サイトアイコン That's Movie Talk!

ヒンデンブルグ The Hindenburg (1975)

世紀の大惨事と言われる”ヒンデンブルグ爆発事故”を破壊工作があったという設定で描く、製作、監督ロバート・ワイズ、主演ジョージ・C・スコットアン・バンクロフトウィリアム・アザートンロイ・シネスギグ・ヤングバージェス・メレディスチャールズ・ダーニングリチャード・ダイサート他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:ロバート・ワイズ

製作:ロバート・ワイズ
原作:マイケル・M・ムーニー”The Hindenburg”
原案
リチャード・レヴィンソン
ウィリアム・リンク
脚本:ネルソン・ギディング
撮影:ロバート・サーティース
編集:ドン・キャンバーン
美術・装置
エドワード・C・カーファグノ
フランク・R・マッケルビー
音楽:デヴィッド・シャイア

出演
フランツ・リッター大佐:ジョージ・C・スコット
ウルスラ・フォン・リュージェン伯爵夫人:アン・バンクロフト
カール・ベルト:ウィリアム・アザートン
マルティン・フォーゲル:ロイ・シネス
エドワード・ダグラス:ギグ・ヤング
エミリオ・パジェッタ:バージェス・メレディス
マックス・プルス船長:チャールズ・ダーニング
エルンスト・レーマンリチャード・ダイサート
ジョー・スパ:ロバート・クラリー
ネイピア少佐:ルネ・オーベルジョノワ
リード・チャニング:ピーター・ドナット
ベス・チャニング:ジョアンナ・ムーア
アルバート・ブレスロー:アラン・オッペンハイマー
ミルドレッド・ブレスロー:キャサリン・ヘルモンド
フェローズ大佐:スティーヴン・エリオット
B.F.ファーリー警部:アーチ・ジョンソン
ドイツ空軍大佐:ウィリアム・シルベスター
ハンス・ルター駐米ドイツ大使:ロルフ・セダン
本人:ハーバート・モリソン

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1975年製作 125分
公開
北米:1975年12月25日
日本:1976年7月10日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $27,945,230


アカデミー賞
第48回アカデミー賞

・受賞
音響編集・視覚効果賞
・ノミネート
撮影・美術・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
LZ 129/ヒンデンブルグ”は、ナチス・ドイツが世界に誇る巨大飛行船だった。

1937年4月17日、ウィスコンシン州、ミルウォーキー
霊媒師のキャシー・ラウシュは、ヒンデンブルグの件でワシントンD.C.ドイツ大使館に手紙を送る。

4月21日、ワシントンD.C.ドイツ大使館。
ヒンデンブルグの最期を記述するラウシュからの手紙を受け取ったハンス・ルター駐米大使(ロルフ・セダン)は、水素を使用しているため、アメリカの空を脅かす時限爆弾だと考える。

4月30日、ベルリンシュターケン飛行場。
スペインから戻ったドイツ空軍のフランツ・リッター大佐(ジョージ・C・スコット)は、同僚である大佐(ウィリアム・シルベスター)に迎えられ極秘任務を任されることになる。

宣伝省。
駐米大使館からの手紙の報告を受けたゲッペルス宣伝相は、呼び出したリッターに、ドイツが世界に誇る広告塔であるヒンデンブルグを守る任務を命ずる。
...全てを見る(結末あり)

自分はスパイではないと伝えたリッターだったが、抵抗活動を疑われては困るというゲッペルスから、保安責任者としてヒンデンブルグに搭乗するよう指示される。

5月1日、フランクフルトツェッペリン社。
アメリカから届いた手紙を持参したリッターは、反ナチ思想家である社長のフーゴー・エッケナーツェッペリンの船長だったエルンスト・レーマンリチャード・ダイサート)と話す。

破壊工作の可能性を説明するリッターは、レーマンヒンデンブルグへの同乗を求める。

5月2日、フランクフルト飛行場
ヒンデンブルグのクルー達が騒ぐ酒場で妻エレノアと話したリッターは、軍人を辞めてスイスで暮らすことを提案されるものの、無理だと伝える。

酔ったクルーのカール・ベルト(ウィリアム・アザートン)は、恋人のフリーダ・ハレ共に部屋に向かう。

その頃、何者かが小型爆弾を準備していた。

5月3日、月曜日。
出発の準備をするヒンデンブルグは、20時に飛び立ち、ニュージャージー州のレイクハーストには5月6日の6時に到着する予定だった。

ユダヤ人と思われるアルバート・ブレスロー(アラン・オッペンハイマー)と妻ミルドレッド(キャサリン・ヘルモンド)、娘のヴァレリーと弟達に声をかけたリッターは、エミリオ・パジェッタ(バージェス・メレディス)のステッキの先端の金属部分にテープを巻くよう係員に指示し、彼に同行するネイピア少佐(ルネ・オーベルジョノワ)から皮肉を言われる。

搭乗を待つリッターは、友人であるウルスラ・フォン・リュージェン伯爵夫人(アン・バンクロフト)や、怪しげな男性エドワード・ダグラス(ギグ・ヤング)ら乗客を観察する。

親衛隊の荷物の検査を不満に思うウルスラは、現れたリッターが搭乗することを知る。

抗議してほしいとウルスラから頼まれたリッターは、徹底的に調べるようにと親衛隊員に伝えてその場を去る。

ようやく搭乗が始まり、到着した曲芸師のジョー・スパ(ロバート・クラリー)の荷物を、リッターは入念に調べるよう指示する。

船長のマックス・プルスチャールズ・ダーニング)は、飛行に不安を感じるレーマンに、安全対策は完璧だと伝えて乗り込む。

ブロードウェイの興行主リード・チャニング(ピーター・ドナット)と妻のベス(ジョアンナ・ムーア)なども乗り込み、リッターは、見送りに来たエレノアに6日後には戻ることを告げる。

準備は整いプルスは離陸を指示し、ヒンデンブルグは夜空に浮上する。

専属カメラマンのマルティン・フォーゲル(ロイ・シネス)から声をかけられたリッターは、同室だと言われる。

エンジンが始動し、ヒンデンブルグは西に向けて進路をとる。

5月3日、午後2時28分、レイクハースト海軍航空基地
指揮官のフェローズ大佐(スティーヴン・エリオット)は、ヒンデンブルグが飛び立ったという報告を受ける。

船体内部を調べるリッターはカールと出くわし、彼が自分の目的に気づいていることを知る。

食堂に向かったスパは、チャニングと同席したいことを客室係に伝えてチップを渡す。

娘のヴァレリーが男性から受け取ったペンを持参して喫煙室に向かったブレスローは、船体の安定性をの賭けをしようとしたネイピアにペンを貸す。

それをやめさせたリッターはペンを調べ、中に入っていたダイヤを見つける。

ダイヤを売って出国しようとしているユダヤ人に手を貸そうとしていたブレスローの考えを知ったリッターは、ダイヤは税関で申告することを指示してペンを預かる。

オランダ上空を過ぎたヒンデンブルグは海上に出て、雷雨の中を前進する。

チャニング夫妻と食事をしたスパは、新作に出演させてほしいと伝える。

親衛隊の調査書を確認するリッターは、収入のないネイピアが豪華客船の常連であるにも拘らず、今回は飛行船に乗り込んだことを疑問に思う。

ダグラスも監視した方がいいと言われたリッターは、遅れを気にする彼が、広告代理店の海外支部長で顧客は製薬会社なのに、この船の部品工場を調べていたことをフォーゲルに話す。

二人は、第一次大戦海軍の情報部にいたダグラスと、道化のスパが、ヒトラーのための公演を断り船に乗り、モスクワにも滞在していたことを怪しく思う。

戦死した夫が航空隊の同僚だったウルスラは、自分が調べることをリッターはフォーゲルに伝える。

クルーである整備工のカールには、フランス系の銀行に勤めるフリーダ・ハレという恋人がいると言われたフォーゲルは、彼はヒトラーユーゲントなので信用できるとリッターに伝えて、自分も容疑者と思うか尋ねる。

自分が親衛隊大尉ゲシュタポでもあると言われたフォーゲルはそれを否定するが、リッターは彼の情報だけがないことを指摘して牽制する。

その頃、工作員は爆弾の準備をする。

5月4日、午前9時、アメリカ国務省
ドイツルター大使は、ヒトラーヘリウムを軍事利用されることを懸念するアメリカ側に、ヒンデンブルグは最大限の安全対策は講じていることを伝える。

ルターは、問題はアメリカがヘリウムを独占していることで、問題が起きれば非難を免れないと伝えて忠告する。

その頃、ヒンデンブルグアイルランドを通過する。

無線室に向かったリッターは、ゲシュタポ本部に電信を送り、フリーダの監視の結果報告を待つことを伝える。

貨物室の愛犬を見に行こうとするチャニングを制止したリッターは、彼に許可を与えない。

妻のベスと共に、その件でプルスに抗議するものの聞き入れられないチャニングは、納得いかない。

その場にいたリッターから、ヒンデンブルグに乗った理由を訊かれたチャニングは、ベスが船酔いすると答える。

プルスから、愛犬は客室係に見に行かせると言われたチャニングは、コンサートの準備をすることを指示され、仕方なくそれに従う。

ウルスラの部屋の煙に気づいたリッターは、彼女が無線技士から受け取ったライターでパイプを吸っていることを知る。

渡すようにと言われたウルスラはそれを拒むものの、無理矢理に奪われ、財産と同じように没収すればいいとリッターに伝える。

祖国のために犠牲を払ったと考えるようにと言われたウルスラは、奪われた土地に未練はないと伝えて、飛行場で出迎えてくれる娘トルディの写真を見ながら、船体が発光していることに気づく。

乗客は動揺して騒ぎ始めるが、それが収まったところで、レーマンが”セント・エルモス・ファイアー”であることを伝える。

霧の中を抜けると静電気がたまり発光すると説明するレーマンは、乗客を安心させる。

今でもカードをやることをウルスラに確認したリッターは、パジェッタとネイピアを調べたいと伝える。

その後、ダグラス宛の電信が暗号のような内容だったために、彼より先に返信を確認しようとしたリッターとレーマンは、無線技士に返信するよう指示する。

チャニングのショーは始り、乗客が部屋を空けている間に、スパが描いた船体内部のスケッチを見つけたフォーゲルは、ダグラスの荷物を調べるリッターにそれを伝える。

ダグラスのバッグの鍵を開けたフォーゲルは、リッターと共に中身を調べて、”K作戦”などと表記された暗号機のようなものを見つける。

プルスが遅れて席に着きリッターとフォーゲルも戻ったため、チャニングは開演を伝えて協力者のスパを紹介する。

ナチを批判する内容に気分を害したプルスは、コンサートを中止させてその場を去るが、チャニングとベスは満足する。

船体内部をチェックしていたカールはリッターがいたために焦り、踏んだワイヤーが外れて外皮を傷つけたことに気づかない。

カールに何をしていたか尋ねたリッターは点検だと言われ、彼に探りを入れる。

5月5日、水曜日、午前6時45分、ミルウォーキー
訪ねて来たFBI捜査官に質問されたラウシュは、手紙に書いたことは必ず起きると言って確信し、明日、ヒンデンブルグニューヨーク上空で爆発することを伝える。

ラウシュは、ベティ・デイヴィスが”風と共に去りぬ”で”スカーレット・オハラ”を演じ、ウィンザー公エドワード8世)はシンプソン夫人とは結婚しないと付け加える。

電信を受け取ったリッターは、フリーダの元恋人が、スペインの左翼に加担して戦死したことを知る。

リッターは、爆弾に関する情報をフリーダから入手するようにと返信する。

その頃、外皮の亀裂が広がり始める。

乗客は、眼下に見える氷山を見て驚き、リッターは、ピアノを弾くウルスラが午後3時にカードをすることを確認する。

外皮の亀裂に気づいたカールはそれを報告し、プルスは減速させてレーマンが様子を見に行く。

下降していく状況を知ったプルスは、修復作業時間が25分しかないと考える。

命綱をつけたカールとクノールが、船外に出て修復作業を始める。

速度を上げなければならない高度となり、船内に戻るようにと言われたカールだったが一人で作業を続ける。

高度の維持が保てないためにプルスは全速前進を指示し、船首が上がり傾き、カールが落ちそうになる。

クノールがカールを内部に引き入れ、他の作業員が外皮を縫い合わせる。

午後4時5分、フランクフルトツェッペリン
予定を遅れているヒンデンブルグニューファンドランド沖だということを知ったフリーダは、到着は早くても明日の午後だと考える。

建物を出たフリーダは、ゲシュタポに連行される。

ダグラスへの返信が届き、それを確認したリッターは、本人に渡すよう客室係に指示する。

電信を受け取ったダグラスは、返信を自分で無線室に届けると伝える。

ダグラスは、それが禁止されていたために客室係にチップを渡し、その様子をリッターは監視していた。

到着時間が5月6日の午後3時5分に変更されたことが掲示されていることに気づいたダグラスは、返信に言葉を加する。

そこに現れたリッターは、電信の内容についての説明をダグラスに求め、1日半前に出発した”クイーン・メリー”に乗るライバル社との仕事を争う競争だったことを知る。

午後4時15分、ニューヨーク市警本部。
特別情報室のB.F.ファーリー警部(アーチ・ジョンソン)は、ドイツ人からの要請を受けて、クイーン・メリーの乗客についてなどを調べる。

外国人犯罪対策室のロンバルディ警部補は、国務省からの指示を受けて、ドイツ空軍のリッターが来るために部下をニュージャージーに向かわせ、爆発物取締局の捜査官とも会うよう指示する。

ウルスラを待っていたパジェッタとネイピアらはカードを始める。

その場にいたリッターは無線室に向かい、電信が届いていないことを確認する。

同じ頃、工作員は爆弾の最終チェックをする。

レーマンと話していたリッターはゲシュタポからの電信を受け取り、捕らえられたフリーダが元恋人のことを告白したことを知る。

カールが陰謀に巻き込まれたのかもしれないと考えるリッターに、ヘリウム入手のために爆弾を利用する”陰謀”なのか尋ねたレーマンは、大惨事の予感がすると言われる。

今のドイツ人は誰もが心配事を抱えていると言われたリッターは、家族のことを訊かれて、3か月前に一人息子が死んだことをダグラスは、レーマンに伝える。

自分もゲシュタポの手先でスパイと同室だと言うリッターは、レーマンから、今後、自分達はどうなるか訊かれる。

敗戦後にゲーリングと共に空軍を立て直したたことを誇りに思ったが、先週のゲルニカの爆撃に諜報の責任者として参加し、騎士鉄十字章を受けたことも空しく感じるリッターだった。

ヒンデンブルグを救ったカールが破壊工作員だとは思えないと言うレーマンだったが、リッターは、自分なら彼のような男を任務に選ぶと伝える。

電信をプルスに見せてほしいとレーマンに伝えたリッターは、その場を去る。

カールと話したリッターは、フリーダがゲシュタポに捕らえられたことを伝えて、スペインで死んだ彼女の元恋人のことを尋ねる。

爆弾の場所を強引に聞こうとしたリッターは、爆破させるという彼に協力を求められる。

ナチの宣伝用のヒンデンブルグを爆破させるのは、レイクハーストに着いてからだとリッターに話すカールは、水素の塊では殺人行為だと言われる。

空軍スペインで虐殺に加担したと反論するカールに、飛行船を爆破して世界を救うつもりかと尋ねたリッターは、抵抗運動の存在を示せば善良な国民は加わると言われる。

協力してくれれば犠牲者は出ないと、カールはリッターに伝える。

電信を受けとったリッターは、逃亡を試みたフリーダが射殺されたことを知り、カールには何も話さずに部屋に戻る。

その件をフォーゲルに話したリッターは、容疑者を全員逮捕することを指示され、カールのことは任せるようにと伝える。

パジェッタ、ネイピア、パスらを調べるようにと指示したリッターは、君は誰が監視するとフォーゲルに尋ねる。

失望したと言うフォーゲルが、死んだ息子のことを口にしたために黙らせたリッターは、彼が出て行った後で考えを巡らせる。

5月6日、木曜日、午前9時35分、レイクハースト海軍航空基地
ヒンデンブルグの到着が午後5時に変更されたことを記者達に伝えたフェローズ大佐は、バーで待機するようにと指示し、警察と保安部を残すものの破壊工作などあり得ないと考える。

リッターから、逃げたフリーダをゲシュタポが射殺したことを知らされたカールはショックを受け、自分も一人息子を亡くしたので気持ちは分かると言われる。

息子をヒトラーに殺されて平気なのかと言われたリッターは、耐えられないことだが、せめて97名の命は救いたいと伝える。

爆破は乗客が下船して安全を確認してからだと言うカールは、爆弾を見せるのは断り、爆破時間を決めようとする。

到着は5時で、30分後に乗客が、6時には貨物が降ろされると言うリッターは、その後、様々な作業を終えて燃料類の補給が8時に始まることをカールに伝える。

クルーと共に街に向かうようにと言われたカールは船に残るつもりだとリッターに伝えて、爆破直前に無線で犯行声明を送る考えだった。

カールから爆破時刻を訊かれ、7時半に決めたリッターはその場を去る。

カードをするウルスラの様子を見に行ったリッターは、フォーゲルから、再び船体に侵入したスパが描いたスケッチを確認する。

誰かに見せるためのスケッチだと考えるリッターは、パジェッタとネイピアを部屋に拘束する。

大金を手に入れたウルスラは、パジェッタはステッキを叩いてネイピアに合図をする詐欺師であり、それを妨害して勝ったことをリッターに伝える。

ウルスラが祖国に帰るつもりがないことに気づいていたリッターは、現在の社会状況を嘆く彼女の気持ちを理解する。

レイクハースト海軍航空基地
フェローズ大佐は、ヒンデンブルグの係留作業の安全確認を徹底するよう部下に指示する。

ヒンデンブルグマンハッタン上空を通過し、眼下に見えるクイーン・メリーに勝ったと考えるダグラスだったが、リッターから、相手は入港するだけだと言われる。

隠してあったナイフの柄に仕掛けた爆弾のタイマーをセットしたカールだったが、刃の部分が取れて落下する。

その場に現れたクノールに補修していたことを伝えたカールは、通路部分に落ちていたナイフの刃に気づかない。

フェローズ大佐は、”空飛ぶ火葬場”と思われているヒンデンブルグの到着を控え応援を拒まれ、ヘリウムがあれば問題ないことを考える。

通路でナイフの刃が見つかり、それを知ったフォーゲルは持ち主を探そうとする。

リッターとフォーゲルと共にカールら作業員を呼んだレーマンは、クノールだけがナイフを持っていないことを知る。

フォーゲルはクノールを逮捕しようとするものの、着陸が近づいたことを知らせる合図を聴いたレーマンは、作業員を戻して準備をさせる。

レーマンから部下を信じると言われたフォーゲルは、リッターが持つナイフを手にしてその場を去る。

レイクハースト海軍航空基地
ヒンデンブルグが姿を現し、強風を気にするフェローズ大佐は、風速計が壊れていることを確認して赤信号を点滅させる。

それを知ったプルスは、着陸を延期することにする。

演目のために描いたスケッチが何枚かなくなっていることに気づいたスパは、それをチャニングに伝えるものの、自分のショーには合わないと言われる。

サーカスに戻るつもりのスパと別れたチャニングだったが、ベスから彼の演技が見たいと言われて、来週のオーディションを受けさせることを約束する。

パスポートを没収されたことを知ったウルスラはリッターの元に向かい、娘に会えないと考える彼女は不安になる。

時間を気にするカールは、現れたフォーゲルからナイフを見せるようにと言われる。

カールのナイフがクノールのものだということを確認したフォーゲルは、彼を締め上げようとする。

乗客が動揺していることをプルスに伝えたリッターは、着陸は基地の条件が整い次第だと言われ、6時18分を示す時計を確認する。

着陸後に乗客が降りる時間などをプルスに確認したリッターは、ウルスラのパスポート没収はフォーゲルの指示だということを知る。

風が弱まり、ヒンデンブルグは着陸態勢に入り、リッターはカールを捜す。

継ぎ当てに気づいたレーマンは、クノールにその場所を見張るよう指示する。

カールが見つからないリッターは焦り、7時6分であることを確認する。

地上の準備ができたことを伝えたフェローズ大佐は、青信号を点滅させて着陸の許可を出す。

プルスは、着陸態勢に入るよう指示する。

7時16分、リッターはカールを見つけることができない。

係留用のロープがつながれ、シカゴのラジオ局”WLS”のハーバート・モリソンによる実況放送が始まる。

貨物室に拘束したカールを痛めつけたフォーゲルに襲い掛かり叩きのめしたリッターは、爆弾の場所をカールから聞き出してその場に向かう。

継ぎ当てに隠された爆弾を見つけたリッターは、それを解除しようとする。

追ってきたフォーゲルの声を聴きながら、ナイフの柄に隠された爆弾を操作したリッターだったが、それが爆発する。

プルスは船体の振動で事故に気づき、爆発するヒンデンブルグを目の前にしたハーバート・モリソンは、その光景を見て絶叫する。

大火災により船内の乗客はパニックになり、船体は落下して大破する。

多くの死者が出る中、ブレスローはミルドレッドに飛び降りるよう指示して船内に残り炎に包まれる。

スパやヴァレリーは飛び降り、彼女の弟達は兵士に助けられる。

貨物室から出られないカールは、チャニングの愛犬を逃がす。

ウルスラは、パジェッタとネイピアと共に逃げ道を探す。

地上の残骸の中で、カールは息を引き取る。

チャニングとベスは無事だったことを喜び、スパは迎えに来た家族と抱き合う。

フォーゲルはフェローズ大佐に助けられ、ウルスラと共に避難したパジェッタとネイピアは、警官に呼び止められるものの見逃される。

呆然としながら歩くウルスラは、娘のトルディを見つけて抱きしめる。

意識のないクルーを残骸から引きずり出したプルスは、レーマンに声をかけるものの、背中に大やけどを負った彼は倒れる。

フランツ・リッター大佐、カール・ベルトは死亡し、マルティン・フォーゲル、マックス・プルスは生還する。

エルンスト・レーマン、アルバート・ブレスローは死亡し、ミルドレッド・ブレスローは生還する。

エドワード・ダグラス、エリオット・ハウエル3世らは死亡し、チャニングの愛犬は生還する。

乗客13名、乗員22名、海軍の地上作業員1名が死亡し、62名が生還した。

アメリカの事故調査委員会は原因を、構造的欠陥、静電気、セント・エルモス・ファイア、破壊工作のいずれかと考えるものの、特定には至っていない。

ドイツ側は、原因が特定されない限り、破壊工作の可能性も排除できないという見解を示す。

しかし、抵抗運動を認めないナチスは、工作員が偉大な象徴を破壊したことを否定し、ヒトラーは”天災”であると結論づけた。

検証にも使われたのが、ハーバート・モリソンによるシカゴのラジオ局”WLS”の実況中継だった。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
1937年5月。
アメリカからの情報により、巨大飛行船”LZ 129/ヒンデンブルグ”の破壊工作の可能性を懸念したナチスの宣伝相ゲッペルスは、ドイツ空軍のフランツ・リッター大佐にその調査を命ずる。
ツェッペリン社のエルンスト・レーマンと共にヒンデンブルグに乗り込んだリッターは、専属カメラマンに扮するゲシュタポの命令を受けた親衛隊大尉のフォーゲルと共に工作員を探し始める。
知人である伯爵夫人ウルスラを含めた乗客の監視を続けるリッターは、自分の目的に気づいた整備工のカールに目をつけて探りを入れるのだが・・・。
__________

1972年に発表された、マイケル・M・ムーニーの著書”The Hindenburg”を基に製作された作品。

世紀の大惨事と言われる”ヒンデンブルグ爆発事故”は、その事故原因は様々な観点から検証されているものの、特定されていない。

本作は、破壊工作があったという設定で進行する内容であり、反ナチ勢力の爆破計画として描かれたサスペンス映画である。

1970年代のパニック映画ブームに乗ったオールスター・キャストによる大作であり、製作を兼ねたロバート・ワイズの重厚な演出が見所の作品。

破壊工作員が誰であるかを探る序盤までは緊迫感があるが、それが分かる中盤から終盤にかけては単調で、あまりにも有名な実際の事故シーンを伝えるニュース・フィルとハーバート・モリソンの実況の使用などで締めくくられるクライマックスはまずまず盛り上がる。

映画の内容も興味深いが、当時のナチス・ドイツの国力の象徴のような、”ヒンデンブルグ”の雄姿は圧倒的な存在感だ。
その巨大さを見事に伝える、スケール感のある特殊効果とロバート・サーティースの撮影も見事で、デヴィッド・シャイアの優雅な音楽も印象に残る。

第48回アカデミー賞では、音響編集、視覚効果賞を受賞し、撮影、美術、録音賞を受賞した。

主演のジョージ・C・スコットは、破壊工作の調査を行う過程で、祖国が向かう道に疑問を持ち始めるドイツ空軍大佐を、深い演技で好演している。

主人公の知人である祖国を捨てるつもりで旅立つ伯爵夫人のアン・バンクロフト、破壊工作を実行するヒンデンブルグのクルーである整備工のウィリアム・アザートンゲシュタポの命令を受ける親衛隊大尉で工作員を探すロイ・シネス、アメリカ人ビジネスマンのギグ・ヤング、詐欺師のバージェス・メレディスルネ・オーベルジョノワマックス・プルス船長のチャールズ・ダーニングツェッペリン社のエルンスト・レーマン役のリチャード・ダイサート、曲芸師のロバート・クラリーブロードウェイの興行主ピーター・ドナットと妻のジョアンナ・ムーアユダヤ人のアラン・オッペンハイマーと妻のキャサリン・ヘルモンドレイクハースト海軍航空基地の指揮官スティーヴン・エリオットニューヨーク市警の警部アーチ・ジョンソンドイツ空軍大佐ウィリアム・シルベスターハンス・ルター駐米ドイツ大使のロルフ・セダン、そして事故を実況したハーバート・モリソンがニュース・フィルムの声で出演している。


モバイルバージョンを終了