗りウィーンを脱出する。 駅のホームまでアイゼンハイムを追ったウールは、以前、彼の件で捜査を進めていた時のことを思い出す。 アイゼンハイムは、駅で老紳士(カール・ジョンソン)に、”彼女と先に行き、自分も後を追う”と語っていた。 その瞬間、ウールは全てを理解する。 老紳士と、自分に宝石粒を渡した公爵家の医師は同一人物で、事件はアイゼンハイムとソフィが仕組んだマジックだということに気付く。 ウールは、アイゼンハイムの見事なトリックに、改めて感心して笑みを浮かべる。 そして、アイゼンハイムは、山里離れた山小屋でソフィと再会し、彼女にロケットを渡す。
...全てを見る(結末あり)
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興行師でパートナーのジョセフ・フィッシャー(エディ・マーサン)に紹介されたアイゼンハイムは、ステージで見事なマジックを披露し満場の拍手を受ける。
*(簡略ストー リー)
天才イリュージョニストのアイゼンハイムが、かつて身分違いと言われ、引き離された公爵令嬢ソフィに再会する。
しかしソフィは、皇位継承権者の皇太子レオポルドとの婚姻を控えていた。
幻影師アイゼンハイムは、再び二人を引き離そうとする権力に対抗しようとする。
皇太子は、自分に仕える警部ウールに、アイゼンハイムを追放させようとする。
そして、アイゼンハイムとソフィは、命を懸けた逃避行を計画するのだが・・・。
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トリックには見えない、特撮を駆使した幻想的なマジックと神秘的な映像美。
サスペンスとロマンスを、見事に融合させたストーリーは見応えがある。
実力派スターそれぞれの個性を生かした、脚本を兼ねた、ニール・バーガーの確かな演出も光る。
小道具を効果的に使い、クライマックスのどんでん返しに向かって登場する数々のヒント、それが合体して解き明かされる衝撃の”イリュージョン”、陰謀を阻止し胸を撫で下ろす観客に、さらに痛快さまで感じさせる終盤の展開も素晴らしい。
魅力的なキャスティングなどが話題になった作品ではあるが、北米ではわずか51館の上映で始まった。
公開後、徐々に評価が高まり、ピーク時には1438館まで拡大された。
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製作費 $16,500,000
北米興行収入 $39,825,800
世界 $84,276,180
第79回アカデミー賞では、撮影賞にノミネートされた。
主人公を演ずるエドワード・ノートンの、重厚さを感じさせてくれる熱演の中で、”本気で自分と逃げたいのか?”とヒロインに問い質す表情で、命を懸けて掴もうとする愛への信念が伝わってくる。
クライマックスの衝撃につながる、物静かな彼の表情など、繊細な演技も秀逸だ。
主人公の敵役、または憎まれ役の雰囲気で登場するポール・ジアマッティは、皇太子の僕から、次第に主人公の気持ちに傾倒していく、人間味を感じさせる警部を好演している。
中盤で命を落とすものの、ラストまで物語の中心人物として印象的な役を演じているジェシカ・ビール、皇位を狙い権力を振りかざす皇太子のルーファス・シーウェル、主人公のパートナーである興行師エディ・マーサン、主人公の協力者であるカール・ジョンソン、主人公の少年期アーロン・テイラー=ジョンソン、ヒロインの少女期エレノア・トムリンソンなどが共演している。