ハリウッド映画史上に残る犯罪ドラマの傑作「フレンチ・コネクション」(1971)の続編。 宿敵シャルニエを追いマルセイユに向かったニューヨークの刑事ドイルの執念の捜査を描く、監督ジョン・フランケンハイマー、主演ジーン・ハックマン、ベルナール・フレッソン、フェルナンド・レイ共演による刑事ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フランケンハイマー
製作:ロバート・L・ローゼン
脚本
ロバート・ディロン
ローリー・ディロン
アレクサンダー・ジェイコブス
撮影:クロード・ルノワール
編集:トム・ロルフ
音楽:ドン・エリス
出演
ジミー”ポパイ”ドイル刑事(ポパイ):ジーン・ハックマン
アンリ・バルテルミー警部 :ベルナール・フレッソン
アラン・シャルニエ:フェルナンド・レイ
ラウール・ディロン:ジャン=ピエール・カスタルディ
ミレット:シャルル・ミロット
ジャック:フィリップ・レオタール
アメリカ陸軍准将ブライアン:エド・ローター
チャールニア夫人:キャスリーン・ネスビット
バーテンダー:アンドレ・ペンヴルン
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1975年製作 119分
公開
北米:1975年5月18日
日本:1975年9月6日
北米興行収入 $12,484,440
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
マルセイユ。
麻薬シンジケートの黒幕アラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)は、日本船がドックに入ったことを部下のジャック(フィリップ・レオタール)から知らされる。
ニューヨーク市警麻薬捜査課のジミー”ポパイ”ドイル刑事(ジーン・ハックマン)が、現地に派遣される。
ニューヨークで取り逃がしたシャルニエを捕らえるためだった。
地元警察のアンリ・バルテルミー警部(ベルナール・フレッソン)の元に向かったドイルは、彼の部下ラウール・ディロン(ジャン=ピエール・カスタルディ)とミレット(シャルル・ミロット)を紹介される。
市場の魚に麻薬が隠されているという情報があり捜査していたバルテルミーは、”エイプリルフール”で騙されたと知り憤慨する。
ドイルの経歴を調べていたバルテルミーは、協力は約束するものの、押収したヘロインは警察署内で盗まれ、5人殺していることなどを追及する。
ニューヨークではマルセイユの麻薬で多くの者が死んでいると伝えたドイルは、ミレットにトイレの横のデスクに案内される。 バルテルミーに不満を言うドイルは、シャルニエを捕えるために来たことを伝えるが、マルセイユにはその名の人物はいないと言われる。 ドイルを迷惑に思うバルテルミーは、拳銃の所持も認めない。 その頃、日本船の船長からの連絡を受けたジャックは、彼と遊覧船で接触し、気づかれないようにしてバッグを渡す。 夜になり、バルテルミーが指揮する組織の手入れに同行したドイルは、見ているだけで何もするなと言われる。 それに従おうとしたドイルだったが、ある男が逃げたことに気づき追跡する。 路地で男を捕え痛めつけようとしたドイルは、追いついたバルテルミーらに制止される。 男が潜入捜査官だとバルテルミーから知らされたドイルは驚く。 その直後に、男は組織の者達に殺され、バルテルミーは、よけいなことをしたドイルを責める。 ホテルに向かったドイルは、スーツケースに忍ばせてあった拳銃を取り出し、足首のホルスターに隠す。 アメリカで追われる身になったシャルニエは、警官を買収してマルセイユに戻り、アメリカ陸軍准将ブライアン(エド・ローター)と手を組み、最後の荷(ヘロイン)を精製してさばこうとしていた。 署内でチンピラを尋問していたドイルは、言葉が通じないために諦めて、ミレットの制止も聞かずに街に出てしまう。 バーに向かったドイルは、言葉は通じないもののバーテンダー(アンドレ・ペンヴルン)と気が合う。 ドイルは、自分を見張っている二人の刑事に気づきながら、店を閉めたバーテンダーと共にその場を去る。 その後もドイルは、シャルニエの居場所を探すものの、手掛かりはつかめなかった。 そんなドイルをマルセイユに送ったニューヨーク市警の狙いは、彼を囮に使いシャルニエを誘き出す計画であり、それに従っていたバルテルミーはドイルの監視を続ける。 尾行が邪魔なドイルは、バルテルミーに不満を訴える。 海岸のレストランでブライアン准将に会っていたシャルニエは、ドイルを目撃して動揺する。 スイス経由の金の流れを確認し、数日で最後の荷を渡せることをブライアンに伝えたシャルニエは、彼をディナーに誘う。 仕事でパリに向かうブライアンはそれを断り、スイスでの取引を約束して立ち去る。 その夜、尾行をまいたドイルだったが、ジャックらに襲われて殴られ連れ去られる。 それに気づいた尾行していた刑事の一人は、ジャックらの車に轢かれる。 車から降ろされたドイルは、意識が朦朧とする中、”ホテル・タンジェ”という文字を確認する。 現れたシャルニエは、監禁したドイルにヘロインを打ち始める。 ドイルを連れ去られたバルテルミーは焦り、大掛かりな捜索を開始する。 やがて、完全にヘロイン中毒になったドイルは、監視役のイギリス人の老女チャールニア夫人(キャスリーン・ネスビット)に腕時計を奪われても気づかない。 ドイルがマルセイユに来た目的を聞き出せないシャルニエは、彼を解放することをジャックに命ずる。 大量のヘロインを打たれたドイルは意識を失い、警察署の前で車から放り出される。 署内に運ばれたドイルは、医師により懸命な処置が施されて意識が戻る。 医師の報告書を破り捨てたバルテルミーは、ドイルを囮に使ったことを後悔し、彼のヤクを抜くために隔離療法を始める。 症状が良くなったドイルは、バルテルミーに”メジャーリーガー”を目指し”ヤンキース”のテストを受けて合格しマイナーに送られた話をする。 仲間の中に”ミッキー・マントル”がいたため、野球を諦めて警官になったと言うドイルは、何も理解できないバルテルミーに話し続ける。 バルテルミーは、禁断症状で苦しみ絶望するドイルを、見守るしかなかった。 やがて、外出できるようになったドイルを車に乗せたバルテルミーは、監禁された場所を捜そうとするものの、何も覚えていないと言われる。 自分が囮だったことをバルテルミーに確認したドイルは、シャルニエを捕えようとする執念により全快する。 そしてドイルは、名前を覚えていた”ホテル・タンジェ”、現在の”ホテル・コロナーデ”を見つける。 その夜、バルテルミーにホテルの場所を教えたドイルは、水が大量にいると伝える。 ホテルにガソリンを撒き火を放ったドイルは、シャルニエの手下の一人を捕えて痛めつけ、証拠となる所持していたヘロインを押収する。 ドイルとバルテルミーは、取引き現場が港のドックだということを突き止める。 その後、警察とドイルは、麻薬の取引現場を押さえようとしてドックに向かう。 荷の積み込みを確認したシャルニエは現場を去り、残ったジャックらと警察は銃撃戦になりミレットが射殺される。 注水されたドックから逃げ遅れたドイルは、木材で頭を打ち気を失ったバルテルミーを助けて、その場から脱出する。 その後、ホテルにいたドイルは、バルテルミーからニューヨークに帰るよう指示され、仕方なくパスポートを渡す。 上着のポケットに入っていた押収したヘロインに気づいたドイルは、それを床に撒き散らす。 翌日、港で昨夜のドッグの船の船長に話を聞いたバルテルミーは、修理のために寄港しただけで麻薬取引など知らないと言われる。 バルテルミーからパスポートと拳銃を受け取ったドイルは、取引を終えていないシャルニエが必ず動くはずだと言い張る。 船長を泳がせるべきだと言うドイルは、貸しのあるバルテルミーを説得する。 ドイルとバルテルミーは船の監視を続け、動き出した船長に気づく。 港を見張っていたドイルとバルテルミーは、船を離れた船長を尾行する。 船長を監視するドイルから、遊覧船で船長と接触したジャックがバッグを交換したと言われたバルテルミーは、部下に追跡させる。 ヘロイン精製工場を突き止めたドイルとバルテルミーらはその場に押し入り、銃撃戦が始まる。 シャルニエが逃亡したことに気づいたドイルは、バスに乗って逃げる彼を走って追う。 停車したバスにシャルニエが乗っていないため、ドイルは周辺を捜す。 シャルニエがヨットに乗り込んだように思えたドイルは、それを追う。 先回りしたドイルは、ヨットのシャルニエに向かって銃を構える。 そしてドイルは、ヨットの甲板に現れたシャルニエの名を呼びながら発砲する。 二発の弾丸はシャルニエに命中し、彼は甲板に倒れる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク市警麻薬捜査課のジミー”ポパイ”ドイル刑事は、取り逃がした麻薬シンジケートの黒幕シャルニエを追い、単身マルセイユに向かう。
ドイルを迎えた地元警察のバルテルミー警部は、彼の存在を迷惑に思う。
しかし、実はニューヨークも承知の上での計画であり、ドイルはシャルニエを誘き出す囮として派遣されたのだった。
ドイルには監視が付けられ、囮だと気づかないまま、彼はシャルニエに捕らえられ、ヘロイン中毒にされてしまう。
解放されたドイルは、バルテルミーの協力で全快し、執念でシャルニエの居場所を突き止め、彼を追い詰めて銃を構える・・・。
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無鉄砲なアメリカ人の主人公が、マルセイユの現地警察との衝突や文化の違いに苦悩する設定がなかなか面白い。
捜査を焦る粗野なドイルが、言葉が通じないために不器用な振るまいばかりしている前半は、人間味のある彼の人物像を実にうまく表現している。
麻薬中毒にされる中盤から、一気に怒りが爆発するクライックスまで、鬼才ジョン・フランケンハイマーのシャープな演出は冴える。
前作のニューヨークに続き、緊迫感を感じさせるマルセイユのオールロケが効果を上げている。
大作の「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)や「スケアクロウ」(1973)など、話題作への出演が相次いでいたジーン・ハックマンは、正に脂が乗り切った円熟の演技を見せてくれる。
特に、ヘロイン依存症を克服する場面は見応えがある。
子供のように好物のチョコレートを食べ、野球を知らないフランス人にヤンキースの話をして、みじめで涙する哀れな姿は、回復後に爆発するドイルの怒りを一層際立たせている。
同じ役でのアカデミー賞連続受賞は考えられないものの、前作を上回るほどの熱演を見せた彼は、ゴールデングローブ賞にノミネートされた。
ニューヨーク市警と手を組み、ドイルを囮に使うものの、ヘロイン中毒にされた彼を必死に助けようとする地元警察の警部ベルナール・フレッソン、本当に死んだのか?謎のまま終わるラストも衝撃的な、麻薬シンジケートの黒幕フェルナンド・レイの前作に劣らない存在感ある演技も見ものだ。
他、当時多くの作品に出演して活躍していた、シャルニエ(フェルナンド・レイ)と手を組むアメリカ陸軍准将役でエド・ローターの出演や、主人公がヘロイン中毒にされる場所で登場する老婦人役で、名女優キャスリーン・ネスビットもドラマにインパクトを与えている。
地元警察の刑事シャルル・ミロットとジャン=ピエール・カスタルディ、シャルニエの部下フィリップ・レオタール、主人公と意気投合するバーテンダーのアンドレ・ペンヴルンなどが共演している。
ファーストシーンに出てくる、麻薬の取引現場のドックの日本船を見て、子供心にドキッとした初公開当時を思い出す。
シャルニエはドイルに撃たれるものの、前作同様、ドラマは突然、終わってしまう。
心臓を撃たれたので、即死だとは思うが・・・。
確実にパート3が出来るだろうと期待しつつ、数十年が経ってしまった・・・。