1959年に発表された、シャーリー・ジャクソンの小説”The Haunting of Hill House”を基に1963年に公開されたロバート・ワイズの「たたり」のリメイク作品。 不眠症治療の研究を進める大学教授が被験者と共に呪われた屋敷で体験する恐怖を描く、製作総指揮、監督ヤン・デ・ボン、主演リーアム・ニーソン、リリ・テイラー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、オーウェン・ウィルソン、ブルース・ダーン他共演のホラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヤン・デ・ボン
製作
スーザン・アーノルド
ドナ・ロス
コリン・ウィルソン
製作総指揮:ヤン・デ・ボン
原作:シャーリー・ジャクソン”The Haunting of Hill House”
脚本:デイヴィッド・セルフ
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ
編集:マイケル・カーン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
デヴィッド・マロー博士:リーアム・ニーソン
エレノア”ネル”ヴァンス:リリ・テイラー
セオドラ”テオ”:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
ルーク・サンダーソン:オーウェン・ウィルソン
ダドリー:ブルース・ダーン
ダドリー夫人:マリアン・セルデス
メアリー・ランベッタ:アリックス・コロムゼイ
トッド・ハケット:トッド・フィールド
ジェーン・ヴァンス:ヴァージニア・マドセン
アメリカ/イギリス 映画
配給 ドリームワークス
1999年製作 112分
公開
北米:1999年7月23日
イギリス:1999年9月24日
日本:1999年10月2日
製作費 $80,000,000
北米興行収入 $91,188,910
世界 $177,311,150
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
独身女性のエレノア”ネル”ヴァンス(リリ・テイラー)は、姉のジェーン・ヴァンス(ヴァージニア・マドセン)から、11年間、介護した末に亡くなった母親の遺産の件で、不当な要求を突きつけられる。
納得できないネルだったが、ジェーンの恋人からは裁判所に任せると言われ、家事手伝いとして一緒に暮らす提案をするジェーンの話も聞く気になれない。
不眠症で悩んでいたネルは、その治療実験の被験者として採用されたという電話を受ける。
その研究を進めるデヴィッド・マロー教授(リーアム・ニーソン)は、広大な屋敷”ヒル・ハウス”での実験準備を始める。
屋敷に着いたネルは、風変わりな管理人ダドリー(ブルース・ダーン)と妻(マリアン・セルデス)に迎えられ、その豪華な内部と異様な雰囲気に驚きながら部屋に案内される。 ダドリー夫妻は離れた町に戻るのだが、夫人は、人里離れた屋敷には”闇”が訪れると説明する。 その後、別の被験者であるセオドラ”テオ”(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)が現れネルに挨拶して、ダドリー夫人は彼女に同じ説明をする。 ネルとテオは屋敷内を見て回り、そこにもう一人の被験者ルーク・サンダーソン(オーウェン・ウィルソン)、そしてマロー、助手のメアリー・ランベッタ(アリックス・コロムゼイ)とトッド・ハケット(トッド・フィールド)が現れ、一同は顔を合わせる。 食事を済ませたマローは、三人の被験者に知覚認識テストを始める。 マローは、織物業で財を成した、実業家ヒュー・クレインが建造したヒル・ハウスについて説明を始める。 子供の笑い声に満ちた家庭を望んだクレインだったが、死産で子供を亡くしてしまう。 それでも子供部屋などを増やし続けたクレインは、妻にも先立たれるのだが、町の住民は、屋敷にいないはずの子供の声を聞いたということだった。 マローは笑いながら話を終えるのだが、何かを感じるというメアリーは、切れたピアノ線で顔に傷を負いトッドが病院に連れて行く。 マローは、クレインの妻が自殺だったことをルークに伝え、彼はそれをネルとテオに話す。 三人の様子を記録したマローは、眠れずにいたルークに廊下で出くわす。 ネルは物音で目が覚め、テオの叫び声を聞き彼女の部屋に向かう。 部屋の温度が急激に下がり、何者かがドアを開けようとするもののネルが鍵をかけ、そこにルークが現れる。 ドアの向こうの部屋を調べたルークは、何もないことを確認して、三人は、物音を聞かなかったとマローに言われる。 その後、エレノアの部屋に現れた子供の霊は、自分達を見つけて欲しいことを彼女に伝えて姿を消す。 翌日、その件をルークに話したネルは、マローが何かを企んでいると考える彼から、それを突き止めると言われる。 ホールの暖炉に現れた霊に驚いたネルだったが、マローとルークがその場を調べ異常はなかった。 しかし、階段の上に書かれた”おかえりエレノア”という文字をルークが見つける。 三人は誰が書いたかで口論になり、マローは動揺するネルを朽ち果てた温室に連れて行き落ち着かせる。 その夜、子供の声と血の足跡に誘われたネルは、クレインの書斎で、織物工場で死んだ子供達の記録を見つけて部屋に持ち帰る。 それをテオに話したネルは、死んだ子供達が、これを自分に知らせたかったのだと気づき、恐れを忘れてその真相を探ろうとする。 ネルは、子供の霊が即反応したために驚き、翌朝、マローが自分達観察するテープを聴く。 マローを疑うテオとルークに、彼が奇怪な現象に関係しないことを伝えたネルは、温室で首を吊ったクレインの妻の姿を見てしまいその場から走り去る。 書斎に向かったネルは、クレインの二番目の妻キャロリンが、ホールの暖炉と関係していることに気づく。 暖炉の下の灰の中から人骨を見つけたネルは、クレインが子供達を殺したことをマローらに伝える。 クレインがこの屋敷にいると言って動揺するネルを落ち着かせたマローは、今回の実験が、集団恐怖心理を調べるものだったことを三人に知らせる。 マローは、恐怖を与えようとしたことは事実だが、全て錯覚だと言って取り乱すネルを説得する。 実験を止めて三人を帰すことを考えるマローだったが、真相を確かめるべきだと言ってネルは納得しない。 今回の実験を後悔したマローはテオに責められ、暖炉の人骨を調べようとするが、その場の扉が開かない。 ベッドで休んでいたネルは、クレインの霊に襲われてその場を逃れ、再び現れた子供の霊に助けを求められる。 テオはそれに気づき、マローとルークを伴い温室にいたネルを見つける。 マローは何んとかネルを助けるが、温室でクレインの霊に襲われる。 クレインの霊はネルの前に現れ、叫び声を聞いたマローらは彼女を助けて屋敷を出ようとする。 鍵がかかった門をルークが開けようとしている間、マローは、ネルが自分からの電話を受けて実験に参加したということに対し、それを否定して驚く。 ルークは車で門を突破しようとするものの失敗し、ネルは子供達に誘われて屋敷に戻ってしまう。 ネルをキャロリンの部屋で見つけたマローらは、この場が曽々祖母の部屋であり、自分の居場所であると彼女から言われる。 クレインを退治するというネルは、マローらを外に出そうとするものの、彼らは閉じ込められてしまう。 ルークはクレインの肖像画を傷つけたため、暖炉に引きずり込まれて殺される。 キャロリンから代々伝わるブレスレットを身につけていることで、自分が守られていると悟ったネルは、クレインに対して戦いを挑む。 ネルはクレインを追い払い、子供達の霊と共に天に昇る。 その後、妻と共に屋敷に現れたダドリーは、門の鍵を開けながら、答えは出たかをマローに尋ねる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
11年間、母親の介護を続けたエレノア”ネル”ヴァンスは、母親の死後、不眠症治療事件の被験者に採用される。
研究を続けるデヴィッド・マロー博士は、ネル、テオ、ルークの被験者を”ヒル・ハウス”と呼ばれる広大な屋敷に呼び寄せて実験を始める。
屋敷は、織物業で財を成したクレインが、幸せな家庭を築くために建てられた。
クレインは、子供や妻を亡くすものの、町の人々は、屋敷から子供達の声が聞こえると噂した。
やがて、ネルは物音や異変に気づき、彼女の前に現れた子供の霊に助けを求められる・・・。
_________
「スピード2」(1997)で酷評されたヤン・デ・ボンが、自ら製作、脚本も担当し、一流のスタッフ、キャストで製作した意欲作。
しかし、SFXを駆使した映像も平凡で、恐怖感も物足りず、集団恐怖心理を調べるという実験の目的も今一曖昧な、中途半端な仕上がりとなっている。
被験者役の二人、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとオーウェン・ウィルソンが演ずるような役柄であったかも疑問だ。
オーウェン・ウィルソンは、まだ本領を発揮していたとは言えない時期であり致し方ないところだろうか。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズやヤン・デ・ボンはラジー賞にノミネートされてしまい、批評家、観客の評価も最悪に近い作品ながら、北米興行収入は約9100万ドル、全世界では約1億7700万ドルのヒットとなった。
存在感を発揮するリーアム・ニーソンではあるが、先祖に関係する怪奇事件のた主人公は、被験者のリリ・テイラーで、彼はややサポート的な役に徹しているため、ファンには物足りない。
被験者を熱演するリリ・テイラー、同じくキャサリン・ゼタ=ジョーンズとオーウェン・ウィルソン、屋敷の管理人ブルース・ダーンとマリアン・セルデス、実験助手アリックス・コロムゼイとトッド・フィールド、主人公の姉役でヴァージニア・マドセンが冒頭のみ登場する。