2004年にロンドンの”ロイヤル・ナショナル・シアター”、その後ブロードウェイでも上演されたアラン・ベネットの舞台劇”The History Boys”の映画化。 超名門校を目指し勉学に励む学生と教師達の関係を描く、監督ニコラス・ハイトナー、主演リチャード・グリフィス、クライヴ・メリソン、フランシス・デ・ラ・トゥーア、スティーヴン・キャンベル・ムーア、ドミニク・クーパー他共演のコメディ・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ニコラス・ハイトナー
製作
ケビン・ローダー
ニコラス・ハイトナー
ダミアン・ジョーンズ
パドレイグ・キューサック
製作総指揮
マイルズ・ケットリー
アンドリュー・マクドナルド
チャールズ・ムーア
デヴィッド・M・トンプソン
原作:アラン・ベネット”The History Boys”
脚本:アラン・ベネット
撮影:アンドリュー・ダン
編集:ジョン・ウィルソン
音楽:ジョージ・フェントン
出演
教師:
ダグラス”ヘクター”:リチャード・グリフィス
フェリックス:クライヴ・メリソン
ドロシー・リントット:フランシス・デ・ラ・トゥーア
アーウィン:スティーヴン・キャンベル・ムーア
ヘイゼル・ビビー:ペネロープ・ウィルトン
スタンレー・ウィルクス:エイドリアン・スカーボロー
フィオナ・プロクター:ジョージア・テイラー
生徒:
クリストファー”クリス”クロウザー:サミュエル・アンダーソン
デヴィッド・ポズナー:サミュエル・バーネット
スチュアート・デイキン:ドミニク・クーパー
リチャード・ティムス:ジェームズ・コーデン
アディ・アクター:サッシャ・ダーワン
ジェームズ”ジミー”ロックウッド:アンドリュー・ノット
ピーター・ラッジ:ラッセル・トヴェイ
ドナルド・スクリプス:ジェイミー・パーカー
イギリス 映画
配給 フォックス・サーチライ ト・ピクチャーズ
2006年製作 104分
公開
イギリス:2006年10月13日
北米:2006年12月23日
日本:未公開
製作費 £2,000,000
北米興行収入 $2,706,660
世界 $13,401,950
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1983年、イングランド、サウス・ヨークシャー、シェフィールド。
グラマースクールの進学クラスの学生クリストファー”クリス”クロウザー(サミュエル・アンダーソン)、デヴィッド・ポズナー(サミュエル・バーネット)、スチュアート・デイキン(ドミニク・クーパー)、リチャード・ティムス(ジェームズ・コーデン)、アディ・アクター(サッシャ・ダーワン)、ジェームズ”ジミー”ロックウッド(アンドリュー・ノット)、ドナルド・スクリプス(ジェイミー・パーカー)、ピーター・ラッジ(ラッセル・トヴェイ)は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学への入学を目指していた。
夏休みが終り、総合学習の教師ダグラス”ヘクター”(リチャード・グリフィス)と歴史のドロシー・リントット(フランシス・デ・ラ・トゥーア)は、新学期を迎えた進学組との毎日が始まる。
校長のフェリックス(クライヴ・メリソン)は、進学には問題ないというリントットに対し、合格までの過程に品格を求め、生徒達に物足りなさを感じることを伝える。 自分流の教育を考えたフェリックスは、オックスフォード卒の臨時教師アーウィン(スティーヴン・キャンベル・ムーア)を迎える。 フェリックスは、他の授業を削減してアーウィンに徹底した受験向け授業をさせようと考える。 人間性を重視した自由な授業をするヘクターは、フランス語の授業の最中に、アーウィンを伴い入って来たフェリックスから授業枠提供を求められるものの、それを拒む。 体育教師スタンレー・ウィルクス(エイドリアン・スカーボロー)の授業枠を自分に割り当てられたアーウィンは、進学組を教室に戻し、提出した論文を酷評する。 リントットとヘクターは、歴史の教師でもあるアーウィンの授業を興味深く見守る。 ある日デイキンは、フェリックスの秘書フィオナ・プロクター(ジョージア・テイラー)といい線までいったことをスクリプスとポズナーに話す。 フェリックスがフィオナを追い回していることなども話したデイキンは、話題を変え、自分を嫌ってはいるが、アーウィンが意外に好感が持てる人物だと二人に伝える。 相変わらずマイペースのヘクターの授業を受けながら、進学組の8人は、どんなことでも入試に利用するよう指導するアーウィンにも慣れてくる。 フェリックスの許可が出て進学組に美術史の基礎を教えることになったヘイゼル・ビビー(ペネロープ・ウィルトン)は、それをヘクターに伝える。 アーウィンの悪くはないのではないかという意見に、ビビーは、彼が美術を軽視していると考える。 昼休みにリントットと話したアーウィンは、あだ名をつけられれば進歩だと言われ、ヘクターの本名はダグラスだと知らされる。 ポズナーから相談を受けたことをリントットに話したアーウィンは、彼がゲイでデイキンを好きだと打ち明けられたことを伝える。 実は自分もそうだと告白したアーウィンは、生徒には打ち明けるべきではないとリントットに言われる。 アーウィンと話していた際、”ニーチェ”のことを何度も”ニーショウ”と言ってしまったことに気づいたデイキンは、恥をかいたとことで苛立つ。 進学組のことをアーウィンに確認したフェリックスは、失敗は許されないと言って彼にプレッシャーをかける。 バイクで通うヘクターは、生徒達を順番に乗せて家まで送るのだが、彼らの股間に触れるのが趣味だった。 ある日ヘクターは、横断歩道で停車中にアクターに触れようとするところを、交通指導員に見られてしまう。 翌日、アーウィンはヘクターとリントットと共に、進学組を連れて課外授業で修道院跡に出かける。 ヘクターの件を交通指導員から報告を受けたフェリックスは、戻った彼を校長室に呼ぶ。 事を荒立てる気はないことを伝えたフェリックスは、引退を今学期限りに早めることをヘクターに提案する。 評判も気にするが解雇もしたくないフェリックスは、アーウィンの授業枠を増やすことをヘクターに伝え、それを承知させようとする。 何もしていないと言うヘクターに確信犯だと伝えたフェリックスは、怒りを露わにする。 教室に向かったヘクターは、自分を待っていたボズナーの朗読を聞いて助言する。 リントットとヘクターの件を話し合うフェリックスは、彼の時代遅れの授業に意見し、今回のことで辞職してもらう口実ができたと語る。 ヘクターが生徒の股間を触る行為を知らなかったリントットはショックを受ける。 動揺していつもの授業ができないヘクターは、生徒達の前で泣き崩れてしまう。 ヘクターとの共同授業で、アーウィンは”ホロコースト”を題材にして生徒達に語らせる。 フィオナから聞いた情報で、ヘクターが退職することをデイキンはスクリプスに伝える。 アーウィンのことばかり話すと言ってフィオナが嫉妬していることを話したデイキンは、アーウィンと関係を持つことも考えているとスクリプスとボズナーに語る。 自分もデイキンのことばかり気にしていると言うボズナーは、苦しい胸の内をスクリプスに話す。 ヘクター、リントット、アーウィンを前にして、進学組は面接の練習をする。 放課後、アーウィンに声をかけたデイキンは彼を牽制する。 その後、進学組は、フェリックス以下職員に見送られてオックスフォードとケンブリッジに向かう。 生徒達は現地を見学して面接を受け、デイキンは、オックスフォードのコーパス・クリスティ・カレッジを卒業したはずのアーウィンが、名簿にないことを確認する。 フェリックスに呼ばれたヘクターを気の毒に思うことを、リントットはアーウィンに語る。 リントットと入れ替わりで出て来たヘクターから、デイキンには手を出すなと言われたアーウィンは、自分と同じことになると彼に忠告される。 出て来たリントットに全てを知っていたのか尋ねたヘクターは、生徒達にも知られていたと語る。 生徒は当事者なので当然だとリントットに言われたヘクターは、したことは事実だが、股間に触れたのは愛撫ではなく祝福に近いと伝える。 お粗末な言い訳だとリントットに指摘されたヘクターは言葉を失う。 校長室に呼ばれるアーウィンに、来年度から自分の立場を与えるらしいということをリントットは伝える。 その後、進学組に結果の通知が届き、ボズナーは奨学生、デイキンは給費生、他の学生も全て合格したことが知らされ、フェリックスは祝杯を挙げる。 ラッジだけ連絡がないことを心配したリントットは、現れた彼から、大学の用務員だった父親のコネで合格したたことを知らされる。 たいして喜ばないラッジに呆れるリントットは、好きなことをしたいと言う彼が、周囲や親のための合格は辞退したいと言う考えを聞く。 アーウィンの元に向かったデイキンはコーパスに行ったことを伝え、彼がその卒業生ではなかったことを確認する。 どうでもいいことだと答えるアーウィンは、オックスフォードではなくブリストル大学だったことを伝える。 教員免許がオックスフォードなので同じことだと言うアーウィンに対し、疑問を投げかけるデイキンは、彼を誘惑する。 デイキンにゲイなのかを確認したアーウィンは、そを否定される。 大胆な発言の割には行動が伴わないとデイキンに指摘されたアーウィンは、淫乱教師になる訳にはいかないと答える。 自分は平気だと言うデイキンに強引に誘われ動揺するアーウィンは、日曜日に僧院で会うことを約束する。 それをスクリプスに伝えたデイキンは校長室に向い、ヘクターの行いとフィオナに付きまとうのは違いがないと言って、フェリックスを追及する。 この件を誰にも話していないことをデイキンに確認したフェリックスは、フィオナにヘクターを呼ぶよう指示する。 進学組の8人は今後のことを語り合い、デイキンは、ご褒美だと言ってボズナーを抱きしめる。 ヘクターにも付き合おうとしたデイキンは、彼から辞職しないことを知らされる。 ヘルメットを被るデイキンを制止したフェリックスは、乗せるならアーウィンにするよう指示する。 アーウィンはそれを承諾し、自分をからかうデイキンの話も聞かずにヘクターのバイクに乗る。 その後、カーブでバランスを崩したヘクターは転倒して死亡し、アーウィンは足を骨折する。 事故のせいでアーウィンとの約束はなくなったデイキンは、仲間達と共にヘクターの追悼式に出席する。 スピーチしたフェリックスは、ヘクターの人生を称える。 リントットは、生徒達に自分の葬儀に出席するかを問い、アーウィンを含めた彼らの将来を語る。 唯一人ヘクターの教えの通り生きたボズナーは同じ教師になり、生徒には手を出さないことで自分との闘いの日々を過ごしながら、ゲイには満足していることをリントットに語る。 授業の内容には賛成できないがいい人物だったと、アーウィンはヘクターについて語る。 ヘクターの”知識のパスを学べ”という言葉を想いながら。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
1983年、イングランド、サウス・ヨークシャー、シェフィールド。
グラマースクールの進学クラスの生徒8人は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学への入学を目指していた。
総合学習の教師ヘクターは、人間性を重視した自由な授業を心がけていたが、校長のフェリックスは進学の目的達成を重視する。
臨時教師のアーウィンを迎えたフェリックスは、徹底した受験重視の授業をさせることを考え、ヘクターらの授業枠を減らす。
大胆な発言のアーウィンに戸惑う生徒達だったが、彼の授業にも慣れ、ヘクターや歴史教師リントットの指導の下、勉学に励むのだが・・・。
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舞台劇は絶賛され、本国イギリスでローレンス・オリヴィエ賞を受賞し、トニー賞でも演劇作品賞他を受賞した。
本作は、演出のニコラス・ハイトナー他、舞台のオリジナルキャストにより映画化された。
教師、生徒共に個性豊かな登場人物が見事なハーモニーを醸し出し、イギリス独得の痛烈な皮肉やユーモアも満載の内容は実に楽しい。
生徒達の成長だけでなく、教師側の変化も繊細に描かれ、子供達がかなりの部分で主導権を握っている描写や、舞台劇が原作ということで、一つの事柄を徹底的に追求していく言葉のやり取りも面白い。
”変態”的な趣味を持つ、愛嬌のある表情が印象的な老教師を好演するリチャード・グリフィス、校長を愉快に演ずるクライヴ・メリソン、存在感のある歴史教師を味わい深く演ずるフランシス・デ・ラ・トゥーア、受験重視の授業を進める進学請負人的な教師スティーヴン・キャンベル・ムーア、美術教師ペネロープ・ウィルトン、体育教師エイドリアン・スカーボロー、校長秘書ジョージア・テイラー、生徒では一際目立つ存在のドミニク・クーパー、サミュエル・アンダーソン、サミュエル・バーネット、ジェームズ・コーデン、サッシャ・ダーワン、アンドリュー・ノット、ラッセル・トヴェイ、ジェイミー・パーカーなどが共演している。