2004年の民主党大統領予備選挙に立候補したハワード・ディーンの選挙キャンペーン・スタッフだったボー・ウィリモンの戯曲”Farragut North”を基に製作された作品。 アメリカ合衆国大統領予備選をめぐる陰謀や権力争いを描く、製作レオナルド・ディカプリオ、グラント・ヘスロヴ(脚本)、監督ジョージ・クルーニー(製作、脚本、出演)、主演ライアン・ゴズリング、フィリップ・シーモア・ホフマン、ポール・ジアマッティ、マリサ・トメイ、ジェフリー・ライト、エヴァン・レイチェル・ウッド他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・ジョージ・クルーニー / George Clooney 作品一覧
・レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCaprio 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・クルーニー
製作総指揮
レオナルド・ディカプリオ
スティーヴン・ペヴナー
ナイジェル・シンクレア
ガイ・イースト
トッド・トンプソン
ニーナ・ウォラースキー
バーバラ・A・ホール
製作
グラント・ヘスロヴ
ジョージ・クルーニー
ブライアン・オリヴァー
原作:ボー・ウィリモン”Farragut North”(戯曲)
脚本
ジョージ・クルーニー
グラント・ヘスロヴ
ボー・ウィリモン
撮影:フェドン・パパマイケル
編集:スティーヴン・ミリオン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演
スティーヴン・マイヤーズ:ライアン・ゴズリング
マイク・モリス知事:ジョージ・クルーニー
ポール・ザラ:フィリップ・シーモア・ホフマン
トム・ダフィー:ポール・ジアマッティ
アイダ・ホロヴィッチ:マリサ・トメイ
フランクリン・トンプソン上院議員:ジェフリー・ライト
モリー・スターンズ:エヴァン・レイチェル・ウッド
ベン・ハーパー:マックス・ミンゲラ
シンディ・モリス:ジェニファー・イーリー
テッド・プルマン:マイケル・マンテル
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2011年製作 101分
公開
北米:2011年10月7日
日本:2012年3月31日
製作費 $12,500,000
北米興行収入 $40,962,530
世界 $75,993,060
■ アカデミー賞 ■
第84回アカデミー賞
・ノミネート
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アメリカ合衆国大統領の座を目指す、ペンシルベニア州知事のマイク・モリス(ジョージ・クルーニー)は、民主党予備選に挑む。
モリス陣営の広報官スティーヴン・マイヤーズ(ライアン・ゴズリング)は、オハイオ州での討論会の準備に余念がなかった。
選挙戦を有利に進めていたモリスは、アーカンソー選出の上院議員テッド・プルマン(マイケル・マンテル)が、”3月15日”オハイオでの予備選で形勢逆転を狙っていることを警戒する。
討論会を終えた、モリス側のキャンペーン・マネージャー、ポール・ザラ(フィリップ・シーモア・ホフマン)とマイヤーズは、プルマン側のマネージャー、トム・ダフィー(ポール・ジアマッティ)を牽制する。
その夜、”ニューヨーク・タイムズ”のレポーター、アイダ・ホロヴィッチ(マリサ・トメイ)は、勝利の行方についてを、ザラとマイヤーズとで意見し合う。 マイヤーズは、アイダの質問をはぐらかすものの、モリスを信用し過ぎることに対して、彼女に失望する可能性があることを指摘される。 その後マイヤーズは、相手陣営のスキャンダルを探し、その対応に手間取らせるようスタッフに指示を出す。 精力的に仕事を続けるマイヤーズは、インターンであるモリー・スターンズ(エヴァン・レイチェル・ウッド)が気になる存在になる。 民主党の大物上院議員フランクリン・トンプソン(ジェフリー・ライト)に会ったザラは、モリスへの支持表明を要請するが感触は良くない。 演説の原稿内容などで、モリスと今一意見が噛み合わないマイヤーズは、ダフィーからの連絡を受け、あるものを見せたいと言われて呼び出される。 それを一度は断ったマイヤーズだったが、待ち合わせたバーに向かい、ダフィーに、支えるべき人物を誤っていると言われ、モリスが予備選で負けることを断言する彼に、自分達の陣営に加わるよう提案される。 国務長官の座を約束して支持を得て、トンプソン派の代議員の票を獲得できると言われたマイヤーズは、モリスでは、強かな共和党に対抗できないことも指摘される。 ザラには何も伝えられなかったマイヤーズは、その夜、党の全国委員長の娘だったモリーと一夜を共にする。 トンプソンの支持を得られず戻ったザラは、マイヤーズがダフィーと会い、戦況が不利だということを確認して頭を抱える。 劣性であることをモリスに伝えたザラは、トンプソンを抱き込むことが勝利の鍵だと説得する。 しかし、モリスはトンプソンに国務長官の座を与えることを拒み、他の方法を探すよう指示を出す。 トンプソンの件だけは妥協できないことを、モリスは妻のシンディ(ジェニファー・イーリー)に伝える。 その後も愛し合うマイヤーズとモリーだったが、彼女が、モリスとの情事の末に妊娠し、中絶しようとしている事実が分かる。 致命的なスキャンダルを恐れたマイヤーズは愕然として、モリスへの信頼も失う。 モリーの中絶費用に選挙資金を使おうとしたマイヤーズは、アイダからの連絡を受け、ダフィーと会ったことについてを尋ねられる。 アイダに会ったマイヤーズは、ダフィーとの会話の内容に加えて、トンプソンのことまで触れられて動揺する。 ダフィーがバラしたことを疑ったマイヤーズだったが、彼はそれを否定し、アイダが記事にすることを阻止するよう指示される。 モリーに会ったマイヤーズは、中絶費用を渡し、残った金で故郷に帰るよう伝える。 クリニックに予約を取ったモリーを送り届け、ザラの元に向かったマイヤーズは、アイダが、ダフィーの件を知っていることを伝える。 ところが、ザラは、その件をリークしたのは自分だと言って、ミスを犯したマイヤーズを信用出来ないことを伝えて辞職を促し、モリスもそれを支持したことを告げる。 迎えに来るはずのマイヤーズに連絡が取れず、宿舎に戻ったモリーは、同僚のベン・ハーパー(マックス・ミンゲラ)から、マイヤーズが解雇されたために後任になったことを知らされる。 モリーは、マイヤーズが復讐を企んでいることまで知り、それが自分破滅させると考えて動揺する。 プルマンの選挙事務所に向かったマイヤーズはダフィーに会うが、彼は、ザラに解雇され暴露記事が出る現状では雇えないことを伝える。 マイヤーズは、モリスにとって、致命的となる情報があることをダフィーに伝える。 雇えば教えると言うマイヤーズに対し、クビを縦に振らないダフィーは、敵側の最高のブレーンを、雇えても、また解雇されても自分には損はなかったと告げる。 絶望的な思いで宿舎に戻ったマイヤーズは、マリーが自殺したことを知り、彼女の携帯電話を持ち出す。 マイヤーズは、モリーからのメッセージを聞き、彼女を無視してしまったことを後悔する。 トンプソンに会ったマイヤーズは、副大統領候補に指名するよう要求され、その発表がない場合は、プルマンに投票すると言われる。 モリスは、モリーの件についての声明を発表し、捜査中であるため、自殺とは断定しない。 その時、モリスの携帯電話にモリーからの着信があり、それが、記者会見の会場に姿を現したマイヤーズからだと分かる。 その夜マイヤーズは、ザラを外して自分をマネージャーにすることをモリスに要求する。 モリスは、モリーの妊娠のことなどの証拠がないことから、それを聞き入れずに立ち去ろうとするが、マイヤーズは、携帯電話に彼女の遺書が残されていたことを伝える。 モリーは中絶したためDNA鑑定もできず、遺書の存在も疑うモリスは、自分が知事という立場で優位だと伝えるが、マイヤーズは主張を変えない。 ザラは解雇され、モリーの葬儀でマイヤーズと顔を合わせ、モリスのどんな弱みを握ったかを、いずれ聞きたいことを伝えて立ち去る。 トンプソンは、同じ壇上でモリス支持を表明し、ダフィーはインタビューで、落胆しながら状況を説明する。 アイダとの友情を認めながら、トンプソンとの取引とザラの後任の件について、マイヤーズは一切答えない。 そして、事実上、予備選を勝利に導いたマイヤーズはインタビューに備える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
アメリカ大統領の座を目指す、ペンシルベニア州知事マイク・モリスは、有利な選挙戦を展開しているように見えた。
モリス陣営のキャンペーン広報官スティーヴン・マイヤーズは、マネージャーのザラと共に精力的に活動し、相手陣営のマネージャー、ダフィーを牽制する。
”ニューヨーク・タイムズ”の記者アイダが、選挙戦の行方について探りを入れる中、マイヤーズは、ダフィーからの連絡を受けて呼び出される。
一度はそれを断ったマイヤーズだったが、ダフィーと会うことになり、彼は敵側スタッフに誘われる。
驚くマイヤーズだったが、予備選勝利に自信を見せるダフィーは、鍵を握る、上院議員のトンプソンに国務長官の座を約束して、支持を得たことえを伝える。
ザラは、マイヤーズがダフィーに会ったことを知り、トンプソンを抱き込むことの重要性をモリスに伝えるが、それは受け入れられない。
そんな時マイヤーズは、親密になったインターンのモリーが、モリスと関係を持ち、妊娠して中絶しようとしている事実を知る。
信頼していたモリスの、致命的なスキャンダル発覚を恐れたマイヤーズは、自分がダフィーと会ったことなどもアイダに知ら、窮地に立たされる・・・。
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ハリウッド随一の実力派スター、そして映画作家となったジョージ・クルーニーの、製作、監督、脚本、そして出演を兼ねる意欲作。
ジョージ・クルーニーの盟友グラント・ヘスロヴが、製作、脚本を担当し、主演も検討されたレオナルド・ディカプリオも製作に参加している。
第84回アカデミー賞では、脚色賞にノミネートされた。
観る前から期待に胸膨らますことのできる作品で、ジョージ・クルーニーをはじめ、ハリウッドを代表する演技派、若手スター他を揃えたキャスティングは注目で、冒頭からドラマに引き込まれる。
ジョージ・クルーニーがこだわったとも言われる、ジュリアス・シーザーが暗殺された日(紀元前44年3月15日)を意味する原題も興味深く、予備選の日付も同じ”日にしているところがポイントだ。
内容やスタッフ、キャストを知らなければ、観ようという気になれない陳腐な邦題は、ジョージ・クルーニーら製作者の考えを全く理解していない。
”シーザー暗殺の日”を念頭に置きながら展開を見守っていると、サスペンス・タッチに変貌していくドラマを一層楽しめる。
それより以前に、選挙キャンペーン・マネージャーのフィリップ・シーモア・ホフマンに注目していた自分は、その仕草や物腰、そして穏やかなセリフ回しだけでも満足出来る、見事な演技を堪能できる。
しかし、原題のインパクトが大き過ぎて、期待したほどの劇的な展開では終わらないクライマックスは、やや物足りない。
新人の女性スタッフを、自殺したインターンが序盤で演じた同じ状況で映し出すシーンなども、必要ではなかったと思える。
政界の権力争いに翻弄されながらも、逞しく生き抜く若きリーダーとして、選挙戦を支える広報官を好演するライアン・ゴズリング、演出家として本編では助演に徹する州知事のジョージ・クルーニー、百戦錬磨の実力者の雰囲気がよくでている、選挙キャンペーン・マネージャーを演ずるフィリップ・シーモア・ホフマン、対抗するライバルを強かに演ずるポール・ジアマッティ、誰とも違う雰囲気で存在感を発揮する、”ニューヨーク・タイムズ”の記者役マリサ・トメイ、自分の地位を権力欲に利用する上院議員ジェフリー・ライト、軽いイメージで登場しながら、終盤の展開を左右する存在になる自殺してしまうインターンのエヴァン・レイチェル・ウッド、同僚スタッフ、マックス・ミンゲラ、州知事夫人ジェニファー・イーリー、対立候補マイケル・マンテルなどが共演している。