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グッド・シェパード The Good Shepherd (2006)

国家の諜報活動の内幕とCIA誕生秘話を描く、製作フランシス・フォード・コッポラ、製作、監督ロバート・デ・ニーロ、主演マット・デイモンアンジェリーナ・ジョリーエディ・レッドメインウィリアム・ハートジョン・タトゥーロアレック・ボールドウィンマイケル・ガンボンビリー・クラダップジョー・ペシ共演のサスペンス・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

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スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・デ・ニーロ
製作総指揮
フランシス・フォード・コッポラ
デヴィッド・C・ロビンソン
ガイ・マケルウェイン
クリス・ブリガム
ハワード・カプラン
製作
ロバート・デ・ニーロ
ジェームズ・G・ロビンソン
ジェーン・ローゼンタール
脚本:エリック・ロス
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:タリク・アンウォー
音楽
ブルース・フォーラー
マーセロ・ザーヴォス

出演
エドワード・ウィルソン:マット・デイモン
マーガレット“クローバー”:アンジェリーナ・ジョリー
ビル・サリヴァン将軍:ロバート・デ・ニーロ
エドワード・ウィルソンJr.:エディ・レッドメイン
フィリップ・アレン:ウィリアム・ハート
レイ・ブロッコ:ジョン・タトゥーロ
サム・ミュラック:アレック・ボールドウィン
フレデリックス教授:マイケル・ガンボン
アーチ・カミングス:ビリー・クラダップ
ローラ:タミー・ブランチャード
リチャード・ヘイズ:リー・ペイス
ハンナ・シラー:マルティナ・ゲデック
ヴァレンティン・A・ミロノフ:ジョン・セッションズ
スタス・シヤンコ“ユリシーズ”:オレグ・ステファン
ジョゼフ・パルミ:ジョー・ペシ
ジョン・ラッセル上院議員:キア・デュリア

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2006年製作 167分
公開
北米:2006年12月22日
日本:2007年10月20日
製作費 $85,000,000
北米興行収入 $59,901,000
世界 $99,480,500


アカデミー賞 ■
第79回アカデミー賞
・ノミネート
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1961年4月17日。
キューバピッグス湾に、反カストロを掲げた亡命キューバ人の部隊が上陸するが、それを支援するCIA内部の情報漏れにより、作戦は失敗する。

その後、ある写真と音声入りのテープが、CIAのエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)の自宅に匿名で届けられる。

ウィルソンの責任追及は必至の状況で、彼は、自分を疑うCIA長官フィリップ・アレン(ウィリアム・ハート)の極秘資料を、FBIから入手する。
__________

1939年。
ウィルソンは、イェール大学に通う傍ら、学生内の秘密結社スカル・アンド・ボーンズ/S&B(将来のアメリカの指導者を育てる秘密結社)の新メンバーとなる。

ウィルソンは、メンバーの儀式として、秘密を明かさなければならないために、父の自殺と遺書を隠していることを打ち明ける。

ウィルソンの父はアメリカ海軍大将で、海軍長官になるとも言われていたが、忠誠心を疑われて、それが果たせなかった。

ある日、FBI捜査官サム・ミュラック(アレック・ボールドウィン)が、ウィルソンに接触する。
...全てを見る(結末あり)

ミュラックは、大学のフレデリックス教授(マイケル・ガンボン)がナチスであることを告げて、ウィルソンにスパイをさせる。

ウィルソンはそれを受けることになり、フレデリックス教授は辞職させられてしまう。

その後ウィルソンは、ローラ(タミー・ブランチャード)という聴覚障害者の学生と交際を始めるが、その頃ヨーロッパでは、第二次大戦が激しさを増していた。

1940年。
S&Bの保養所ディア島で、ウィルソンはジョン・ラッセル上院議員(キア・デュリア)の娘マーガレット”クローバー”(アンジェリーナ・ジョリー)に出会い愛し合ってしまう。

そしてウィルソンは、S&Bの先輩アレンの紹介で、ビル・サリヴァン将軍(ロバート・デ・ニーロ)に会い、軍の情報機関OSSに誘われる。

やがてクローバーが妊娠し、ウィルソンは責任をとり、彼女と結婚するためにローラと別れる。

結婚式の最中、ウィルソンはサリヴァン将軍からの命令を受け取り、ロンドンに赴任することになる。

ロンドンOSS支部。
ウィルソンはアレンに歓迎され、意外な人物フレデリックス元教授と再会する。

現地でウィルソンは、レイ・ブロッコ(ジョン・タトゥーロ)というニューヨーク出身の軍人を部下にする。

フレデリックスはイギリスの諜報員で、イェール大学にいる間、ナチスに、彼がスパイであると思わせていたのだった。

わだかまりなく、フレデリックスはウィルソンを歓迎し、彼にスパイ活動について教え込み、イギリス情報部将校アーチ・カミングス(ビリー・クラダップ)を紹介する。

カミングスは、フレデリックスが、無差別的な同性愛者で、情報漏れの恐れがあるとウィルソンにに伝え、彼の始末を指示する。

フレデリックスはウィルソンに、汚れた仕事から手を引くべきだと忠告し、その後、抹殺される。

1945年、戦後のベルリン
連合国ソ連は今後、技術的優位にたつため、ドイツの優秀な科学者を奪い合っていた。

ソ連側の諜報員”ユリシーズ”スタス・シヤンコ(オレグ・ステファン)と接触したウィルソンは、長く戦いが続くかも知れないことを知らされる。

ウィルソンは、アメリカの自宅に電話した際、クローバーが他の男性と会っていることを、息子が口走ってしまったのを聞いてしまう。

女性通訳で、聴覚障害があるハンナ・シラー(マルティナ・ゲデック)と一夜を共にしたウィルソンは、彼女が補聴器なしで自分の会話を理解したのに気づく。

ハンナがスパイだと確信して、部下に殺させたウィルソンは、補聴器をユリシーズの元に送りそれを知らせる。

1946年。
帰国したウィルソンは、マーガレット(クローバー)に迎えられ、彼女は浮気したことを告白し、6年の歳月の溝を修復するため、お互い時間をかけ努力することにする。

ウィルソンを訪ねたサリヴァン将軍は、アレンをトップに置き、 元同僚リチャード・ヘイズ(リー・ペイス)と共に、新しい情報機関CIAを作る協力を彼に要請する。

それを受け入れたウィルソンは、マーガレットや知人関係にそれを知られないようにする。

1947年。
ソ連が中米の資源、特にコーヒーを狙っていることに懸念を抱くアレンは、情報員を派遣して対処させようとする。

資料フィルムを見ている際、ウィルソンは、ユリシーズが映っていることを確認するものの、それを皆には隠しておく。

ユリシーズを含む、ロシアマヤのコーヒー会社での活動を、イナゴを使って妨害したウィルソンに、潜入していた情報員の、切断された指が入ったコーヒー缶が、ユリシーズから届く。

その間、ウィルソンとマーガレットの仲は冷え切ってしまい、 息子までもが父を憎む。

マヤのコーヒー会社の重役になるアレンに、不信感を抱いたサリヴァンは、ウィルソンにそれを伝える。

ウィルソンは、FBIのミュラックに、極秘でアレンの調査を依頼する。

1953年。
ウィルソンは、ソ連内部の情報提供を交換条件に、亡命を希望するヴァレンティン・ミロノフ(ジョン・セッションズ)と接触して、ユリシーズの情報を得る。

1958年。
ミロノフ、カミングスと観劇中のウィルソンは、元恋人のローラと偶然に出くわし、彼女のアパートで愛し合う。

その盗撮写真がマーガレットの元に届けられ、ウィルソンの前で彼女は取り乱してしまう。

ウィルソンは、ローラの十字架のネックレスをブロッコに託し、それが彼女に渡され、二人は別れることになる。

1960年。
ミロノフを名乗る亡命希望者が現れ、結局正体が明かされないまま彼は自殺し、ウィルソンはミロノフを疑う。

ウィルソンの息子エドワード(エディ・レッドメイン)は、CIAに入ることを希望し、マーガレットは、それを阻止するよう夫に言い寄る。

キューバのマフィアで、反カストロのジョゼフ・パルミ(ジョー・ペシ)に、ピッグス湾での協力の約束を得たウィルソンは、アレンにそれを報告して、上陸作戦の決行が決まる。

それを盗み聞きしてしまったエドワードに、ウィルソンは他言しないよう警告するが、マーガレットとの間には、完全に亀裂が入り、やがて彼女は去っていく。

1961年4月26日。
ピッグス湾事件が失敗に終わり、ウィルソンに送られてきた写真とテープの分析から、ウィルソンは、写真の男女の情事の現場が、コンゴレオポルドビル(現キンシャサ)だということを突き止めて現地に向かう。

ウィルソンは、その部屋にあった船の模型の入った時計が、息子エドワードにあげたものだと知り、写真の人物が彼だということが分かる。

そして、ウィルソンを待ち構えていたユリシーズが現れ、エドワードの相手の女性が、ソ連側のスパイだったことを知らせる。

ユリシーズは、息子を助けたければ、協力するようにとウィルソンに迫り、彼は女性が敵側スパイだということをエドワードに知らせて説得するが、聞きいれられない。

ウィルソンは、バレンティンがソ連のスパイだということを突き止めて、カミングスも共謀者だったことを暴いて、ユリシーズの要請を断り二人は別れる。

エドワードの結婚式の日、ウィルソンはマーガレットと共に花嫁の到着を待つが、彼女は飛行機から突き落とされて死亡する。

エドワードは、父の仕業ではないかとそれを問質すが、ウィルソンは関与を否定して息子を抱きしめる。

CIAのアレン長官の、不正蓄財を暴いたウィルソンは証拠を突きつけ、アレンは長官を辞任する。

ウィルソンはCIAの要職を任されることになり、隠してあった父の遺書の封を開け、それを読むことにする。

ウィルソンは、父が国を裏切ったことを知ると共に、良識ある人生を歩むように、遺書には書き綴られていた。

そして、ウィルソンは遺書を燃やして職務に就く。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
第二次大戦前夜。
イェール大学で秘密結社”S&B”に所属していた学生エドワード・ウィルソンは、FBIと接触したのをきっかけに、国家の諜報活動に関っていく。
その後、聴覚障害の学生ローラと付き合い始めたウィルソンは、上院議員の娘マーガレットを妊娠させたため、彼は、その責任を取って彼女と結婚する。
ウィルソンは、サリバン将軍から軍の情報機関OSSに誘われていたために、それを受けた彼はロンドンに赴任することになる。
戦後、ソ連との今後も続くであろう戦いの渦に巻き込まれながら、ウィルソンは活動を続けるのだが、その間に、マーガレットとの仲は冷め切ってしまう。
帰国したウィルソンは、夫婦の関係を修復することが出来ないまま、サリヴァンから、新情報機関CIAを作るための協力を要請されるのだが・・・。
__________

出演も兼ねるロバート・デ・ニーロが製作、監督し製作費8500万ドルをかけたサスペンス・ドラマ。

ピッグス湾事件の失敗の内幕を、CIAの一情報員の失態という筋立てで描き、その主人公の家族に潜む秘密と人生が、事件と微妙に絡み合う見応えある作品。

冒頭で、作戦失敗と謎の写真とテープを見せて物語は過去に戻り、随所でその謎を解いていき、クライマックスで全てが明かされるという、米ソの冷戦も含めた、スパイ同士の戦いなども非常に興味深く、複雑なストーリーの割には理解し易い作りにもなっている。

第79回アカデミー賞では、美術賞にノミネートされた。

製作に加わったフランシス・フォード・コッポラが、監督する予定だった作品でもある。

また当初、レオナルド・ディカプリオの主演予定が、「ディパーテッド」(2006)に出演のために降りて、マット・デイモンに代わったのだが、彼も同作に出演しているところが面白い。

物語のキーポイントとなる、イェール大学の秘密結社”スカル・アンド・ボーンズ”の出身者で有名なブッシュ元大統領は、CIA長官も歴任しているところなどが、ストーリーに真実味を与えている。

原題の”グッド・シェパード”は、聖書の中の”良き羊飼い”のことを差す。

主演のマット・デイモンは、20年余りの過酷な職務に耐えながら諜報活動を続ける、いかにも役人タイプの、地味で寡黙な主人公を淡々と演じている。

派手な雰囲気で登場するものの、こちらも 結構地味なアンジェリーナ・ジョリーは、演技派としての実力を発揮し、夫の行動に不信感を持つ主人公の妻を好演している。

物語の重要人物でもあるCIAを作った将軍役のロバート・デ・ニーロも、監督兼任ながら、さすがに存在感抜群の演技を見せてくれる。

結果的に父を裏切る行為をしてしまう、主人公の息子エディ・レッドメイン、秘密結社S&B出身であり、CIA長官になるものの疑惑が発覚し辞職するウィリアム・ハート、主人公の忠実な部下ジョン・トゥーロ、要所要所で主人公に接近するFBI捜査官アレック・ボールドウィンイギリス諜報部の二重スパイ、マイケル・ガンボンソ連に寝返る諜報員ビリー・クラダップ、結局は、ソ連のスパイだったジョン・セッションズ、主人公の宿命のライバル、”ユリシーズ”オレグ・ステファン、マフィアのボスとして有名な、サム・ジアンカーナがモデルと言われるジョー・ペシ、聴覚障害を持つ主人公の元恋人タミー・ブランチャード上院議員キア・デュリアなどが共演している。


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