1925年に発表された、F・スコット・フィッツジェラルドの同名小説の、1926年のサイレント作品「或る男の一生」と1949の「暗黒街の巨頭」、そして1974年の「華麗なるギャツビー」のリメイク。 追い求める女性のために行動する謎の大富豪の生き様を描く、製作、監督、脚本バズ・ラーマン、主演レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、アイラ・フィッシャー、ジェイソン・クラーク他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:バズ・ラーマン
製作
ダグラス・ウィック
バズ・ラーマン
ルーシー・フィッシャー
キャサリン・ナップマン
キャサリン・マーティン
製作総指揮:バリー・M・オズボーン
原作:F・スコット・フィッツジェラルド”グレート・ギャツビー”
脚本
バズ・ラーマン
クレイグ・ピアース
撮影:サイモン・ダガン
編集
マット・ヴィラ
ジェイソン・バランタイン
ジョナサン・レドモンド
衣装デザイン:キャサリン・マーティン
美術・装置
キャサリン・マーティン
ビヴァリー・ダン
音楽:クレイグ・アームストロング
出演
ジェイ・ギャツビー:レオナルド・ディカプリオ
ニック・キャラウェイ:トビー・マグワイア
デイジー・ブキャナン:キャリー・マリガン
トム・ブキャナン:ジョエル・エドガートン
マートル・ウィルソン:アイラ・フィッシャー
ジョージ・B・ウィルソン:ジェイソン・クラーク
キャサリン:アデレイド・クレメンス
ジョーダン・ベイカー:エリザベス・デビッキ
マイヤー・ウルフシャイム:アミターブ・バッチャン
ジェイ・ギャツビー(若年期):カラン・マッコーリフ
パーティーの女性:ジェマ・ワード
ウォルター・パーキンス医師:ジャック・トンプソン
アメリカ/オーストラリア 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2013年製作 142分
公開
北米:2013年5月10日
日本:2013年6月14日
製作費 $105,000,000
北米興行収入 $144,812,800
世界 $351,040,420
■ アカデミー賞 ■
第86回アカデミー賞
・受賞
衣装デザイン・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1929年、冬、パーキンス療養所。
イェール大学を卒業して、第一次大戦にも従軍したニック・キャラウェイ(トビー・マグワイア)は、アルコール依存症の治療のため療養生活を送っていた。
ニックは、自分の人生に大きな影響を与えた男”ギャツビー”のことをウォルター・パーキンス医師(ジャック・トンプソン)に話し始める。
__________
1922年、ニューヨーク。
好景気に沸くウォール街の証券マンであったニックは、郊外のウエスト・エッグに家を借りた。
作家志望であったニックは、静かな家の生活を楽しむのだが、隣の屋敷に住む謎の男”ギャツビー”の存在が気になる。
そんなニックは、対岸のイースト・エッグに住むいとこデイジー・ブキャナン(キャリー・マリガン)の豪邸を訪ねる。
デイジーの夫トム(ジョエル・エドガートン)は、アメリカでも有数の富豪ブキャナン家の跡取りでニックの学友だった。 ニックは、デイジーからゴルファーのジョーダン・ベイカー(エリザベス・デビッキ)を紹介される。 デイジーは、ニックが”ギャツビー”という男の屋敷の隣に住んでいることを知りそれが気になる。 食事をした4人は、謎の男ギャッツビーの話で盛り上がるが、そこに自動車整備工場からトムに電話がある。 トムは席を外してデイジーが彼を追い、ジョーダンは、トムに愛人がいることをニックに知らせる。 その後デイジーは、満足しているとは言えない生活についてニックに語る。 家に戻ったニックは桟橋の人影に気付き、ギャツビーが思いに耽っている姿を見つめる。 この件は話せないとパーキンス医師に伝えたニックは、書くべきだと言われてペンを取る。 ある日ニックは、トムと共にジョージ・B・ウィルソン(ジェイソン・クラーク)の修理工場に向かう。 ニックは、ウィルソンの妻マートル(アイラ・フィッシャー)が、トムの愛人であることに気付く。 トムとマートルの逢引に付き合わされたニックは、現れた彼女の妹キャサリン(アデレイド・クレメンス)らと共に、その場で乱交パーティーを始める。 気が付くと家に戻っていたニックは、ギャツビーの視線を感じた。 ギャツビーからの招待状を受けたニックは、毎夜のように開かれる豪華絢爛なパーティーに出席する。 あらゆる業界の者が集う会場の雰囲気に圧倒されるニックは、姿を現さないギャツビーが気になる。 その場にいたジョーダンに再会したニックは、ギャツビーのことを語りながらその場の雰囲気を楽しむ。 そこに現れたジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)は、ニックを歓迎して、ジョーダンを部屋に呼び寄せる。 パーティーも終わり、戻って来たジョーダンは、ギャツビーに関して全てが理解できたと言い残してその場を去る。 ギャツビーに友情を示されたニックは、その後もパーティーなどに招待されるが、彼については何も知らないことに気づく。 ある日、ニックはギャツビーにランチに誘われ、マンハッタンに向かう車内で、彼の経歴などを知らされる。 ある場所に向かったギャツビーは、ギャンブラーのマイヤー・ウルフシャイム(アミターブ・バッチャン)をニックに紹介する。 闇酒場に連れていかれたニックは、マイヤーが席を立った後、彼が”ブラックソックス事件”を仕組んだとギャツビーから知らされる。 ギャツビーは、ニックにあることを頼もうとするが、そこにトムが現れたために顔色を変えて姿を消す。 その後ジョーダンと会ったニックは、ギャツビーがデイジーと会いたがっていることを知らされる。 戦前に二人は出会い、戦地に向かったギャツビーは、その後、姿を現さず、デイジーは大富豪の御曹司トムと結婚したのだった。 ギャツビーは、デイジーに会うチャンスを待ち近くに住み、パーティーを開き彼女が現れるのを待った。 ジョーダンは、ギャツビーにとっては自分が唯一の伝手だったとニックに伝え、この件をデイジーには話さないように約束させる。 ウエスト・エッグに戻ったニックは、待ち構えていたように現れたギャツビーに、希望するデイジーとのお茶会をお膳立てすることを伝える。 ニックの家の庭はギャツビーの指示で整備され、約束の時間が迫り現れたギャツビーは落ち着かない。 待ちきれずに帰ろうとしたギャツビーは、雨の中デイジーが現れたことを知り姿を消してしまう。 デイジーは、花で飾られた部屋を気に入り、そこにギャツビーが濡れながら現れ二人は対面する。 緊張する二人は話もできず、気を遣うニックは席を外すが、ギャツビーは動揺してしまう。 ニックに励まされたギャツビーはデイジーのもとに戻り、その後、二人は周囲のことを忘れて話し込む。 ギャツビーはデイジーを屋敷に招待し、ニックを伴い、その素晴らしい光景を彼女に見せる。 その後、三人は共に行動して楽しい時を過ごし、ギャツビーはデイジーとの人生計画を考えていた。 そして夏の終わりぬ、ニックはギャツビーの秘密を知らされる。 ギャツビーの本名は”ジェームズ・ギャッツ”であり、ノースダコタの貧農育ちだった彼は、自分が神に選ばれた者だと信じ16歳で家を出て、ある人物の命を救い”ジェイ・ギャツビー”となり、ヨットで世界中を旅する。 その後、再び無一文となったギャツビーは、ニューヨークで巨万の富を築いた。 トムとデイジーをパーティーに招待したギャツビーは、トムに以前会ったことがあると伝え、デイジーとも知り合いだと知らせる。 ギャツビーはデイジーと庭に向かい、愛を語り合い屋敷に住むよう彼女に伝え、トムと話をすることを考える。 トムはデイジーを捜し、ニックが二人にそれを伝えるものの、ギャツビーは、あるトラブルが起きていることを知らされ屋敷に戻る。 ギャツビーはデイジーの元に戻ることなく、パーティー後に、彼女が楽しんでいなかったことをニックに伝える。 デイジーの両親に挨拶に行き、その場で結婚式を挙げるというギャツビーは、食い違う彼女との考えを気にして、過去を消し去り5年前からやり直すとニックに語る。 5年前、ギャツビーは、ルイヴィルのデイジーの家で彼女と出会い、無一文ではあったが運命の愛を感じる。 その場で愛し合ったことをニックに伝えたギャツビーは、過去は変えられると言ってその場を去る。 その後、屋敷の明かりは消え、ギャツビーは、密かに訪れたデイジーとの愛を深める。 噂が広まることを避けるために、ギャツビーは使用人全員を解雇し、掃除と料理だけのためにウルフシャイムの手下を雇った。 ギャツビーは、デイジーが離婚を決意したことをニックに伝え、ジョーダンと共に立会人になってほしいことを頼む。 トムの屋敷で、彼に今後のことを伝えようとするギャツビーだったが、動揺するデイジーは、街に行きたいと言い出して席を立つ。 ギャツビーに語り掛けるデイジーの言葉を愛の告白だと確信したトムは、プラザホテルのスイートルームに行くことを提案する。 二台に分かれた車は街道を飛ばし、トムはウィルソンの工場のスタンドで給油をする。 ウィルソンらが西部に向かうと聞き、トムは、妻と愛人が自分から離れてしまうことで動揺する。 ギャツビーの車が走り去ったために、トムは強引な運転でそれを追う。 部屋に着いたトムは、ギャツビーに言いがかりをつけるが、デイジーが自分を愛していないと彼に言われる。 ギャツビーは、会ってはいないものの、互い5年間、愛し合っていたことをトムに伝える。 トムは、デイジーに愛していなかったと言われ、ウルフシャイムと組む正体不明の男ギャツビーを非難する。 成金であり生まれが違うと侮辱されたギャツビーは、トムに殴りかかろうとして殺意さえ感じさせる。 冷静になったギャツビーは、謝罪してデイジーに歩み寄るが、彼女の心はギャツビーから離れて部屋を出る。 デイジーを車に乗せたギャツビーは、ウィルソンに浮気を責められ、トムの車と見間違えて通りに出たマートルを轢いてしまいそのまま走り去る。 ウィルソンの工場の人だかりに気づいたトムは車を止めて、マートルが事故死したことを知りショックを受ける。 轢いた車がギャツビーのものだと知ったトムは、ウィルソンにそれを伝える。 トムは、ギャツビーをペテン師呼ばわりして、ウィルソンは妻の相手が彼だったと考える。 屋敷に戻ったトムはニックを誘うが、彼はその場を離れようとして、庭の木陰に隠れているギャツビーを見つける。 マートルが即死であることは明らかで、止まる意味がなかったと言うギャツビーを非難するニックだったが、運転していたのがデイジーだったことを知る。 それを秘密にすることを約束させたギャツビーは、デイジーを監視することをニックに伝える。 様子を見てくると言って屋敷に戻ったニックは、この地を離れることを提案し、トムが動揺するデイジーを慰めているのを目撃する。 その後、ギャツビーが車の血をふき、デイジーと旅立つと言い出したために、ニックは彼女が他所の土地に向かうことを話そうとする。 それを伝えられないニックは、ギャツビーから初めて真実を聞かされる。 貧困生活や航海、そしてウルフシャイムとの仕事などの話を聞かされたニックは、屋敷やパーティーは全てデイジーのためだった知らされる。 周りの者達はクズばかりだが、ギャツビーだけは価値ある人生を送っていると彼に言い残し、ニックは屋敷を去る。 ギャツビーはデイジーからの連絡を待ち、彼女もまた同じだった。 ギャツビーは、かかってきた電話がデイジーだと確信するが、現れたウィルソンに射殺される。 電話は、ギャツビーのことが気になっていたニックからで、ウィルソンもその場で自殺する。 その後ギャツビーに関して、密売業者が愛人を殺したなど様々なことが言われるが、ニックは何も語らなかった。 デイジーに電話をかけたニックは、彼女らが旅立ったと言われ、葬儀にも出席しようとしない、金の力で全てを解決しようとする者達を軽蔑する。 ギャツビーの葬儀には、パーティーの出席者なども含めて誰一人姿を現さず、デイジーからは花も届かず、ニックだけが彼の死を悼んだ。 その後、ニューヨークは悪夢の時代となり、ニックは、廃墟となったギャツビーの屋敷に向かい華やかだった時を想い起す。 全てを書き終えたニックは、”ギャツビー”と題したその原稿に”THE GREAT”と付け加える。
...全てを見る(結末あり)
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参考:
・「或る男の一生」(1926)
・「暗黒街の巨頭」(1949)
・「華麗なるギャツビー」(1974)
・「華麗なるギャツビー」(2013)
*(簡略ストー リー)
1922年、ニューヨーク。
作家志望である証券マンのニック・キャラウェイは、郊外の家を借りる。
隣の屋敷に住む謎の男ジェイ・ギャツビーの生活を気にしながら、ニックは、いとこのデイジーが住む対岸の大邸宅を訪ねる。
デイジーの夫トムは、アメリカ有数の大富豪の御曹司でニックの学友でもあった。
ニックは隣人ギャツビーのことを気にするデイジーが、トムの浮気を疑い生活に満足していないことを知る。
その後、ギャツビーからパーティーの招待を受けたニックは、絢爛豪華なその雰囲気に圧倒される。
普段からギャツビーの視線を感じていたニックは、若くて魅力的なギャツビーと対面する。
やがて、ギャツビーと親交を深めたニックは、彼がデイジーに会いたがっていることを知るのだが・・・。
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1974年版が、1920年代と登場人物やその雰囲気を情緒的に描いているのに対し、バズ・ラーマンの特異な映像感覚を生かした視覚的な面に重点を置いた作品。
まず、3D作品ということが驚きで、この物語をする必要があるのかやや疑問だが、上記のように、映像表現を重視したかったと思われる製作者の考えを尊重するしかない。
その甲斐あってか、バズ・ラーマン夫人キャサリン・マーティンは、第86回アカデミー賞で美術賞と衣装デザインをダブル受賞した。
1億ドルをかけた超大作は、北米興行収入で約1億4500万ドル、全世界では約3億5100万ドルのヒットとなった。
人気に加え誰もが認める実力派であるレオナルド・ディカプリオを良し悪しで判断したくないが、個人的に、今ではファンになった彼の演技は、1974年版を無視して鑑賞することができず、そのことばかりが浮かび、それほど楽しめる作品でもなかった。
しかし、1974年版の主演ロバート・レッドフォードに敬意を表しているのか、雰囲気などは似ていないものの、彼の仕草などを意識しているようなところが興味深い。
レオナルド・ディカプリオの存在感に押されてはいるが、物語的には主人公とも言える、上流社会の世界に翻弄される作家志望の青年を演ずるトビー・マグワイアや、主人公が愛する富豪夫人を演ずるキャリー・マリガンは共に好演している。
大富豪の御曹司ジョエル・エドガートン、その愛人アイラ・フィッシャー、その夫ジェイソン・クラーク、その義妹アデレイド・クレメンス、ヒロインの友人エリザベス・デビッキ、ギャンブラー、アミターブ・バッチャン、主人公の若年期カラン・マッコーリフ、パーティーの女性ジェマ・ワード、医師のジャック・トンプソンなどが共演している。