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大地 The Good Earth (1937)

1931年に発表された、パール・S・バックピューリッツァー賞及びノーベル文学賞受賞作”大地”を基に製作された作品。
家族と共に逞しく生きる農夫の波乱の人生を描く、製作アーヴィング・タルバーグ、監督シドニー・フランクリンヴィクター・フレミンググスタフ・マハティサム・ウッド、主演ポール・ムニルイーゼ・ライナーウォルター・コノリーティリー・ロッシュ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督

シドニー・フランクリン
ヴィクター・フレミング(クレジットなし)
グスタフ・マハティ(クレジットなし)
サム・ウッド(クレジットなし)
製作:アーヴィング・タルバーグ
原作:パール・S・バック大地
脚本
タルボット・ジェニングス
テス・スレシンジャー
クローディン・ウェスト
撮影:カール・フロイント
編集:バジル・ランゲル
音楽:ハーバート・ストサート

出演
ワン・ルン/王龍:ポール・ムニ
オーラン/阿藍:ルイーゼ・ライナー
叔父:ウォルター・コノリー
蓮華:ティリー・ロッシュ
父:チャールズ・グレープウィン
黄家の使用人:ジェシー・ラルフ
叔母:スー・ヤン
長男:ケイ・ルーク
次男:ローランド・ルイ

アメリカ 映画
配給 ロウズ・シネプレックス・エンターテインメント
1937年製作 138分
公開
北米:1937年1月29日
日本:1937年11月
製作費 $2,800,000


アカデミー賞
第10回アカデミー賞

・受賞
主演女優(ルイーゼ・ライナー
撮影賞
・ノミネート
作品・監督・編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
第一次大戦前の中国北部。
ワン・ルン/王龍(ポール・ムニ)の婚礼の日。
貧農の青年ワンは、父(チャールズ・グレープウィン)の朝食の支度をして湯を沸かして体を洗う。

貴重な水を使い贅沢だと言う父に、友達を呼び祝宴を開きたいことを伝えたワンは、無駄遣いを許してもらえない。

訪ねて来たワンの親友チンは、めでたい日だと言って父に酒を渡す。

雨が降ると言うチンと話した父は、質素な祝宴を開くことを彼に伝える。

豪族の黄家の屋敷に向かったワンは、妻になる奴隷オーラン/阿藍(ルイーゼ・ライナー)の不器量でみすぼらしい姿を見て理想とは違っていたものの、彼女を連れて家に向かう。

桃を買ってもらったオーランは喜び、ワンが捨てた種を、植えれば木になると言って拾う。

その夜、叔父(ウォルター・コノリー)などを招き細やかな祝宴を開いたワンは、皆が帰った後で、オーランが裏庭に桃の種を植えていることに気づく。
...全てを見る(結末あり)

オーランが屋敷の使用人(ジェシー・ラルフ)から酷い目に遭っていたことを知ったワンは、無口だが働き者の彼女を幸せにしたいと考える。

その後、桃ノ木が育ち始め、ワンと共に黙々と働くオーランは、妊娠したことを彼に伝える。

喜んだワンは、それを父にも知らせて、出産のことは何も分からないために、黄家の屋敷の者を呼ぶことを考える。

それを拒むオーランは、屋敷に戻るのは息子を連れて行く時だとワンに伝える。

刈り入れの季節になり、忙しく働くワンは、嵐が近づいたために焦る。

出産間近で休んでいたオーランも畑に向かい手伝うが、産気づいてしまう。

雨が降り始め、オーランを抱いて家に戻ったワンは、一人で大丈夫だと言う彼女を残して収穫を続ける。

ワンの家に寄った叔父は子供が産まれたことに気づき、妻(スー・ヤン)がオーランの様子を見る。

家に戻ったワンは男の子が産まれたことを知り、興奮して喜ぶ。

その後、収穫した小麦を売ったワンは、黄家が金に困り土地を売る話を聞き、貯めた金でそれを買うことを考える。

ワンは、興味がない様子だったものの賛成してくれたオーランと共に、息子を連れて黄家に向かう。

小さな土地を買ったワンは、希望に胸膨らませる。

時は流れ、5つの畑を持ったワンは、オーランと父、長男と次男そして長女と共に、その年の豊作を願う。

しかし、飢饉を甘く見たワンは、その後、干ばつで作物を育てることができず、叔父から土地を売ることを提案される。

それを拒むワンは、土地を息子に残す考えを変えない。

飢えに苦しむ家族のために牛を殺そうとしたワンは、共に働いた仲間だと言って殺すことができない。

オーランは、泣きながら耐えようとする子供たちのために牛を殺す。

土地を売らないワンが食料を隠していると考えた住民は、彼の家に押し入るものの、食べ物は何もなかった。

苦しい生活が続く中、4人目の子供が産まれたワンは、叔父の勧めで土地を売ることを考えるが、オーランは反対する。

南に向かうつもりのオーランは、戻ってきた時に土地は必要だと言ってワンを説得し、子供は死んだことを伝える。

人々は南に向かい、多くの者が餓死し、ワンの一家は汽車に乗り南に移動する。

ワンの一家はある町に着き、オーランは子供たちと共に物乞いをする。

ワンは、物乞いや盗みまでしなければならないことを嘆く。

市場に仕事があることを知ったワンは、その場で必死に働き、革命の機運が高まっていることを知る。

革命は成功して共和制となり、町は混乱して人々は略奪を始める。

金持ちの屋敷の門は破られ、その場に向かったオーランは、踏みつけられて気を失う。

人々は姿を消し、荒れ果てた屋敷の中で意識が戻ったオーランは、落ちていた宝石の包みを見つける。

略奪者は次々と処刑され、捕らえられたオーランは、調べられる寸前で見逃される。

家族の元に戻ったオーランは、ワンに宝石を見せて、家に戻れることを伝える。

自分の土地に戻ったワンは、持参した穀物を人々に分け与える。

チンに再会したワンは、土地を売ってしまった彼を、自分の土地で働かせることを考える。

叔父に銀貨を与えたワンは、宝石のことも話す。

ワンが土地を買うために宝石を売る考えだと知ったオーランは、二つの小さな真珠がほしいことを伝える。

真珠を渡されたオーランは、ワンに感謝する。

贅沢をして家を建て直し、奴隷まで持てるという叔父の意見に反対したオーランは、今後のことが不安になる。

その後、家を建て直したワンは土地も増やし、家族は幸せに暮らした。

成長した長男(ケイ・ルーク)と次男(ローランド・ルイ)は、ワンの事業を手伝う。

叔父に誘われた場所でワンは、踊り子の蓮華(ティリー・ロッシュ)の美しさに魅了される。

その後、ワンから、黄家の屋敷と土地を手に入れたことを知ったオーランは、喜ぶ気になれなかった。

容姿も身なりも金持ちらしくないオーランに不満を抱いていたワンは、渡した真珠を返してもらう。

自分は醜く愛も得られないと言うオーランに、ここまでの生活ができるようになり、協力してくれたことは感謝するが、愛人ができたと言うワンは、土地さえ無意味に感じる存在だと伝える。

それならば家に迎え入れるべきだとワンに伝えたオーランは、真珠を渡す。

ワンが去った後、オーランは涙する。

屋敷に移り住んだワンは蓮華を第二夫人に迎えるが、老いた父は、息子の考えが理解できない。

その後、蓮華に誘惑された次男は動揺する。

次男は、大学に通っている兄からの手紙をオーランに呼んで聞かせる。

蓮華のことが気になる次男はこのままでは問題になると考え、屋敷に住みたくないことをオーランに伝える。

次男との関係に気づいたオーランは戸惑い、現れたワンは、兵士になり屋敷を出たいと言う次男と口論になる。

次男のことについてワンと話したオーランは、蓮華のせいで死ぬ思いをしていることを伝える。

蓮華が次男を誘惑していることを知ったワンは、オーランを非難してその場を去る。

父に食事を出したオーランは、彼の前で涙する。

久しぶりに畑を見に行ったワンは、チンから次男と蓮華の噂を聞き、憤慨して彼を解雇する。

屋敷に戻ったワンは、蓮華と密会していた次男を痛めつけて追い出そうとする。

オーランと兄に別れを告げた次男は、母から、旅立つ前に父に挨拶するよう指示される。

次男の話を聞こうとしないワンは、叔父からイナゴが大量発生したことを知らされる。

長男から戦うべきだと言われたワンは、火の壁を作るという彼の考えを実行する。

人々と共に家族総出で準備をしたワンは、イナゴの大群が迫る中、次男も手伝っていることを知りながら作業を続ける。

チンと共に火を放ち壁を作ったワンは、皆を励ましながらイナゴと戦う。

やがて風向きが変わり、イナゴは飛び去り畑は救われる。

病気のオーランは容態が悪化するものの、畑にいるワンと息子たちを見つめて安堵する。

息子たちに収穫を任せたワンは、チンに感謝する。

ワンは、必要なくなった屋敷を売ることを叔父に伝える。

その後、次男が結婚することになり、花嫁と話す病床のオーランを気遣うワンは、彼女に真珠を渡す。

それを花嫁に渡してほしいと言われたワンは、いずれはそうするとオーランに伝える。

ワンは、人生に満足し後悔はないと言うオーランに、自分たちの結婚した日を覚えているか尋ね、彼女に謝罪する。

病気を治せるのならすべての土地を売ってもいいと、ワンはオーランに伝える。

それはいけないと言うオーランは、人間はいつか死ぬが土地は永遠に残るとワンに伝える。

独りにしないでくれと言うワンに、それはできない、許してほしいと伝えたオーランは、静かに息を引き取る。

裏庭の大きく育った桃ノ木に向かったワンは、オーランを想いながら、お前が大地だったとつぶやく。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
第一次大戦前の中国北部。
貧農の青年ワン・ルン/王龍は、豪族、黄家の奴隷オーラン/阿藍を妻に迎える。
無口だが働き者のオーランと共に仕事に精を出したワンは、長男も生まれ、収穫も済ませて現金を手に入れる。
黄家の土地を買ったワンは、その後、平穏に暮らすのだが、干ばつによる飢饉で生活は一変し、苦難の日々を送るることになる・・・。
__________

パール・S・バックピューリッツァー賞及びノーベル文学賞(対象となった作品)受賞作”大地”を基に製作された作品。

翌年公開の遺作「マリー・アントアネットの生涯」(1938)と共に、本作の公開を待たずに他界した製作者アーヴィング・タルバーグに捧げられた作品で、冒頭でそれが紹介されている。

20世紀前半の中国北部が舞台のドラマは、主要キャストは中国系以外の俳優が演じているものの、当時の貧農の生活や街並みを再現したセットや衣装などを含め、その雰囲気を見事に表現している。

第10回アカデミー賞では、主演女優と撮影賞を受賞し、作品、監督、編集賞にノミネートされた。

広大な大地を映し出すスケール感のある映像や、イナゴの襲来のシーンの特撮なども見応えある。

主演のポール・ムニは、前年の「科学者の道」(1936)でアカデミー主演賞を受賞(受賞式は本作公開後)した直後の作品であり、貧農から大地主となする主人公を熱演している。

彼と同じく中国人を演じてもそれほど違和感のない、主人公の妻を演ずるルイーゼ・ライナーは、奴隷から農夫の妻となり、家族のために懸命に働く女性を見事に演じ、アカデミー主演賞を受賞した。

主人公ばかり頼る怠け者の叔父ウォルター・コノリー、その妻スー・ヤン、主人公が心を奪われる踊り子ティリー・ロッシュ、主人公の父親チャールズ・グレープウィン、豪族の屋敷の使用人ジェシー・ラルフ、主人公の長男ケイ・ルーク、次男のローランド・ルイなどが共演している。


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