戦地の現実を緊迫感ある映像で映し出す究極のリアリズム映画。 キャスリン・ビグローが女性として史上初のアカデミー監督賞を受賞、ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ共演。 |
・ドラマ
・レイフ・ファインズ / Ralph Fiennes / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:キャスリン・ビグロー
製作総指揮:トニー・マーク
製作
キャスリン・ビグロー
マーク・ボール
グレッグ・シャピロ
脚本:マーク・ボール
撮影:バリー・アクロイド
編集
ボブ・ムラウスキー
クリス・イニス
音楽
マルコ・ベルトラミ
バック・サンダース
出演
ウィリアム・ジェームズ軍曹:ジェレミー・レナー
J・T・サンボーン軍曹:アンソニー・マッキー
オーウェン・エルドリッジ:ブライアン・ジェラティ
ジョン・ケンブリッジ大佐(軍医):クリスチャン・カマルゴ
マット・トンプソン軍曹:ガイ・ピアース
請負チーム・リーダー:レイフ・ファインズ
リード大佐:デヴィッド・モース
コニー・ジェームズ:エヴァンジェリン・リリー
ベッカム:クリストファー・セイフ
アメリカ 映画
配給 サミット・エンターテインメント
2009年製作 131分
公開
北米:2009年6月26日
日本:2010年3月6日
製作費 $11,000,000
北米興行収入 $17,017,810
世界 $49,230,730
■ アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞
・受賞
作品・監督・脚本・編集・録音
音響効果賞
・ノミネート
主演男優(ジェレミー・レナー)
撮影・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2004年、夏、イラク、バグダッド。
アメリカ陸軍”爆破物処理班”(EOD)”ブラボー中隊”の爆破物処理中、リーダーのマット・トンプソン軍曹(ガイ・ピアース)が、爆破の巻き添えに遭い死亡する。
同僚のJ・T・サンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)と技術兵オーウェン・エルドリッジ(ブライアン・ジェラティ)はショックを受けるが、その後も任務は続く。
数日後、中隊に二等軍曹ウィリアム・ジェームズ(ジェレミー・レナー)が赴任する。
●ブラボー中隊 任務明けまで 38日 そこに一台の車が現れ、ジェームズは運転していた男に銃を向けて威嚇し、その場から追い払う。 ジェームズは、サンボーンの指示などを無視し、自分流の方法で、いきなり複数の”即席爆発装置”(IED)を見つけて処置する。 サンボーンは、ジェームズの無謀な行動を非難するが、彼はそれを気にもしない。 ●ブラボー中隊 任務明けまで 37日 ジェームズは、サンボーンの無線を無視してヘッドセットを取り、爆弾の配線を外し作業を終える。 周囲の警戒から戻ったサンボーンは、チームワークを乱すジェームズの顔面を殴り、処置中の交信を続けるよう警告する。 爆弾処理に成功したジェームズは、現れたリード大佐(デヴィッド・モース)に、その勇気を称えられる。 基地に戻ったジェームズは、前日、ピンボケのDVDを売りつけた少年ベッカム(クリストファー・セイフ)を摑まえ、気晴らしに彼をからかい、その後、可愛がるようになる。 部隊の軍医ジョン・ケンブリッジ大佐(クリスチャン・カマルゴ)は、過酷な任務に耐える、エルドリッジの精神状態を常にチェックする。 ●ブラボー中隊 任務明けまで 23日間 その後、移動中の中隊は、ある不審な集団と遭遇して彼らを調べるが、それは人質確保の請負チームだった。 リーダー(レイフ・ファインズ)が味方だと確認した中隊だったが、近くの建物から攻撃を受けてしまう。 銃撃戦が始まるが、リーダーはあえなく狙撃されて死亡し、ジェームズは、銃を構えるサンボーンに指示を出し、緊張する彼をリラックスさせながら、耐久戦の中で敵を次々と倒していく。 エルドリッジも敵らしき者を見つけて銃撃を加え、日没を前に中隊は戦闘を終える。 基地に帰った中隊の三人は、過酷な任務を忘れて酒を酌み交わし、久し振りに開放感を味わう。 ●ブラボー中隊 任務明けまで 16日 中隊は、テロリストのアジトの部屋を見つけ、ジェームズはそこで、傷ついた少年の遺体を見つける。 ジェームズは、その少年が基地内にいたベッカムだと思い込み、遺体に爆薬を仕掛けて倉庫を爆破しようとする。 しかし、ジェームズは少年の腹部に埋め込まれていた爆薬を見つけ、それを摘出して遺体を運び出す。 ケンブリッジが、民間人をその場から避難させ、仲間達の車に戻ろうとした時、彼は隠されていた路上の爆弾の爆発で死亡する。 エルドリッジは、自分を気にかけてくれていたケンブリッジの死を目撃して取り乱してしまうが、ジェームズがそれをなだめる。 基地に戻ったジェームズは、妻コニー(エヴァンジェリン・リリー)に電話をするが、何も語らずに切ってしまう。 その後ジェームズは、基地内でDVDを売っていた男を脅しベッカムの家に案内させる。 しかし、ジェームズはその家がベッカムとは関係ないことを知り、規則を破り外出した基地に戻る。 その後、タンクローリー爆破の現場に向かった中隊は、自爆テロではなく、遠隔操作の可能性を指摘するジェームズの考えで、周辺捜査を始めようとする。 サンボーンは、後方で控える歩兵小隊にそれを任せるべきだと意見するが、ジェームズは捜査を強行させる。 路地に入り別行動を取った中隊だったが、エルドリッジが捕らえられてしまう。 それに気づいたジェームズとサンボーンは、エルドリッジを救出して基地に戻る。 翌朝ジェームズは、生きていたベッカムに声をかけられるが彼はそれを無視する。 エルドリッジは、大腿骨が砕けて帰国することになるのだが、彼は、ジェームズの無謀な行動を非難し、自分の負傷も彼のせいだと罵る。 そして、サンボーンに再会を約束したエルドリッジは、ヘリコプターで搬送されていく。 ●ブラボー中隊 任務明けまで 2日 爆破解除に手間取り、爆弾のタイマーの残り時間が足りず、結局、男は爆死してジェームズは吹き飛ばされる。 幸いジェームズは助かるが、任務の後、精神的ダメージを受けたサンボーンは、このままでは人生に何も求められないことを語る。 そんなサンボーンは、ジェームズの精神状態を探るのだが、自分が何も考えずに行動し、なぜそうなのかわからないと彼は淡々と答える。 任務が明けたジェームズは、妻コニーと息子の待つ自宅に戻る。 平凡な生活、日常の買い物などに喜びを感じることができないジェームズは、何もわからない幼い息子に語りかける。 ”人間は、好きだった物も、時が経つとそうではなくなる・・・ そして、ジェームズは再びイラクに向かい、新たな任務に就く。 EODチーム、”デルタ中隊”、任務明けまで365日
早速、任務に向かった中隊だったが、防爆スーツに身を包んだジェームズは煙幕を張り、後方支援のサンボーンらの目をくらます。
...全てを見る(結末あり)
次の任務で、ジェームズは狙撃によって炎上した車を消火し、防爆スーツを脱ぎ捨て、トランクの中の大量のIEDの処置を始めてしまう。
数日後、中隊は砂漠で爆破物を処理していたが、サンボーンは、ジェームズを事故死に見せかける考えがあることを同僚エルドリッジに伝える。
エルドリッジに、現場を知るように言われていたケンブリッジ軍医が任務に同行し、中隊はある倉庫の捜査に向かう。
胴体に爆弾を巻きつけた、イラクの民間人が街頭に現れ、中隊は呼び出されジェームズはそれを処置しようとする。
今の自分には、一つだけ愛せるものがある・・・”
*(簡略ストー リー)
イラク、バグダッド。
爆破物処理作業を行う、アメリカ陸軍”EOD”のリーダーが事故死する。
中隊に赴任した二等軍曹のウィリアム・ジェームズは、死と隣り合わせの任務に、精神的極限状態の日々を送る同僚達を尻目に、無謀な自己流の爆破物処理作業を行い続ける。
ジェームズは、反発する同僚サンボーンとの確執も気にせず、爆破物処理以外の生活や行動は、一般の兵士とは変わらない一面も見せる。
いったい彼は何を思い、死に直面する任務を遂行しているのだろうか・・・。
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”ニューヨーク・タイムズ”の戦地特派員クリス・ヘッジスの、2002年に発表されたベストセラー著書”War Is a Force That Gives Us Meaning”からの引用、”・・戦争は麻薬である”と、映し出される冒頭の言葉の意味が全てを語り、瞬時にそれを連想できる。
しかし、それを思い巡らす暇は観客にはない・・・。
第72回アカデミー賞では作品賞をはじめ9部門にノミネートされ、作品、監督、脚本、編集、録音、音響効果賞を受賞した。
・ノミネート
主演男優(ジェレミー・レナー)
撮影・作曲賞
*キャスリン・ビグローは、女性として初の監督賞受賞。
緊張感漂う内容に心して観ていると、目を覆いたくなるような、度肝を抜く”驚かされる”シーンが登場する訳でもなく、想像していた程、心臓に悪い作品ではないことに気づく。
兵士への重圧や精神状態を映し出すことに重点を置き、その状況を淡々と描写し、説教じみたセリフでも
語らず、戦地で起きている現実を生々しくストレートに描き切るキャスリン・ビグローの演出は見事だ。
それは、実力派レイフ・ファインズやデヴィッド・モース、そしてガイ・ピアースらが、どのように物語に絡むかを期待している間もなく、画面から姿を消してしまう描写などでも活かされ、突発的に起きる戦地の出来事がドキュメンタリーのように表現されている。
ただの異端児的に登場する主人公ジェレミー・レナーは、人間味や優しさも感じさせながら、戦地で任務をこなす兵士を好演している。
任務が明けて、家族と暮らす別人の彼が、アウトローのように”欲求”を満たそうとして、再び戦地に向かう姿は恐ろしさも感じる。
中隊の同僚で、直接爆発物処理を行うわけではないが、仲間の死や過酷な任務で、精神的に追い込まれていく軍曹役のアンソニー・マッキー、同じく技術兵のブライアン・ジェラティ、テロの犠牲になる軍医で大佐クリスチャン・カマルゴ、同じ犠牲者で前中隊リーダー役のガイ・ピアース、請負チームのリーダー、レイフ・ファインズ、指令官の大佐デヴィッド・モース、主人公の妻役エヴァンジェリン・リリー、少年クリストファー・セイフ等が共演している。