幸せな家族を逆恨みの復讐鬼が襲う戦慄のサスペンス。 監督カーティス・ハンソン、主演アナベラ・シオラ、レベッカ・デモーネイ、マット・マッコイ、アーニー・ハドソン、ジュリアン・ムーア共演。 |
・ジュリアン・ムーア / Julianne Moore / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:カーティス・ハンソン
製作:デイヴィッド・マデン
製作総指揮
テッド・フィールド
リック・ジャファ
ロバート・W・コート
脚本:アマンダ・シルヴァー
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ジョン・F・リンク
音楽:グレーム・レヴェール
出演
アナベラ・シオラ:クレア・バーテル
レベッカ・デモーネイ:ペイトン・フランダース/モット夫人
マット・マッコイ:マイケル・バーテル
アーニー・ハドソン:ソロモン
ジュリアン・ムーア:マリーン・クレイヴン
マデリン・ジーマ:エマ・バーテル
ジョン・デランシー:ヴィクター・モット医師
ミッチェル・ローランス:弁護士
アメリカ 映画
配給 ハリウッド・ピクチャーズ
1992年製作 110分
公開
北米:1992年1月10日
日本:1992年4月
北米興行収入 $88,036,680
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1991年。
遺伝子工学の研究所で働く、マイケル・バーテル(マット・マッコイ)と妻クレア(アナベラ・シオラ)、娘のエマ(マデリン・ジーマ)は、ごく普通の幸せな一家だった。
ある日、福祉協会から派遣された、障害を持つソロモン(アーニー・ハドソン)が、庭の柵作りにバーテル家を訪ねる。
ソロモンを侵入者と間違え驚いたクレアだったが、事情が分かり、早速、彼に柵作りを頼む。
その後クレアは、二人目の子供を出産する準備のため産婦人科に向う。
診察を受けたクレアは、担当医ヴィクター・モット医師(ジョン・デランシー)から異常な行為を受ける。
喘息の持病があるクレアはショックを受け、マイケルに相談してモット医師を訴えようとするが、同様の被害が数件発覚した医師は自殺してしまう。
モット医師の妻(レベッカ・デモーネイ)は、遺産や保険金、さらに屋敷などが、夫の告訴により差し押さえられたことを知り、ショックで倒れてしまう。 その後、妊娠中の彼女は流産し、子供の産めない体になってしまう。 そして彼女は、クレアが医師会に話したことがきっかけで、患者達が告訴したことを知る。 半年後。 マイケルは、クレアに楽をさせようとベビーシッターを雇う提案をする。 ソロモンには無理だと放すクレアに、娘エマは、柵を作り終わったソロモンの、の後を尋ねる。 マイケルは、ソロモンを気に入っているエマのために、彼には別の仕事を与えることを約束する。 そんな時、クレアの元にペイトン・フランダース(レベッカ・デモーネイ)という女性が現われ、紹介所を通さずにベビーシッターとして働きたいことを伝える。 夫や子供を亡くし、さらに子供が産めない体になったというペイトンにクレアは同情する。 クレアにペイトンを紹介されたソロモンは、彼女の眼差しに殺気を感じる。 ペイトンは、クレアから夕食に誘われ、マイケルにも気に入られた彼女は、モット医師の妻だとは知られないまま、バーテル家に住み込みで雇われることになる。 その後、夜中にジョーに近づいたペイトンは授乳を始め、夫妻が留守中にエマの心も捉えていく。 クレアの旧友のマリーン・クレイヴン(ジュリアン・ムーア)は、出かけた際に”ゆりかごを揺らす手は世界を支配する手”という”ウィリアム・ロス・ウォレス”の詩を引用し、ペイトンに実権を握られないようにと、冗談を交えてクレアに忠告する。 ジョーを連れた散歩中に、ペイトンは、学校でエマをいじめた男の子を脅してエマの信頼を得る。 ペイトンは、クレアのバッグからマイケルの論文を盗み出して破り捨ててしまう。 それに気づき動揺したクレアが、喘息だということをペイトンは知る。 クレアが、母乳を飲まなくなったジョーの様子を気にする一方、ペイトンが、沈んでいるクレアを励ますため、彼女の誕生パーティーを企画し、それをマイケルに提案する。 そんな時ペイトンは、ジョーに授乳しているところをソロモンに見られてしまう。 その後、ソロモンはペイトンに脅されるが、彼は自分を気遣ってくれる一家を守ろうとする。 ソロモンはマイケルに呼ばれ、ペイトンのことで責められるのかと心配するが、家族から自転車をプレゼントされて感激する。 ペイトンはソロモンを罠にかけ、彼がエマにいたずらしようとしているように見せかけ、彼を追い出すことに成功する。 エマは福祉協会に引き取られるソロモンを見て、クレアを嫌うようになる。 クレアの誕生パーティーを企画することになったマリーンは、どうしてもペイトンの存在が気になる。 ペイトンもそれを察しマリーンを警戒し、マイケルに自分を意識させるような行動もとる。 さらに、マリーンのバッグからライターを盗み、彼女が、初恋の相手だったマイケルと密会しているかのように見せかける。 それを外出先で知ったクレアは、自分の誕生パーティーの準備が整っていることも知らずに、帰宅してマイケルを責め、マリーンも傷つけてしまう。 ペイトンが来て以来、嫌なことが続くクレアは疲れ果て、マイケルに旅行に行く提案をする。 それを知ったペイトンは、クレアが作った温室に仕掛けをして、彼女を殺そうとする。 マリーンは、モット医師の屋敷の売出物件の写真を見て、ペイトンが医師の妻だと確信し、クレアの元に急行する。 クレアの家に着いたマリーンだったが、医師の妻だと知られたことに気づいたペイトンに、クレアが温室にいると言われ、彼女の陰謀で殺されてしまう。 ペイトンは、クレアの喘息の吸引器の薬液を空にしてしまい、彼女の帰りを待つ。 帰宅したクレアは、マリーンの遺体を見て喘息の発作に襲われ、吸引器を探すものの全てが空だと分かり、ついに力尽きて意識を失い、病院に運ばれてしまう。 クレアは一命を取り留めるが、ペイトンはマイケルに迫ろうとする。 しかし、マイケルはそれを拒み、やがて回復したクレアは自宅に戻る。 その頃、ソロモンは、クレア達を守るために家族を監視しエマはそれに気づく。 帰宅したクレアは、マイケルと親しげに話して、自分のブレスレットを付けて、ジョーの部屋の模様替えまでしたペイトンを不審に思い始める。 マリーンの変死に疑問を感じたクレアは、彼女の事務所でモット邸の資料を確認して屋敷に向かう。 クレアは、屋敷の子供部屋が、ジョーの部屋と同じ壁紙だということと、搾乳器もあり、ペイトンがモット医師の妻だと気づく。 帰宅したクレアは、いきなりペイトンを殴り倒し追い出すが、彼女は地下室から忍び込み、マイケルとクレアを襲おうとする。 ペイトンは地下室でマイケルに襲い掛かり、クレアは彼を見つけ、指示に従い警察に連絡しようとする。 しかし、ペイトンはクレアを殴り気絶させてしまう。 ジョーを連れて隠れるエマは、危ういところでソロモンに助けられる。 クレアはペイトンと格闘になるが、クレアは喘息の発作が始まった振りをして、ペイトンに隙を与える。 そして、クレアはペイトンを二階の窓から突き落とし、彼女は転落死する。 クレアは、自分達を救ってくれたソロモンに感謝して、彼にジョーを抱かせる。
...全てを見る(結末あり)
男の子ジョーを出産したクレアは、平穏な生活に戻っていた。
*(簡略ストー リー)
遺伝子工学の研究所で働くマイケル・バーテルと妻クレア、娘のエマは幸せな一家だった。
クレアは、二人目の出産を控え、産婦人科医に通い始めるのだが、担当医のモットに異常な行為を受ける。
クレアはショックを受け、マイケルと共に、モット医師を訴えようとするが、同様の被害が発覚した医師は自殺してしまう。
モットの妻は、遺産、保険金さらに屋敷などが、夫の告訴により差し押さえられたことを知り、卒倒してしまい、妊娠中の彼女は流産し、子供の産めない体になってしまう。
回復したモット夫人は、クレアが医師会に話したことがきっかけで、患者達が告訴したことを知る。
その後、夫人はペイトンと名乗り、子供が産まれたクレアの元にベビーシッターの職を求めて現れる。
クレアは、同世代のペイトンが、家族を亡くし子供を産めない体になったということに同情する。
そして、マイケルにも紹介されたペイトンは住み込みで雇われることになるのだが・・・。
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サスペンスやスリラーには、襲いかかる相手が見えない場合がある。
しかし、本作では、狂気の復讐鬼が身を隠しもせず、生まれたばかりの子供のベビーシッターとして現われるという、恨みを持つ相手に近づくための、その大胆な手段が恐怖を煽る。
しかも、それが美貌の持主レベッカ・デモーネイだというのだから、さらなる効果を上げている。
1865年に発表された、ウィリアム・ロス・ウォレスの詩”The Hand That Rocks The Cradle Is The Hand That Rules The World”、ゆりかごを揺らす手は世界を支配する手”から引用した原題も、作品中ジュリアン・ムーアが、主人公に忠告する場面で使われている。
公開当時、そのショッキングな内容が話題を呼んだ作品でもある。
5年後に、「L.A. コンフィデンシャル」(1997)を発表するカーティス・ハンソンは、いくつもの小道具などを巧みに使い、観客を物語りに引き込む演出を見せる。
実は、絶賛された「L.A. コンフィデンシャル」よりも、北米興行収入が上回っ作品でもある。
(北米興行収入約8800万ドル)
告訴され自殺した医師の妻が、簡単に被害者一家の一員になってしまえるものかという疑問はあるが、とにかく、そのストーリー設定故に、凄まじい女の執念が復讐へとつながっているということを考慮すれば、細かいことは気にならない。
その復讐鬼を演ずるレベッカ・デモーネイの、演技は迫力がある。
「卒業白書」(1983)で共演したトム・クルーズと同棲していたこともある彼女だが、本作がピークで、その後パッとしないのは残念だ。
アナベラ・シオラが、喘息持ちだという設定もアクセントとなり、彼女が度々襲われる発作が、ドラマの緊張感を高めている。
個人的には、アーニー・ハドソンの好演が印象的だ。
微力ながら、一家を守って見せると、涙ながらに誓う、彼の存在は実に頼もしい。
ラストで、福祉協会の規定に違反してまでも、子供を彼に抱かせたいという母親の気持ちが、彼への感謝を物語り、清々しい気分で観終わることができる。
主人公(A・シオラ)の夫のマット・マッコイ、娘のマデリン・ジーマ、実力派らしく、気丈な女性を好演するジュリアン・ムーア、自殺する医師のジョン・デランシーなどが共演している。