1959年に発表された、ジム・トンプスンの”The Getaway”を基に製作された作品。 銀行強盗実行を条件に釈放された服役囚の自由を求める逃亡を描く、監督サム・ペキンパー、脚本ウォルター・ヒル、音楽クインシー・ジョーンズ、主演スティーヴ・マックィーン、アリ・マッグロー、ベン・ジョンソン他共演の犯罪アクションの快作。 |
・スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen 作品一覧
・スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・ペキンパー
製作
デヴィッド・フォスター
ミッチェル・ブロウアー
原作:ジム・トンプスン”The Getaway”
脚本 ウォルター・ヒル
撮影:ルシアン・バラード
編集
ロバート・L・ウォルフ
ロジャー・スポッティスウッド
音楽:クインシー・ジョーンズ
出演
カーター”ドク”マッコイ:スティーヴ・マックィーン
キャロル・エインズリー・マッコイ:アリ・マッグロー
ジャック・ベイノン:ベン・ジョンソン
ルディ・バトラー:アル・レッティエリ
フラン・クリントン:サリー・ストラザーズ
カリー:ロイ・ジェンソン
ラフリン:ダブ・テイラー
カウボーイ:スリム・ピケンズ
列車の盗人:リチャード・ブライト
ハロルド・クリントン:ジャック・ダドスン
フランク・ジャクスン:ボー・ホプキンス
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1972年製作 122分
公開
北米:1972年12月13日
日本:1973年3月
製作費 $3,352,250
北米興行収入 $26,987,200
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
銀行強盗犯として服役中のカーター”ドク”マッコイ(スティーヴ・マックィーン)は、仮釈放も延期され、刑務所生活に疲れ果ててしまう。
面会に来た妻のキャロル(アリ・マッグロー)に、サンアントニオの実力者であるジャック・ベイノン(ベン・ジョンソン)に仕事を受けることを伝えるよう指示したドクは、その後、出所することができる。
精神的に辛かった刑務所生活から解放されたドクは、再び訪れたキャロルとの生活で幸せを実感する。
ベイノンに呼び出されたドクは、出所の見返りに再び銀行を襲い、現金約50万ドルを山分けする話を聞く。
ドクは、仲間となる殺し屋のルディ・バトラー(アル・レッティエリ)と相棒のフランク・ジャクスン(ボー・ホプキンス)を紹介される。 銀行強盗を軽く見るルディとフランクを警戒しながら、キャロルも加えて綿密な計画を立たドクは、ベイノンの弟カリー(ロイ・ジェンソン)に監視されながら犯行の当日を迎える。 銀行前のマンホール上に事故を装い車を止めたドクは、地下に降りて送電線を切断し、付近を停電させる。 ルディとフランクが銀行に押し入り、裏口からドクを入れてて現金を奪う。 しかし、未熟なフランクが警備員を銃撃してしまう。 逃走したルディはフランクを射殺し、車から放り出す。 時限爆弾を二か所で爆発させて警察を混乱させたドクとキャロルは、ルディと郊外で待ち合わせる。 裏切ろうとしたルディより一瞬早くドクの銃弾が彼を貫くものの、ルディは防弾チョッキを着ていたために命拾いをする。 車を換えて逃走したドクとキャロルは、警察が追っているのが男の三人組だったため検問を無事に通過する。 傷の手当てをしたルディは、ドクとキャロルを追う。 ベイノンの元に向ったドクは、奪った現金は50万ドルだったにも拘わらず、報道では75万ドルと伝えられたことを確認する。 銀行の理事であるカリーが使い込みをして、ドクらはその尻拭いをさせられたのだった。 ドクを釈放させるためにキャロルの体を奪ったことをベイノンが仄めかした瞬間、現れた彼女がベイノンを射殺してしまう。 その場を去ったドクは納得できず、街道で車を停める。 キャロルを責めて殴るドクは怒りを抑え、彼女を車に乗せて先を急ぐ。 一方ルディは、獣医のハロルド・クリントン(ジャック・ダドスン)に傷の手当てをさせてエルパソに向かうことを伝える。 それを断るハロルドだったが、指示に従わなければ妻のフラン(サリー・ストラザーズ)を殺すと言われる。 兄ベイノンが殺されていることを確認したカリーは、ドクかルディが現金を持ち逃げしてエル・パソに向かったと考える。 駅でエル・パソ行きの切符を買ったキャロルは、コインロッカーに現金を預けようとして男(リチャード・ブライト)に手を貸してもらう。 ルディは、何でもすると言うフランに迫る。 コインロッカーの現金がないことを知ったドクは、それを奪った男をキャロルに捜させる。 男を見つけたドクは後を追い、列車に乗り込む。 ドクがホームに降りたことを確認した男は、彼が再び乗ったことに気づかないまま、バッグの中に大金が入っていたために驚き、札束を上着のポケットに入れる。 男を見つけて痛めつけたドクは、現金を奪い返して次の駅で降りる。 ハロルドを脅すルディは、フランを連れてドクを追いエル・パソに向かう。 キャロルの元に戻ったドクは、このままではまずいと判断して別れようとするが、彼女はそれを拒む。 ドクとキャロルはエル・パソ行きの列車に乗り、同じ頃、意識を取り戻した男は警察に連行され、札束を持っていたために事情聴取を受ける。 危険を察したドクは列車を降り、その後もベイノンの件を気にする。 列車内でドクにイタズラをした少年達も警察で話を聞かれ、彼らと車掌はドクの顔写真を確認し、金を盗んだ男は逮捕される。 旅を続けるルディは、ハロルドを脅してフランを自分の女にする。 エルパソ入りしたカリーの手下は、ドクが現れはずのラフリン(ダブ・テイラー)のホテルで待機する。 車でエル・パソに向かうドクは、ラジオが壊れていたために電気店に寄り、携帯ラジオを購入するものの、その場のテレビ報道で自分の身元が判明して、指名手配されていることを知る。 車に戻ったドクはキャロルを降ろして警戒し、指名手配犯に気づいた店主が警察に通報する。 ショットガンを手に入れたドクは、駆けつけた警官を威嚇して車で逃走する。 車を捨てて街道でバスを止めたドクとキャロルは、それに乗り込む。 バスは町を通過するが、二人は気づかれなかった。 その後、車を手に入れたドクとキャロルは、ハンバーガー・ショップに立ち寄る。 モーテルに泊ったルディは、ハロルドの前でフランといちゃつく。 店員が気づき警察に通報されたドクとキャロルは、現れたパトカーに発砲しながら逃亡し、ゴミ収集コンテナに隠れて難を逃れる。 翌朝、ハロルドが首吊り自殺をしていることを知ったルディは、それを気にすることはなかった。 ドクとキャロルは、処理場でゴミと共に放出される。 ベイノンのことにいつまでもこだわるドクとキャロルの間のわだかまりは消えなかったが、愛を確かめ合った二人はエル・パソに向かう。 エル・パソのホテルに着いたルディはチェックインし、ドクを知っているラフリンに銃を向けて、ドクが現れたら知らせるようにと言って彼を脅す。 ルディがホテルに現れたという連絡を受けたカリーは、手下を連れてエル・パソに向かう。 ドクとキャロルもエル・パソに着き、ラフリンに連絡を取ってホテルに向かい、メキシコに逃れる準備を始める。 ホテルに着きラフリンと話したドクは、他の客はいないと言われ、キャロルも来ると伝えて部屋に向かう。 ラフリンは、ドクが来たことをルディに知らせる。 キャロルと共に部屋に入ったドクは、久しぶりにくつろぐ。 しかし、いつもと違うラフリンの様子に気づいたドクは、部屋を出ようとする。 ドクの部屋に向かったルディは、注文したサンドイッチを持ってきたとフランに言わせる。 罠だと考えたドクは隣の部屋に入り廊下に向かい、生きていたルディがその場にいたために驚く。 ルディとフランに近づいたドクは、二人を殴り倒す。 ドクはルディを殺そうとするものの思い止まり、その場から逃れようとする。 ロビーにいるカリーらがラフリンを脅していることに気づいたドクは、彼らに発砲する。 銃を持ったキャロルも加勢し、ドクは敵を次々と倒し、カリーが乗ったエレベーターを落下させる。 銃声で意識を取り戻したルディは、非常階段から逃げるドクとキャロルに気づき銃撃する。 反撃したドクはルディを射殺して、その場から逃れる。 通りに居合わせたカウボーイ(スリム・ピケンズ)に銃を向けたドクは、トラックに同乗して国境に向かう。 ドクとキャロルは、カウボーイの協力で国境を越えてメキシコに入る。 車を止めさせたドクは、カウボーイの去年の稼ぎを訊き、約5000ドルだと言われたため、トラックに1万ドル払うと伝える。 ドクは、口止め料込みかを確かめるカウボーイから2万ドルを提示され、キャロルが3万ドルでどうかと尋ねる。 キャロルの気前の良さが気に行ったカウボーイは、彼女から3万ドルを受け取る。 歩きでも平気だと言うカウボーイは、ドクとキャロルに別れを告げてその場を去る。 そして、ドクとキャロルは、ついに自由を手に入る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
服役中の銀行強盗”ドク”マッコイは、サンアントニオの実力者であるベイノンの仕事(銀行強盗)を請負う見返りに出所できる。
妻キャロルや殺し屋ルディらと銀行から50万ドルを奪ったドクは、裏切ろうとしたルディを殺害して逃走する。
ベイノンにはめられ、出所するためキャロルの体まで奪われたことを知ったドクは、ベイノンを殺したキャロルと共に逃亡を続ける。
しかし、殺したはずのルディは一命を取り留め、ドクと現金を追いエル・パソに向かう・・・。
__________
「ブリット」(1968)でついに人気爆発したスティーヴ・マックィーンだが、その後、地味な作品に出演し、同年、本作の監督サム・ペキンパーとコンビを組んだ「ジュニア・ボナー」(1972)に続き出演した作品。
玄人受けするマックィーンの銃器の扱いの見事さもさることながら、サム・ペキンパー得意のスローモーションを駆使したバイオレンス・アクションシーンの迫力は見応え十分。
殺人まで犯した銀行強盗犯が、結局は逃亡に成功するという、当時としては驚きの結末が話題になった。
1994年にアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガー夫妻(当時)でリメイクもされた。
マックィーンの希望で急遽担当となったクインシー・ジョーンズの粋な音楽もアクション作品にしては異色で、ドラマの結末と共に心地良ささえ感じる。
8年後にこの世を去るマックィーンが、これ以後の数年間、ハリウッドの頂点を極めた時期の作品であり、野性味溢れる彼の勇姿と、無駄のない俊敏な身のこなしなど、彼の魅力が存分に生かされた作品でもある。
ヒロインのアリ・マッグローは、前作「ある愛の詩」(1970)で人気が急上昇し、洗練された都会的な彼女が、マックィーンとの共演で田舎臭くなってしまうのではと心配されたが、ワイルドな逃亡者の妻を好演し、その結果、翌年マックィーンと結婚することになる。
マックィーンとは、「ジュニア・ボナー」(1972)、遺作「ハンター」(1980)で共演するベン・ジョンソンは、前半で殺されて姿を消してしまうのだが、銀行強盗の黒幕役を貫禄十分に演じている。
悪役面No.1のアル・レッティエリの、極悪非道の殺し屋役も見逃せない。
彼の情婦となってしまう獣医の妻サリー・ストラザーズ、その夫役ジャック・ダドスン、黒幕の(ベン・ジョンソン)の弟ロイ・ジェンソン、ホテルの主人ダブ・テイラー、現金を奪う列車の男リチャード・ブライト、主人公に車を3万ドルで売るラッキーな男スリム・ピケンズ、そして銀行強盗の一人で、あえなく殺されるボー・ホプキンスなどが共演している。