マリオ・プーゾ原作の大河ドラマの完結作。 ニューヨークに拠点を戻しビジネスの合法化を考えるコルレオーネ・ファミリーが新たな展開としてヴァチカンとの関係を強化していく様を描く、監督フランシス・フォード・コッポラ、主演アル・パチーノ、ダイアン・キートン、タリア・シャイア、アンディ・ガルシア、イーライ・ウォラック、ジョー・マンテーニャ、ソフィア・コッポラ、ブリジット・フォンダ共演によるドラマ。 |
・ドラマ
・アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランシス・フォード・コッポラ
製作総指揮
フレッド・フックス
ニコラス・ゲイジ
製作
グレイ・フレデリクソン
フランシス・フォード・コッポラ
フレッド・ルース
脚本
フランシス・フォード・コッポラ
マリオ・プーゾ(原作)
撮影:ゴードン・ウィリス
音楽
ニーノ・ロータ
カーマイン・コッポラ
出演
アル・パチーノ :ドン“マイケル”コルレオーネ
ダイアン・キートン: ケイ・アダムス・コルレオーネ
タリア・シャイア :コンスタンツァ“コニー”コルレオーネ・リッジ
アンディ・ガルシア:ヴィンセント・マンシーニ・コルレオーネ
イーライ・ウォラック:ドン・アルトベッロ
ジョー・マンテーニャ:ジョーイ・ザザ
ソフィア・コッポラ:メアリー・コルレオーネ
ブリジット・フォンダ:グレース・ハミルトン
リチャード・ブライト:アル・ネッリ
ラフ・バローネ:ランベルト枢機卿
フランク・ダンブロシオ:アンソニー・コルレオーネ
ジョン・サヴェージ:アンドリュー・ヘイゲン
ジョージ・ハミルトン:B・J・ハリソン
ドナル・ドネリー:ギルディ大司教
ヴィットリオ・ドゥース:ドン・トマジーノ
エンツォ・ロブッティ:リッチオ・ルケージ
ヘルムート・バーガー:フレデリック・カインジッグ
マリオ・ドナトーネ:モスカ
アル・マルティーノ:ジョニー・フォンテーン
ジニー・リネロ:ルーシー・マンシーニ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1990年製作 169分
公開
北米:1990年12月25日
日本:1991年3月23日
製作費 $54,000,000
北米興行収入 $66,676,060
世界 $136,766,060
■ アカデミー賞 ■
第63回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督
助演男優(アンディ・ガルシア)
編集・撮影・美術・歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1979年、ニューヨーク。
ドン”マイケル”コルレオーネ(アル・パチーノ)が、ファミリー存続のために兄フレドを殺してから20年。
再びニューヨークに拠点を戻したマイケルは、シシリー復興のための資金を名目に、ヴァチカンのギルディ大司教(ドナル・ドネリー)と手を組み、違法ビジネスで繁栄してきたファミリーのビジネスからは手を引いていた。
しかし、元妻のケイ(ダイアン・キートン)と、後継者となるはずの息子アンソニー(フランク・ダンブロシオ)との深い溝は埋まらずにいた。
マイケルは、”聖パトリックス大聖堂”で、ローマ法王の命による”聖セバスティアンヌの勲章”をギルディ大司教から授与されることになり、家族を呼びよせる。
その願いが叶ったマイケルは、ケイに預けられていた息子アンソニーと娘メアリー(ソフィア・コッポラ)からの祝福を受ける。
その後のセレモニー・パーティーでメアリーは、マイケルの亡き兄ソニーの愛人ルーシー・マンシーニ(ジニー・リネロ)の息子ヴィンセント(アンディ・ガルシア)と再会し(幼い頃に会っていた)、彼女はヴィンセントに惹かれていく。 マイケルは、メアリー名義の財団からシシリー復興のために1億ドルの寄付をすることを発表し、それをギルディ大司教に渡す。 セレモニーはマイケルの妹コニー(タリア・シャイア)が盛り上げ、かつて、ドン・ヴィトーが可愛がった歌手ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)も、歌を披露する。 8年ぶりにケイと再会したマイケルは、息子アンソニーの進路について知らされる。 アンソニーは、マイケルが勧める法律の道を諦め、歌手になることを父に伝える。 マイケルはそれに反対するものの、アンソニーは考えを変えずに部屋を出る。 ケイは、マイケルのフレドを殺した件を口にし、アンソニーに好きな道を選ばせることを約束させる。 ニューヨークのマフィアを牛耳る、ドン・アルトベッロ(イーライ・ウォラック)は、”ヴィトー・コルレオーネ財団”に名を連ねるために、マイケルに100万ドルの小切手を渡す。 ザザは、ヴィンセントとのトラブルを抱えていて、マイケルは彼を書斎に呼び話を聞く。 ヴィンセントに付き添ったコニーは、彼に手を引かせようとするマイケルを非難する。 マイケルは、両者を和解させようとするが、ザザと抱き合ったヴィンセントは、彼の耳を噛み切る。 ヴィンセントは、組織の理事会を支配しようとしているザザの思惑をマイケルに知らせる。 仕方なくマイケルは、ヴィンセントを自分の下で教育することにして、それを彼に伝えて納得させる。 ヴィンセントは、マイケルにインタビューを求めに来た女性記者グレース・ハミルトン(ブリジット・フォンダ)と知り合う。 グレースを自宅に呼んでいたヴィンセントは、ザザの手下2人に襲われる。 彼らを難なく殺害したヴィンセントは、マイケルに報復の許可を得ようとする。 マイケルは、小物のザザを相手にするべきではないと言ってヴィンセントを納得させて、それを操る黒幕の動きを探る。 同時期にマイケルは、側近である弁護士B・J・ハリソン(ジョージ・ハミルトン)と共に、着々とファミリーを合法化へと導く。 聖職者となっていた、今は亡き義兄トム・ヘイゲンの息子のアンドリュー(ジョン・サヴェージ)を、マイケルはヴァチカンへと送り出す。 ヴァチカン銀行総裁でもあるギルディ大司教の、不正行為による損失金7億6900万ドルの内5億ドルを、マイケルが補填することを約束する。 マイケルは、ヴァチカンが支配する世界最大の不動産投資企業インモビリアーレの株25%の取得を条件とする。 ギルディ大司教は、法王自身がマイケルを承認する必要があることを伝える。 マイケルは、自分が違法性のあるビジネスからは一切手を引いたことを強調し、大司教の要望も聞き入れた上で1億ドルを上乗せした6億ドルをヴァチカン銀行に預ける事で合意する。 ドン・アルトベッロは、インモビリアーレの件に絡みたい意向をマイケルに伝えるが、今回はあくまで合法的でなければならないと言う彼に断られる。 周囲の理解が得られるか懸念するドン・アルトベッロに対し、マイケルは幹部理事会招集を提案する。 ヴァチカン。 コルレオーネの支配に反発する理事達の抵抗に遭ったマイケルは、次の一手を考える。 ニュージャージー州、アトランティック・シティ。 しかし、ザザが自分への扱いに不満を訴え、マイケルに敵意を示して会場を去る。 焦ったドン・アルトベッロが、ザザを説得しに後を追うが、その直後に会場はヘリコプターの襲撃を受ける。 マイケルは、ヴィンセントとネッリらと共に難を逃れて脱出するが、ドン・アルトベッロがそれを仕掛けたと考える。 その後、マイケルは糖尿病が悪化して入院してしまい、彼の身の危険を考えるヴィンセントは、コニーやネッリと共にザザ殺害を企む。 ケイや子供達に囲まれたマイケルは、息子アンソニーがオペラ歌手としてシシリーでデビューすることを知り、彼を祝福する。 ヴィンセントを訪ねたメアリーは、彼に愛を告げて2人は愛し合ってしまう。 そしてヴィンセントは、マイケルの許可を得ずに、フェスタで賑わうリトル・イタリーでザザを殺害してしまう。 それを知ったマイケルは、手を引いた世界に引き戻されたことに落胆しながら、ヴィンセント、コニーそしてネッリに自分の指示なしに行動することを禁ずる。 マイケルは、短気で先走る傾向にあった、兄ソニーと同じ過ちを犯すなとヴィンセントに忠告し、メアリーとの関係で彼女に危険が及びかねないことも伝える。 ドン・アルトベッロの訪問を受けたマイケルは、彼を牽制しながら、シシリーで隠居生活を始めた彼との再会を約束する。 シシリー島、バゲリーア。 ドン・トマジーノから、マフィアやヴァチカンに影響力を持ち、陰で操れる大物政治家のリッチオ・ルケージ(エンツォ・ロブッティ)の存在を知らされたマイケルは、法王庁の協力者ランベルト枢機卿(ラフ・バローネ)を紹介される。 マイケルは歓迎のパーティーの席上、アンソニーが自分のために捧げてくれた歌を聴き、かつてこの地で妻にしたアポロニアが、自分の犠牲になって命を落としたことを子供達に語る。 アンソニーと心が通い始めたマイケルだったが、ヴィンセントに惹かれていくメアリーのことが気がかりだった。 マイケルは、ドン・アルトベッロに寝返る芝居をするようヴィンセントに指示し、敵陣に潜入させて、ルケージがドン・アルトベロと手を組んでいることを知る。 ランベルト枢機卿と会ったマイケルは、糖尿病の発作を起こしながらも、ギルディ大司教の不正を告げ、枢機卿からは懺悔を勧められる。 マイケルは、ファミリーが犯した悪事や、兄フレド殺害などを正直に告白して泣き崩れ、神の許しを得る。 フレドが溺死したと信ずるコニーは、そんなマイケルの支えとなっていく。 1978年8月6日。 ケイはマイケルの出迎えを受けるが、彼に付き添うネッリの姿を見て、マイケルが変わっていないことを悟る。 コニーはマイケルの病状を気遣い、ヴィンセントに、ファミリーの将来を担えるか問い、彼にそれを誓わせる。 ケイを密かにドライブに誘ったマイケルは、彼のルーツであるコルレオーネ村に向かい、父ヴィトーの生家などを訪ね、穏やかな夏のひと時を過ごす。 ドン・トマジーノの屋敷に戻ったマイケルは、ケイに今までのこと全てを謝罪し、2人は愛を確かめ合う。 しかし、ドン・アルトベッロの指示を受けたモスカにドン・トマジーノが殺害され、ついにヴァチカンを巻き込んだ全面戦争が始まる。 その頃、ヴァチカンでは、ランベルト枢機卿が最高司祭(法王)としての選任を受けて、次期法王名を”ヨハネ・パウロ1世”と決める。 同時期、ヴァチカンの資金を運用するアンブロシアーノ銀行の頭取で、”教皇の銀行家”と言われたフレデリック・カインジッグ(ヘルムート・バーガー)が、資金を横領して行方をくらましてしまう。 ヴィンセントは、ルケージが、ヴァチカンを含め全てを操る極悪人だということをマイケルに知らせる。 マイケルは、体力的に耐えられない自分に代わり、メアリーと別れることを条件にヴィンセントを後継者に指名し、ネッリらに忠誠を誓わせる。 新法王は法王庁内の不正を一掃し始め、コルレオーネ・ファミリーとインモビリアーレの契約も裁可される。 アンソニーのオペラ・コンサート”ピエトロ・マスカーニ”の”カヴァレリア・ルスティカーナ”が始まろうとしていた。 ヴィンセントは、自分が決めた道を進むことをメアリーに告げて、彼女との関係を断つ。 コルレオーネ側の刺客ネッリらが各地へと派遣される中、コンサート会場に侵入していたモスカが、マイケルを狙撃しようとする。 同じ頃、法王がギルディ大司教の陰謀で毒殺される。 コルレオーネ側は、カインジッグ、ルケージ、法王を毒殺したギルディ大司教を殺害する。 そして、コニーが誕生祝に贈ったお菓子を食べたドン・アルトベッロも、オペラ会場で毒殺される。 オペラは終わり、アンソニーは大喝采を浴びるのだが、護衛が殺されたことを知ったヴィンセントは警戒する。 ヴィンセントに話しかけ、それを拒絶されたメアリーは、会場の外で、その件についてをマイケルに問い質す。 その時、モスカの弾丸がマイケルを襲い、メアリーも流れ弾を受けてしまう。 メアリーは息を引き取り、娘を失ったマイケルとケイは絶叫して泣き崩れる。 時が流れ、老いたマイケルは、メアリー、アポロニアそしてケイと踊ったことを想い出しながら、ドン・トマジーノ邸の庭で静かに息を引き取る。
...全てを見る(結末あり)
その後、ファミリーのビジネスの多くを引き継いでいるジョーイ・ザザ(ジョー・マンテーニャ)が面会に来ていることを、マイケルは右腕のアル・ネッリ(リチャード・ブライト)から知らされる。
法王・パウロ6世の体調が悪化していた頃、マイケルとハリソンは、インモビリアーレの理事会に出席する。
ドン・アルトベッロが手配した幹部理事会が開催され、マイケルは事業上の関係を断つことを告げて、カジノの投資額に対する分配金を皆に渡す。
アンソニーのオペラのデビュー・コンサートのためにシシリーを訪れたマイケルは、かつての逃亡時代の後見人ドン・トマジーノ(ヴィットリオ・ドゥース)を訪ねる。
法王・パウロ6世が逝去し、ドン・アルトベッロは、地元の殺し屋モスカ(マリオ・ドナトーネ)に、マイケルの抹殺を依頼する。
参考:
・「ゴッドファーザー」(1972)
・「ゴッドファーザーPARTII」(1974)
・「ゴッドファーザーPARTⅢ」(1990)
*(簡略ストー リー)
ニューヨークに拠点を戻し、ビジネスを合法化しようとしていたコルレオーネ・ファミリーのドン、マイケルは、ヴァチカンとの関係を強化した新たなビジネス展開を模索していた。
家族と別れていることを最大の悩みとしていたマイケルは、甥のヴィンセントとビジネスを引き継がせたザザのトラブルを発端に、街を牛耳る大物ドン・アルトベッロを敵に回し、再び血生臭い戦いの場に身を投じることになる。
ヴァチカンの不正を知ったマイケルはそこに付け込み、世界企業を手中にししようとしていたため、それにドン・アルトベッロが関与しようと画策する。
息子アンソニーのオペラ・デビューとなる、自らのルーツでもあるシシリーで、体力の限界を知ったマイケルは、ファミリーの存続と家族の絆を取り戻すため、最後の戦いに挑むのだが・・・。
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全体的に、前2作と同じような状況の場面が多々あり、物語に深みも感じられないことが気になる。
一大叙事詩を無難に完結させるための、”オマージュ”的作品とも言える。
特に、リトル・イタリーでザザ(ジョー・マンテーニャ)が殺される場面などは、前作でのドン・ファヌッチ殺害場面が小ぢんまりしただけという感じで、悪く言えば作品のイメージダウンだと思う。
ただのチンピラのようなヴィンセントが、短い期間に、あっさり巨大ファミリーのドンになってしまう展開なども頂けない。
興行的には全世界で約1億3700万ドルを超すヒットとはなった。
第63回アカデミー賞では、作品賞以下7部門にノミネートされるが受賞は逃す。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(アンディ・ガルシア)
編集・撮影・美術・歌曲賞
同年のアカデミー賞を狙って、無理に年末に公開に踏み切ったあたりに、焦りがあったのかもしれない。
上記のように、郷愁を誘うシーンが随所に登場し、懐かしさが印象に残る作品でもある。
ソニーの愛人の息子アンディ・ガルシアの母親役で、第1作に出演したジニー・リネロを登場させているところなどは芸が細かい。
1978年、ヨハネ・パウロ1世が在位わずか33日で死去した事実と、アンブロシアーノ銀行頭取のロベルト・カルヴィ暗殺事件をモデルにして、ドラマに取り入れているところも興味深い。
アル・パチーノは、ファミリーの永続的繁栄を願い、最後の賭けにでる主人公を見事に演じ切ったと言える。
結局は家族の愛や幸せをつかむことが出来ず、愛する者を失った悲しみを抱えながらながら死んでいく姿は哀れだ。
アカデミー助演賞候補にもなったアンディ・ガルシアも好演はしているものの、マーロン・ブランド、アル・パチーノやロバート・デ・ニーロらに比べると、役者としてのスケールが小さい気もする。
ダイアン・キートン、ジョー・マンテーニャは新しいキャラクター・イメージで登場し、今では監督としての才能を開花させたソフィア・コッポラの出演は、娘を出演させたコッポラのエゴとしか思えずミスキャスト気味だ。
そんな中で、黒幕を演ずるイーライ・ウォラックと、彼を殺害するタリア・シャイアの熱演が、このドラマに厚みを加えているのは確かだ。
ヴィンセントと知り合いながら、序盤であっさり姿を消す記者ブリジット・フォンダ、マイケルの右腕でシリーズを通しての出演者リチャード・ブライト、殺害される法王のラフ・バローネ、主人公の息子フランク・ダンブロシオ、マイケルの甥で、聖職者となったトム・ヘイゲンの息子ジョン・サヴェージ、マイケルの側近である弁護士ジョージ・ハミルトン、不正が発覚する大司教のドナル・ドネリー、シシリーの後見人ドン・トマジーノ役ヴィットリオ・ドゥース、悪徳政治家のエンツォ・ロブッティ、銀行家のヘルムート・バーガー、殺し屋のマリオ・ドナトーネ、そして人気歌手ジョニー・フォンテーン役でアル・マルティーノなどが共演している。