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大いなる罪びと The Great Sinner (1949)

1866年に発表された、フョードル・ドストエフスキーの小説”賭博者”を基に製作された作品。
小説の題材としてギャンブルに興味を持った作家が依存症となり苦しむ姿を描く、監督ロバート・シオドマク、主演グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナーメルヴィン・ダグラスウォルター・ヒューストンエセル・バリモアフランク・モーガンアグネス・ムーアヘッド他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

グレゴリー・ペック / Gregory Peck / Pinterest
エヴァ・ガードナー / Ava Gardner / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ロバート・シオドマク

製作:ゴットフリート・ラインハルト
脚本
クリストファー・イシャーウッド
ラディスラウス・フォドル
レネ・フューロップ・ミラー
原作:フョードル・ドストエフスキー賭博者
撮影:ジョージ・フォルシー
編集:ハロルド・F・クレス
音楽:ブロニスワフ・ケイパー

出演
フョードル”フェージャ”:グレゴリー・ペック
ポーリン・オストロフスキー:エヴァ・ガードナー
アルマン・ド・グラース:メルヴィン・ダグラス
オストロフスキー将軍:ウォルター・ヒューストン
オストロフスキー夫人:エセル・バリモア
アリスティード・ピタール:フランク・モーガン
エマ・ゲッツェル:アグネス・ムーアヘッド
アルマンの補佐:フレデリック・フォン・レデブール
医師:ルドウィッグ・ドナス
宝石商/金貸し:クルト・ボウワ
ホテル支配人:ルドウィッグ・ストッセル
ホテル係員:エルノ・ヴェレベス
カジノの客:フレッド・オルドリッチ
カジノの客:ラリー・スティアーズ

アメリカ 映画
配給 MGM
1949年製作 110分
公開
北米:1949年6月29日
日本:未公開
製作費 $2,075,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1860年代、ドイツヴィースバーデン
作家のフョードル”フェージャ”(グレゴリー・ペック)は、ホテルの使用人部屋のベッドに横たわり、医師(ルドウィッグ・ドナス)の診察を受ける。

憔悴しきった無一文のフェージャは、教会のメダルを手に握っていた。

人生のどん底を見る寸前だったフェージャは、主が手を差しのべてくれたと医師に話し、意識を失う。

その場には”罪びとの告白”という、フェージャの原稿が置かれていた。

嵐ふぇ窓が開き風で原稿が舞い、その場に現れたポーリン・オストロフスキー(エヴァ・ガードナー)が窓を閉める。

原稿を手にしたポーリンは、フェージャが手記を書き上げたことを知り、それを読む。
__________

休暇でモスクワからパリに汽車で向かう途中のフェージャは、付き人と共に乗車して、ソリティアを続ける美しいポーリンが気になる。
...全てを見る(結末あり)

ヴィースバーデン
ポーリンに惹かれたフェージャは、下車した彼女の後を追い、保養地である街中を回り彼女を捜し始める。

カジノでポーリンを見つけたフェージャは、所持金がなくなったためにブレスレットを宝石商(クルト・ボウワ)に売り、ルーレットに夢中になる彼女を見守る。

フェージャに気づき再会を喜んだポーリンは、再び所持金を失い、彼をホテルの一室に誘いその場を去る。

1時間待つことになったフェージャは、カジノの経営者であるアルマン・ド・グラース(メルヴィン・ダグラス)と補佐(フレデリック・フォン・レデブール)の話が耳に入る。

アルマンは、宝石商からポーリンのブレスレットを見せられ、またかと嘆きながら、それを買い取る。

その様子を見ていたフェージャは、ポーリンに呼ばれた部屋の宿泊客がオストロフスキー将軍(ウォルター・ヒューストン)であり、ポーリンが娘だということを支配人(ルドウィッグ・ストッセル)から知らされる。

支配人からオストロフスキー宛の電報を渡されたフェージャは部屋に向かい、そこでギャンブルが行われていたために驚く。

ポーリンに気づき電報を渡そうとしたフェージャは、それを読んでほしいと言われ、祖母(エセル・バリモア)の危篤を知らせる内容だったために、遠慮して彼女に渡す。

電報をポーリンから渡されたオストロフスキーは内容を確認し、アルマンから借金しようとして担保を求められる。

電報を渡されたアルマンは、それを担保と認めて、オストロフスキーに金を貸す。

ギャンブルに興味がないフェージャは帰ろうとするが、ポーリンに引き留められ、彼女から、結ばれる運命を感じたと言われて戸惑う。

ポーリンからコインを受け取り、賭けてみてほしい言われたフェージャは、初対面の時の話をする。

ギャンブルの話を書いてほしいと言われたフェージャは、ギャンブラーにならなければ無理だとポーリンに伝える。

アルマンに声をかけられたポーリンは、ギャンブルのパートナーにするフェージャを紹介する。

フェージャは、アルマンをカジノの従業員だと思っていたが、ポーリンから経営者だと言われて驚く。

ポーリンは、アルマンから宝石商に売ったブレスレットを渡される。

フェージャは、小説の材料ができたとアルマンに伝えて部屋に向かう。

街に留まったフェージャは、ギャンブラーを監察することにする。

ポーリンから受け取ったコインをルーレットで賭けてみたフェージャは、勝ったコインをアリスティード・ピタール(フランク・モーガン)に取られてしまい、それを認めない彼に、勘違いかもしれないと言って見過ごす。

金を失ったアリスティードはその場を去り、気の毒に思ったフェージャは、外のベンチに座っていた彼にタバコを勧める。

フェージャが街に来たばかりだと気づいたアリスティードは、その理由を訊かれ、自分も以前はシガレットケースを持っていたと答える。

コインを盗んだことを認めたアリスティードは、数学の教授で泥棒だと言って自己紹介する。

フェージャは、小説のアイデアをもらったことで満足してコインの件は気にせず、無一文のアリスティードに汽車賃を渡す。

その後フェージャはカジノに戻り、アルマンに人助けをしたことを話すのだが、アリスティードがルーレットをしていたために驚く。

フェージャに声をかけられたアリスティードは、自分はウソつきで泥棒だと言って、ツキが逃げないことを願い勝ち続ける。

フェージャは、大金を手に入れたアリスティードを連れて帰ろうとするものの、説得できない。

結局すべてを失ったアリスティードは気分が悪くなり、外に運び出される。

神父を呼んだフェージャは、懺悔することがあると言うアリスティードから、盗んだものの質札を渡される。

品物の持ち主のことを話さないまま、アリスティードは息を引き取る。

質屋に向かったフェージャは、主人のエマ・ゲッツェル(アグネス・ムーアヘッド)に質札を渡し、キリスト像のメダルがついたネックレスを受け取る。

その後フェージャは、部屋に訪ねて来たポーリンと観劇に出かけ、彼女がアルマンと深い関係にあることを知る。

フェージャは、ギャンブルに溺れるポーリンに、心迷う女だと正直に伝える。

ポーリンは傷つくが、自分を偽りウソをついているだけだと言うフェージャとの愛を確認する。

翌日もフェージャと過ごしたポーリンは、幸せを実感する。

父にフェージャの件を話したポーリンは、アルマンの機嫌を損ねるようなことはしないようにと言われ、愛は庶民の暇つぶしだと助言される。

翌日フェージャは、噴水の前でポーリンと待ち合わせていたが、オストロフスキーに声をかけられて、娘が来ないことを知らされる。

フェージャは、オストロフスキーの借金のために、ポーリンがアルマンのものになることを知る。

その後フェージャは、アリスティードの追悼ミサが行われる教会に向かい、そこでポーリンと出くわす。

フェージャは、アリスティードと付き合いがあったポーリンがメダルの所有者だと気づき、盗まれたと言う彼女にそれを渡す。

迎えに来たアルマンの元に向かおうとしたポーリンは、フェージャから彼との関係を訊かれ、父が20万の約束手形を渡したことを話す。

ばかげた話だと言われたポーリンだったが、勝つのはいつも胴元で、どうすることもできないとフェージャに伝える。

フェージャに別れを告げたポーリンは、アルマンの待つ馬車に向かう。

カジノに向かったフェージャは、オストロフスキーの借金を返すためにルーレットを始める。

フェージャは負け続け、アルマンは彼がいることを確認する。

最後の紙幣をそのまま赤に賭けたフェージャは、そこから勝ち続け、大金を手にして興奮する。

オストロフスキーに止められても聞こうとしないフェージャは、さらに大金を稼ぎ、彼にサポートしてもらい23万以上を手に入れる。

そこでやめたフェージャは、現金を持参して、オストロフスキーと共にアルマンの元に向かう。

フェージャは、オストロフスキーの20万の手形をアルマンに要求する。

アルマンは、金庫にあった手形を確認するが、銀行に預けてあるウソを言って、月曜の朝に渡すことをフェージャに約束する。

その件をポーリンに話したフェージャは、彼女と旅に出ることを考える。

ポーリンは今夜中に出発することを望むものの、手形を受け取らなければならないフェージャと楽しむことにする。

ポーリンとロビーで待ち合わせることにしたフェージャは、現金を部屋に置かずに持参して出かける。

フロントに向かったフェージャは現金を預けようとするものの、支配人が不在だったためにポーリンを待つ。

目につく数字がすべてルーレットの賭けナンバーに見えてしまうフェージャは、カジノに向かい時間を潰そうとする。

その後フェージャは負け始め、迎えに来たポーリンを待たせて賭けを続けてしまう。

見ていられないポーリンは、歌劇場に向かうことをフェージャに伝えて去ろうとする。

アルマンに呼び止められたポーリンは、ギャンブラー(フェージャ)が育っていると皮肉を言われるものの、思い通りにはいかないと伝える。

愚か者のフェージャのせいで変わってしまったと言うアルマンは、自分の元に戻るようにと伝えるものの、考えを変えないポーリンはその場を去る。

数時間が経ち、眠っていたポーリンは戻って来たフェージャに気づき、昨夜、手に入れた金をすべて失ったことを知る。

ケリをつけると言うフェージャはめまいがして、時々起きる危険を知らせる発作だとポーリンに伝える。

ポーリンを説得して現金を借りたフェージャは、ギャンブルが行われている部屋に向かい、アルマンとバカラで勝負をして12万取り戻し、全額を賭けるものの負けてしまう。

フェージャは、次回作の印税を担保にアルマンから金を借りて、賭けを続ける。

再び負けたフェージャは、過去と今後の全作品の印税を担保にして金を借り、証書にサインしてアルマンと勝負する。

結局、負けてしまったフェージャは、シガレットケースで賭けを続けようとするが、アルマンに断られる。

そこに現れたポーリンから嫌味を言われたアルマンは、オストロフスキーに手形を返し、今後、ポーリンが不幸になるのは君のせいだとフェージャに伝えてその場を去る。

人生を失ったフェージャは絶望し、質屋に向かい、エマにシガレットケースと懐中時計、そして指輪を売る。

ギャンブル依存症となったフェージャはその後も負け続け、ポーリンを避けるようになる。

宿代が払えないフェージャは、使用人の部屋に移る。

恩があるフェージャに気を遣うオストロフスキーは、母が銀の棺を買ったという内容の電報を彼に見せる。

母が到着したことを知ったオストロフスキーは、長旅をしてきた彼女を歓迎する。

ポーリンは、その場にいたフェージャを恋人だと言って祖母に紹介する。

オストロフスキーからギャンブルを教わった夫人は、上限なしで賭けを続けてしまい、結局400万を失い、そのショックで亡くなる。

その様子を見ていたフェージャは動揺し、アリスティードから拳銃を渡される幻覚を見てしまう。

我に戻ったフェージャはベンチで一夜を過ごしてしまい、翌朝ポーリンに起こされて、彼女がまだ自分を愛していることを知る。

ポーリンが首からかけるメダルを引きちぎったフェージャは、質屋に向かうものの、エマは買い取りを断る。

正気を失いエマに襲いかかろうとしたフェージャは、発作が起きて倒れてしまう。

意識が戻ったフェージャは教会に向かい苦しむが、主の声を聞き部屋に戻り、原稿を完成させたのだった。
__________

涙するポーリンは、”借金は帳消しにできても、ポーリンは取り戻せない、密かに彼女を愛したい、いつかこれを読み許してくれる日を待つ・・・”で終わる文面を読み終える。

フェージャに寄り添うポーリンは、最終章はまだ先だと伝えて彼を抱きしめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
1860年代、ドイツヴィースバーデン
作家のフョードル”フェージャ”は、汽車で出くわした女性ポーリンに惹かれ、彼女の後を追い下車する。
ポーリンをカジノで見つけたフェージャは、彼女との親交を深めながら小説の題材をし街に滞在する。
フェージャは、父オストロフスキー将軍と共にカジノに入り浸るポーリンが、その場の経営者アルマンからの借金の代わりとして関係していることを知る。
興味がなかったギャンブルに手を出したフェージャは、オストロフスキーの手形を取り戻すために賭けをする。
負け続けた末に、最後の紙幣を賭けて勝ち始めたフェージャは、一夜にして大金を手にし、オストロフスキーが渡した手形をアルマンから取り戻そうとするのだが・・・。
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多くの問題作を手掛けていたロバート・シオドマクが、グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナー他、豪華スター競演により演出した作品。

作品上では明記されていないものの、フョードル・ドストエフスキーの実生活で起きたことを題材にした小説”賭博者”を基に製作された作品。

小説の題材としてギャンブルに興味を持った作家が、愛する人のためにその世界にのめり込み、依存症となり苦しむ姿を描くドラマ。

小説家として世の中を観察する冷静な主人公が次第に正気を失っていく姿が、その心理描写と共に生々しく描かれている。

美しい女性との純愛も捨てて、破滅に向かう小説家を熱演するグレゴリー・ペックなのだが、ややオーバーアクション気味の演技が気になる。

他の女優とは比較できない雰囲気を持つ、芸術作品のような美しさのエヴァ・ガードナーは、主人公への愛を貫くヒロインを好演している。

すべてを操るカジノの経営者で、ヒロインに惹かれた主人公の人生を破滅させるメルヴィン・ダグラス、彼に借金があるために支配される将軍のウォルター・ヒューストン、その母親エセル・バリモア、主人公と知り合いながら破産して命を落とすフランク・モーガン、質屋の主人アグネス・ムーアヘッド、カジノ支配人の補佐フレデリック・フォン・レデブール、主人公を診察する医師ルドウィッグ・ドナス、カジノに出入りする金貸しである宝石商のクルト・ボウワ、ホテル支配人のルドウィッグ・ストッセル、ホテル係員のエルノ・ヴェレベス、カジノの客フレッド・オルドリッチラリー・スティアーズなどが共演している。


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