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グッバイガール The Goodbye Girl (1977)

役者の青年と同居することになったシングルマザーとの恋を描く、監督ハーバート・ロス、脚本ニール・サイモンリチャード・ドレイファスマーシャ・メイソン共演のラブ・ロマンスの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:ハーバート・ロス

製作:レイ・スターク
脚本:ニール・サイモン
撮影:デヴィッド・M・ウォルシュ
編集:ジョン・F・バーネット
音楽:デイヴ・グルーシン

出演
リチャード・ドレイファス:エリオット・ガーフィールド
マーシャ・メイソン:ポーラ・マクファーデン
クィン・カミングス:ルーシー・マクファーデン
ポール・ベネディクト:マーク
バーバラ・ローデス:ドナ・ダグラス
ニコール・ウィリアムソン:オリヴァー・フライ
テレサ・メリット:クロスビー夫人
パトリシア・ピアシー:ロンダ
マリリン・ソコル:リンダ
アニタ・ダングラー:モーガンウェイス夫人
パワーズ・ブース:リチャード三世キャスト

アメリカ 映画
配給 MGM ワーナー・ブラザーズ
1977年製作 110分
公開
北米:1977年11月30日
日本:1978年10月7日
北米興行収入 $102,000,000


アカデミー賞 ■
第50回アカデミー賞

・受賞
主演男優賞(リチャード・ドレイファス
・ノミネート
作品
主演女優(マーシャ・メイソン
助演女優(クィン・カミングス
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
ポーラ・マクファーデン(マーシャ・メイソン)は、10歳の娘ルーシー(クィン・カミングス)と買い物から帰ると、恋人の置き手紙を見つける。

俳優の恋人と共に、三人でハリウッド行きを夢見ていたポーラは、彼が自分達を捨ててイタリアに行ってしまったことを知り愕然としてしまう。

失意の母ポーラを、確り者のルーシーは慰める・・・。

33歳のポーラは、生計を維持するためにダンサーに復帰しようとレッスンに励むのだが、体がついていかない。

そんなある日ポーラは、アパートの管理人クロスビー夫人(テレサ・メリット)に、恋人が、部屋を又貸ししたことを知らされる。

ある雨の夜、出て行ったポーラの恋人から部屋を譲り受けた、エリオット・ガーフィールド(リチャード・ドレイファス)がアパートに現れる。
...全てを見る(結末あり)

ポーラは、エリオットを追い払ってしまい、公衆電話からの彼の電話も受け付けない。

ずぶ濡れのエリオットは再びポーラに電話をかけ、なんとか5分だけ話を聞いてもらえることになる。

白を切って抵抗するポーラは、自分の権利を主張しようとするエリオットを見て、彼も役者だということに気づく。

やはり、エリオットを追い出そうとするポーラだったが、彼は一歩も引かなかった。

そして、ルーシーがいる身で、出て行けるはずもないポーラは、仕方なく同居を承諾する。

エリオットの部屋にも拘らず、自分のペースで物事を決めようとするポーラだったが、彼はそれを認めない。

夜中にギターを弾き、朝は香をたき瞑想するエリオットは風変わりな若者だった。

ポーラは不利な立場ながら、全てのことでエリオットと対立し始める。

その日は、ポーラのミュージカルのオーディションで、彼女は役がもらえず、知人の演出家から、若さが欲しかったと助言される。

一方、万全を期して、エリオットはブロードウェイの舞台、シェイクスピアの”リチャード三世”の稽古に挑むのだが、演出家マーク(ポール・ベネディクト)の陳腐な解釈に戸惑ってしまう。

帰宅したエリオットが、役者仲間のロンダ(パトリシア・ピアシー)を連れて来たため、ポーラは、ルーシーへの影響を考えて彼に食って掛かる。

しかし、エリオットは”リチャード三世”の稽古だとポーラに言い放ち、既婚者の恋人との同棲経験を問い詰め彼女を黙らせてしまう。

その後エリオットは、舞台の稽古に嫌気が差して、役を放棄しかけてしまう。

そんなエリオットを見て、マークがやや歩み寄ったため、エリオットは稽古に戻る。

スーパーで出くわしたエリオットとポーラは、食費などを折半にすることで同意するのだが、帰り道にポーラが、全財産を引っ手繰りに遭い奪われてしまう。

ポーラは、犯人の車を追おうとしないエリオットに憤慨する。

その後、犯人達の車を見つけエリオットが彼らに言い寄るが、逆に彼は脅されてしまう。

役者と付き合うとろくなことがないと、失意のポーラは頼りにならないエリオットを突き放してしまう。

その夜、食事中にルーシーと意気投合したエリオットは、彼女とポーラを舞台初日に誘う。

ポーラはそんな気分になれず、エリオットに50ドル借りようとする。

自分に優しくすることを条件に、当座の生活費を持つことを、エリオットはポーラに提案する。

しかし、ポーラがそれをおかしな考えと捉えて反発したのに対し、エリオットは激怒する。

文字通り、”優しく”して欲しいだけだと強調したエリオットは、ルーシーのために、所持金の半額を置いて部屋に戻る。

その後ポーラは、返す言葉もなく、その場にたたずみ涙する。

舞台初日を控え、神経が高ぶるエリオットだったが、腹痛のルーシーをギターの音色でリラックスさせる。

昨夜のことをエリオットに謝罪し、彼に優しく接したポーラは、ルーシーと彼の舞台を見に行くことになる。

そして、エリオットの初舞台は終わり、ポーラとルーシーは楽屋にいる彼を訪ねる。

二人は、その出来の悪さにショックを受けているエリオットに、お世辞を言ってその場を立ち去る。

エリオットの演技は酷評され、彼は泥酔してアパートに戻り、ポーラが彼を何とかベッドに寝かせる。

翌朝、芝居が打ち切られた連絡が入り、エリオットは安心すると共に職を失ってしまう。

その後ポーラは、ようやくモーター・ショーのコンパニオンの職を得る。

エリオットは、柄でもないストリップ・バーの呼び込みをするが、客に殴られてクビになってしまう。

やがて、不幸な境遇に陥ったエリオットとポーラは、お互いを意識し始める。

翌日、ポーラはダンス仲間でもある同僚のドナ・ダグラス(バーバラ・ローデス)に、モーター・ショーの打ち上げに誘われるが、それを断り帰宅する。

アパートでは、エリオットが、ポーラのために屋上に食卓を用意してあった。

タキシードで決めたエリオットは、新たに劇団入りが決まったことをポーラに伝える。

再び役者に惹かれる自分に困惑しながらも、エリオットの優しさに、それを受け入れるポーラだった。

そして、最初からエリオットに好意的だった、ルーシーとの、三人の新しい生活が始まることになる。

しかし、二人が惹かれ合う一方で、再びエリオットが去っていくかも知れないと考えるルーシーは不安になる。

役者は、いい役がつくと自分から去っていくのを知りつつも、同じ事を繰り返してしまうことをポーラはエリオットに話し、再び彼を追い出そうとする。

エリオットは憤慨し、自分が他の男のように、ポーラを捨てることはないことを彼女に確信させる。

馬車を借りたエリオットは、ルーシーを学校に迎えに行き、彼女とポーラを大好きだと言うことを伝え安心させる。

新生活に喜びを感じ始めたポーラは、部屋の模様替えなどを始め、エリオットが、結婚も考えていることを知り感激する。

再び芝居に復帰したエリオットは、幸運にもハリウッドの映画監督オリヴァー・フライ(ニコール・ウィリアムソン)の目に留まる。

翌日、帰宅したポーラは、ルーシーの浮かない顔を見て不吉な予感を感じる。

希望に燃えながら、撮影のため西海岸に向かう準備をするエリオットの姿を見たポーラは、当然それを手放しで喜べない。

映画で頭が一杯のエリオットは、必ず帰ると約束するものの、ポーラにはそれが空しく聞こえるばかりだった。

そしてエリオットは旅立ってしまい、彼がやって来た時のような雨が振り出し、突然、電話のベルが鳴る。

電話を受けたポーラは、それがエリオットからだと気づく。

エリオットは近くの電話ボックスから、撮影に同行してくれとポーラを誘う。

ファーストクラスをキャンセルしたエリオットは、航空券を二枚用意して戻ってきたのだ。

エリオットの優しさにポーラは満足し、ルーシーと共に彼の帰りを待つことを伝える。

そしてエリオットは、ギターの手入れをポーラに頼み、彼女は遂に、本当の愛を手に入れたとを確信する。

雨の中、ポーラはギターを持ってバルコニーに出て、エリオットに愛を告げ、彼の旅立ちを見送る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
シングルマザーのポーラは、役者の恋人に捨てられ、娘ルーシーと共に途方に暮れてしまう。
やがて、追い討ちをかけるように、恋人が部屋を又貸ししてしまったために、役者のエリオット・ガーフィールドという青年が現れる。
仕方なく同居することになった二人は、あらゆることで対立し、ポーラは全財産を引っ手繰りに奪われ、エリオットも芝居が酷評され、二人はどん底の状態となる。
そんな惨めな二人は、やがて惹かれ合うようになり愛が芽生えるが、エリオットに映画出演のビッグチャンスが舞い込む。
浮かれるエリオットだったが、ポーラとルーシーは再び不安を感じ、彼の旅立ちを手放しで喜ぶことが出来ない・・・。
__________

地味な作品ながら、北米興行収入で1億ドルを突破する驚異的な大ヒットとなった。

第50回アカデミー賞では、作品賞以下5部門にノミネートされ、リチャード・ドレイファスが主演男優賞を受賞した。
・ノミネート
作品
主演女優(マーシャ・メイソン)、
助演女優(クィン・カミングス
脚本賞

アカデミー賞授賞式で、リチャード・ドレイファスシルヴェスター・スタローンからオスーを渡された瞬間、マーロン・ブランドが「波止場」(1954)で作った、主演男優賞最年少受賞記録を破ることになる。
*25年後、「戦場のピアニスト」(2002)でエイドリアン・ブロデイが、この記録を破ることになる。

完璧主義者ながらウィットに富んだ、いかにも役者らしい役柄を見事に演じたリチャード・ドレイファスの、優しさが伝わる熱演は大絶賛された。

オスー受賞を逃すマーシャ・メイソンは、とにかくうま過ぎる、という感じがマイナスだったのかもしれない。

同じくノミネートに終わった、クィン・カミングスの、キュートでおしゃまな演技も注目で、10歳には思えない繊細な演技も見せてくれる。

同年の「愛と喝采の日々」(1977)でアカデミー監督賞候補になったハーバート・ロスなのだが、本作の方を高く評価する声が多かったのも事実。

マーシャ・メイソン(当時))のために書いたニール・サイモンの脚本は、人の優しさや温かい心などを、ユーモアも交え絶妙なタッチで表現しいる。

陳腐な解釈の演出家ポール・ベネディクト、その芝居に登場する端役で、パワーズ・ブースも出演している。

ポーラ(M・メイソン)の同僚役バーバラ・ローデス、主人公の役者仲間パトリシア・ピアシー、映画監督役ニコール・ウィリアムソンなどが共演している。

ラスト、エリオットのギターを抱き、雨に濡れながら彼を見送るポーラを映しながら流れる、デヴィッド・ゲイツの主題歌”Goodbye Girl”の甘い歌声が流れた瞬間、涙が溢れたのは私だけではなかったはずだ。
主人公達と一体化したような、こみ上げてくる幸せな気持ち、何十年経っても、その記憶は一生忘れられない。
名作とはそういうものだ。


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