美しい未亡人と船長の幽霊との関係を描く、監督ジョセフ・L・マンキウィッツ、主演ジーン・ティアニー、レックス・ハリソン、ジョージ・サンダース、エドナ・ベスト、ナタリー・ウッド他共演のファンタジー・ロマンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
製作:フレッド・コールマー
原作:R・A・ディック
脚本:フィリップ・ダン
撮影:チャールズ・ラング
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:バーナード・ハーマン
出演
ルーシー・ミュア:ジーン・ティアニー
ダニエル・グレッグ:レックス・ハリソン
マイルズ・フェアリー:ジョージ・サンダース
マーサ・ハギン:エドナ・ベスト
アンナ・ミュア(成長期)ヴァネッサ・ブラウン
アンナ・ミュア(幼年期):ナタリー・ウッド
フェアリー夫人:アンナ・リー
クーム:ロバート・クート
アンジェリカ・ミュア:イソベル・エルソム
エヴァ・ミュア:ヴィクトリア・ホーン
スプラウル:ウィットフォード・ケイン
グレッグが列車内で追い払う老人:スチュアート・ホームズ
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1947年製作 104分
公開
北米:1947年6月26日
日本:1949年4月26日
■ アカデミー賞 ■
第20回アカデミー賞
・ノミネート
撮影賞(白黒)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1900年代初頭、イングランド、ロンドン。
若くて美しい未亡人のルーシー・ミュア(ジーン・ティアニー)は、義母アンジェリカ(イソベル・エルソム)とすべてを仕切ろうとする義妹エヴァ(ヴィクトリア・ホーン)の反対を押し切り、引っ越すことを決心する。
夫の遺した株を頼りにするルーシーは、幼い娘アンナ(ナタリー・ウッド)と家政婦のマーサ・ハギン(エドナ・ベスト)と共に、三人でホワイトクリフの海辺の村で暮らす考えを変えない。
現地に着いたルーシーは、不動産業者のクーム(ロバート・クート)に会い、”カモメ荘”という家が気に入る。
勧めたくない家だったクームは、ルーシーがどうしてもそこを見たいと言うために、その場に向かう。
4年間空いていた家を見せてもらったルーシーは、持ち主だったダニエル・グレッグ(レックス・ハリソン)の肖像画が気になる。 勧められないと言うクームの話に耳を傾けようとしないルーシーは、誰かの声が聞こえたように思いながら、キッチンなども気に入り二階を見せてもらう。 笑い声が聞こえたクームは部屋から飛び出し、それを追い家を出たルーシーは、霊にとり憑かれている家に興味を持つ。 グレッグが自殺したことを知っても驚かないルーシーは、幽霊など信じないと言って、家を借りることを決める。 家で暮らし始めたルーシーは、マーサと共に掃除などを済ませ、二階の部屋で昼寝をする。 暫くして現れたグレッグの幽霊は、ルーシーが眠っていることを確認する。 1時間後に目覚めたルーシーは、閉めたはずの窓が開いていることに気づき、マーサにおかしな夢を見たことを伝える。 その夜、グレッグがいることを感じたルーシーは話しかけ、姿を現した彼を見て動揺する。 ルーシーから自殺したと言われたグレッグは、睡眠中に、誤ってガスヒーターのバルブを蹴ってしまったのが死因だと伝える。 ここに住む者を怖がらせて追い払いたかったグレッグは、引退した船員のための休息所にするつもりだったことをルーシーに伝える。 絶対に出て行かないと言い泣き出したルーシーを落ち着かせたグレッグは、彼女がこの家を心から気に入っていることを知る。 ルーシーに住むことを許可したグレッグは、居間の肖像画を寝室に移すよう指示して姿を消す。 翌日、グレッグと話していたルーシーは、アンジェリカとエヴァが訪ねて来たことに気づく。 自分は見えないと言うグレッグは、二人の様子を監視しする。 アンジェリカとエヴァから、株が紙切れになってしまったことを知らされたルーシーは、ロンドンで再び一緒に暮らすことを提案される。 グレッグに助言されたルーシーは、この家に住む考えを二人に伝える。 ルーシーの様子が正気とは思えないエヴァは、縁を切ると言ってアンジェリカと共にその場を去り、グレッグが二人を脅かして追い払う。 数日後、クームを家に招待したルーシーは、彼にいたずらをして追い返したグレッグを非難する。 下宿人を紹介してもらおうと思っていたルーシーは、グレッグから、クームとの結婚を考えているのかと訊かれ、それを否定する。 グレッグから下宿人は認めないと言われたルーシーは、本を書くことを勧められる。 自分の船乗り人生を書けばいいと言われたルーシーは、宝石を質に入れて生活費にするよう、グレッグに指示される。 その後、グレッグの口述を、ルーシーがタイプして原稿を仕上げる。 クームから家賃の請求があり、落ち込むルーシーを励ますグレッグは、最終章を書き終えた彼女に、出版社に向かうよう指示する。 本を書き上げる間に幸せを感じたルーシーは、相応しい男性を見つけるよう助言するグレッグに惹かれていることに気づく。 ロンドン。 ルーシーに惹かれたマイルズは、編集長のスプラウル(ウィットフォード・ケイン)に会う約束を彼女に譲る。 スプラウルはルーシーを追い払おうとするが、聞こえた怒鳴り声(グレッグ)に驚き、仕方なく彼女の原稿を読む。 船乗りの物語が気に入ったスプラウルは、数時間かけてそれを読み終え、ルーシーが書いたとは思えなかったものの、出版することを決める。 ルーシーを待っていたマイルズは、雨が降っていたために彼女を馬車でヴィクトリア駅にまで送る。 マイルズに感謝しつつも警戒するルーシーは、ペンネーム “ネディおじさん “で知られる彼が、有名な児童文学作家であることを知る。 娘がいるが夫は亡くしたと言うルーシーを駅のホームまで送ったマイルズは、列車が発車する際に彼女のハンカチを奪う。 列車の個室に姿を現したグレッグから、マイルズの悪口を言われたルーシーは、彼が嫉妬していると思う。 現れた老人(スチュアート・ホームズ)を追い払ったグレッグは、ルーシーが怒鳴ったと思う老人の様子を見ながら、彼女と共に思わず笑ってしまう。 数日後、アンナと海岸で過ごし家に戻るルーシーは、木の枝に自分のハンカチが結んであることに気づく。 絵を描いていたマイルズと話したルーシーは、どうしても会いたかったと言う彼から、気持ちを伝えられて嬉しく思う。 ルーシーは、自分の水着姿を描いた絵を見せるマイルズにキスされる。 マイルズと別れたルーシーは、家に帰る途中でグレッグに気づき、キスした理由を訊かれる。 危険を冒してこそ幸福が訪れると言うグレッグは、それを意識しておくようルーシーに助言する。 その後、マイルズと付き合い始めたルーシーだったが、相応しくない相手だと言うマーサは反対する。 心配してくれるマーサに、欠点はあるマイルズだが、彼は”生きている”と言いながら、ルーシーは、自分も女らしい人生を送りたいと伝える。 マイルズと恋に落ちたルーシーが、他の女と変わらないと判断したグレッグは、彼女が選んだ人生を尊重しようとする。 眠っているルーシーに、自分と過ごしたのはすべて夢であり、本を書いたのは君だと伝えたグレッグは、彼女に別れを告げて姿を消す。 その後ルーシーは、出版された本の印税100ポンドを受け取る。 マイルズとの結婚を考えるルーシーは、グレッグの絵を片付けようとするが、マーサが自分の部屋に運ぼうとする。 マイルズからの手紙を受け取ったルーシーは、彼がロンドンに戻ることを知る。 ロンドンに向かいスプラウルに会ったルーシーは、マイルズの家に向かう。 フェアリー家に着き、マイルズの妻(アンナ・リー)に迎えられたルーシーは、彼女から子供も二人いることを知らされて驚く。 事情を察した妻はルーシーに謝罪し、マイルズの過ちは今回が初めてでないことをルーシーに伝える。 家に戻り失意の日々を送るルーシーは、マーサに慰められる。 その後、ようやく心の傷も癒えたルーシーは、引っ越して1年が経ったことを考えながら、グレッグのことを想う日々を過ごす。 時は流れ、訪ねて来たアンナ(ヴァネッサ・ブラウン)を歓迎したルーシーは、イギリス海軍中尉である婚約者のビルを紹介される。 喜んだルーシーは一緒に暮らすことを提案されるものの、この家に居ることが自分の幸せだとアンナに伝える。 アンナと話をしたルーシーは、彼女が幽霊のグレッグのことを知っていたために驚く。 引っ越して1年経った頃にグレッグと色々話し、夢と思いながらゲームもしたと言うアンナは、彼に恋していたことをルーシーに伝える。 ルーシーもグレッグに会っていたことを知ったアンナは、夢ではなかったと言って驚く。 夢だったと言うルーシーは、自分が話して聞かせたことを覚えているのだろうとアンナに伝える。 自分もグレッグに恋していたはずだと言われたルーシーは、彼が姿を消したのは、引っ越して1年後に、男性のことで意見が合わなかったためだとアンナに伝える。 ”ネディおじさん”のことだと気づいたアンナは、マイルズのことも知っていたのだが、結婚しないように祈っていたとルーシーに伝える。 結果的には正解だったと言うルーシーは、マイルズとは5年前にパーティーで再会したのだが、見かけも変わり妻子に出て行かれたことを話す。 グレッグが戻ってきたら幸せになれると言われたルーシーは、すべて夢であり、あなたやマーサ、そして思い出があれば幸せだとアンナに伝える。 数十年後。 孫娘が航空会社の機長と婚約したことをマーサに話したルーシーは、ミルクを持ってきてくれた彼女に、独りになりたいと伝える。 ミルクを拒んだルーシーだったが、マーサが出て行った後でそれを一口飲む。 ルーシーが手にしていたグラスは、床に落ちる。 現れたグレッグはルーシーに話しかけ、若返った彼女の手を取る。 年老いた自分をその場に残したルーシーは、グレッグを見つめながら階段を下りる。 二階に上がるマーサに気づかれないまま、ルーシーはグレッグと共に家を出て、霧の中に姿を消す。
...全てを見る(結末あり)
翌日、出版社に向かったルーシーは、その場にいた紳士マイルズ・フェアリー(ジョージ・サンダース)から声をかけられる。
年老いたルーシーは病を抱えてはいたが、マーサと共に平穏な日々を送っていた。
*(簡略ストー リー)
1900年代初頭、イングランド。
若くて美しい未亡人のルーシー・ミュアは、義母と義姉の反対を押し切り、幼い娘アンナと家政婦のマーサと共に、ロンドンからホワイトクリフの海辺の村に引っ越す。
不動産業者が勧めない、グレッグ船長の幽霊が出る家に興味を持ったルーシーは、その場で暮らし始める。
現れたグレッグと意見が合わないこともあるルーシーdさったが、生活費に困ったことで、彼が話す物語を小説にすることを提案され協力してもらう。
原稿を完成させたルーシーは、出版社にそれが気に入ってもらい、その場で出会った作家のマイルズと恋に落ちるのだが・・・。
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1945年に発表された、R・A・ディックの小説を基に製作された作品。
脚本家として活躍していたジョセフ・L・マンキウィッツが、前年の監督デビュー作「呪われた城」(1946)で主演したジーン・ティアニーを再び起用して演出した作品。
序盤は、傲慢な船長の幽霊と気丈な未亡人との関係が描かれ、現実の世界のロマンスが中盤で展開し、死後の世界で主人公が再び幸せを手に入れるという物語。
各登場人物を個性的に、そしてファンタジックな内容で描く、若きジョセフ・L・マンキウィッツの演出手腕が光る味わい深い作品。
第20回アカデミー賞で撮影賞にノミネートされたチャールズ・ラングの美しい映像や、バーナード・ハーマンの音楽も印象に残る。
美しさが際立つ主演のジーン・ティアニーは、幼い娘を育てる未亡人ではありながら、幽霊を恐れることなく人生の友として付き合う女性を見事に演じ、傲慢ではあるが、船乗りらしく人間味がある船長の幽霊を演ずる、レックス・ハリソンの風格ある演技も素晴らしい。
主人公を騙してしまう作家を雰囲気ある演技で演ずるジョージ・サンダース、主人公の良き理解者である家政婦のエドナ・ベスト、成長した主人公の娘ヴァネッサ・ブラウン、少女期のナタリー・ウッド、マイルズ(ジョージ・サンダース)の妻アンナ・リー、主人公に家を貸す不動産業者のロバート・クート、主人公の義母イソベル・エルソム、義姉のヴィクトリア・ホーン、出版社の編集長ウィットフォード・ケイン、幽霊が列車内で追い払う老人スチュアート・ホームズなどが共演している。