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ゴーストライター The Ghost Writer (2010)

2007年に発表された、ロバート・ハリスの小説”The Ghost”を基に製作された作品。
ロバート・ハリス自身と製作、督を兼ねるロマン・ポランスキーの共同脚色による作品。
イギリスの元首相の自叙伝執筆を依頼された”ゴーストライター”が国家を揺るがす陰謀に巻き込まれる姿を描く、主演ユアン・マクレガーピアース・ブロスナンキム・キャトラルオリヴィア・ウィリアムズトム・ウィルキンソン他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:ロマン・ポランスキー

製作総指揮:ヘニング・モルフェンター
製作
ロベール・ベンムッサ
ロマン・ポランスキー

アラン・サルド
原作:ロバート・ハリスThe Ghost
脚本
ロバート・ハリス

ロマン・ポランスキー
撮影:パヴェル・エデルマン
編集:エルヴェ・ド・ルーズ
音楽:アレクサンドル・デプラ

出演
ゴーストライター:ユアン・マクレガー

アダム・ラング:ピアース・ブロスナン
アメリア・ブライ:キム・キャトラル
ルース・ラング:オリヴィア・ウィリアムズ
ポール・エメット:トム・ウィルキンソン
シドニー・クロール:ティモシー・ハットン
リック・リカルデッリ:ジョン・バーンサル
ストレンジャー:デヴィッド・リントール
リチャード・ライカート:ロバート・パフ
ジョン・マドックス:ジェームズ・ベルーシ
マーサズ・ヴィニヤードの老人:イーライ・ウォラック

イギリス/ドイツ/フランス 映画
配給
サミット・エンターテインメント(北米)
Optimum Releasing(イギリス)
2010年製作 128分
公開
イギリス:2010年4月16日
北米:2010年3月19日
日本:2011年8月27日
製作費 $45,000,000
北米興行収入 $15,541,550
世界 $60,222,300


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ロンドン
ゴーストライター(ユアン・マクレガー)は、エージェントのリック・リカルデッリ(ジョン・バーンサル)から、元イギリス首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝の執筆の仕事を知らされる。

ハードな仕事に、前任者がフェリーから転落して溺死したことなどを知らされ、ライターは気が進まない。

”ラインハルト”(出版社)ニューヨーク支部のジョン・マドックス(ジェームズ・ベルーシ)とラングの弁護士シドニー・クロール(ティモシー・ハットン)に、リックと共に面会したライターは、自分の考えを率直に伝え
執筆担当者に決まる。

...全てを見る(結末あり)

ライターは、アメリカ講演中のラングの元に向うことになり、クロールからある原稿を渡されるが、自宅に戻る途中に、何者かに襲われて、その原稿を奪われてしまう。

それをリックに伝えたライターは、ラングの自伝原稿の再執筆で、なんと25万ドルの報酬を得られることを知る。

空港のバーでフライトを待っていたライターは、ラングが、特殊部隊を使い、アルカイダ4名を捕らえてCIAに渡し、拷問して死亡者も出たという疑惑が発覚したという報道ニュースを見る。

原稿を奪われたことなどから、自分が囮となったと考えるライターは、その不安をリックに伝え、事件はさらに大きなスキャンダルに発展しようとしていた。

アメリカへのフライト後、軽飛行機やフェリーを乗り継ぎ、厳重に警備されたラングの滞在先マサチューセッツ州マーサズ・ヴィニヤード”の邸宅にライターは到着する。

荷物をチェックされたラーターは、ラングのアシスタント、アメリア・ブライ(キム・キャトラル)に迎えられ、守秘義務の契約書にサインさせられる。

部屋に案内されたライターは、早速、原稿を渡されて、ラングがニューヨークから戻るまでに、それを読み終えるように指示される。

何とかそれを読み終えたライターは、ラングの妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)に誘われ、浜辺の散歩に向う。

その後、ラングが到着したとの連絡を受けて、ライターは、ルースやアメリアと共に彼を迎えに行く。

翌日、ラングとのインタビューを始めたたライターは、それを参考にして、彼の文面に似せて原稿を書き上げていく。

その頃、元外相のリチャード・ライカート(ロバート・パフ)が、本件で国際刑事裁判所にラングの疑惑調査を依頼したことが分かり、俄かに周辺が慌しくなる。

ラングは声明を発表することを考え、その原稿をライターが書くことになる。

ライターは、これがチャンスだと言って、原稿を2週間で仕上げることをマドックスから指示され焦ってしまう。

その後ライターは、宿舎のホテルで、イギリス人だという男からラングのことなどを聞かれ、部屋が荒らされていることに気づく。

翌日、宿泊客がいなかったホテルはマスコミ関係者で溢れ、ライターは、その場を離れるようにとアメリアからの連絡を受ける。

ライターは、アメリアの指示で、邸宅の前任者の部屋に滞在することになる。

クロールも到着したところで、国際刑事裁判所は、ラングの調査を開始して、イギリス政府は全面協力を発表する。

窮地に立たされたラングは、クロールや妻ルース、そしてアメリアを従えてワシントンD.C.に向う。

原稿を仕上げるために残ったライターは、亡くなった前任者の荷物を処分しようとして、ラングの学生時代の資料が隠されているのを見つける。

ラングは、ルースと付き合うために保守党員になったと言っていたのだが、彼が、その2年前に入党した、党員証のコピーがあった。

ラングに疑いを持ち始めたライターは、その資料にあった電話番号に連絡して、相手がライカーだったために驚いてしまう。

前任者の死を調べようと考えたライターは、ある老人(イーライ・ウォラック)に会いに行く。

その死に疑問を持つ老人の話を聞いたライターは、他の関連目撃者が、階段から落ちて昏睡状態になったことなども知る。

前任者の死体が見つかった浜で、ライターは、ルースと警護官に出くわす。

ルースは、帰国を拒むラングとは別行動を取り、ロンドンに戻ることをライターに伝える。

食事をしたライターとルースは、ラングの入党の時期や、前任者の死に疑問を持っていることなどを語り合う。

動揺したような様子のルースは、雨の中、散歩に出かけ、夜中にライターの部屋に現われる。

ルースは、前任者が、亡くなる前日にラングと言い争っていたことをライターに伝える。

ライターとの話で、その件をラングに問い質そうとしたルースだったが彼が掴らず、今回の件で怯えてしまう。

そして、ベッドに入ったルースは、ライターと愛し合ってしまう。

翌朝、トラブルを嫌い、ホテルに向おうとしたライターは、資料と自叙伝の原稿を持ち出し、前任者の車のカーナビに従って走りフェリー乗る。

フェリーを下りて、ベルモントに向ったライターは、資料にも名前のあったポール・エメット教授(トム・ウィルキンソン)の屋敷に到着する。

ラングと写っているという写真に興味を持ったエメットは、自叙伝を手伝っていると言うライターを招き入れる。

エメットは、ラングとの面識はあるが深い関りは否定し、2週間前に、この場に来た前任者が、数時間後に死亡したことをライターは彼に問い質す。

その日は、この場にいなかったことを確認したエメットは、ライターに多くを語らなかった。

屋敷を出たライターは尾行されるが、それを振り切ってフェリーに乗る。

尾行の車も、乗り入れて来たことを確認したライターは、出航寸前で船を下りる。

翌日のボストン行きの飛行機を確認し、モーテルに宿泊することにしたライターは、ライカートに電話をかける。

ライターは、自分が後任のゴーストライターだと言って、ライカートに、原稿を持っていることと、居場所を知らせる。

その後ライターは、エメットが言っていた”アルカディア”という組織をネットで調べ、その会員には、各界の要人がいた。

防衛と安全をビジネスにしている”ヘザートン”社のCEOもメンバーで、ラングも護衛を依頼し、彼の自家用機も社のものだった。

さらにライターは、エメットが1971年からCIAと関り始めていたという噂を調べ、彼がラングと写っている写真は、1974年だということを確認する。

その時、ルースから連絡があり、ラングが戻ってくることを知らされる。

そこに、ライカートが迎えに現われ、二人はダイナーに向かう。

ライターは、前任者がライカートのために、ラングを調べていたという話を聞き、彼に原稿を見せる。

前任者は、ラングのした行為の証拠を掴み、それを原稿の冒頭に記したというのだ。

ライターは、エメットのラングとの関係と、前任者がエメットを訪ねた後に殺され、自分も尾行されたことをライカートに伝える。

1974年当時の写真を見せたライターは、エメットが、その時、既にCIAだったとも語る。

ライカートは、ラングがCIAの後ろ盾て政界入りして首相にまでなり、彼の下した決断の全てが、アメリカの利益になるよう仕組まれていたとで、それに意見する自分達は切られたことを説明する。

そこにラングから連絡が入り、ライターは、空港で彼の自家用機に拾われることになり、ライカートはそれに従うよう指示を出す。

ライターは、前任者と同じ運命になることを心配しながらも、さらなる証拠を掴むよう、ライカーに強要される。

自家用機でラングに迎えられたライターは、CIAとの関与が噂されるエメットに会ったことや、ライカートと話したことの確認を、例の写真などを見せながら追求する。

ラングは、前任者が忠実な部下だったと言って全てを否定するが、空港に着いた直後に狙撃される。

ライターは、警察の事情聴取を受け、その後、亡くなったラングの遺体は母国に戻り、ライカートは、彼を愛国者だったと言って称える。

リックが帰国の準備を整えて現われ、気の進まないライターに、帰国して自叙伝を仕上げるよう促す。

ロンドン
ラングの自叙伝は出版され、ライターは、悲しむアメリアと共に、その出版記念パーティーに出席する。

ライターは、アメリアに原稿を返すが、冒頭の部分に何かあるらしいという彼女の言葉と、その場にいたエメットがルースと親しげに会話しているのが気になる。

ルースが、エメットのが教え子だったことを知ったライターは、アメリアから原稿を受け取り、近くの部屋に入りそれをチェックする。

そしてライターは、ルースが誘拐されて、エメットによりCIA局員になったことを知る。

ライターは、その内容をメモに書き来客に手渡し、それは、感謝の言葉を述べるルースの元に届く。

それを読み動揺したルースに、シャンパンのグラスをかざしたライターは、原稿を持って会場を立ち去る。

焦るルースは、エメットと言葉を交わす。

会場の外に出て、通りを渡ろうとしたライターは車に轢かれてしまい、原稿は風で舞い散る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
イギリスの元首相アダム・ラングの、自叙伝  執筆を依頼されたゴーストライターは、ラングの滞在先の、アメリカ東部の島マーサズ・ヴィニヤードに向う。
その頃、任期中のラングが、特殊部隊を使いアルカイダを捕らえてCIAに引渡し、その後、拷問の末に死亡者まで出たという疑惑が発覚する。
ロンドンで暴漢に襲われていたライターは、前任者も謎の溺死を遂げたということもあり、スキャンダルも合わせ、不安を抱えながら、ラングの邸宅で、アシスタントのアメリアや妻ルースに迎えられる。
ラングも出張先から戻り、早速、インタビューを交えて執筆を始めたライターだったが、疑惑は発展し、元外相のライカートが、国際刑事裁判所に、調査を依頼したことが分かる。
窮地に立たされたラングは島を一旦離れるが、その間にライターは、前任者が残した資料を発見する。
そしてライターは、ラングには、隠された過去があることを知り、彼に疑いを抱くのだが・・・。
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人気のあった英首相のスキャンダルを発端にした、国家権力の陰謀をスリリングに描く、70歳も半ばの鬼才ロマン・ポランスキーが、力感溢れる演出に加え、皮肉を加えた軽妙なタッチで描く、骨太のドラマにも仕上がっている。

舞台はアメリカではあるが、東部マサチューセッツ州の”マーサズ・ヴィニヤード”という設定が、どことなくイギリス風でもある。
恐ろしい陰謀を描いてはいるが、イギリス人らしい、ウィットに富んだ気の利いたジョークなども楽しめる。

世界を、自分の都合のよいように動かそうとするアメリカが、同盟国イギリスを利用してそれを実行しようとしていたという、両国傲慢さを批判する、強烈な皮肉が込められたクライマックスの展開も興味深い。

名前が明記されないところが、陰謀の渦に巻きこなれていく主人公として、地味な役柄でいて、余計にその存在感が際立つ”ゴーストライター”を好演するユアン・マクレガー、スキャンダルの渦中の中心人物として、全ての陰謀の生贄的に抹殺されるイギリス元首相ピアース・ブロスナン、クライマックスで、衝撃の事実が分かる、その妻オリヴィア・ウィリアムズ、彼女を操る黒幕的存在の教授役トム・ウィルキンソン、元首相のアシスタント、キム・キャトラル、元首相の弁護士ティモシー・ハットン、終始ジョークばかり口にする主人公のエージェント、ジョン・バーンサル、主人公の周辺を探る謎の男で暗殺者のデヴィッド・リントール、元外相ロバート・パフ、出版社のジェームズ・ベルーシ、そして、90歳も半ばで元気な姿を見せてくれるイーライ・ウォラックが、島の老人役で登場するのは実に嬉しい。


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