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フル・モンティ The Full Monty (1997)

生活のために仕方なくストリップをすることを決意した男達の直向な姿を描く、監督ピーター・カッタネオロバート・カーライルトム・ウィルキンソンマーク・アディ他共演によるヒューマン・コメディの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督:ピーター・カッタネオ

製作:ウベルト・パゾリーニ
脚本:サイモン・ボーフォイ
撮影:ジョン・デ・ボーマン
編集
ニック・ムーア

デヴィッド・フリーマン
音楽:アン・ダドリー

出演
ガズ:ロバート・カーライル

ジェラルド:トム・ウィルキンソン
デイヴ・ホスホール:マーク・アディ
ロンパー:スティーヴ・ヒューイソン
ネイサン:ウィリアム・スネイプ
ホース:ポール・バーバー
ガイ:ヒューゴ・スピーア
ジーン:レスリー・シャープ
マンディ:エミリー・ウーフ

イギリス 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ

1997年製作 91分
公開
イギリス:1997年8月29日
北米:1997年8月13日
日本:1997年12月
製作費 $3,500,000
北米興行収入 $45,857,450
世界 $257,938,650


アカデミー賞 ■
第70回アカデミー賞

・受賞
作曲賞(ミュージカル・コメディ)
・ノミネート
作品・監督・脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
イギリスサウス・ヨークシャーシェフィールド
25年前には、北部の工業都市として栄えたこの街も、今では寂れ、多くの工場が閉鎖していた。

失業者のガス(ロバート・カーライル)は、息子のネイサン(ウィリアム・スネイプ)と親友デイヴ(マーク・アディ)とで、廃墟となった鉄鋼工場から、鉄柱を盗むのに失敗してしまう。

帰り道、ガスは、男性ストリップに群がり熱狂する女性達に驚かされてしまう。

息子ネイサンを、別れた妻マンディ(エミリー・ウーフ)に奪われそうなガスは、父親らしいことを、何一つしてもらえないと息子に言われてしまう。

そんなガスは、職安に行っても、まともに職探しをしようともせず、同じ失業者で、元上司のジェラルド(トム・ウィルキンソン)からそれを非難される。
...全てを見る(結末あり)

さらに、女達が熱狂する、男性ストリップに挑戦してみようかというガスとデイヴらを、ジェラルドは嘲り笑い、両者は争いになってしまう。

マンディにも、共同親権のための700ポンドが払えないために追い払われたガスは、ついに、本気でストリッパーになる決心をして、デイヴとトレーニングを始める。

絶望して自殺しようとしていたロンパー(スティーヴ・ヒューイソン)を助けたガスとデイヴは、友達もいない彼を仲間に引き入れる。

早速、ストリップの練習を始めたガスだったが、ネイサンは呆れてその場を立ち去る。

しかしガスは、親権を得るために、命がけでやろうとしていることだとネイサンに伝え、彼の理解を得る。

ガスらは、社交ダンスを趣味にするジェラルドに、ダンスを習おうとするのだが、失業を半年も妻に隠している彼の就職の面接を邪魔してしまう。

激怒したジェラルドはガスに言い寄るが、その後、落胆するジェラルドを彼らは励まし、わだかまりは消える。

根気よくダンスのレッスンを頼むガスだったが、ジェラルドは、社会的な地位がある立場から、それを断ろうとする。

しかし、金の必要なジェラルドは、仕方なくそれを引き受け、閉鎖された工場でメンバーを選ぶオーディションを始める。

そして、見かけは老けているが、ダンス経験のあるホース(ポール・バーバー)と、踊りはだめだが巨大な○○○の持ち主ガイ(ヒューゴ・スピーア)を仲間に引き入れる。

デイヴが万引きしてきた、「フラッシュダンス」のビデオを研究し、ガスらは2週間でダンスをマスターしてモノになるように特訓を始めようとする。

太っているデイヴは、スーパーで働く妻ジーン(レスリー・シャープ)と店員との仲を怪しむが、ガスに励まされて、彼女に自分を見直させようとする。

なかなか上達しないダンスに加え、資金を手に入れなければならないガスに、ネイサンが自分の預金を投資する。

ガス達は、トレーニングを重ねてショーの宣伝を始めるが、女性の気を引くために、ガスは全裸になると言い出す。

怖気ずく仲間達に、今更後には引けず、金さえ手に入れば全てが解決すると、ガスは彼らを説得する。

しかし、人前でどうしても醜態をさらしたくないデイヴは、妻ジーンが働くスーパーの警備員に落ち着いてしまう。

ガスはデイヴを説得できず、仕方なく彼らはリハーサルに集まった数人の女性の前でストリップを始める。

しかし、巡回中の警察官にそれが見つかってしまい、ガス達は警察署に連行されてしまう。

さらにガスは、一緒にいたネイサンを迎えに来たマンディに罵倒される。

ジェラルドは、妻に失業がばれてしまい家を追い出され、ガスもネイサンをマンディに奪われてしまう。

ロンパーの母親が亡くなったことをデイヴに知らせに行ったガスは、警備員に飽きた彼と一緒に葬儀に向かう。

そこでガスとデイヴは、ロンパーとガイが”恋仲”になったことを知る。

ガスらの警察沙汰は新聞記事になり、街中で噂され、彼らは笑い者になってしまう。

しかし、ガスは中止しようとしていた本番を前に、ショーの券が200枚も売れたことを知らされる。

ジェラルドは、職が決まり仲間に別れを言おうとするが、ガスから200枚のチケットで2000ポンドの収益が見込めことを聞き、本番に参加することを約束する。

デイヴは、やはり出演を拒むが、浮気していると勘違いされた妻ジーンに、ストリップを見たいと言われ、その言葉に励まされ出演を決意する。

本番を前に、女性に混じり、男達や知り合いだらけの観客を見て、ガスは尻込みしてしまう。

観客は400人も集まり、現れたデイヴが、ネイサンを楽屋に連れて来て、妻マンディまで最前列に陣取っていることをガスは知らされる。

覚悟を決めてステージに上がったデイヴは、”全て脱ぐ”(フル・モンティ)ことを宣言して観客の大喝采を受ける。

ガスを楽屋に残し、5人の男達は、警備員のコスチュームでステージで踊り始める。

そして、ネイサンに渇を入れられたガスもステージに現れ、全員が全裸になり観客は熱狂する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
鉄工所を解雇された失業中のガズは、息子の親権を得るために、友人デイヴを誘い、女性達が熱狂する、男性ストリップに挑戦することを考える。
社交ダンスが趣味の元上司ジェラルドや、自殺未遂の青年ロンパー、老けてはいるがダンス経験のあるホース、巨大な○○の持ち主ガイなどを、ガズは仲間に引き入れ、大真面目にストリップの特訓を始めるのだが・・・。
__________

とてつもなく非現実的な、ばかげた発想を行動に移した男達だが、窮地に立たされた人々が、子供のように健気に目的に向かう姿や、家庭や階級社会、人種や同性愛などの社会問題を、直向な者達の姿を映し出すことで、ピーター・カッタネオが見事にそれを表現した、愛すべき痛快作。

原題の”The Full Monty”は、”丸裸”という意味。

2000年にブロードウェイでミュージカル化もされた。
参考:”The Full Monty

第70回アカデミー賞では作品賞以下4部門にノミネートされ、作曲賞(ミュージカル・コメディ)を受賞した。
・ノミネート
作品、監督、脚本賞

僅か350万ドルの製作費ながら、全世界で約2億5800万ドルという驚異的な大ヒットを記録した。

惨めさや悲しみの中にユーモアをまじえ、小ぢんまりした街並みや風土習慣などの描写が、アメリカ映画に慣れ親しんでいると実に新鮮で、ダンスの決めポーズがうまくいかないため、サッカーのオフサイド・トラップのようにやると見事に決まってしまうシーンなども、イギリスらしさを出した洒落た演出になっている。

普段は努力もせずに、息子の親権だけに執着する、だめな父親を演ずる、情けなさが滲み出ている表情が実にいいロバート・カーライル、その元上司で、ストリップには全く縁のない人物ながら仲間の友情に応える、出色の熱演トム・ウィルキンソン、肥満体にコンプレックスを感じるマーク・アディ、気が弱いスティーヴ・ヒューイソン、彼と恋仲になるヒューゴ・スピーア、主人公の支えとなる心強い息子役のウィリアム・スネイプ、”老体”に鞭打つ陽気な男ポール・バーバー、デイヴ(M・アディ)の妻レスリー・シャープ、ガス(R・カーライル)の妻エミリー・ウーフなどが共演している。


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