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モンタナの風に抱かれて The Horse Whisperer (1998)

1995年に発表された、ニコラス・エヴァンズの小説”The Horse Whisperer”を基に製作された作品。
落馬事故で親友と片足を失った娘と愛馬の心を癒そうとする母親と馬の心を読み会話する”ホース・ウィスパラー”との恋を描く、製作、監督ロバート・レッドフォード、共演クリスティン・スコット・トーマスサム・ニールダイアン・ウィーストスカーレット・ヨハンソンクリス・クーパーによるドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

スカーレット・ヨハンソン / Scarlett Johansson / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・レッドフォード

製作総指揮:レイチェル・フェファー
製作
ロバート・レッドフォード

パトリック・マーキー
原作:ニコラス・エヴァンズThe Horse Whisperer
脚本
エリック・ロス

リチャード・ラグラヴェネーズ
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:トム・ロルフ
音楽:トーマス・ニューマン
主題歌:”A Soft Place To Fall”
アリソン・ムーアラー

ギル・オーウェン

出演
トム・ブッカー:ロバート・レッドフォード

アニー・マクリーン:クリスティン・スコット・トーマス
ロバート・マクリーン:サム・ニール
ダイアン・ブッカー:ダイアン・ウィースト
グレイス・マクリーン:スカーレット・ヨハンソン
フランク・ブッカー:クリス・クーパー
リズ・ハモンド:チェリー・ジョーンズ
ジョー・ブッカー:タイ・ヒルマン
ジュディス:ケイト・ボスワース

アメリカ 映画
配給 タッチストーン・ピクチャーズ

1998年製作 169分
公開
北米:1998年5月15日
日本:1998年10月17日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $75,370,760
0世界 $186,883,563


アカデミー賞 ■
第71回アカデミー賞

・ノミネート
歌曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク郊外。
ある冬の日の早朝、少女グレイス・マクリーン(スカーレット・ヨハンソン)は、親友ジュディス(ケイト・ボスワース)と待ち合わせて厩舎に向かう。

雑誌”カバー”の編集長である、グレイスの母アニー(クリスティン・スコット・トーマス)は、記者にオフレコの話を記事にされて苛立つ。

グレイスは、愛馬ピルグリムに乗りジュディスと乗馬を楽しんでいた。

しかし、林の中で落馬したジュディスは、愛馬ガリバーから落馬して街道に転げ落ち、トラックに轢かれて死亡する。

連絡を受けて病院に駆け付けたアニーは、弁護士である夫ロバート(サム・ニール)から、ジュディスが死亡し、彼女を助けようとしたグレイスも重傷を負ったことを知らされる。
...全てを見る(結末あり)

グレイスは、右足を切断することになり、ピルグリムも事故のショックから人間を寄せ付けない馬になっていた。

ピルグリムを捕えた獣医リズ・ハモンド(チェリー・ジョーンズ)からの連絡を受けたアニーは、安楽死の許可を求められるのだが、グレイスの馬であることから手を尽してほしいことを伝える。

退院したグレイスは心を閉ざし、アニーとロバートも、娘の接し方などで意見が合わず、家族の絆は薄らぐ。

そんなある日グレイスは、一応回復していたピルグリムに会いたいことを両親に伝える。

厩舎に向かったグレイスは、ハモンドから、ピルグリムが以前とは違うと言われる。

暴れ馬となったピルグリムの傷ついた顔を見たグレイスは、ショックを受けてその場を立ち去る。

ハモンドは、再びピルグリムの安楽死の許可を得ようとするが、アニーはそれを許さなかった。

馬についての資料を集めて調べ始めたアニーは、自然で生息していた馬が、人間の出現で心が傷ついたことなどを知る。

時は流れ、その馬の心を理解して癒す者が現れ、それは”ホース・ウィスパラー”と呼ばれた。

アニーは、グレイスとピルグリムの心を癒すため、”ホース・ウィスパラー”の力が必要だと判断する。

ホース・ウィスパラー”である、モンタナのトム・ブッカー(ロバート・レッドフォード)に連絡したアニーは、強引に彼を説得しようとする。

トムに相手にされないアニーは、ピルグリムを楽にさせて欲しいと言う、人生も諦めたグレイスの言葉に動揺する。

アニーは、グレイスとピルグリムを連れてモンタナに向かう決心をして、その件でロバートと口論になるが、彼女は考えを変える気はなかった。

ピルグリムをトレーラーに乗せて、アニーは気乗りしないグレイスと共に旅立つ。

長旅の末に、ようやくモンタナに着いたアニーは、”リトル・ビッグホーンの戦い”の舞台となった場所に寄ってみることにする。

そこが閉鎖されていることを知ったグレイスは嫌味を言うが、我慢していたアニーは限界に達して、彼女といがみ合ってしまう。

アニーは、独りで戦場跡地に入ってしまい、自分の思いが伝わらない辛さを堪え切れずに涙する。

日が暮れて車に戻ったアニーは旅を続けて、グレイスをモーテルに残しトムの牧場を訪ねる。

トムに挨拶したアニーは、単刀直入に用件だけを伝えて、モーテルのピルグリムを診てもらいたいことを伝え、その場を去る。

翌日、アニーを訪ねたトムは、ピルグリムに近づいて心を読み、アニーとグレイスに、旅が無駄だったことを伝える。

今回の件を受けてもいいが、グレイスの協力が必要だと言トムは、口を出そうとするアニーの意見を遮る。

グレイスが曖昧な答えしか返さないためにトムは帰ろうとするが、彼女は何をすればいいのかを問う。

その仕事を受けることを決めたトムは、弟のフランク(クリス・クーパー)とその妻ダイアン(ダイアン・ウィースト)にそれを伝える。

ピルグリムを預かったトムは、焦らずに馬の様子を見ることに徹して、グレイスは、フランクの息子ジョー(タイ・ヒルマン)と親交を深める。

やがて、ピルグリムはトムに寄り添うようになり、アニーとグレイスはそれを見て安堵する。

アニーとグレイスはダイアンから夕食に誘われ、フランクは、牧場内の空き家を彼女らに提供する提案をする。

それを受け入れたアニーとグレイスは、ロバートに状況と牧場に移り住むことを伝えて、翌日、川沿いに建つ小屋に向かう。

トムはアニーとグレイスが見守る前で、ピルグリムにロープをかけ心触れ合う。

その後トムは、アニーとグレイスに、牧場の仕事を体験させる。

グレイスは、今後も仕事を手伝ってみないかとトムに誘われて、笑顔でそれに応じる。

豊かな自然、分け隔てなく都会人の自分達に接する人々の心に触れ、アニーは新鮮な気分を味わう。

そんなアニーは、慌ただしい日々に忙殺される自分の心も癒してくれるトムに惹かれ始める。

アニーは、学生時代に大都会シカゴで妻と出会い、恋をしたという意外な話をトムから聞かされて驚く。

ある日トムは、グレイスを誘い、彼女に運転をさせてドライブをする。

車を止めて話を始めたトムは、ピルグリムを救うために必要だと言って、グレイスに事件のことを率直に尋ねる。

触れたくない事だと理解していたトムは、焦らずに、グレイスの気持ちの整理がつく時期を待つ。

その後、アニーを乗馬に誘ったトムは野山をめぐり、彼女は、努力すると何事も壊れてしまう苦しい胸の内を語る。

トムは壊してしまえばいいと言い切るが、アニーはそれはできないと伝え、彼は、広大な土地に馴染めず去った妻のことなどを話す。

アニーは、純朴であり率直に物事を話すトムに心惹かれ、彼もそれを感じ取る。

戻った二人を目撃したグレイスは、自分もピルグリムに乗る気になり、トムが許したと言ってジョーに頼んで試みるが、それはできなかった。

トムの家族を食事に招待したアニーだったが、グレイスが馬に乗ろうとしたしたことを、それを見ていたジョーの弟達が話してしまう。

動揺したグレイスは席を外し、トムは戸惑うアニーに、娘と話し合うようにと助言してその場を去る。

グレイスの部屋に向かったアニーは、自分を受け入れない彼女に苛立つ。

誰にも愛されないと言うグレイスは涙し、アニーは彼女を抱きしめて理解していることを伝え、二人は心通じ合う。

翌日、グレイスはトムに事故の話をする気になり、辛い思い出を、自分の責任にすることはないと彼に言われる。

事故に遭い全身麻痺になった友人の話をしたトムは、人が変わってしまった彼の気持ちが理解できると言うグレイスに、同じ考えを捨てるよう助言する。

更にトムは、事故の際に、ピルグリムがグレイスを守ろうとしたという考えを伝えて彼女抱き寄せる。

その後も、アニーはトムらと共に牧場の仕事して過ごすが、放牧地での二人の様子をダイアンが気にする。

ダイアンは、仕事をクビになったというアニーに、妻と別れ、ようやく立ち直った、天から授かった才能を持つ素晴らしい人物のトムを、面倒に巻き込んでほしくないことを伝える。

その夜、眠れないアニーは、川辺にいたトムに寄り添い、より深く知り合いたいことを伝え、キスをしただけでその場を去る。

翌日、牧場に戻ったアニーとグレイスは、現れたロバートを、トムら家族に紹介する。

見違えるように元気になったグレイスを見て喜ぶロバートを囲み、楽しい夜を過ごす一同だったが、トムとアニーは意識し合う。

ダンスパーティーで踊った二人だったが、それ以来トムはアニーを避けるようになる。

そのことでトムを問い詰めるアニーだったが、彼は、恋に落ちたことを認めるが、好人物のロバートやグレイスを捨てる覚悟だと言う彼女に、家族を再生させるチャンスだと伝える。

翌日、グレイスをピルグリムに乗せようとしたトムは、興奮する馬の前足を縛り、手荒な方法で地面に倒す。

トムはグレイスを呼び寄せて、ピルグリムに触れるよう伝え、彼女をそのままの状態で馬に乗せようとする。

自分の手助けが必要なくなれば、ピルグリムは完治したと言えることを、グレイスに告げたトムは馬を立たせる。

グレイスはピルグリムを乗りこなして、トムに感謝して抱きしめ、喜ぶ両親の元に戻り、アニーは彼のことを見つめながらその場を去る。

ニューヨークに戻る支度をしていたアニーは、馬の買い付けでトムが旅立ったことを知る。

グレイスと飛行機で戻るロバートは、車で帰ると言うアニーに、彼女の気持ちが自分から離れていることを察していることと、考える時間が必要だということを伝える。

ロバートとグレイスを見送ったアニーは、牧場に戻ったトムに、別れたくないことを伝える。

諦めきれないアニーだったが、愛していることだけを思い出に別れるべきだと言うトムに、もう一度だけ馬に乗ることを提案する。

馬の準備をし始めたトムだったが、アニーは、別れも言わずにその場を去る。

そしてトムは、走り去るアニーの車を丘の上から見つめる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
仕事に追われ、忙しい日々を送る雑誌社の編集長アニー・マクリーンだったが、娘のグレイスが落馬事故に遭い、親友と右足を失ってしまう。
グレイスは心を閉ざし、彼女の愛馬ピルグリムは、人間を受け付けない暴れ馬になってしまう。
グレイスと愛馬ピルグリムの心の傷を癒すため、アニーは、馬と語るという”ホース・ウィスパラー”のトム・ブッカーの力を借りようとする。
アニーは、気乗りしないグレイスとピルグリムを連れて、モンタナのトムを訪ねる決断をするが、夫ロバートと意見が分かれる。
考えを変えないアニーは、自分を理解しようとしないグレイスに、思いが伝わらないまま旅立つ。
アニーを迎えたトムは、グレイスの協力を条件に、ピルグリムを預かり心を読む。
やがてアニーは、仕事に忙殺されていた、自分の心も癒してくれる、トムに心を寄せるようになるのだが・・・。
__________

大自然の中でしか生きられない男、心に傷を負う娘と、理解し合えないまま彼に惹かれる母親、その許されない恋を情感を込めて描く、ロバート・レッドフォードの繊細な演出が光る作品。

”馬好きにはたまらない・・・”などという、決まりきった言葉では言い尽くせない、人間と馬の触れ合いを映し出す描写は、芸術絵画を見ているような美しさだ。

その雰囲気を伝えきれない、気恥ずかしくなるような邦題は、個人的にどうも好きになれない。
原題”The Horse Whisperer”をそのまま使ってほしかった。

作品は、女性を中心とした多くの人々の指示を受け、北米興行収入は約7500万ドル、全世界では約1億8700万ドルのヒットとなった。

第71回アカデミー賞では歌曲賞にノミネートされた。

実際には、親子ほど年齢差(24歳)のある主人公の2人、60歳を過ぎているようには見えないロバート・レッドフォードの雰囲気を感じさせる名演、キャリアウーマンとして登場しながら、自尊心を失いかける弱い面を見せる後半が、彼女の魅力とも言えるクリスティン・スコット・トーマスは、揺れ動く女心を見事に演じている。

家族の再生を願う思慮深いヒロインの夫を、彼らしく落ち着いて演ずるサム・ニール、心を閉ざすその娘役を好演するスカーレット・ヨハンソン、主人公の弟クリス・クーパーとその妻ダイアン・ウィースト、2人の息子役ながら、その物腰や気の利いたセリフが印象に残るタイ・ヒルマン、獣医チェリー・ジョーンズ、そして、グレイス(S・ヨハンソン)の親友で冒頭で事故死するケイト・ボスワースなど、豪華競演者も注目だ。


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