恋人に裏切られた2人の女性が互いの自宅を交換して心の整理をしたことで芽生える恋を描く、製作、監督、脚本ナンシー・マイヤーズ、主演キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック、イーライ・ウォラック、エドワード・バーンズ、ダスティン・ホフマン、ルーファス・シーウェル他共演のロマンチック・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ナンシー・マイヤーズ
製作総指揮:スザンヌ・マクニール・ファーウェル
製作
ナンシー・マイヤーズ
ブルース・A・ブロック
脚本:ナンシー・マイヤーズ
撮影:ディーン・カンディ
編集:ジョー・ハッシング
音楽:ハンス・ジマー
出演
キャメロン・ディアス:アマンダ・ウッズ
ケイト・ウィンスレット:アイリス・シンプキンス
ジュード・ロウ:グラハム・シンプキンス
ジャック・ブラック:マイルズ・デュモント
イーライ・ウォラック:アーサー・アボット
エドワード・バーンズ:イーサン・エバース
ルーファス・シーウェル:ジャスパー・ブルーム
シャニン・ソサモン:マギー
ミフィ・イングルフィールド:ソフィー・シンプキンス
エマ・プリッチャード:オィヴィア・シンプキンス
ダスティン・ホフマン:本人
リンジー・ローハン:本人
ジェームズ・フランコ:本人
アメリカ 映画
配給 UIP
2006年製作 135分
公開
北米:2006年12月8日
日本:2007年3月24日
製作費 $85,000,000
北米興行収入 $63,224,850
世界 $205,135,320
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン。
大手新聞社”デイリー・テレグラフ”に勤める、アイリス・シンプキンス(ケイト・ウィンスレット)は、社内クリスマス・パーティーで、恋人のはずだったジャスパー・ ブルーム(ルーファス・シーウェル)が婚約したことを知りショックを受ける。
ハリウッド。
映画の予告編製作会社を経営するアマンダ・ウッズ(キャメロン・ディアス)は、同棲する恋人のイーサン・エバース(エドワード・バーンズ)の浮気に気づき、彼を追い出してしまう。
悔しさのあまり、休暇を取って旅に出ることに決めたアマンダは、”ホーム・エクスチェンジ”(互いの家を交換する)に興味を示し、ロンドン近郊、サリーの田舎町の小さなコテージをインターネットで見つける。
それは、やや状況は違うものの、アマンダと似た境遇のアイリスの家だった。 アマンダは、町に”男”がいないことを確認して、家を交換する交渉は成立して早速お互いに旅立つ。 アイリスは、ロサンゼルス行きの機内で、ジャスパーからのメールを受け取り、彼への思いを断ち切るために、独りになりたいことを告げる。 車もまともに通れない道を、歩いて目的地に向かい到着したアマンダは、質素で小ぢんまりしたアイリスの家の雰囲気を気に入る。 ロサンゼルスに着いたアイリスは、アマンダの家の豪華さに驚く。 右ハンドルの左側通行に戸惑いながら、車で町に買い物に行ったアマンダは、その後、小さなコテージの中での単調な時に飽きてしまい、たちまち帰国する気になってしまう。 一方アイリスは、プールや豪華なオーディオで楽しい時間を過ごしていた。 すると、映画音楽の作曲家マイルズ・デュモント(ジャック・ブラック)が、恋人マギー(シャニン・ソサモン)とイーサンの荷物を取りに現れる。 その時、南カリフォルニア特有の突風”サンタナ”が吹き、マイルズは、何かが起きると言って立ち去る。 その夜アマンダの元に、アイリスの兄グラハム(ジュード・ロウ)が酔って現れる。 アマンダは、”男”を拒絶するためにこの地に来たのだが、ハンサムでユーモアもあるグラハムに惹かれ、二人は一夜を過ごすことになる。 翌朝、それ以上、親しくなるのを避けようとする二人だったが、グラハムは、帰国するというアマンダに、気が変わったならと言って、彼女をその夜の食事に誘う。 その頃、ジャスパーからの電話に、彼を忘れようとしているアイリスの心は揺れ動く。 そして、アマンダは空港からサリーに戻り、グラハムとの約束のパブに向かう。 アイリスは、道に迷ったかに見えた隣人の老人アーサー・アボット(イーライ・ウォラック)を彼の屋敷に送る。 アーサーの会話が、ドラマチックなことが気になっていたアイリスは、彼が、かつて映画界で活躍した脚本家だと知り納得する。 そしてアイリスは、アーサーの家のリビングに、何気なく置いてある”オスカー”を見て、彼がアカデミー賞受賞歴がある脚本家だということを知る。 アーサーを食事に誘ったアイリスは、彼が語る黄金期のハリウッドの話に聞き入る。 クリスマス休暇に、他人の家で独りでいるアイリスの行動を疑問に思うアーサーは、彼女の辛い体験を聞いた上で”劇的”な言葉を口にして慰める。 再びグラハムと一夜を共にしたアマンダは、ソフィーやオリヴィアなど、彼にかかってくる女性からの電話を気にしながらも、互いの身の上などを話し、さらに親密になっていく。 しかし、複雑な関係になることを気にするアマンダは、深入りを避けようともする。 一方、女優のマギーが撮影に行っている間、マイルズはアイリスを訪ね、居合わせたアーサーらと、楽しいひと時を過ごす。 その夜、”複雑な関係”と言ったことを後悔したアマンダは、グラハムの家を訪ねる。 しかし、グラハムには、ソフィー(ミフィ・イングルフィールド)とオリヴィア(エマ・プリッチャード)の二人の娘がいて、妻とは死別していたことをアマンダは知る。 アマンダは子供達に気に入られるが、さらに複雑に成り過ぎる関係に戸惑い、グラハムも、生きる世界の違いを感じる。 アイリスは、アーサーを称える催しが企画されていることを知るが、彼が、頑なにその企画を拒んでいることを知る。 歩行器を使っていることを気にするアーサーに、自分も同行すると説得するアイリスは、彼にプールで歩行訓練をさせる。 そんな時、グラハムとアマンダの両方から、同時に電話を受けたアイリスは、二人の関係を知ってしまう。 その後、アイリスはマイルズに誘われ、二人でDVDを借りに行く。 そこでマイルズは、マギーが他の男性と親密にしているのを目撃してしまう。 失意のマイルズを慰めていたアイリスだったが、自分とジャスパーのことを語り始めて心が沈み逆にマイルズに励まされる。 その頃、アマンダとグラハムは連絡を取るのを止め、彼女は帰国の支度を始める。 しかし、気持ちを抑えきれないグラハムは、アマンダの元に向かい二人は愛し合う。 アイリスは、マイルズと共にアーサーの催し物に出席する準備を始める。 アイリスはマイルズと、アーサーの世話をしているうちに、マイルズの優しさを意識し始める。 その夜、アマンダは、ベッドを共にしても不都合なことばかり考えるが、グラハムは彼女に愛を告げる。 戸惑うアマンダは、とりあえずグラハムの言葉を制止して再び愛し合う。 二人で食事をしている最中、マイルズはマギーから連絡を受ける。 アイリスは、複雑な思いでマイルズをマギーの元に向かわせる。 帰宅したアイリスは、ジャスパーからの電話を受けるが、彼が玄関に現れて驚いてしまう。 アイリスは、結婚を諦めもせず、自分も失いたくないというジャスパーの言葉に憤慨する。 その瞬間アイリスは、心の中で何か新しいものが芽生えたことを感じ、彼を追い出してしまう。 気持ちが吹っ切れたアイリスは、”アーサーの会”に向かうため、アーサーを迎えに行く。 そして、会場についた二人は、出席者から割れんばかりの拍手で迎えられる。 アーサーは壇上に駆け上がり、そこにマギーと縁を切ったマイルズが現れる。 素晴らしいアーサーのスピーチの最中、マイルズは帰国するアイリスに、ニューイヤーズ・イヴの予定を聞く。 アイリスは、マイルズに是非会いたいということを伝える。 やがて、アマンダとグラハムの別れの時が訪れ、彼女は空港に向かう。 しかし、胸を締め付けられる思いのアマンダの目から、長年、流せなかった涙が溢れる。 昔の自分に戻ったことに気づいたアマンダは、Uターンして途中から車を降り走ってコテージに戻る。 そしてアマンダは、グラハムにニューイヤーズ・イヴを一緒に過ごすことを告げる。 ニューイヤーズ・イヴ。 こんな幸せが訪れるとは、誰もが思ってもいなかった・・・。
...全てを見る(結末あり)
帰国したアイリスはマイルズうを伴い、グラハムの家に向かい、アマンダを含め、子供達の笑い声を聞きながら新年を迎える。
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス在住のリッチなアマンダ・ウッズと、イギリスのサリーに住む、新聞社務めのアイリス・シンプキンスは、恋人に裏切られ、気分転換に”ホーム・エクスチェンジ”を利用し、互いの自宅を交換する。
クリスマスだというのに、孤独な時間を選んだ二人だったが、アマンダはアイリスの兄グラハムと親密な関係になり、アイリスは隣人の大脚本家や、アマンダの知人マイルズと親しくなる。
アマンダが、妻を亡くした子連れのグラハムとの複雑な関係に悩む一方、アイリスは、コンタクトを取ってくる元恋人ジャスパーに未練を残しながら、マイルズとの親交を深めていく・・・。
__________
序盤で、キャッキャッと騒ぐキャメロン・ディアス達が、妙にわざとらしいただのミーハー映画かと思いきや、御大イーライ・ウォラックが登場するあたりから、なかなか粋な楽しい展開となっていく。
製作、監督、脚本の、ナンシー・マイヤーズらしい快作に仕上がっていて、この手の作品にしては長めの上映時間(135分)も気にならない。
ハンス・ジマーの、小気味好い音楽も印象的だ。
北米での批評家の評価は以外に低く、興行収入は約6300万ドルに留まったものの、全世界では2億ドルを超すヒットとなった。
太陽が降り注ぐロサンゼルスに対し、一方の舞台が、雪景色の古風なイギリス(サリー)の田舎町という設定もなかなかいい。
自分の家を、他人の家と交換してみるなどということが・・・と思うかもしれないが、これが意外に合理的な方法であり、長期滞在などでは宿泊費の節約になる。
この、日本人には全く馴染みのないシステムも実に興味深い。
相変わらず魅力的なジュード・ロウは、いかにもプレイボーイ風で登場するのだが、実は家庭的なパパだったという役柄も好感が持てる。
わがままで嫌味な感じのキャメロン・ディアスは、そんな彼女のイメージにぴったりなのだが、最後には仕事を捨てて家庭に収まるところはホッとする。
色白で質素な美しさが際立つたケイト・ウィンスレットも、キャリアウーマンのキャメロン・ディアスとは対照的に、悲恋女性を好演してる。
そのケイト・ウィンスレットが立ち直るきっかけとなる存在で、アカデミー賞受賞歴のある著名な脚本家役を演ずる名優イーライ・ウォラックの出演で本作の価値はさらに高まる。
ただの老人俳優と思うなかれ・・・、
アクターズスタジオの初期の幹部である、彼の演技とキャリアは、本作及びハリウッドの宝だ。
「荒野の七人」(1960)や「続・夕陽のガンマン」(1966)の悪党役、他の名作など忘れ難い。
90歳とは思えない、矍鑠とした演技と自然な語り口も素晴らしい。
さすがに老いたが、彼の健在ぶりを見れただけでも、ファンとしては嬉しいばかりだ。
ジャック・ブラックも、ケイト・ウィンスレットの失恋の痛手を、優しく癒す若者を好演している。
また、ジャック・ブラックがDVDレンタル店で、「卒業」(1967)を手にしおどけている脇に、ダスティン・ホフマン本人が立っているというオマケもある。
女性からすると許せない男であろう、アイリス(K・ウィンスレット)の元恋人ルーファス・シーウェル、冒頭のみの出演のアマンダ(C・ディアス)の恋人エドワード・バーンズ、マイルズ(J・ブラック)の恋人シャニン・ソサモン、グラハム(ジュード・ロウ)の子供達ミフィ・イングルフィールド、エマ・プリッチャード、映画予告編に登場するリンジー・ローハン、ジェームズ・フランコなどが共演している。
セリフに出てくるケーリー・グラントではないが、往年のハリウッド作品を見ているような楽しさもある。
*作品中イーライ・ウォラックは、ケイト・ウィンスレットがサリーから来たということで、ケーリー・グラントの出身地と同じだというセリフがあるが、正しくは、彼の出身地はブリストル。
とにかく、浮気男程度で悪者も登場しない、設定もクリスマスということで、心温まる幸せ気分になれる作品。