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ヒューマン・ファクター The Human Factor (1979)

グレアム・グリーンが1978年に発表した同名小説を基に、トム・ストッパードが脚色して製作された作品。
MI6/イギリス諜報部内の東側への情報漏洩事件を描く、製作、監督オットー・プレミンジャー、主演ニコール・ウィリアムソンリチャード・アッテンボロージョン・ギールグッドデレク・ジャコビ他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:オットー・プレミンジャー

製作総指揮:ポール・クロスフィールド
製作:オットー・プレミンジャー

原作:グレアム・グリーン
脚本:トム・ストッパード
撮影:マイク・モロイ
編集:リチャード・トレヴァー
タイトル・デザイン:ソウル・バス

音楽
ゲイリー・ローガン
リチャード・ローガン

出演
モーリス・キャッスル:ニコール・ウィリアムソン

ジョン・デイントリー大佐:リチャード・アッテンボロー
コーネリアス・ムラー:ジュープ・ドーデラー
トムリンソン准将:ジョン・ギールグッド
アーサー・デイヴィス:デレク・ジャコビ
パーシヴァル医師:ロバート・モーレイ
キャッスルの母:アン・トッド
ジョン・ハーグリーヴス卿:リチャード・ヴァーノン
サラ・マンコジ:イマン

イギリス 映画
配給 Sigma Production
1979年製作 111分
公開
北米:1979年12月18日
日本:未公開
北米興行収入 $376,050


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
MI6/イギリス諜報部
ベテラン諜報員モーリス・キャッスル(ニコール・ウィリアムソン)は、トムリンソン准将(ジョン・ギールグッド)に呼ばれる。

保安部の新任責任者ジョン・デイントリー大佐(リチャード・アッテンボロー)も同席し、優秀なキャッスルとその部下で、若いアーサー・デイヴィス(デレク・ジャコビ)に対し、形式的な取調べをする。

帰宅したキャッスルは、南アフリカ出身の妻サラ・マンコジ(イマン)に迎えられ、保安部責任者の態度について愚痴をこぼす。

キャッスルの上司ジョン・ハーグリーヴス卿(リチャード・ヴァーノン)は、MI6から東側に情報が漏れていることを指摘し、医師パーシヴァルを交えて、内部の二重スパイの可能性も含めて、デイントリーに意見を聞く。
...全てを見る(結末あり)

デイントリーは、地道な生活を送るキャッスルは問題ないが、派手なデイヴィスの行動を怪しく思うことを指摘する。

ハーグリーヴスは、東側の出方次第では、危ない橋も渡れないこと考える。

疑わしいデイヴィスにわざと情報を掴ませ、それが東側/ロシアに渡るか様子を見る計画に出る考えをデイントリーに伝える。

その確証が得られた場合は、デイヴィスを消す必要があることもハーグリーヴスは付け加える。

その場合の抹殺方法を考えるために、パーシヴァルが呼ばれたのだった。

その後キャッスルは、南アフリカの保安局員コーネリアス・ムラー(ジュープ・ドーデラー)が来訪することを知らされ、彼の接待をハーグリーヴスから任される。

同じ頃デイヴィスは、健康診断を受けるよう指示されてパーシヴァルの元に向かう。

その夜、キャッスルとデイヴィッド、そしてパーシヴァルはクラブに向かい、楽しいひと時を過ごす。

パーシヴァルが帰宅した後、キャッスルはデイヴィッドの自宅に立ち寄り、電話が盗聴されている可能性を指摘する。

さらにキャッスルは、パーシヴァルが気になることを伝え、情報漏えいを調べていることを疑う。

パーシヴァルは、暫く様子を見た結果、デイヴィスが怪しいことをハーグリーヴス伝え、確証が得られた場合は毒殺することを告げる。

キャッスルは、尾行されているという相談をデイヴィッドから受けて、その後、因縁のあるムラーの接待を始める。

かつてキャッスルは、イギリスの諜報員だったサラの件で、ムラーに脅しをかけられたことがあったのだった。

ムラーを自宅に招待したキャッスルは、彼と面識のある妻サラを紹介して食事などをする。

キャッスルは、ムラーと語り合ううちに、サラと出会い共に行動して、やがて愛し合うようになったことなどを思い出す。
__________

二人は密会を繰り返すが、出会う前にサラが妊娠していたことを知ったキャッスルは気分を害する。

キャッスルの、その態度に憤慨したサラは彼の元を去る。

しかし、愛し合っていた二人は再び求め合い、その後、関係が知られてしまい、キャッスルは出国してロンドンに戻る。
__________

南アフリカ時代の共産主義者の協力者との関係から、実はロシアと通じていたのはキャッスルだった。

パーシヴァルは当初の餌に食いついた結果、デイヴィスが二重スパイだという確証を得て彼を毒殺しようとする。

デイントリーの娘の結婚パーティーに誘われたキャッスルだったが、その場でデイヴィスが死んだという連絡が入る。

それをきっかけに、キャッスルはロシア側との接触を絶とうとするが、重大な情報を入手、再びそれを提供しようとする。

心乱れるキャッスルは、それを気にするサラに、自分が二重スパイだったことを伝え、疑われたデイヴィスが殺害されたとの考えも語る。

さらにキャッスルは、今、手を引けば助かる可能性があるが、サラの国の人々の多くを救える機密情報を入手してしまったため、手を尽くしたいことも伝える。

危険を察したキャッスルは、別居したことにしてサラと息子を母親(アン・トッド)の元に向かわせることを考える。

その頃、ムラーからキャッスルが疑わしいことを伝えられたハーグリーヴスだったが、彼は、今回の件は、若い部下が病死しただけだと答えを返すだけだった。

キャッスルは、ロシア側との暗号解読に利用していた、古書店の主人の息子が逮捕されたことを知る。

時間が迫っていると判断したキャッスルは、サラと息子を母の家に送り出す。

ハーグリーヴスは、ムラーの見解が正しい場合、デイヴィスの処置が軽率だったことをパーシヴァルに伝えるが、彼は意に介さない。

デイントリーは、連絡の取れないキャッスルを訪ねて探りを入れた結果、デイヴィスを殺したのが間違いだったという考えをパーシヴァルに伝える。

少年時代から共産党員だったという古書店の主人の迎えで、あるホテルに向かったキャッスルは、逃亡の準備を始め、変装して出国する。

その後、パーシヴァルに呼び出されたサラは、キャッスルがモスクワ入りしたことを知らされる。

探りを入れられ、脅迫まがいのパーシヴァルの言葉に気分を害したサラは席を立つ。

キャッスルは、サラを呼び寄せるために、ロシア側に証人として記者会見を開くことを強要される。

その様子を見たキャッスルの母親は、国を裏切った息子を許せずにサラを責めて、彼女が出国するのは自由だが、孫は渡さないことを伝える。

そこにキャッスルから電話があり、サラは、息子を置いて出国は出来ないことを彼に告げる。

サラは、希望を捨てないようにと、同様するキャッスルに伝えるが、電話は切れてしまう。

受話器をそのままにしたキャッスルは、呆然としてベッドに座り込む。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
イギリス諜報部/MI6は、東側/ロシアに情報を流していると思われる、二重スパイが内部にいることを疑い調査を始める。
新任の保安部責任者のデイントリー大佐は、ハーグリーヴス卿の指示を受け、医師パーシヴァルと共に、アフリカ担当のベテラン諜報員モーリス・キャッスルとその部下デイヴィッドに目を付けて周辺を探る。
南アフリカ出身の妻サラと、その息子と共に堅実な生活を送るキャッスルに対し、若くて派手なデイヴィスに疑いがかけられる。
ハーグリーヴスは、わざと情報を流しスパイを確定する計画を提案し、その確証が得られた場合は、パーシヴァルによる裏切り者の毒殺を指示する。
そして、ほぼ確証が得られ結果、デイヴィスは抹殺される。
しかし、南アフリカでサラと知り合い恋が芽生えたキャッスルが、協力者の共産主義者との関係から発展し、実は、ロシア側と通じていたのは彼だったのだ・・・。
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第三の男」(1949)などの映画化でも知られるグレアム・グリーンの1978年に発表された同名小説を基に、トム・ストッパードが脚色して製作された作品で、本作公開の7年後に亡くなるオットー・プレミンジャー(製作、監督)の遺作でもある。

007”シリーズなどを全く意識させない、地道な諜報活動を続ける組織内部の様子、紛れもないサスペンスでありながら、イギリス映画らしい随所に挿入されたユーモアの妙、70歳を過ぎていたオットー・プレミンジャーの、スリリングな展開で見せる切れのいい演出を堪能できる作品。

タイトル・デザインは、プレミンジャー作品ではお馴染みの、盟友でもあるソウル・バスで、それを含めた、垂れ下がる電話の受話器のみを描いたポスターは、ラストでの、追い詰められた主人公の心情を見事に表現している。

誰がスパイなのか・・・というより、早々にそれが分かり、部下が身代わりにされながら、追い詰められていくベテラン諜報員を好演するニコール・ウィリアムソン、要所要所でいい味を出している、保安部責任者リチャード・アッテンボロー南アフリカの保安局の要人ジュープ・ドーデラー、冒頭だけの登場の諜報部上層部のジョン・ギールグッド、主人公の部下で、疑われて抹殺される、現在でも活躍を続ける名優で、若き日(と言っても40歳手前)のデレク・ジャコビ、その殺害を実行する医師のロバート・モーレイ、主人公の母親アン・トッド、二重スパイ捜査の指揮官リチャード・ヴァーノン、そして、ソマリア出身のモデルで、現デヴィッド・ボウイ夫人で、ドラマに大きく関る主人公の妻イマンが印象に残る役柄を演じている。


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