アメリカショー・ビジネス界の巨人フローレンツ・ジーグフェルドJr.の波乱の人生を描く、監督ロバート・Z・レナード、主演ウィリアム・パウエル、マーナ・ロイ、ルイーゼ・ライナー、フランク・モーガン、ファニー・ブライス他共演のミュージカル・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・Z・レナード
製作:ハント・ストロンバーグ
脚本:ウィリアム・アンソニー・マクガイア
撮影
オリヴァー・T・マーシュ
ジョージ・J・フォルシー
カール・フロイント
メリット・B・ガースタッド
レイ・ジューン
編集:ウィリアム・S・グレイ
美術・装置
セドリック・ギボンズ
エディ・イマズ
エドウィン・B・ウィリス
音楽
ウォルター・ドナルドソン
ハロルド・アンダーソン(作詞)
アーサー・ラング
出演
フローレンツ・ジーグフェルドJr.:ウィリアム・パウエル
ビリー・バーク:マーナ・ロイ
アンナ・ヘルド:ルイーゼ・ライナー
ジャック・ビリングス:フランク・モーガン
本人:ファニー・ブライス
オードリー・デイン:ヴァージニア・ブルース
サンプストン:レジナルド・オーウェン
シドニー:アーネスト・コサート
バディ:レイ・ボルジャー
ユージン・サンドウ:ナット・ペンドルトン
ピエール:チャールズ・ジューデルス
マリー:マルセル・コーディ
ジークフェルド:ジョセフ・コーソーン
ジーン・バック:ウィリアム・デマレスト
アメリカ 映画
配給 MGM
1936年製作 185分
公開
北米:1936年4月8日
日本:1936年11月
製作費 $2,183,000
北米興行収入 $4,673,000
■ アカデミー賞 ■
第9回アカデミー賞
・受賞
作品
主演女優(ルイーゼ・ライナー)
ダンス監督賞
・ノミネート
監督・原案・美術・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1893年、シカゴ万国博覧会。
興行師フローレンツ・ジーグフェルドJr.(ウィリアム・パウエル)は、ライバルのジャック・ビリングス(フランク・モーガン)と集客を争っていた。
世界一の怪力男ユージン・サンドウ(ナット・ペンドルトン)を紹介しようとするジーグフェルドだったが、ビリングスの”Little Egyptのダンス”に客を奪われてしまう。
客が集まらないことで落ち込むサンドウを、ジーグフェルドは励ます。
ジーグフェルドから、サンドウとLittle Egyptを共演させて興行し、儲けを折半するという提案の電報を受け取ったビリングスは、浪費家の彼を相手にしない。
レストランでビリングスからの返事を受け取ったジーグフェルドは、その内容が、サンドウとLittle Egyptを結婚させて生まれた子供を山分けしようということだった。
そこにビリングスが現れ、ジーグフェルドは興行打ち切りのことなどでからかわれてしまう。 店を出たジーグフェルドは、幸運を呼ぶ像の鼻に触り、それが上を向いたら良いことが起きるかもしれないと言って、サンドウに試すよう促す。 サンドウが像の鼻を触るとそれは上を向き、彼は水しぶきを浴びてしまう。 恥をかいたと憤慨するサンドウだったが、幸運を招くかもしれないと言ってジーグフェルドは彼をなだめる。 Little Egyptの人だかりを気にしながら、自分も腕の筋肉を動かせると自慢したサンドウを見た女性は驚く。 サンドウの体型に感心する女性に声をかけたジーグフェルドは、腕に触ってみることを勧める。 女性は、サンドウの腕を触って失神してしまい、ジーグフェルドは、これを記事にすれば女性が殺到すると言って新聞社に向かう。 ジーグフェルドの考えは当たり、その後サンドウは客を集められるようになる。 人々に尊敬される音楽院を運営するジーグフェルドの父親(ジョセフ・コーソーン)は、戻った息子に将来についての考えを問う。 旅を続ける興行師である息子を野良犬と同じだと言う父親は、再び出て行った場合は勘当も考えると伝える。 しかし、息子を愛する父親は、成功を祈っていることを伝える。 その後、サンドウの怪力は評判となり一座を率いるようになったジーグフェルドは、全国巡業を始める。 サンフランシスコ。 ヨーロッパに向かう船上のビリングスは、その件を知り喜ぶが、その場にジーグフェルドが現れたため驚いてしまう。 ビリングスは、休暇でモンテカルロに向かうと言うジーグフェルドを迷惑に思う。 ロンドン。 出くわしたビリングスにその件で批判されたジーグフェルドだったが、生活スタイルを真似したかったと言って彼をおだてる。 ジーグフェルドの嘘を見抜いたビリングスは、彼が破産したことを知る。 ビリングスはジーグフェルドの借金の申し出を断り、ニューヨークに帰るなら500ドルを貸すと言って現金を渡す。 ビリングスが、ポーランド生まれのフランス人女優アンナ・ヘルド(ルイーゼ・ライナー)と契約しようとしていることを知ったジーグフェルドは劇場に向かう。 ビリングスは、その場にいるジーグフェルドがアンナを狙っていることに気づき警戒する。 ショーを終えて楽屋に戻ったアンナは、ジーグフェルドという知らない男性から贈られた花束に驚く。 アンナはジーグフェルドにお礼を言わなければならないと考え、ビリングスとの約束を後回しにしてしまう。 ビリングスは、楽屋に向かう自分についてくるジーグフェルドを追い払おうとする。 しかし、アンナがジーグフェルドを楽屋に呼んだため、ビリングスはショックを受ける。 ジーグフェルドは、アンナを有名にして大金を稼がせることを言葉巧みに語り約束する。 しかしアンナは、ビリングスに高額契約を提示されていることを告げる。 ジーグフェルドが、契約金どころかモンテカルロで賭けに負けて破産したことまで話したため、アンナに追い払われそうになる。 ところが、アンナはジーグフェルドを呼び戻し、その正直さを気に入り契約する。 その後、アンナ主演のジーグフェルドのショーは公演されるが、利益以上に彼が浪費してしまうために興行は赤字続きだった。 フランス語訛りを直そうとしていたアンナはレッスンに励み、やがてジーグフェルドに恋をしていることに気づく。 プレイボーイのジーグフェルドと結婚しても幸せにはなれないと、アンナは歌のレッスンをするピエール(チャールズ・ジューデルス)に言われる。 アメリカで成功するためにミルクの風呂に入れ言われ、ジーグフェルドから何十ガロンもミルクを送られたアンナは戸惑う。 ジーグフェルドがその代金を払わずに告訴され、自分が恥をかいたことでアンナは彼に不満を抱く。 現れたジーグフェルドは、そういうミルクの話などが世間で話題になると言って、部屋に新聞記者を呼ぶ。 アンナはジーグフェルドを批判して動揺し、メイドのマリー(マルセル・コーディ)に帰国の準備をさせる。 ジーグフェルドは混乱するアンナを抱き寄せ、自分の言う通りにすれば、彼女が意識する”リリアン・ラッセル”をステージで8人従えて歌わせることを約束する。 そのショーは上演され、女性客はミルク効果によるアンナの肌の美しさに興味を持つ。 ジーグフェルドの妻となったアンナはアメリカでスターとなり、幸せを実感する。 ショーは順調に利益を上げるのだが、ジーグフェルドの浪費癖は直らず、アンナに高価な宝石などを買い与える。 それを知った経理士のサンプストン(レジナルド・オーウェン)は呆れてしまう。 ジーグフェルドが、他のショーを自分以外で企画していることを知ったアンナは気分を害するが、彼に説得されて納得する。 ビリングスを訪ねたジーグフェルドは、多くの美女をステージに登場させる豪華なレヴュー”ジーグフェルド・フォリーズ”を考案したことを伝え、彼に協力を要請する。 その話に乗らなかったビリングスだったが、他から出資を受けたジーグフェルドは、”ジーグフェルド・フォリーズ”を成功させる。 そのショーの出演者オードリー・デイン(ヴァージニア・ブルース)が、ジーグフェルドから花や高価な宝石を贈られたことをアンナは知る。 アンナは、ジーグフェルドがオードリーのことを特別視していることを確認する。 パーティーのショーの後、酔って舞台挨拶をしたオードリーの態度を気にしつつ、一応、彼女の弁護をしたジーグフェルドは、他の有望女優を紹介する。 そんな時ジーグフェルドは、ファニー・ブライスという歌手が大衆劇場で活躍していることを知り、オードリーを伴い彼女を見に行く。 楽屋に現れたジーグフェルドを行商人と思い、毛皮のコートを安値で買い追い払ったファニーは、彼が大プロデューサーであり、契約を求めていると知り驚いてしまう。 スタッフのジーン・バック(ウィリアム・デマレスト)らとの企画会議の席でジーグフェルドは、”フォリーズ”は止めてファニーのショーを続け、今後は豪華さは残すものの、物語を重視した内容に変更することを決める。 投資家などに返済や支払いを渋ったため言い寄られたジーグフェルドは、大スター”エディ・カンター”もショーに出ると言って相手を納得させる。 酒癖の悪いオードリーに注意していたジーグフェルドは、ふざけた彼女にキスされてしまい、それをアンナに目撃されたことがきっかけとなり、二人は離婚することになる。 失意のジーグフェルドは、銀行からの融資を断られ再び破産状態になる。 ジーグフェルドの離婚を知ったオードリーは、自分を主役にするよう彼に迫る。 それが無理だと分かったオードリーは、ジーグフェルドを罵倒してその場を去る。 ビリングスに連絡して資金を得たジーグフェルドは、新たなショーを成功させる。 そんな時ジーグフェルドは、パーティーでビリングスに同伴する女優ビリー・バーク(マーナ・ロイ)に出会い惹かれてしまう。 ジーグフェルドはビリーに近づくが、相手が女性にだらしない悪名高きジーグフェルド本人だと知り警戒したビリーは、ビリングスと共にその場を去る。 しかし、ジーグフェルドは再びビリーを誘い愛を伝え、彼女もそれを受け入れて二人は結婚する。 それを知ったアンナは、未だに愛するジーグフェルドのことを想い、ショーを成功させた彼に電話をする。 互いの幸せについてなどを話すアンナだったが、メイドのマリーは彼女の精神状態を案ずる。 愛があるままなぜ離婚したのかをマリーに問われたアンナは、そうすればジーグフェルドが必ず戻ると考えたことを涙ながらに語る。 その後、ジーグフェルドとビリーは、娘パトリシアと共に幸せな日々を送っていた。 クリスマス。 その後ジーグフェルドは、パトリシアに贈ったサーカス・セットを参考にしてレヴューを考案しヒットさせる。 しかし、銀行や金融業者は、ジーグフェルドの浪費や経費の増大を一斉に非難する。 その後のレヴューは悪評となり、ジーグフェルドのショーを支えたスターのウィル・ロジャースやエディ・カンターは、映画出演のためハリウッドに向かう。 理髪店で客に過去の男だと言われ、4つの公演を同時に成功させてみせると豪語したものの、ジーグフェルドは絶望しかける。 しかし、ビリーに励まされたジーグフェルドは、4つの公演を成功させることを彼女に約束する。 全てを処分してショーに賭けたジーグフェルドは、”ショウボート”(1927)、”Rio Rita”(1927)、”Whoopee!”(1928)、”The Three Musketeers”(1928)に100万ドルを投資して成功させる。 ジーグフェルドは、理髪店で自分が終わりだと言った客を警部に探してもらい、彼らを劇場に呼び、ショーのチケットを渡して”復讐”する。 稼いだ金を株式に投資してしまったジーグフェルドは、株が大暴落したことを知らされ、現金30万ドルの支払いを要求される。 ジーグフェルドは株を売り払うしかなくなり、それを知ったビリングスは、自分も株で破産したため、今回は彼を助けられないと言って高笑いする。 ショーは公演中止となり、ジーグフェルドは失意のまま体調を崩す。 妻ビリーを案じながら、ジーグフェルドは再起について考えていた。 ジーグフェルドを訪ねたビリングスは、かつて憎み合ったものの良き友となった今、昔話をして懐かしむ。 ショーを企画すれば元気も出ると言って、ジーグフェルドを励ますビリングスは、それには20~30万ドルかかることを確認する。 ビリングスは、回復したらその資金を渡すと言ってジーグフェルドに友情を示す。 友の手を握り、早く回復しなくてもいいと冗談を言うビリングスは、その間に新人を探すとジーグフェルドに伝え、笑いながらその場を去ろうとする。 かつての使用人シドニーに、ジーグフェルドのことを頼んだビリングスは立ち去る。 立ち上がったジーグフェルドは、自分が育てたウィル・ロジャースやエディ・カンターらを集めた盛大なショー、生涯最高のフォリーズをやることをシドニーに告げる。 しかしジーグフェルドは、破産した自分には資金がないとうなだれ、資金提供を約束したビリングスも同じ状況であり、今回は彼を当てにできないと語る。 結局は何も残せなかったと呟くジーグフェルドは、ショー・ビジネスの世界に偉大な功績を残し、その名も永遠に残るというシドニーの言葉に励まされる。 シドニーは、舞台に出演中のビリーに連絡するために席を外す。 ジーグフェルドは、ショー・ビジネスの世界に名を残せることを考えながらビリーを想う。 ジーグフェルドの様態が急変したことに気づいたシドニーは、主治医に電話をする。 そして、ジーグフェルドは自分のレヴューを思い浮かべる。 ステージに向かい、セットについての指示を出しながらジーグフェルドは息を引き取る。
...全てを見る(結末あり)
サンドウは人食いライオンと対決することになるものの、それに失敗してイカサマ師呼ばわりされる。
ビリングスの使用人であるシドニー(アーネスト・コサート)を雇ってしまったジーグフェルドは、ビリングスも滞在するホテルに部屋をとる。
パトリシアや使用人達全員にプレゼントを渡したジーグフェルドは、ビリーにも数えきれないほどのものを贈る。
*(簡略ストー リー)
1893年、シカゴ万国博覧会。
高名な音楽家を父に持ちながら、見世物小屋の興行師をするフローレンツ・ジーグフェルドJr.は、怪力男サンドウの才能を生かせず集客に苦労する。
あることをきっかけにサンドウの人気に火が点き、一座を率い巡業を始めたジーグフェルドだったが、それにも失敗して破産してしまう。
ヨーロッパに向かったジーグフェルドは、ライバルの興行師ビリングスがフランス人女優のアンナ・ヘルドと契約することを知り、彼女に近づき契約してしまう。
アンナのショーを成功させるものの、浪費家でプレイボーイのジーグフェルドは再び窮地に陥る。
その後、何とか資金を調達したジーグフェルドは、美女をステージに登場させる豪華なレビュー”ジーグフェルド・フォリーズ”を考案して脚光を浴びるのだが・・・。
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”波乱の人生”とは”フローレンツ・ジーグフェルドJr.”の代名詞・・・そう言ってもいいような、平凡な人間ならば何回分もの人生を歩んだような、とてつもない人物を描いた作品。
誰もが認めるショー・ビジネスの基礎を築いた人物なのだが、物語のほとんどは、ジーグフェルドの詐欺師まがいの言動や、浪費家で女性にだらしない彼の影の部分を描く内容になっている。
ショー・ビジネスの世界では神格化しているジーグフェルドだが、激動の時代を生きた苦労人としての彼の人生を、人間味豊かに描くロバート・Z・レナードの演出手腕は光る。
前半のハイライトである、”ジーグフェルド・フォリーズ”初登場の絢爛豪華なレヴュー・シーンはなんと8分間にも及び、その後も挿入されるミュージカル・シーンも見事であり、約3時間の長編も全く飽きることなく観ることができる。
第9回アカデミー賞では、作品、主演女優(ルイーゼ・ライナー)、ダンス監督賞を受賞した。
・ノミネート
監督・原案・美術・編集賞
MGMの専属となり2年前に「影なき男」(1934)シリーズがスタートしたウィリアム・パウエルは、偉大な人物”フローレンツ・ジーグフェルドJr.”を演じ、スタジオをの期待を担う大スターとして貫録の演技を見せてくれる。
ジーグフェルドの二番目の妻ビリー・バークを演ずるため後半に登場するマーナ・ロイは、「影なき男」シリーズでウィリアム・パウエルと共演しているだけあり、彼とは息の合った演技を見せてくれる。
アンナ・ヘルドを演じてアカデミー主演賞を獲得したルイーゼ・ライナーは、ややオーバー・アクション的に見えるものの、それが当時風の演技だったとも言える。
(彼女は翌年「大地」(1937)でも同賞を受賞する)
ジーグフェルドのライバルではあるが晩年は良き友となる、人間味のある人物を彼らしく好演するフランク・モーガン、本人役で大歌手のファニー・ブライス、酒癖が悪い女優ヴァージニア・ブルース、ジーグフェルドの計理士レジナルド・オーウェン、使用人のアーネスト・コサート、本人役というものの、時代背景的にはそれは正しくない、本作がデビュー作であるヴォードヴィアン役のレイ・ボルジャー、怪力男ユージン・サンドウのナット・ペンドルトン、アンナ・ヘルドに歌を教えるチャールズ・ジューデルス、メイドのマルセル・コーディ、ジーグフェルドの父親ジョセフ・コーソーン、ジーグフェルドの側近ウィリアム・デマレストなどが共演している。