ハロルド・シンクレアの小説を基に、監督ジョン・フォード、ジョン・ウェインとウィリアム・ホールデンの2大スター共演の南北戦争を舞台にしたドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード
製作
ジョン・リー・メイヒン
マーティン・ラッキン
原作:ハロルド・シンクレア”The Horse Soldiers”
脚本
ジョン・リー・メイヒン
マーティン・ラッキン
撮影:ウィリアム・クローシア
編集:ジャック・マリー
音楽:デヴィッド・バトルフ
出演
ジョン・ウェイン:ジョン・マーロー大佐
ウィリアム・ホールデン:ヘンリー”ハンク”ケンドール少佐
コンスタンス・タワーズ:ハナ・ハンター
アルシア・ギブソン:ルーキー
ジャドソン・プラット:カービー曹長
ケン・カーティス:ウィルキー伍長
ウィリス・ボーシェイ:フィル・シーコード大佐
デンヴァー・パイル:ジャガー・ジョー
ストローザー・マーティン:ヴァージル
ビング・ラッセル:ダンカー
O・Z・ホワイトヘッド:オーティス”ホッピー”ホプキンズ
ハンク・ウォーデン:司祭
ジャック・ペニック:ミッチェル曹長
フート・ギブソン:ブラウン軍曹
アンナ・リー:ビュフォード夫人
カールトン・ヤング:ジョナサン・マイルズ大佐
ラッセル・シンプソン:ヘンリー・グッドボディ保安官
クリフ・ライオンズ:軍曹
スタン・ジョーンズ:ユリシーズ・S・グラント将軍
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1959年製作 120分
公開
北米:1959年6月12日
日本:1959年9月
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1863年。
南北戦争で劣勢の北軍のユリシーズ・S・グラント将軍(スタン・ジョーンズ)は、ヴィクスバーグ攻撃を決意して、敵の補給を断つために、ニュートン駅を含めた鉄道、橋、建物などの破壊命令を出す。
テネシー州、ラグランジュ。
命令を受けたマーロー大佐(ジョン・ウェイン)は、敵陣約480キロ後方のニュートン駅に向かう準備を、副官であるフィル・シーコード大佐(ウィリス・ボーシェイ)らと始める。
軍医ケンドール少佐(ウィリアム・ホールデン)が部隊に配属されるが、ある理由で、医者を嫌うマーローと意見が合わなかった。
マーローは、隊員名簿をケンドールに渡すよう、ミッチェル曹長(ジャック・ペニック)に指示して、出撃の不適任者をチェックさせる。 その後、ケンドールは、マラリアに感染しているミッチェルを入院させてしまい、それが気に入らないマーローは憤慨する。 ミッチェルの後任にカービー曹長(ジャドソン・プラット)が赴任し、そして、マーローは部隊を率いて出撃する。 しばらくして、部隊は敵の斥候隊に遭遇した後、休息中にケンドールが、奴隷達のお産の手助けをする。 それを知ったマーローは、再びケンドールに噛み付き、反抗罪で彼を逮捕すると言い出す。 その後、ある民家を見つけたマーローは、その屋敷の家主ハナ・ハンター(コンスタンス・タワーズ)に挨拶をする。 ハナは、上辺だけマーローを歓迎するが、彼はそれを警戒して、敷地内に野営する許可を得る。 部隊の士官を夕食に招いたハナだったが、それは彼女の策略だった。 食事は済み、作戦会議を始めるため、マーローに席を外すよう言われたハナは、別の部屋で、ストーブを通して彼らの会話を盗み聞きしていた。 その情報を、ハナは南軍に流そうと考えていたのだが、それに気づいたケンドールは、マーローに報告する。 ハナは、北軍を悪党の人殺し呼ばわりするのだが、結局は、使用人ルーキー(アルシア・ギブソン)と共に、部隊の厳しい行軍に同行させられることになる。 北軍を憎むハナは、途中、逃げ出そうとしたり、接近した南軍に部隊の存在を知らせようとしたため、マーローは彼女の扱いに手を焼く。 その後、斥候に出たウィルキー(ケン・カーティス)らが、農家の納屋に潜んでいた、南軍の脱走兵ヴァージル(ストローザー・マーティン)とジャガー・ジョー(デンヴァー・パイル)らを見つける。 マーローは、ヴァージルに人質に取られていた保安官(ラッセル・シンプソン)を解放する。 そしてマーローは、ヴァージルとジャガーから、南軍の情報を聞き出し、二人を叩きのめして保安官に引渡してハナに敬意を表する。 ニュートン駅、南軍補給所。 その後マーローは、ケンドールと知り合いだった、降伏した南軍の指揮官ジョニー・マイルズ大佐(カールトン・ヤング)と顔を会わせる。 筋金入りの軍人マイルズが、簡単に降伏したことを疑問に思うケンドールだった。 やがて補給列車が近づき、マーローは、マイルズが自軍に連絡したことに気づき警戒する。 列車が到着し、南軍兵の反撃を受けたマーローの部隊だったが、それを撃破する。 マーローは、負傷した南軍兵をケンドールらに治療させて、その間、線路と駅を破壊して敵の補給路を断つ。 元鉄道技師でもあるマーローは、已む無く破壊工作を命じ、部下を失った辛さを酒で忘れようとする。 ハナも、負傷兵の看護で疲れきっていたが、マーローが医師を嫌うのは、不手際で妻を亡くしたのが理由だということを知る。 ケンドールは、傷を負ったマイルズを激励し、助手として尽くしてくれた、オーティス・ホプキンズ(O・Z・ホワイトヘッド)に別れを告げる。 バトンルージュに向かう部隊だったが、途中、ルーキーが狙撃されて命を落とし、失意のハナを隊員が励ます。 その頃、南軍は兵員補充のため、ジェファーソン陸軍士官学校に残っていた子供達まで戦場に送り出そうとする。 戦争で、家族が息子一人しか残っていないビュフォード夫人(アンナ・リー)は、候補生の隊列から息子を連れ戻す。 負傷兵ダンカー(ビング・ラッセル)が死んだことで、意見が対立したマーローとケンドールは、決着を着けようとする。 殴り合いを始めた二人だったが、南軍の反撃を受けて候補生の攻撃が始まる。 相手が子供だと知ったマーローは、とりあえず危害を加えず退散する。 その後、部隊に同行していた司祭(ハンク・ウォーデン)が周辺地域に詳しいことが分かり、沼地を抜けて休みなしで行軍を続ける。 そしてマーローは、献身的に部隊に尽くしてくれたハナに、今までの態度を侘びる。 敵の攻撃を受け、足を撃たれてしまったマーローは、自分を介抱してくれるハナに心を寄せるようになる。 ハナも、部隊と苦楽を共にするうちに、次第にマーローに惹かれていく。 マーローは、降伏を勧める副官のシーコード大佐の意見を退けながら、ケンドールの治療を受ける。 その後、即、現場に復帰したマーローは、川の対岸の敵に向かい突撃する。 自陣に戻ったマーローは、敵の追撃をかわすために、橋を爆破して部隊を目的地に向わせる準備をする。 マーローは、ハナに感謝して愛を告げ、負傷兵と残る決心をしたケンドールと共に、彼女をその場に残し立ち去ろうとする。 そしてマーローは、ハナのスカーフを首に巻き、橋を爆破して部隊の元に向かう。 別れを惜しむハナは、遠ざかるマーローを、いつまでも愛しく見つめる。 ケンドールは南軍の捕虜となり、彼らの援助を受けてハナと共に負傷兵の手当てを続ける。
...全てを見る(結末あり)
既に町は先行部隊が占拠し、マーローは、ホテルに本部を設置させる。
*(簡略ストー リー)
劣勢の北軍のグラント将軍は、ヴィクスバーグ攻撃を決意し、敵の補給路を断つ作戦を決行する。
命令を受けたマーロー大佐は、部隊を率い敵陣奥深くへ進軍する。
医者嫌いのマーローは、配属された軍医ケンドールと対立を続けながら、ある屋敷に到着する。
女主人ハンナのスパイ活動を見破ったマーローは、その後、南軍補給所の拠点を占拠し、さらに苦難の行軍を続ける。
やがて、任務遂行の重責を担うマーローと、敵軍のために献身的に尽くすハナは、お互いを理解し惹かれ合うようになる・・・。
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南北戦争における”ビックスバーグ方面作戦”での、最後の戦闘である”ビックスバーグの包囲戦”を題材にした作品。
本作は西部劇ではなく、邦題の”騎兵隊”は、北軍兵の騎馬隊のことで、西部劇で登場する”騎兵隊”とは違う。
反撃に出る北軍の重要な作戦を軸に、元鉄道技師としては耐え難い、駅や線路の破壊工作、妻が医療ミスで殺されたために、医師を嫌う主人公の大佐の苦悩などを繊細に描き、戦闘の見せ場なども見応えある、ジョン・フォードの演出はさすがだ。
ウィリアム・クローシアの撮影も素晴しく、ヒットした主題曲や、哀愁も漂う、「捜索者」(1956)のメロディを利用した、デヴィッド・バトルフの音楽も印象に残る。
主人公と軍医はあくまでいがみ合い、ラストで愛した女性を託す時になり、ようやく友情を表すというところなどが、主演の超大物同士の共演に相応しい演出でもある。
主演のジョン・ウェインは、任務や軍医それに北軍を恨む女性に手こずりながらも、親しみもあるが、近寄り難いほどの威厳もある、有能な指揮官を見事に演じている。
ウィリアム・ホールデンも、洞察力がある、思慮深いエリート軍医を好演している。
上官であるウェインに対し、一歩も引かない態度で自分の意見を主張する、力強い演技を見せてくれる。
翌年の「バファロー大隊」(1960)でも、フォードに起用される、コンスタンス・タワーズの美しさも際立っている。
フォード作品には欠かせない、気性の荒い女性が、時に不安や弱さを見せるという役柄を熱演している。
その他、黒人テニスプレーヤーの草分けで、ハナ(コンスタンス・タワーズ)の使用人役のアルシア・ギブソン、フォードの娘婿で斥候兵のケン・カーティス、曹長ジャドソン・プラット、政治家になる野望ばかり口にしている副官ウィリス・ボーシェイ、北軍兵ビング・ラッセル、フート・ギブソン、南軍大佐カールトン・ヤング、ケンドール(ウィリアム・ホールデン)の助手O・Z・ホワイトヘッド、晩年のフォードやウェイン作品の常連で、南軍の脱走兵ストローザー・マーティン、フォード一家を支えてきた面々、司祭のハンク・ウォーデン、曹長ジャック・ペニック、士官候補生の母アンナ・リー、保安官のラッセル・シンプソン(遺作)、軍曹クリフ・ライオンズ、グラント将軍のスタン・ジョーンズ、南軍脱走兵のデンヴァー・パイルなど、多彩な顔ぶれも嬉しい。