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ザ・ガード The Guard (2011)

アイルランド西部を舞台に、FBIと共に麻薬事件を捜査することになった風変わりで奔放な巡査部長の活躍を描く、監督、脚本ジョン・マイケル・マクドナー、主演ブレンダン・グリーソンドン・チードルマーク・ストロングリアム・カニンガム他共演の犯罪コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ

マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジョン・マイケル・マクドナー
製作
クリス・クラーク
フローラ・フェルナンデス=マレンゴ
エド・ギニー
アンドリュー・ロウ
製作総指揮
マーティン・マクドナー
ドン・チードル
レノア・ザーマン
ラルフ・キャンプ
ティム・スミス
ポール・ブレット
デヴィッド・ナッシュ
脚本:ジョン・マイケル・マクドナー
撮影:ラリー・スミス
編集:クリス・ギル
音楽:キャレキシコ

出演
ジェリー・ボイル巡査部長:ブレンダン・グリーソン
ウェンデル・エヴェレットFBI捜査官:ドン・チードル
クライヴ・コーネル:マーク・ストロング
フランシス・シーヒー=スケフィントン:リアム・カニンガム
リアム・オレアリー:デヴィッド・ウィルモット
エイダン・マクブライド:ローリー・キーナン
アイリーン・ボイル:フィオヌラ・フラナガン
イーファ:ドミニク・マクエリゴット
シニード・マリガン:サラ・グリーン
ガブリエラ・マクブライド:カタリーナ・チャス
コルム・ヘネシー:パット・ショート
写真家:ローレンス・キンラン

アイルランド/イギリス/アメリカ 映画
配給
Element Pictures(アイルランド)
Optimum Releasing(イギリス)
ソニー・ピクチャーズ・クラシックス(北米)
2011年製作 92分
公開
アイルランド:2011年7月7日
イギリス:2011年8月19日
北米:2011年7月29日
日本:未公開
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $5,360,270
世界 $19,560,270


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
アイルランドコネマラ
ガルダ・シーハーナアイルランド警察)のジェリー・ボイル巡査部長(ブレンダン・グリーソン)は、新米のエイダン・マクブライド(ローリー・キーナン)が待っていた殺人現場で合流する。

勝手に写真を撮っていた写真家(ローレンス・キンラン)を追い払ったボイルは射殺されている男を調べ始め、マクブライドから、死体に触れてはまずいのではないかと言われれる。

それを無視するボイルは、壁に血で書かれた”5・1/2”という数字の意味についてをマクブライドと推理する。

署に戻ったボイルは、レターモア島の殺人事件の犯人がビリー・デバニーであるという情報を”ボゾ”(リアム・カニンガム)と名のる男からの電話で知らされるものの、相手にしなかった。
...全てを見る(結末あり)

イタリア人のビリーを署に呼んで尋問したボイルとマクブライドは、レターモア島の殺人事件に関連しているかを確認しようとするもののそれを否定される。

ビリーは、病院である男を殴ったと話し、アリバイはあるとボイルとマクブライドに伝える。

施設に入っている母アイリーン(フィオヌラ・フラナガン)の余命が短いことを医師から知らされたボイルは、そのような様子に見えない母に、隠れて酒を飲ませる。

その後パブにいたボイルは、現れたマクブライドから被害者の身元を調べていると言われる。

今夜、FBI捜査官のウェンデル・エヴェレット(ドン・チードル)との会議に出るようにという指示を受けたとも言われたボイルは、それに出席する。

エヴェレットは、3週間前にドミニカを出発した、5億ドル相当のコカインを積んでいると思われる船が姿を消し、関与が疑われているのがダブリン出身のフランシス・シーヒー=スケフィントン(リアム・カニンガム)とリアム・オレアリー(デヴィッド・ウィルモット)、そしてロンドン出身のクライヴ・コーネル(マーク・ストロング)、ジェームズ・マコーミックだと話す。

質問したボイルは、黒人のエヴェレットに対し、密売人は黒人だけではないのかと問う。

意味が分からない様子のエヴェレットに、黒人とメキシコ人だけが密売人だと思っていたと伝えたボイルは、後で回答すると言われる。

質問をやめないボイルは制止され、人種差別発言だと言うエヴェレットに、ふざけただけだと伝える。

5億ドルのコカインが関係する事件の話の最中にふざけるなと言われたボイルは、末端価格のことを訊いていると伝えて、適当な数字を並べているがどこで売れているのかを問う。

スタントン警視正から停職処分にすると警告されたボイルは動じることなく、エヴェレットからは、アトランタで上司にそんな口をきいたら交通課に移動だと言われる。

追うべき犯人は三人で一人は死んでいると言うボイルは、遺体安置所に向かい、殺されたマコーミックの死体をエヴェレットとスタントンに確認させる。

その頃、シーヒーとオレアリーはコーネルが運転する車で移動し、街道でマクブライドに停車させられる。

車を降りた三人がシーヒーらだと分かったマクブライドは、逆に質問されてその場を去ろうとするが、オレアリーに射殺される。

ボイルと車で町に向かうエヴェレットは、不躾で遠慮のない彼が自分のことを調べてあることを知り、一人でディズニー・ワールドに行った話などを聞いて不思議な男だと思う。

自宅に戻ったボイルは、現れた女性(カタリーナ・チャス)がエスコート・サービスだと思うが、夫が行方不明だと言われて部屋に招き入れる。

ガブリエラと名乗る女性はクロアチア出身のマクブライドの妻だと知ったボイルは、明日の夜までに見つからなければ捜査を始めると伝えて彼女を見送る。

翌朝、浜辺をランニングしていたエヴェレットは、ウェットスーツを着て泳いでいるボイルに気づき驚く。

ボイルと朝食を共にしたエヴェレットは、ソウル・オリンピックで4位だったと言う彼の話を信じない。

スラム街で育ったと思われたエヴェレットは、恵まれた家庭環境で育ったことを話し、相変わらず遠慮のないボイルに戸惑いながら、被害者マコーミックの殺害犯人と動機が不明だと伝える。

一緒に捜査を始めると言うエヴェレットだったが、今日は非番だと言うボイルに、コカインが絡む重大事件だと伝えるものの無駄だった。

駅に向かったボイルは、婦人警官に扮した娼婦のイーファ(ドミニク・マクエリゴット)とシニード・マリガン(サラ・グリーン)を迎える。

事件現場の付近の聞き込みを始めたエヴェレットは、言葉が通じないために戸惑い、まったく手掛かりがつかめない。

家に向かったボイルはイーファとシニードと共に激しく愛し合い、彼を満足させた二人はその場を去る。

その後、車で街道を走っていたボイルはマクブライドのパトカーを見つけて、ガブリエラを呼び自殺の可能性があることを伝える。

その場が自殺の名所だと言うボイルに、自殺したとは思えないと伝えたガブリエラは、他殺だとすれば殺意のある者の仕業だと考える彼に、夫は恨まれるような人ではなかったと話す。

警察官なので恨まれる可能性はあると言われたガブリエラは、夫はゲイだったと伝える。

現場で会った者、例えば男娼と何かあったのではないかと思うガブリエラだったが、近辺には男娼はいないと言われ、結婚した理由を訊かれる。

ビザのためだったことを知ったボイルは、ガブリエラから、夫は見た目は普通だったと言われる。

パブに向かったボイルは、何も成果がなく落ち込むエヴェレットに、行方不明になった部下のパトカーが自殺の名所で見つかったことを話す。

マコーミックが殺された後に失踪するのはミ妙だと言うボイルは、とりあえず飲んで考えるとエヴェレットに伝える。

エヴェレットを家に誘い酔ったボイルは、マコーミックを撃ったのはデバニーだという電話をかけてきた男がいることを伝える。

ボイルは、デバニーは病院である男を殴ったというアリバイを主張したと話す。

電話の男はその夜、病院にいたので、デバニーを目撃してマコーミックの犯人にしようと考えたと考えるボイルと共に、監視カメラの映像をチェックするエヴェレットは、シーヒーとコーネルが映っていることに気づく。

翌朝、スタントン警視正を呼んだコーネルは、組んでいた彼に賄賂を渡す。

エヴェレットのオフィスの様子を見に行ったボイルは、ある通報を受けて現場に向かう。

少年ユージーンと道路の荷物を脇に運んだボイルは、それが大量の武器だと知る。

ユージーンが銃を隠していることに気づいたボイルは、彼が持っていた”デリンジャー”を受け取る。

コーネルは、スタントンでも指図できないボイルが邪魔な存在であることを、シーヒーとオレアリーに伝える。

母アイリーンを懺悔に連れて行ったボイルは、FBIコカイン関連の捜査をしていることを話す。

自分もコカインをやれば元気が出るかもしれないと思ったアイリーンは、ドイルからその通りだと言われて、亜硝酸アルミに興味を持っていることを伝える。

驚かないボイルは、長い間、音楽を聴いていないのでケーリーバンドのライブに行きたいと言うアイリーンに今夜、連れて行くと伝える。

カフェでイーファに会ったボイルは、先日、撮った写真のせいで殴られた彼女から、警戒した方がいいと言われる。

そこにシーヒーが現れ、売春婦好きの警官がいると聞いて利用することにしたと言われたボイルは、彼から賄賂を渡される。

ボイルを担当から外したスタントンは、エヴェレットと共にガブリエラに会い、夫が賄賂を受け取った可能性があることを話す。

侮辱されたガブリエラは、ボイルにしか話す気がないためにその場を去る。

IRAのコルム・ヘネシー(パット・ショート)に会ったボイルは、ユージーンが見つけた武器などを渡そうとする。

デリンジャーがないことに気づいたコルムは、ゲイが股間に隠していたと伝えて、ボイルはIRAにゲイがいることに驚く。

武器がなくなっていることで不満を訴えるコルムを、強引に納得させたボイルは、それを持っていかせる。

明日、決行することをコーネルとオレアリーに伝えたシーヒーは、ボイルが金を受け取らなかったために殺そうとする。

その夜ボイルは、ケーリーバンドの生演奏が聴けるパブにアイリーンを連れて行く。

翌日アイリーンは亡くなり、エヴェレットに付き添われて施設で母の荷物をまとめたボイルは悲しむ。

パブでエヴェレットからお悔やみを言われたボイルは、数年前に父親を亡くした彼から、辛い思いをした話を聞く。

ボイルから捜査の進展を訊かれたエヴェレットは、シーヒーらがコークに向かったという情報があると話し、海軍が来たら自分達は現地に向かうことを伝える。

今夜、発つと言うエヴェレットは、ボイルの協力に感謝してその場を去る。

帰宅したボイルは、待ち構えていたオレアリーに銃を向けられ、コークに行ったというのは偽情報だと知らされる。

オレアリーがマコーミックを殺したのは気をそらすためだったと知ったボイルは、”5・1/2”の意味を尋ねるものの、酔っていたので忘れたと言われる。

マクブライドのことは偶然だったと言うオレアリーは、車を止めた彼が悪いと伝えて、病気をうつされたといいながら股間いじるボイルが気になる。

遺体は海に捨てたと言うオレアリーに、逃げきれないと伝えたボイルは、股間からデリンジャーを取り出して銃撃し、瀕死の彼から情報を聞き出す。

エヴェレットに電話したボイルは、シーヒーらはスピダルに向かうので戻ってくるようにと伝える。

信じないエヴェレットにオレアリーを殺したことを伝えたボイルは、彼が話を聞こうとしないために電話を切る。

制服を着て”カラシニコフ”を手にしてパトカーで出かけたボイルは、ガブリエラの元に向かい、マクブライドは殺されたことを伝える。

撃たれて海に捨てられたと話したボイルは、一人を殺し残る仲間を始末すると伝えて覚悟を決める。

もっと君を知りたかったとガブリエラに伝えたボイルは、その場を去り、街道にいたユージーンに敬礼する。

スピダル
シーヒーとコーネルは、到着した船からコカインを運び出す。

現地に着いたボイルは、現れたエヴェレットから応援を呼んだと言われるものの、二人だけで解決することを伝える。

エヴェレットに”カラシニコフ”と弾薬を渡して掩護を任せたボイルは、シーヒーとコーネルの元に向かう。

銃撃戦が始まり、シーヒーは逃げるもののコーネルは応戦する。

エヴェレットの援護をを受け、銃弾を受けながらもコーネルを射殺したボイルは、逃げるシーヒーを追って船に飛び乗る。

更に銃弾を受けたボイルは、発火した甲板上に倒れ、エヴェレットの呼ぶ声で立ち上がる。

シーヒーを銃撃したボイルは、火が燃え広がる船内に彼を残してその場を去る。

エヴェレットは、船が爆発する様子を見守るしかなかった。

翌朝、写真家とユージーンと共に海を見つめるエヴェレットは、善人を失ったと伝えるものの、写真家から遺体は見つかっていないと言われる。

無理だと伝えたエヴェレットは、ユージーンから、ボイルは泳ぎの達人だと言われるものの、オリンピックの話はウソだと思っていた。

写真家から、それでも捜索は行うべきだと言われたエヴェレットは、風変わりな男だったボイルのことを想いながら微笑む。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
アイルランドコネマラ
ガルダ・シーハーナアイルランド警察)のジェリー・ボイル巡査部長は、新米のマクブライドと共に殺人事件の捜査を始める。
それと同時に、麻薬密輸事件を捜査するFBI捜査官のエヴェレットが到着し、地元警察に協力を求める。
意味不明な質問をする不躾なボイルに手古摺りながら、彼の協力で捜査を始めたエヴェレットだったが、手掛かりはつかめない。
同じ頃、犯人のダブリン出身のシーヒーとオレアリー、ロンドンのコーネルが密輸の準備を始め、仲間の一人を殺していた。
殺されたにが被害者だと気づいたボイルは、失踪したマクブライドも事件に巻き込まれたと考えながら捜査を続けるのだが・・・。
__________

脚本家として活躍していたジョン・マイケル・マクドナーが、脚本を兼ねて演出した、彼にとっての長編映画デビュー作。

巨額の資金が動く麻薬密輸事件をFBIが指揮する捜査を描く内容なので、さぞかし大袈裟な物語になると思いきや、田舎警察のはみだし警官が繰り広げる騒動が愉快に展開する、実に楽しい内容の純粋なコメディ。

誰の意見も聞かない風変わりで不躾な型破りな主人公が、自分の思い通りに生きる姿は痛快でもあり、不思議な説得力で周囲を納得させてしまうという愛すべきキャラクターを作り上げた、ジョン・マイケル・マクドナーの演出と脚本が光る快作に仕上がっている。

ひなびた雰囲気の田舎町を舞台に、アイルランド気質丸出しの素朴な住民が、FBIのエリート捜査官に臆することなく接する姿など、ほのぼのする描写や風景なども印象に残る。

”偏屈”とも言える人間味溢れる主人公の巡査部長を怪演したブレンダン・グリーソンの演技は絶賛され、ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ミュージカル・コメディ)にノミネートされた。

主人公に翻弄されながらも協力し合い事件を解決するFBI捜査官のドン・チードル、麻薬密輸事件の犯人でイギリス人のマーク・ストロング、同じくアイルランド人の犯人リアム・カニンガムデヴィッド・ウィルモット、彼に殺される主人公の部下ローリー・キーナン、その妻カタリーナ・チャス、主人公の母親フィオヌラ・フラナガン、主人公が相手をする娼婦のドミニク・マクエリゴットサラ・グリーン、主人公が武器を流すIRAのメンバーであるパット・ショート、写真家のローレンス・キンランなどが共演している。


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