1831年に発表された、ヴィクトル・ユーゴーの小説”ノートルダム・ド・パリ”を基に製作された作品。 ノートルダム大聖堂のせむし男と呼ばれる鐘突きとジプシーの少女の関係と男たちの愛憎を描く、製作カール・レムリ、アーヴィング・タルバーグ、監督ウォーレス・ウォースリー、製作、主演ロン・チェイニー、パッツィ・ルース・ミラー、ノーマン・ケリー他共演の恋愛ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウォーレス・ウォースリー
製作
カール・レムリ
ロン・チェイニー
アーヴィング・タルバーグ
原作:ヴィクトル・ユーゴー”ノートルダム・ド・パリ”
脚本
エドワード・T・ロウJr.
パーレー・プーア・シーハン
撮影
ロバート・ニューハード
トニー・コーンマン
ヴァージル・ミラー
スティーブン・S・ノートン
チャールズ・J・シュトゥマー
編集
エドワード・カーチス
モーリス・ピヴァー
シドニー・シンガーマン
音楽
セシル・コッピング(1924)
カール・エドゥアルド(1924)
サム・ペリー(1929)
ハインツ・ローメンヘルド(1931)
出演
カジモド:ロン・チェイニー
エスメラルダ:パッツィ・ルース・ミラー
フェビュス・ド・シャトーペール:ノーマン・ケリー
ゴンドローリエ夫人:ケイト・レスター
フルール=ド=リ:ウィニフレッド・ブライソン
クロード・フロロ:ナイジェル・ド・ブルリエ
ジャン・フロロ:ブランドン・ハースト
クロパン:アーネスト・トレンス
ルイ11世:タリー・マーシャル
ヌーシャテル:ハリー・フォン・メーター
ピエール・グランゴワール:レイモンド・ハットン
トルテル:ニック・デ・ルイス
マリー:ユーラリー・ジェンセン
シャルモルー:ロイ・レイドロー
シャルモルーの助手:レイ・マイヤーズ
ジョセフス:ウィリアム・パーク
ギュデュール:グラディス・ブロックウェル
法廷判事:ジョン・コッサー
王の侍従長:エドウィン・ウォロック
ジプシーの少女:ルイーズ・ラプランシュ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1923年製作 102分 117(ディレクターズ・カット) 98分(編集版)
公開
北米:1923年9月6日
日本:1924年10月3日
製作費 $1,250,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1482年、パリ、ノートルダム大聖堂。
迫害を受けた者が心の安らぎと保護を求めた聖域は、強い信仰心に支えられ、永遠の時が流れた。
愚人祭。
広場に集まった圧政に苦しむ民衆は、一時の自由を楽しんだ。
大聖堂の鐘突きで”せむし男”と呼ばれる醜い男カジモド(ロン・チェイニー)は、聾唖で片目も不自由だった。
カジモドは、鐘の音に安らぎを感じた。
ルイ11世(タリー・マーシャル)は悪賢い国王で、牢獄は罪人であふれ、休む間もなく死刑が執行された。
町のジプシーや乞食などを支配する盗賊クロパン(アーネスト・トレンス)は、国王の敵だった。
ノートルダム大聖堂の大司祭クロード・フロロ(ナイジェル・ド・ブルリエ)は、女に乱暴するクロパンを制止する。
クロードの弟ジャン(ブランドン・ハースト)は、僧衣をまとった悪人であり、カジモドの主人だった。
壁を伝って地上に下りたカジモドは、自分を見て騒ぐ人々を挑発する。
ジプシーの踊り子エスメラルダ(パッツィ・ルース・ミラー)は、クロパンが育てた娘だった。 かつては裕福だった、塔にこもる女性ギュデュール(グラディス・ブロックウェル)は、ジプシーのエスメラルダを呪われた悪魔の娘だと言って罵る。 そんなエスメラルダを、ジプシーの女王マリー(ユーラリー・ジェンセン)は気遣う。 ギュデュールは、ペンダントを幼い娘に渡して溺愛していたが、ジプシーにさらわれてしまい、それ以来、部屋に閉じこもった。 祭は夜更けまで続き、吟遊詩人のピエール・グランゴワール(レイモンド・ハットン)は、最も醜い男カジモドが王に選ばれる様子を見つめていた。 人々の要望で、エスメラルダは踊り始める。 その頃、国王は、お気に入りの場所であるバスチーユ要塞でくつろいでいた。 フェビュス・ド・シャトーペール(ノーマン・ケリー)を呼んだ国王は、近衛兵隊長に任命し、警護を任せる。 ゴンドローリエ夫人(ケイト・レスター)の姪フルール=ド=リ(ウィニフレッド・ブライソン)は、訪ねて来た婚約者フェビュスと楽しい時間を過ごす。 フルールと通りを眺めていたフェビュスは、踊っていたエスメラルダの美しさに心奪われてしまう。 エスメラルダも、勇ましい軍人のフェビュスに惹かれる。 ジャンは、密かにエスメラルダを自分のものにしようと考えていた。 エスメラルダの帰り道を知っているジャンは、彼女をさらうようカジモドに指示する。 そこに通りがかったフェビュスは、エスメラルダの叫び声を聴き、彼女を助けてカジモドを捕らえる。 身を隠したジャンは、カジモドを助けようとはしなかった。 フェビュスに酒場に誘われたエスメラルダは、夢見心地だった。 エスメラルダは、近衛兵の隊長に求婚されるという、占い師の予言が当たったと考える。 母からもらったペンダントをフェビュスに見せたエスメラルダは、母の記憶がないことを話す。 エスメラルダが気の毒になったフェビュスは、彼女に言い寄る気がしなくなり、家に送ろうとする。 クロパンに捕らえられたグランゴワールは服を脱がされ、貴族の回しものと言われて、何者か訊かれる。 恋の歌を歌う詩人だと答えたグランゴワールを、クロパンは絞首刑にしようとする。 そこに現れたエスメラルダはクロパンの行いを批判し、グランゴワールの解放を求める。 クロパンはグランゴワールを解放し、エスメラルダは彼に優しく接する。 カジモドは法廷で裁かれ、判事(ジョン・コッサー)は、20回の鞭打ち刑を言い渡す。 広場に連れて行かれたカジモドは、人々の前で鞭打たれて苦しむ。 人々があざ笑う中、エスメラルダは、自分をさらおうとしたカジモドを気の毒に思い、水を与える。 クロードは、カジモドの鎖を外す。 ゴンドローリエ夫人は、近衛隊長に任命されたフェビュスのために祝宴を開く。 フェビュスは、エスメラルダを説得して、彼女と共に祝宴に出席する。 カジモドは、自分を裏切った主人のジャンを恨む。 エスメラルダとフェビュスの関係を知ったクロパンは、彼女を連れ戻そうと考える。 フェビュスは、着替えたエスメラルダと共にゴンドローリエ夫人に挨拶する。 エスメラルダをエジプトの王女と紹介したフェビュスは、心穏やかでないフルールのことを気にしなかった。 乞食たちを引き連れて屋敷に押し入ったクロパンは、フェビュスと対決しようとする。 それを制止したエスメラルダは、この場は自分の住むべき場所ではないと言って、愛はないことをフェビュスに伝える。 クロパンは、エスメラルダと仲間たちと共にその場を去る。 失意のフェビュスは、現れたグランゴワールから、ノートルダム大聖堂で待つというエスメラルダからのメッセージを渡され、それを届けてくれた彼に感謝する。 その頃クロパンは、エスメラルダが自分から離れていくことを感じ、修道女になると言われて嘆く。 エスメラルダは、心の安らぎを得たいとマリーに伝える。 悩むクロパンは、訪ねて来たジャンから、エスメラルダとの結婚を許可すれば、ノートルダム大聖堂の財宝の半分を渡すと言われて心が動く。 ノートルダム大聖堂。 ジャンは、エスメラルダらを見つめながらあることを考える。 裏庭に向かいベンチに座ったフェビュスは、別れようとするエスメラルダを説得する。 フェビュスは、エスメラルダのお守りであるペンダントを手にして結婚を誓う。 背後から近づいたジャンは、フェビュスの背中を剣で刺して逃げ去る。 犯人と疑われたエスメラルダは裁判にかけられ、犯行を否認する彼女は、ジャンが犯人だと言い張る。 それを信じない判事は、エスメラルダの尋問を行うよう指示する。 拷問されて自白を強要されたエスメラルダは、罪を認めてしまう。 一命を取り留めるものの生死をさ迷うフェビュスは、エスメラルダが被告人とは思ってもいなかった。 ゴンドローリエ夫人とフルールに看病されるフェビュスを見舞ったジャンは、エスメラルダが自白して死刑になることを伝える。 それを知ったフェビュスは、絶望する。 クロパンは、エスメラルダが逮捕されて牢獄に入れられたことをクロードから知らされるものの、それを信じなかった。 カジモドはクロパンに襲いかかるが、クロードに制止される。 クロパンは、大聖堂を破壊してもエスメラルダを取り戻すとクロードに伝えてその場を去る。 現れたジャンから、フェビュスが亡くなったことを知らされたエスメラルダは、愛していると言う彼に迫られるものの、それを拒む。 それならば死刑だと言うジャンの言葉通り、エスメラルダの処刑は決まる。 弔いの鐘を鳴らすよう指示されたカジモドは、誰のために鳴らしているか知らなかった。 処刑場に連行されるエスメラルダに襲いかかったギュデュールは、ペンダントをむしり取る。 エスメラルダを憎むギュデュールだったが、ペンダントが娘のものだと気づく。 エスメラルダがさらわれた自分の娘だと確信したギュデュールは、彼女を救ってほしいと言い残して息を引き取る。 告解のために大聖堂前に連れて来られたエスメラルダに気づいたカジモドは、ロープを伝って地上に向かい、彼女を担いで入り口から中に入る。 兵士は押し入ろうとするが、クロードは、聖域には入ることは許されないと伝える。 カジモドは、鞭打ち刑の際、エスメラルダが自分に優しくしてくれたことを忘れていなかった。 エスメラルダはカジモドに感謝し、クロードに救いを求める。 その様子を見たジャンは、クロパンに大聖堂を襲わせることを考える。 エスメラルダは、久しぶりに安眠することができた。 喜びを感じるカジモドは、鐘を鳴らす。 ジャンから、国王がエスメラルダの死刑執行を速めたことを知らされたクロパンは、仲間たちと共に貴族の屋敷を襲撃しようと考え、その指示は町中に広がる。 フェビュスは回復するものの、心の傷は癒えなかった。 訪ねて来たグランゴワールから、クロパンと仲間たちが蜂起したことを知らされたフェビュスは、生きていたエスメラルダがいるノートルダム大聖堂に向かう。 大聖堂にクロパンらが大挙して現れ、それに気づいたエスメラルダは、カジモドに知らせる。 カジモドは、入口を破ろうとする者たちに向けて、巨大な石や破城槌を投げ落とす。 さらにカジモドは、溶けた鉛も地上に流し落とす。 そこに、フェビュスが率いる部隊が現れ、クロパンらを制圧しようとする。 エスメラルダに襲い掛かるジャンを叩きのめしたカジモドは、剣で脇腹を刺されながらも、彼を地上に投げ落とす。 駆け付けたフェビュスは、エスメラルダを抱きしめる。 その様子を見守るクロードとグランゴワールは、2人の幸せを願う。 カジモドは鐘を鳴らしながら息絶え、クロードとグランゴワールは祈りを捧げる。
...全てを見る(結末あり)
エスメラルダはフェビュスに別れを告げ、カジモドが2人の様子に気づく。
*(簡略ストー リー)
1482年、パリ、ノートルダム大聖堂。
鐘突きで”せむし男”と呼ばれる醜い男カジモドは、大司教クロードの弟ジャンの指示で、ジプシーの少女エスメラルダをさらおうとする。
惹かれていたエスメラルダの危機を知った国王の近衛兵隊長フェビュスは、彼女を助けてカジモドを逮捕する。
フェビュスとの関係を深めるエスメラルダは、鞭打ち刑に処せられるカジモドを気の毒に思い、彼に優しく接するのだが・・・。
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ヴィクトル・ユーゴーの小説”ノートルダム・ド・パリ”を基に製作された作品。
カール・レムリとアーヴィング・タルバーグ、そして主演のロン・チェイニーが製作し、手掛けた作品すべてがサイレント映画として知られるウォーレス・ウォースリーが、引退間近に監督した作品。
各登場人物の個性を丹念に描くウォーレス・ウォースリーの演出、ノートルダム大聖堂他の見事なセットを含め、芸術性もあるスケール感を感じさせる迫力映像で迫る、サイレント映画の秀作として非常に評価が高い作品。
カール・レムリ製作のユニバーサルの大作であるため、主人公のカジモドを演ずるロン・チェイニーのメイクなどはホラー映画を感じさせる。
カジモド役を熱望したロン・チェイニーが映画化権を取得し、製作を兼ねて主演した意欲作であり、ノートルダム大聖堂での彼のアクロバチックなアクションなども見ものだ。
撮影当時18~19歳であり、あどけなさが残るヒロインのエスメラルダを好演して絶賛されたパッツィ・ルース・ミラー、彼女に惹かれる国王の近衛兵隊長フェビュス・ド・シャトーペールのノーマン・ケリー、彼の婚約者フルール=ド=リのウィニフレッド・ブライソン、その伯母ゴンドローリエ夫人のケイト・レスター、ノートルダム大聖堂の大司教クロード・フロロのナイジェル・ド・ブルリエ、その弟で、エスメラルダを狙う邪悪な心の持ち主ジャン・フロロのブランドン・ハースト、闇社会を牛耳るクロパンのアーネスト・トレンス、ルイ11世のタリー・マーシャル、吟遊詩人ピエール・グランゴワールのレイモンド・ハットン、ジプシーの女王ユーラリー・ジェンセン、クロードの友人ロイ・レイドロー、その助手レイ・マイヤーズ、エスメラルダの母親グラディス・ブロックウェル、法廷判事のジョン・コッサー、国王の侍従長エドウィン・ウォロック、ジプシーの少女ルイーズ・ラプランシュ、他ハリー・フォン・メーター、ニック・デ・ルイスなどが共演している。