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ヘイトフル・エイト The Hateful Eight (2015)

賞金稼ぎの2人の男と賞金首の女が休息のために立ち寄った店で待ち構えていた者達と繰り広げる騒動を描く、監督、脚本クエンティン・タランティーノ、主演サミュエル・L・ジャクソンカート・ラッセルジェニファー・ジェイソン・リーウォルトン・ゴギンズティム・ロスマイケル・マドセンブルース・ダーンデミアン・ビチル他共演のミステリー・バイオレンス・ウェスタン。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督:クエンティン・タランティーノ

製作
リチャード・N・グラッドスタイン
ステイシー・シェア
シャノン・マッキントッシュ
製作総指揮
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
ジョージア・カカンデス
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
音楽:エンニオ・モリコーネ

出演
マーキス・ウォーレン:サミュエル・L・ジャクソン
ジョン・ルース:カート・ラッセル
デイジー・ドメルグ:ジェニファー・ジェイソン・リー
クリス・マニックス:ウォルトン・ゴギンズ
ボブ/マルコ:デミアン・ビチル
オズワルド・モブレー/ピート・ヒコックス:ティム・ロス
ジョー・ゲージ/グラウチ・ダグラス:マイケル・マドセン
サンディ・スミザーズ:ブルース・ダーン
O.B.ジャクソン:ジェームズ・パークス
ミニー・ミンク:デイナ・グーリエ
6頭馬ジュディ:ゾーイ・ベル
エド:リー・ホースリー
スイート・デイヴ:ジーン・ジョーンズ
チャーリー:キース・ジェファーソン
チェスター・チャールズ・スミザーズ:クレイグ・スターク
ジェマ:ベリンダ・オウィノ
ジョディ・ドメルグ:チャニング・テイタム
ナレーター:クエンティン・タランティーノ

アメリカ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2015年製作 168分
公開
北米:2015年12月25日
日本:2016年2月27日
製作費 $44,000,000
北米興行収入 $54,116,190
世界 $155,760,120


アカデミー賞
第88回アカデミー賞

・受賞
作曲賞
・ノミネート
助演女優(ジェニファー・ジェイソン・リー
撮影賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー

● 第1章 レッドロックへの最後の駅馬車

南北戦争後、ワイオミング
元騎兵隊の少佐で賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)は、レッドロック行きの駅馬車を止める。

御者のO.B.ジャクソン(ジェームズ・パークス)に乗れるかと尋ねたウォーレンは、駅馬車を貸し切っている者に訊くようにと言われる。

”首吊り人”と言われる賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)から、銃を岩の上に置き近づくようにと言われたウォーレンは、面識のある彼に、レッドロックに賞金首を運ぶところだと伝える。

連れている女デイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)が1万ドルの懸賞金なので、奪われる恐れがあるために乗せたくないと言われたウォーレンは、捕えた3人で8000ドル稼げるので、それで十分だと伝えてルースを信用させる。
...全てを見る(結末あり)

運ぶ3人の手配書を確認したルースは乗せることにして、銃はO.B.に預けるようにとウォーレンに指示する。

黒人を乗せることに不満を訴えるデイジーを殴ったルースは、3人を馬車に積むのを手伝ってほしいとウォーレンから言われるが、手錠で繫がれているので無理だと伝える。

駅馬車は出発し、相手を殺さずに吊るすことを楽しことで、ルースが”首吊り人”と呼ばれることをウォーレンから知らされたデイジーは、ルースを侮辱したために再び殴られてしまう。

リンカーン大統領と文通していたというウォーレンに、手紙を見せてほしいと頼んだルースは、命の恩人なので構わないと言われる。

手紙を渡されたルースは、それを読んで感激し、その価値をデイジーに伝える。

しかし、デイジーは手紙に唾を吐き、憤慨したウォーレンが彼女を殴る。

デイジーが馬車から落ちたためにルースも落下し、ウォーレンはO.B.に声をかけて馬車を止めさせる。

転倒したルースは手錠を外し、ウォーレンは手紙を見つけて、自分を侮辱するデイジーを罵倒する。

O.B.から誰かが歩いてくると言われたルースは、賞金を狙うウォーレンの仲間だと考える。

それを否定するウォーレンだったが、ルースから、手錠をはめなければ殺すと言われ仕方なく従う。

● 第2章 ロクデナシ野郎

近付いてきた男クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)に、銃をO.B.に渡すよう指示したルースは、彼が、悪名高き南部の”マニックス略奪団”のリーダーの末息子だと気づく。

馬が脚を折ったために仕方なく撃ち殺したと言うマニックスは、行き先であるレッドロックの新任保安官だと伝える。

それを信じないルースは、レッドロックに行けば証明できるとマニックスから言われる。

馬車の上の死体を見て賞金稼ぎだと気づいたマニックスは、ルースが有名な”首吊り人”で、有名なウォーレンのことも知っていたため、賞金を渡すのは、新任保安官の自分だと二人に伝える。

ルースから手錠をかけろと言われたマニックスはそれを拒み、新任保安官のことを知っているO.B.に、ルースが自分を凍死させたと町民に話すようにと伝える。

ウォーレンの手錠を外し、O.B.に銃を返すよう指示したルースは、マニックスをから互いの賞金首を守るためにウォーレンと手を組む。

仕方なくマニックスを乗せたルースは先を急がせ、つまらないことを話す彼を黙らせる。

南部の黒人狩りを逃れたウォーレンの懸賞金が3万ドルだと言うことを話すマニックスは、捕えられていた捕虜収容所から逃げた方法をウォーレンに説明させる。

その場を燃やしたと言うウォーレンの話を聞いたルースとデイジーは笑うが、47名もの新兵が焼死したことをマニックスは伝える。

それで賞金がかけられたのだが、何と北軍兵まで焼死していたことが分かり、ウォーレンが入隊したのは白人を殺すためだと判断され、殺人鬼と呼ばれ、騎兵隊から追放されたとマニックスは話す。

真実なら騎兵隊が銃殺するはずだと言うルースだったが、証明できなかっただけで、大問題になるものの、大量の先住民を殺した輝かしい戦績で見逃されたとマニックスは伝える。

略奪団の息子が戦争中の他人の行為に口出しできる立場でないと言うルースだったが、無条件降伏に反対した父親は、尊厳のために戦ったとマニックスは反論する。

その考えでいくつ黒人の町を襲撃したかをマニックスに尋ねたウォーレンは、黒人批判をするならO.B.の横に座れと言って銃を向ける。

そんな気はないと伝えたマニックスは、話を止めて眠る。

● 第3章 ミニーの紳士服飾店

吹雪が迫る中、駅馬車は休息のためにミニーの紳士服飾店に到着する。

現れたメキシコ人のボブ(デミアン・ビチル)は、先に別の駅馬車が着いたことをO.B.に知らせて、店主のミニー・ミンク(デイナ・グーリエ)とスイート・デイヴ(ジーン・ジョーンズ)は留守で、店を任されていると伝える。

吹雪の前に馬を馬小屋に入れるようボブに指示したルースは、ウォーレンとマニックスに手伝わせろと言って店に入る。

蹴破って入れと、中にいたオズワルド・モブレー(ティム・ロス)から言われたルースは、ドアに鍵がないので釘で板を打ち付けろと指示される。

モブレーと話したルースは、新任保安官と一緒だと言うデイジーの話を否定し、賞金稼ぎだと伝える。

女を誘拐した悪党の可能性があるため手配書を見せるようにと言われたルースは、モブレーの名前を訊き手配書を見せる。

手配書を確認したモブレーは、”生死を問わず”であれば、敵意のあるデイジーを殺して運んだ方が楽ではないかと問うが、ルースは絞首刑にこだわる。

自己紹介したモブレーは、この地方の絞首刑執行人だと伝えてルースに名刺を渡す。

馬を馬小屋に入れたO.B.とマニックスは、吹雪になることを考えて、厠までロープを張る。

絞首刑執行における正義についてなどの話をモブレーから聞かされたルースは、黙って何かを書いているカウボーイ、ジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)に近づく。

自分の人生の物語を書いていると言うゲージに、ここに来た物語を話すよう指示したルースは、レッドロックに向かう理由を訊く。

目的地はレッドロックではなく町の15キロほど先で、カウボーイとして長旅を終えて母親の元に向かうと言うゲージは、生まれて初めてまともな仕事が出来て金も稼げたと話す。

母親とクリスマスを過ごすと言うゲージに、そんな男には見えないと伝えたルースは、人は見かけによらないと話す彼に、デイジーには近づくなと警告する。

椅子に座る物静かな老人サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)から南軍の将軍だと言われたルースは、彼が話したくない様なので構わないと伝える。

O.B.とマニックスが戻り、ドアを蹴破って釘で止めろと皆が指示する。

ルースから、モブレーがレッドロックの死刑執行人だということを知らされたマニックスは、新任保安官だと言って挨拶をする。

それは嘘だと言うルースを無視するようにと伝えたマニックスは、前任の保安官を殺した男の死刑執行指示書をモブレーから見せてもらう。

馬小屋の黒人も賞金稼ぎだとマニックスから言われたモブレーは、彼らが5人だということを確認して、楽しくなりそうだと話す。

リンカーンの手紙のことをマニックスに尋ねたモブレーは、納屋の黒人が持っているとルースから言われる。

それを知ったモブレーとマニックスは、黒人が大統領の手紙を持っていることに驚く。

手伝ってくれたボブから、ミニーが母親に会いに行って留守だと言われたウォーレンは、彼女に母親がいることを疑問に思う。

店を任されたと言うボブの話も妙だと思ったウォーレンは、ミニーは感傷的ではないし、椅子に座り離れようとしないスイート・デイヴが出かけたこともおかしいと伝える。

ウォーレンとボブは牽制し合いながら、店に向かう

スミサーズを知っているマニックスは驚き、マニックス略奪団のマニックス大尉であることを伝えて敬意を表する。

数年前にレッドロックで死んだ息子チェスター・チャールズ(クレイグ・スターク)のことを話すスミサーズは、買った墓に立てる墓碑の件で町に向かうことをマニックスに伝える。

亡くなっていないのではないかと言うマニックスは、森で暮らしている可能性を指摘するが、目的を果たしていれば家に戻るはずだとスミサーズは話す。

ボブと共に店に入ったウォーレンは、帽子を被っている者が大勢だと言いながら、”店内では帽子を被るな”というミニーのルールは、彼女が留守中でも守らせるはずだと伝える。

今日は吹雪なので勘弁してくれとボブから言われたウォーレンは、床に落ちていたジェリービーンズと、高い場所にあるその入れ物が一つないこに気づく。

スミサーズがいることを知ったウォーレンは、互いに戦った”バトンルージュの戦い”の話をする。

黒人嫌いのスミサーズは、北軍の軍服姿の黒人など認めないと言うが、自分が捕えた黒人部隊が一人も収容所にたどり着けなかった話をウォーレンから聞かされる。

その場で射殺したと言うスミサーズと一触即発になったウォーレンは、モブレーに制止される。

丸腰の老人を射殺すれば、死刑を執行しなければならないとモブレーから言われたウォーレンは、階段から蹴落とすならいいが銃撃はまずいとルースからも忠告される。

モブレーは、店を北軍南軍に分けることを提案する。

北軍側のルースは、相手側の1人は正体を偽っていると言って、デイジーの仲間だと考える。

賞金1万ドルが懸かっているデイジーは自分のものだというルースは、それに異論がある者がいるかと訊き南軍側を牽制する。

誰も何も言わないものの信用しないというルースは、ウォーレンと共にゲージを脅して銃を奪う。

抵抗しないモブレーから銃を受け取ったルースは、厠の桶を空にしてこいとO.B.に指示する。

出来上がったシチューを食べながら、女を絞首刑にできる神経を疑うとマニックスから言われたモブレーは、銃で悪事をする限り、女でも容赦なく吊るすと伝える。

悪党は吊るすべきだと言うルースは、戻ったO.B.から、吹雪の中に出したことを非難される。

リンカーンの手紙の話を始めたマニックスは、大統領と文通したというウォーレンの話を聞いて笑ってしまう。

卑怯者と言われて騎兵隊に追われた黒人が、大統領と友達になれると思うかとルースに尋ねたマニックスは、ここにいる誰もが無理な話で、特に黒人は相手にされるはずがないと言ってウォーレンを侮辱する。

嘘なのかとルースから訊かれたウォーレンは、当たり前だと答える。

手紙は白人の警戒を解くために効果的だと言うウォーレンは、ショックを受けるルースに、お陰で駅馬車に乗れたと伝えて席を立つ。

ウォーレンは、共に戦場で戦ったスミサーズにシチューを渡し、離れろと騒ぐマニックスを黙れせて、将軍の許可を取り向いの椅子に座り、食事をしながら戦争後の話をする。

熱病で亡くなった妻の話などをしたスミサーズは、ウォーレンから、息子のことを知っていたと言われる。

いつ息子が死んだか知っていると伝えたウォーレンは、それを知りたいと言われたため、自分が会った日だとスミサーズに伝えて、銃をその場に置く。

息子チェスターは手配書の黒人を追って現れ、賞金5000ドルを目当てに他にも何人も来たが、相手が自分なので仕留められなかったとウォーレンは話す。

チェスターは命乞いして話し始め、それに父親も登場したのでスミサーズを知ったと話すウォーレンは、楽しんでやろうと思ったと伝える。

マニックスは、チェスターを知らないはずだと言ってウォーレンを罵倒する。

チェスターを殺した時のことを話したウォーレンは、彼を全裸にして2時間ほど雪山を歩かせ、倒れた彼から毛布がほしいと言われたと伝える。

ウォーレンは、寒さに震えるチェスターが、毛布がほしいために自分の性器をくわえたとスミサーズに話す。

毛布は渡さなかったと言うウォーレンは、チェスターの過ちは父親の名前を話したことだと伝え、銃をとったスミサーズを射殺する。

● 第4章 ドメルグには秘密がある

ゲージとO.B.はスミサーズの死体を外に運び、マニックス、ルース、モブレーは、正当防衛殺人の正当性を話し合う。

正当防衛を確信するウォーレンは、3人を無視して一人で酒を飲んでいた。

手錠を外されたデイジーはテーブルに座っていたのだが、スミサーズが射殺される直前に、コーヒーに毒を入れた者を目撃していた。

ルースの許可を得たデイジーは、ギターを弾いて歌う。

戻ってきたO.B.にコーヒーを注いだルースは、自分もそれを飲みながら彼女の歌を聴く。

”ルースは死んで自分はメキシコに逃げる・・・”と歌うデイジーに憤慨したルースは、カップを投げ捨ててギターを壊し、彼女を手錠に繫ぐ。

マニックスがコーヒーを注ぎ飲もうとした瞬間、ルースとO.B.は吐血する。

デイジーを殴ったルースは、マニックスにコーヒーだと伝える。

襲い掛かるルースの銃を奪ったデイジーは、吐いた血を浴びながら彼を射殺する。

デイジーから銃を奪ったウォーレンは、皆を壁に並ばせて、マニックスを呼んで拳銃を渡し、コーヒーを飲もうとしたので毒殺犯ではないだろうと伝える。

犯人は残りの3人、ボブ、モブレー、ゲージの内の誰かだというウォーレンは、手錠の鍵を探したデイジーからそれを奪う。

騒ぐデイジーを黙らせたウォーレンは、誰が彼女と組んでるかを考える。

シチューも疑問に思うウォーレンは、間違いなくミニーの味なのだが、1週間前から彼女が出かけているのなら、なぜ今朝シチューを作れたのかを3人に問う。

スイート・デイヴの愛用する椅子もここにあるのがおかしいと言うウォーレンは、隠されていた背もたれの彼の血痕を確認する。

スミサーズを射殺した時にピアノを弾いていたボブは毒を入れた者とグルで、ミニーとスイート・デイヴを殺したはずだとウォーレンは推察する。

ミニーを手伝って4か月だと言うボブに、彼女が”メキシコと犬はお断り”という看板を掛けていたと話したウォーレンは、それがなぜ外されたかを問い、大切な店を毛嫌いしているメキシコ人に任せるはずがないと伝える。

ウォーレンは、容赦なくボブを射殺する。

モブレーとゲージに、今直ぐ毒を入れたことを白状しなければ、コーヒーをデイジーに飲ませると言うウォーレンは、自分が入れたとゲージが白状した直後に、床下に隠れていた何者かに股を撃たれる。

振り向いたマニックスを撃ったモブレーは反撃されて銃弾を受け、ゲージは丸腰だとマニックスに伝える。

傷みに苦しむウォーレンは、叫び声をあげる。

● 第5章 4人の乗客

その日の朝。
御者のジュディ(ゾーイ・ベル)とエド(リー・ホースリー)は、4人の乗客を乗せた駅馬車を、休息のためにミニーの店に止める。

店で働くチャーリー(キース・ジェファーソン)から、中に客が一人いると言われたエドは、満員なので次の駅馬車にしろと伝え、乗客4人をミニーに紹介するようジュディに指示する。

4人にミニーと使用人のジェマ(ベリンダ・オウィノ)を紹介したジュディは、軍服の老人(スミサーズ)は知らないが、向いに座っているのはスイート・デイヴだと伝える。

モブレー、ゲージ、ボブ、そしてジョディ・ドメルグ(チャニング・テイタム)は、ミニーに挨拶して体を温める。

居座るスミサーズにミニーが迷惑しているらしいとジュディから言われたエドは、ミニーに話しを聞くことにする。

ミニーに紳士的に接するジョディは彼女にタバコを巻いてもらい、ボブは、スミサーズとスイート・デイヴのチェスに興味を示す。

ゲージから合図されたモブレーは、ジェマにジェリービーンズがほしいことを伝える。

ミントを5本ミニーから売ってもらったゲージは、ジュディに1本渡して、なぜ”6頭馬のジュディ”と言われるのかを尋ねる。

6頭の馬を御せるのは自分だけだと答えるジュディに、バカな質問をしてしまったっと言ってゲージは笑う。

ジェマが高い場所にあるジェリービーンズを取るのを手伝ったモブレーは、ジョディに合図して銃に手をかけ、ゲージとボブも同じように構える。

コーヒーができたと言うミニーからそれを注いでもらった直後に、ジョディは彼女とエドを、ゲージがジュディを、モブレーはジェマを銃撃する。

入ってきたチャーリーを銃撃したボブは、スイート・デイヴをナイフでめった刺しにする。

無事だったチャーリーは、その場から逃げて裏に向かう。

貫禄があるスミサーズは使えるとボブから言われたモブレーは息のあったジェマを、ゲージはジュディに止めを刺す。

外に出たゲージは、隠れていたチャーリーを射殺する。

スミサーズと話したジョディは、姉を鎖につないだ男が現れると話し、レッドロックで彼女を絞首刑にするつもりの男が、1万ドルを手に入れようとしていることを伝える。

男を殺し姉を救うつもりだと話すジョディは、黙って椅子に座っているよう指示し、それに従えば解放するという話でスミサーズと手を打つ。

その後ジョディらは、死体を隠して馬を馬小屋に運び、店を掃除して銃を隠し、ルースとデイジーの到着を待つ。

やがて駅馬車は到着し、計画の成功を祈ったジョディは床下に隠れる。

外に出たボブが店を任されていると伝えて対応し、モブレー、ゲージ、そしてスミサーズは、店に入ろうとするルースに、ドアを蹴破るよう指示する。

● 最終章 黒い男 白い地獄

痛みに耐えるウォーレンを気遣うマニックスは、床下に隠れている者に、出てこないとデイジーを撃つと言って脅しをかける。

扉を開けたジョディに銃を投げるよう指示したウォーレンとマニックスは、両手を上げて出てくるようにと伝える。

弟のジョディに微笑んで声をかけたデイジーだったが、彼はウォーレンに射殺されてしまう。

ウォーレンは、ゲージに床の扉を締めさせる。

苛立つデイジーは、自分達がギャング団だと話し、ウォーレンは、ボスのジョディが賞金5万ドルで、あとは1万ドルだとマニックスに話す。

デイジーは手下の15人が来ると言って、それがレッドロックで待機していることをゲージが伝える。

自分達が失敗した場合は、その15人が町を破壊してルースを殺しデイジーを救う計画だとゲージは話す。

ジョディが死んだため自分がボスだと言うデイジーは、マニックスと取引しようとする。

それを聞いたマニックスは、ウォーレンを殺して2日間過ごし、自分はメキシコに逃亡するのでレッドロックで保安官になるようにとデイジーから言われる。

1万2000ドルの賞金のボブ、本名マルコの死体をやると言うモブレーは、自分が死んだ場合は1万5000ドルの賞金も手に入れられると、本名はピート・ヒコックスだとマニックスに伝える。

グラウチ・ダグラスだと名乗ったゲージのことを知っていると言うウォーレンは、賞金は1万ドルでデイジーと同じだと話す。

全員を殺して金に換えることを考えたマニックスだったが、雪がやめばレッドロックから手下の15人が来るので無理だとデイジーから言われる。

どう考えても逃げられないと言うデイジーは、ウォーレンを殺すようマニックスに指示する。

デイジーの足を撃ったウォーレンは、自分を撃てとマニックスに指示したモブレーを射殺する。

ゲージは、テーブルの下に隠してあった銃を手にするが、ウォーレンとマニックスに射殺される。

デイジーも撃とうとしたウォーレンは弾が切れたため、マニックスに銃をよこせと言うが、彼はそれに従わない。

2日間待ち雪がやんだらギャング団と共にメキシコに逃げることをデイジーに確認したマニックスは、モブレーとゲージをもらうと言って、5万ドルの賞金のジョディの話もする。

ウォーレンから、取引する気かと訊かれたマニックスは、話しているだけだと答える。

ジョディの死体は子供達のために持ち帰ると言うデイジーに、ウォーレンを殺せば解決することを確かめたマニックスは、取り引きはしないと伝える。

15人の手下のことは信じないと言うマニックスは、問題は、ゲージがコーヒーに毒を入れたのを知っていながら黙っていたことだとデイジーに伝える。

自分がそれを飲もうとしても何も言わなかったデイジーを責めるマニックスは、ギャング団も信じられず、仲間は誰も死んだ彼女を相手にしない。

あくまで手下が襲ってくると言うデイジーに、父親が率いた略奪団の話を興奮しながら語ったマニックスは、貧血で気を失ってしまう。

デイジーはルースの死体を引きずり、壁に掛けてあった剣で彼の腕を切断して銃に近づく。

ウォーレンに呼びかけられたマニックスは意識を取り戻し、死んでいないと言いながらデイジーを銃撃する。

デイジーを撃ち殺そうとしたマニックスを制止したウォーレンは、ルースに命を救われたことを思い出すようにと伝える。

自分達は間違いなく死ぬが、デイジーをどう殺すかを考えるべきだと言うウォーレンは、撃ち殺さずに、”首吊り人”に捕まった者は吊るすべきだとマニックスに提案する。

デイジーを吊るしたウォーレンとマニックスは満足するが、力尽きそうになる。

マニックスから、リンカーンの手紙を見たいと言われたウォーレンは、それを渡す。

大統領が友情を示す内容と、妻メアリー・トッドが登場する締めくくりもいい出来だと言うマニックスの言葉に、ウォーレンは満足する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
南北戦争後、ワイオミング
雪山で駅馬車を止めた騎兵隊の元少佐で賞金稼ぎのマーキス・ウォーレンは、”首吊り人”と言われる同じ賞金稼ぎのルースが連れる女デイジーと、現れた町の新任保安官だと言うマニックスと共に目的地のレッドロックに向かう。
吹雪が近づくためにミニーの服飾店に寄ったウォーレンらは、留守のミニーから店を任されたメキシコ人のボブに迎えられる。
店には、前の駅馬車で着いた死刑執行人のモブレー、カウボーイのゲージ、そして南軍の将軍スミサーズがいたのだが、ミニーや店に詳しいウォーレンは、様子がおかしいことに気づく・・・。
__________

雪深い店に集った駅馬車の乗客が繰り広げる、賞金稼ぎの私欲と悪党の企みが絡む、監督、脚本クエンティン・タランティーノ、豪華キャスト競演によるミステリー・バイオレンス・ウェスタン。

二人の賞金稼ぎの男と賞金首の女という組み合わせで始まる物語は、重量級のサミュエル・L・ジャクソンカート・ラッセルの登場だけで満足感があり、二人に引けを取らないインパクトのあるじゃじゃ馬ぶりを発揮するジェニファー・ジェイソン・リーの存在が、また二人を際立たせる。

そして、駅馬車の乗客を装うものの、平凡な男には思えない者達が絡んでくるあたりから、ミステリアスな雰囲気に突入する。

70mmフィルムで撮影された映像を生かしたスケール感のあるガンプレー、更にはいかにもクエンティン・タランティーノらしい、ふんだんに盛り込まれたバイオレンス・シーン、巧みに練られた脚本など、見所満載、見応え十分の作品に仕上がっている。

第88回アカデミー賞で作曲賞を受賞した、80歳半ばとは思えないエンニオ・モリコーネの雰囲気ある音楽も素晴らしい。
同賞では、助演女優(ジェニファー・ジェイソン・リー)と撮影賞にノミネートされた。

北米興行収入は約5400万ドルに終わるものの、全世界では1億5600万ドルのひっととなった。

差別に遭いながらも戦功を残して戦後、賞金稼ぎとなり、たまたま駅馬車に拾われたことから事件に巻き込まれるサミュエル・L・ジャクソン、同じ賞金稼ぎで”首吊り人”の異名をとるカート・ラッセル、彼に連行される賞金首の女を熱演するジェニファー・ジェイソン・リー、新任保安官だという略奪団一家の息子をいい味で演ずるウォルトン・ゴギンズ、ギャング団の一味だったメキシコ人のデミアン・ビチル、その仲間である死刑執行人を装うティム・ロス、同じく仲間でカウボーイを装うマイケル・マドセン、事件に巻き込まれる南軍の将軍ブルース・ダーン、駅馬車の御者ジェームズ・パークス、服飾店の女店主デイナ・グーリエ、6頭の馬を御すという駅馬車の御者ゾーイ・ベル、同じく御者のリー・ホースリー、店で椅子に座っている男性ジーン・ジョーンズ、店の使用人キース・ジェファーソンとベリンダ・オウィノ、将軍の息子クレイグ・スターク、ギャング団のボスでデイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)の弟チャニング・テイタム、そして、ナレーターをクエンティン・タランティーノが担当している。


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