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大脱走 The Great Escape (1963)

事実に基づいた脱走計画を基に1950年に発表された、ポール・ブリックヒルの体験記を映画化した作品。
ナチス・ドイツに抵抗するためのかく乱作戦として連合軍捕虜たちが実行する大量脱走計画を描く、製作、監督ジョン・スタージェス、主演スティーブ・マックイーンジェームズ・ガーナーリチャード・アッテンボローチャールズ・ブロンソンジェームズ・コバーンジェームズ・ドナルドドナルド・プレザンスデヴィッド・マッカラム他共演の戦争アクション大作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


アクション/アドベンチャー

スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen 作品一覧
スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督 ジョン・スタージェス

製作 ジョン・スタージェス
原作 ポール・ブリックヒル
脚本
ジェームズ・クラヴェル

W・R・バーネット
撮影 ダニエル・L・ファップ
編集 フェリス・ウェブスター
音楽 エルマー・バーンスタイン

出演
独房王/ヴァージル・ヒルツ:スティーヴ・マックイーン

調達屋/ボブ・ヘンドリー:ジェームズ・ガーナー
ビッグX/ロジャー・バートレット:リチャード・アッテンボロー
先任将校/ラムゼイ大佐:ジェームズ・ドナルド
偽造屋/コリン・ブライス:ドナルド・プレザンス
トンネル王/ダニー・ヴェリンスキー:チャールズ・ブロンソン
製造屋/ルイス・セジウィック:ジェームズ・コバーン
トンネル王/ウィリアム”ウイリー”ディッカース:ジョン・レイトン
収容所長/フォン・ルーゲル大佐:ハンネス・メッセマー
土処理屋/エリック・アシュレー=ピット:デヴィッド・マッカラム
情報屋/サンディ・マクドナルド:ゴードン・ジャクソン
モグラ/アーチボルド・アイヴス:アンガス・レニー
測量屋/デニス・カベンディッシュ:ナイジェル・ストック
仕立屋/グリフ:ロバート・デズモンド
白イタチ/ヴェルナー:ロバールト・グラフ
シュトラハヴィッツ:ハリー・リーヴァウワー
ハー・クーン:ハンス・ライザー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1963年製作 172分
公開
北米:1963年7月4日
日本:1963年8月10日
製作費 $4,000,000


アカデミー賞 ■
第36回アカデミー賞

・ノミネート
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
第二次世界大戦末期。
ドイツ軍(空軍)が管理する、新設されたルフト第三捕虜収容所に、ドイツ中から集められた捕虜が到着する。

彼らは、ドイツ軍の撹乱を目的に、脱走を使命とする札付きの脱走兵の集団だった。

そして、到着するなり捕虜達は、早速、収容所の下見をして脱走の準備にとりかかる。

収容所長のフォン・ルーゲル大佐(ハンネス・メッセマー)は、 捕虜の代表、先任将校ラムゼイ大佐(ジェームズ・ドナルド)に、収容所が脱走不可能な設備だということを説明し、高待遇を約束する。

そんなトップのやり取りとは関係なく、捕虜達は早くも脱走を企てる。

調達屋のアメリカ人兵士ボブ・ヘンドリー(ジェームズ・ガーナー)は、トラックから盗める物があるかを探り、トンネル堀りのプロ、ダニー・ヴェリンスキー(チャールズ・ブロンソン)とウィリアム”ウイリー”ディッカース(ジョン・レイトン)、それにオーストラリア人の製造屋ルイス・セジウィック(ジェームズ・コバーン)や、小柄なアーチボルド・アイヴス(アンガス・レニー)らは、ソ連兵に紛れ込み脱走を企てる。

しかし、看守長シュトラハヴィッツ(ハリー・リーヴァウワー)に見つかり、その企みは失敗する。

アメリカ人兵士のヴァージル・ヒルツ大尉(スティーヴ・マックイーン)は、監視塔に死角があることに気づき、鉄条網に近づく。
...全てを見る(結末あり)

しかし、見つかったヒルツは、フォン・ルーゲル大佐を侮辱したアイブスと共に”クーラー”(独房)行きを命ぜられてしまう。

ヒルツは、隣の房のアイヴスとの会話で、次の脱走のヒントを得る。

そんな時、ハー・クーン(ハンス・ライザー)らゲシュタポ及び親衛隊に捕らえられていた、脱走計画のプロ”ビッグX”ことロジャー・バートレット(リチャード・アッテンボロー)が、収容所に連行されてくる。

ドイツ軍は、苦戦をしている前線の勢力強化のため、脱走のプロを一まとめにする管理体制を執ってしまい、結果的に、これが墓穴を掘ることになってしまう。

そして”ビッグX”の号令の下、分業化された脱走組織が結成され、3本のトンネル(”トム”、” ディック”、”ハリー”)を同時に堀り、250人を一挙に脱走させる大計画が実行される。

調達屋ヘンドリー、製造屋セジウィック、トンネル掘り担当のダニーとウィリー、偽造屋コリン・ブライス(ドナルド・プレザンス)、情報係サンディ・マクドナルド(ゴードン・ジャクソン)、トンネルの土砂処理担当エリック・アシュレー=ピット(デヴィッド・マッカラム)、仕立屋グリフ(ロバート・デズモンド)、そして、トンネルの測量担当デニス・カベンディッシュ(ナイジェル・ストック)ら、各自が分担して仕事に取り掛かる。

ブライスと同部屋になったヘンドリーは、紳士である彼との親交を深め、カメラの調達を頼まれる。

ダニーにトンネル掘り用のつるはしを頼まれたヘンドリーは、その材料を確保する。

そしてダニーは、ストーブの下のコンクリートを壊し、彼自身17本目となるトンネルを掘り始め、その他の棟のシャワー室の排水口でも同様の作業を始める。

一方、ヒルツ(スティーブ・マックイーン)は、クーラーを出た当日に、ラムゼイらに次の計画を説明して、アイブスと共に再び脱走を企てる。

しかし、二人は捕まってしまい、アイブスは精神的限界に達してしまう。

トンネル掘りは順調に進むが、問題は掘り起こした土砂をどう処理するかだった。

そんな時、アシュレー=ピットは、ズボンの中に土砂を入れた袋を忍ばせて外部に持ち出し、大量の土砂を処理する方法を考案する。

バートレットは、その土砂を処理し易くするために、収容所内に畑を作ることを考える。

しかし、フォン・ルーゲル大佐の様子から、全てを見通されているような雰囲気もあり、バートレットらは警戒する。

同じ頃ヘンドリーは、看守のヴェルナー(ロバールト・グラフ)を罠にはめ、通行証などを手に入れる。

その間、セジウィックは、トンネルに空気を送るポンプ造りに励む。

グリフは、軍服などを利用した大量の脱走用私服を用意し、それをバートレットに見せる。

バートレットはクーラーから戻ったヒルツに、脱走して収容所外の地理の調査などを頼もうとするが、彼はそれを拒否する。

身分証などをなくしたヴェルナーは、ヘンドリーに助けを求め、彼は協力を約束する。

そんなヘンドリーは、ブライスがカメラを欲しがっていることを、何気なくヴェルナーに伝える。

トンネル掘りは進むが、度重なる落盤に悩まされ、内部を大量の木材で補強する必要がでてくる。

補強されたトンネル”トム”の作業は順調に進むが、日程の関係で、”ハリー”と”ディック”を中止し、”トム”一本の作業に専念することになる。

ヒルツやヘンドリーらアメリカ兵は、アメリカ独立記念日に向けて芋焼酎を作、り盛大に祝おうとする。

そして独立記念日当日、焼酎を振舞おうとするヒルツらを見て、バートレットは、脱走計画の休息日として息抜きを考える。

しかし、巡回中のシュトラハヴィッツとヴェルナーが、ストーブの下に掘られた”トム”を発見してしまう。

収容所生活に絶望していたため、落ち込むアイヴスは逃げようとする。

それをヒルツが助けようとするが、アイブスは射殺されてしまう。

ヒルツは、収容所外の情報収集をすることをバートレットに告げ、”ハリー”が24時間体制で掘り続けられることになる。

早速、脱走したヒルツは再び捕まり、収容所に戻りクーラーに入れられる。

焦りが見える捕虜達の中で、トンネルの落盤によりダニーの閉所恐怖症が再発し、ブライスは、証明書作成で目を酷使したため、視力が急激に落ちてしまう。

ダニーはトンネル内の恐怖に怯え、単独で収容所を脱出しようとするが、ウィリーに説得されて思い止まる。

計画に貢献したブライスだったが、バートレットは、足手まといになる彼の、脱走参加を認める訳にはいかなかった。

しかし、ヘンドリーが付き添うことで、バートレットは仕方なくそれを許可する。

そして、クーラーから出たヒルツから、多くの情報を得たバートレットは、遂に脱走計画を決行する。

脱走予定者は次々と”ハリー”の入り口がある棟に集まるが、ダニーが怯えてトンネルから出ようとする。

バートレットは、ダニーを外で落ち着かせるようウィリーに指示を出し、トンネル先端部で待つヒルツの元に向かう。

しかし、完璧だったはずの測量にも拘らず、トンネルは収容所外の森まで達していないことが分かり、脱出口は監視塔から丸見えの状態だった。

ロープを用意させたヒルツは、トンネルから出て森に潜み、彼の合図で捕虜達は、次々と脱出して森に消えて行く。

ウィリーはダニーを説得してトンネルに戻り、ヘンドリーとブライスもトンネルを出ようとする。

そこに空襲警報が鳴り響き、監視塔のサーチライトは消えて、トンネル出口は暗闇になり脱出の手助けとなる。

トンネル内の電気も消えてしまい、ダニーが再び怯え始めるのだが、何とかウィリーと共にトンネルから脱出して森に向かう。

空襲後も捕虜達は順調に脱出を続け、セジウィックやバートレットとマクドナルドらも脱出する。

しかし、物音に気づいた看守が警戒する中、グリフが焦ってトンネルから這い出してしまい、出口は発見されてしまう。

翌日、フォン・ルーゲル大佐には、脱走者が76人と報告され、脱走した捕虜達は私服やドイツ兵に扮装し、徒歩、列車、ボート、自転車などで逃走する。

ヒルツはオートバイを奪い、ドイツ兵に扮して逃走する。

バートレットやマクドナルド、そしてアシュレー=ピットらは、身分証の提示を切り抜ける。

同じ列車に乗り込んだヘンドリーとブライスは、危険を察知して車両から飛び降りる。

ヒルツは、オートバイでスイスの山々の手前に到達するが、ドイツ兵に呼び止められて追われる身となり、自転車で逃亡したセジウィックは貨物車に忍び込む。

停車駅で、ゲシュタポがバートレットとマクドナルドを見つけたため、それをに気づいたアッシュレー・ピットが犠牲になり、彼らを逃がす。

非常線が引かれる中、脱走者は次々と捕らえられていく。

ゲシュタポに連行された捕虜達は、尋問などが意外にも簡単に済まされることなどを疑問に思う。

飛行場の練習機を奪ったヘンドリーは、それにブライスを乗せてスイスに向かう。

ヒルツは、スイスまで後一歩のところで、ドイツ兵に包囲されながら必死に逃走し国境に向かう。

ヘンドリーの操縦する練習機は、故障して墜落し、敵兵が近づくのを知らせようとしたブライスは銃撃される。

ブライスは、収容所から出してくれたことをヘンドリーに感謝しながら息を引き取る。

ついに国境にたどり着いたヒルツだったが、迫るドイツ兵の前に行き場を失い、鉄条網に突っ込み捕らえられてしまう。

フランス入りしていたセジウィックは、レジスタンスの協力で逃亡を続ける。

ある町で、バスに乗ろうとしていたバートレットらだったが、マクドナルドが単純な罠にかかり、フランス人に扮していたにも拘らず英語を話してしまう。

二人は、その場から逃走するが結局は捕らえられてしまい、バートレットとマクドナルドは、ゲシュタポのクーンの元に連行される。

その他、脱走した捕虜達の50名は移送され、見せしめのためにゲシュタポにより射殺されてしまう。

収容所では、そのことがフォン・ルーゲル大佐からラムゼイ大佐に報告される。

ラムゼイは、負傷者がいなかったことから、50名が殺されたことを知り、捕虜達に犠牲者の名前を知らせる。

ダニーとウィリーはライン川を下り、スウェーデンの貨物船に乗り込み、セジウィックは、レジスタンスの案内により、スペインに逃れ自由の身となる。

結局、76名中、逃走できたのは3名のみで、ヘンドリーを含む残りの捕虜は収容所に連れ戻される。

ラムゼイ大佐は、ヘンドリーをはじめとする、戻ってきた数少ない捕虜達を前に、ドイツ軍を後方撹乱させるという意味では、50名の犠牲も報われると説くのだった。

収容所に戻ったヒルツは、責任を取り解任させられることになったフォン・ルーゲル大佐から、50名が犠牲になったことを知らされる。

そしてヒルツは、収容所の士官達に再び脱走してやると言わんばかりの、不敵な笑みを浮かべる。

その後ヒルツは、捕虜たちに迎えられながら”クーラー”に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
第二次世界大戦末期。
苦戦するドイツ軍は、合理化のため各地に散らばっていた捕虜を収容する、巨大施設を建設する。
そこに集められたのは脱走のプロ集団で、彼らは脱走計画のプロ”ビッグX”の指揮下で綿密な大量脱走計画を立てる。
戦地での後方撹乱は捕虜の義務であり、彼らは、昼夜の作業で脱出用のトンネルを掘り、計画は実行される。
しかし、当初の計画よりトンネルが短かったために、目標人数の1/3以下しか脱走できなかった。
脱走した捕虜達は次々に捕まり、ゲシュタポは見せしめのために50名を射殺し、自由の身となれたのは、わずか数名という結果に終わる。
しかし、後方撹乱の目的を達した捕虜達は、収容所に戻った勇者達を迎える・・・。
__________

私がまだ少年時代、映画の世界にのめり込むきっかけになった作品。

リアルタイムでは、幼すぎて見ることはできなかったものの、リバイバル公開時に劇場で見た感激は一生忘れられない。

DVDもビデオもない、テレビの洋画劇場が最盛の時代、前編後編ニ週に分けて放映されて桁外れの視聴率を記録し、紅白歌合戦に対抗できる番組などなかった頃、その裏番組にまでなったこともある絶大な人気を誇る作品。

捕虜収容所からの生死の懸かった脱走計画を、まるでスポーツのように、軽快そして痛快に描いた、ジョン・スタージェスの演出も見事な作品。

荒野の七人」(1960)のスタッフ・キャストの多くが再び結集する中、勇ましくもテンポの良いエルマー・バーンスタインのテーマ曲は、強烈に心に残る、永遠の名曲だ。

第36回アカデミー賞では、編集賞にノミネートされた。

何度捕えられても怯まない、”クーラー・キング”独房王 、今は亡きスティーヴ・マックイーンの魅力は一言では語れない。

小柄ながら、彫りの深い精悍な顔立ち、動きに無駄のないシャープな身のこなし、寡黙さに加え、ユーモアを兼ね備えた、永遠のアクション・ヒーローだ。

レーサーでもある彼は、作品中ドイツ兵を装いバイクで逃走するが、それだけでは飽き足らず、ドイツ兵を演じて、自分を追跡する役までこなしている。
(注意していると、仕草などで彼だと分かる)

因みに、マックイーンの走りに対して、ドイツ軍用BMWバイクは重過ぎるということで、トライアンフを改造したバイクが使われた。

大柄で頼もしいアメリカ人の調達屋ジェームズ・ガーナーが、偽造屋で視力を失ったドナルド・プレザンスを気遣う優しさも胸を打つ。

脱走を指揮する”ビッグX”ことバートレット役のリチャード・アッテンボローの名演も、ドラマを引き締める。

頑強に見えながら、 閉所恐怖症で弱音も吐く、トンネル・キングのチャールズ・ブロンソンは、元炭鉱夫の経験がある苦労人ならではの適役だった。

いつもマイペースな製造屋のジェームズ・コバーンは、コミカルな演技でいい味を出している。

非情なゲシュタポ親衛隊とは対照的に、捕虜に友好的な収容所長ハンネス・メッセマーも、敵ではあるが好感が持てる役柄だった。

*他の出演者
先任将校/ラムゼイ大佐:ジェームズ・ドナルド
偽造屋/コリン・ブライス:ドナルド・プレザンス
トンネル王/ウィリアム”ウイリー”ディッカース:ジョン・レイトン
土処理屋/エリック・アシュレー=ピット:デヴィッド・マッカラム
情報屋/サンディ・マクドナルド:ゴードン・ジャクソン
モグラ/アーチボルド・アイヴス:アンガス・レニー
測定屋/デニス・カベンディッシュ:ナイジェル・ストック
仕立屋/グリフ:ロバート・デズモンド
白イタチ/ヴェルナー:ロバールト・グラフ
シュトラハヴィッツ:ハリー・リーヴァウワー
ハー・クーン(ゲシュタポ):ハンス・ライザー


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