地球外知的生命体に接触して拉致される事件を研究する心理学者の体験を描く、監督、脚本オラントゥンデ・オスサンミ(出演も)、主演ミラ・ジョヴォヴィッチ、ウィル・パットン、イライアス・コティーズ他共演のSFホラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:オラントゥンデ・オスサンミ
製作
ポール・ブルックス
ジョー・カーナハン
テリー・リー・ロビンス
製作総指揮
スコット・ニーマイヤー
ノーム・ウェイト
イオアナ・A・ミラー
脚本:オラントゥンデ・オスサンミ
撮影:ロレンツォ・セナトーレ
編集:ポール・J・カヴィントン
音楽:アトリ・オーヴァーソン
出演
アビゲイル”アビー”タイラー博士:ミラ・ジョヴォヴィッチ
アビゲイル・タイラー博士(本人役):シャーロット・ミルチャード
オーガスト・トンプソン保安官:ウィル・パットン
エイブル・キャンポス博士:イライアス・コティーズ
アウォロワ・オドュサミ博士:ハキーム・ケイ=カジーム
トミー・フィッシャー:コーリイ・ジョンソン
スコット・ストラシンスキー:エンゾ・シレンティ
アシュリー・タイラー:ミア・マッケンナ=ブルース
ロニー・タイラー:ラファエル・コールマン
ウィル・タイラー:ジュリアン・ヴェルゴフ
テリーザ:ダフネ・アレクサンダー
ジェシカ:サラ・ホートン
シンディ・ストラシンスキー:アリーシャ・シートン
サラ・フィッシャー:タイン・ラファエリ
ライアン保安官補:エリック・ローレン
本人:オラトゥンデ・オスンサンミ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2009年製作 98分
公開
北米:2009年11月6日
日本:2009年12月18日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $25,360,260
世界 $47,709,190
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
主人公の心理学者アビゲイル”アビー”タイラー博士を演ずるミラ・ジョヴォヴィッチが、2000年にアラスカのノームで起きた事件を再現した映画だということを説明する。
タイラー博士が撮影した、65時間以上の実際のビデオと音声も使用し、プライベート保護の関係で一部の関係者や氏名は変更し、再現シーンは実際の収録物の他、博士へのインタビューで捕捉したとも語る。
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2002年9月3日、カリフォルニア州、チャップマン大学。
インタビューを受けるアビゲイル・タイラー博士/本人役(シャーロット・ミルチャード)は、映画監督のオラトゥンデ・オスンサンミに話し始める。
夫のウィルに起きた事件のことで、タイラーは〇〇〇博士に会ったことを語る。 2000年10月1日、アンカレッジ、キャンポス・ケア。 催眠療法を始めたキャンポスは、タイラーから、8月2日の事件当日の話を聞く。 夫ウィル(ジュリアン・ヴェルゴフ)と愛し合ったタイラーはその後、眠り、目覚めると彼が何者かに腹部を刺されたと言って取り乱す。 タイラーを目覚めさせたキャンポスは、男の顔を思い出せないと言うタイラーに、休養を取るようにと助言するが、彼女は、調べることが夫のためだと伝える。 軽飛行機を自ら操縦してノームに戻ったタイラーは、クリニックに向い、助手のテリーザ(ダフネ・アレクサンダー)から、患者のスコット・ストラシンスキー(エンゾ・シレンティ)が待っていると言われる。 スコットから眠れない日が続くと言われたタイラーは、フクロウが窓に現れると話す彼と同じ体験を、トミー・フィッシャー(コーリイ・ジョンソン)などもしていることを疑問視する。 ウィルの死後、突然視力を失った娘アシュリー(ミア・マッケンナ=ブルース)が心に傷を負っていることをタイラーは気にする。 夫の死が母の責任だと思い込む息子ロニー(ラファエル・コールマン)は、タイラーの辛い思いを理解しようとしない。 事件の前日8月1日に録音された、不眠症の悩みを抱える人々のことを語るウィルの声を聴きながら、タイラーは、この地で起きている現象について考える。 10月2日。 何も見なかったと言うトミーは、動揺しながらその場を去る。 10月3日。 トミーに電話をしたトンプソンは、タイラーとしか話さないと言われたために彼女を呼ぶ。 現場に着いたタイラーはトミーを説得するが、眠れない理由が分かったと言う彼は、あれを見れば分かると伝える。 狙撃手は、妻が邪魔になりトミーを撃つことができない。 トミーは、”ズンアブー・イーター”と言って、妻と子供二人を射殺し自ら命を絶つ。 署に向い、トミーを診察していたタイラーからフクロウの話などを聞いたトンプソンは、催眠療法のせいでトミーが事件を起こした可能性を考える。 反論したタイラーは、夫を殺した犯人を逮捕しないことを批判するが、トンプソンは、ウィルと行っていた研究は、住民を実験台にしていると言って止めるよう指示する。 翌日、クリニックに現れたキャンポスを歓迎したタイラーは、テリーザに口述を録音したテープを渡す。 再び休暇をとることを提案したキャンポスだったが、タイラーは、研究を続ける必要があると伝える。 暫く町に残り様子を見たいと言うキャンポスに、タイラーは感謝する。 その後、スコットと妻シンディ(アリーシャ・シートン)と話したタイラーは、二人の希望で催眠療法をすることになる。 キャンポスにも同席してもらい治療を始めたタイラーは、昨晩、眠れないままフクロウを見た話をスコットから聞く。 催眠状態になったスコットは苦しみ始め、危険を感じたタイラーは彼を目覚めさせる。 嘔吐したスコットを落ち着かせたタイラーは、何を見たのかを尋ね、現れた者が誰か分からず、何をされたのかも思い出せないと言われる。 トンプソン保安官に、催眠療法を受けたことを知らせほしいと伝えたタイラーは、相手が最悪な者であるとスコットから言われて診察を終りにする。 スコットとシンディが帰った後、宇宙人による”拉致”を信じるかをキャンポスに尋ねたタイラーは、それを研究していたウィルは、1万1000もあるUFOの目撃証言に興味を持っていたことを話す。 テリーザから、預かったテープの内容が異常だと言われたタイラーは、自分の口述の他に叫び声や意味不明な言葉が録音されていたために驚く。 2002年9月3日。 タイラーは、聞いたこともない言葉の意味を知るために、古代言語の専門家アウォロワ・オドュサミ博士(ハキーム・ケイ=カジーム)に電話をする。 ウィルを知っているかをオドュサミに尋ねたタイラーは、名前を訊かれたために電話を切ってしまう。 折り返し電話をよこしたオドュサミは、その番号から、”ジョン”という名で電話を受けたとタイラーに伝える。 古代語を学びたいと言われたと知らされたタイラーは、それが夫で、殺されたことを伝える。 10月4日。 それがなぜタイラーの部屋で録音されたのか、どう考えても、その声が人間とは思えないとオドュサミは話す。 それに疑問を持つキャンポスだったが、シュメール語であることは確かだとオドゥサミから言われる。 シュメール展を見れば分かるが、宇宙船や宇宙飛行士のような絵や工芸品があるという事実をオドゥサミは語る。 そこに、スコットの様子がおかしいと言うシンディからの連絡があり、タイラーとキャンポス、そしてオドュサミはスコットの家に向かう。 ベットの上で興奮するスコットの腕には傷跡があり、撮影や催眠療法を嫌がる。 タイラーの催眠療法を受けることで納得したスコットは、眠ったッ瞬間に起き上がり、ベッドから宙に浮いてシュメール語を話す。 危険を感じ、ノームを離れることを決意したタイラーは、ノースカロライナに行くことをロニーとアシュリーに伝えて荷造りをする。 そこに現れたトンプソンは、スコットの体は麻痺し、頸椎が3本切断されていることをタイラーに伝る。 催眠術をかけた後の異常な状況を話すタイラーは、証拠の映像は乱れていることをトンプソンに話す。 そんな話は信じられないと言うトンプソンは、タイラーの行為は人を傷つけていると伝え、彼女を逮捕しようとする。 現れたキャンポスは、自分もその場にいたことを話し、トンプソンを説得する。 トンプソンは、24時間態勢で監視し外出することを禁じて逮捕はしないことをタイラーに伝え、キャンポスを署に連れて行く。 残ったライアン保安官補(エリック・ローレン)は、車の中で家を監視する。 2002年9月3日。 ウィルの失踪やノームでの出来事は全てがつながっていると話すタイラーは、同じことが世界中でも起きていると言って、強制的にその記憶を消されていると伝える。 その夜、家を監視していたライアンは、上空に現れた何かに気づき、タイラーらが引っ張り上げられている様子に驚く。 駆けつけたトンプソンは、興奮しながらそのことを話すライアンから、映像は乱れていて確認できないと言われる。 混乱するタイラーは、アシュリーが連れ去られたとトンプソンに伝え、一筋の光と共に娘が天井を通り抜けて消えたと話す。 信用できないトンプソンは、真実を話すようにとタイラーに伝え、ライアンの監視ビデオは機能していなかったと話す。 目撃したライアンを連れて来るようにと言うタイラーは、警察の監視体制を批判する。 憤慨したトンプソンは、アッシュリーの居場所を訊き、ロニーも母タイラーの言動を批判する。 ウィルが死んで以来おかしいと言うトンプソンは、ロニーを引き離すとタイラーに伝える。 ロニーを連れて行かれたタイラーは泣き崩れる。 10月6日。 催眠状態に入ったタイラーは、口述記録をしていた時の様子をキャンポスに訊かれる。 フクロウの話をするタイラーは、笑っているそれがフクロウではないことを伝えて、取り乱して叫び始め、シュメール語を話す。 2002年9月3日。 自分を神だと言っていた相手をそうとは思えず、その振りはできたと伝えたタイラーは、アシュリーのことを訊かれる。 2日間意識不明だったタイラーは、キャンポスの前で目覚め、その場にいたトンプソンから謝罪される。 そんな状況でトンプソンはタイラーにウィルの話をして、夫は殺されたと言う彼女に、ウィルが拳銃自殺をした証拠の写真を見せる。 ウィルが頭を撃って自殺したと言うトンプソンは、侵入者はいなかったと伝える。 それを信じようとはしないタイラーに、キャンポスは、自分を責めてはいけないと伝え、トンプソンは、アシュリーの居場所を尋ねる。 体験したことを話してほしいとキャンポスに伝えたタイラーは、正体が分からない何かがアシュリーをさらったと言って信実だと訴える。 トンプソンは、空想の世界から現実に戻るのは難しいと語る。 2002年9月3日。 しかし、確かなのは証拠の映像であり、実際に起きたことだと話すタイラーは、”そう見える”と言うオスンサンミに、自分の研究と体験が役立つと信じるしかないと伝える。 自分の全てであるアシュリーが、どこかで生きていて再会し、声が聞けて抱きしめられることを信じるしかないとタイラーは語る。 納得したオスンサンミは、インタビューを終る。 ノームには、1960年以来2000回以上もFBIが捜査に入りアラスカ最多で、76倍の人口のアンカレッジは、353回で2番目である。 エイブル・キャンポス博士(仮名)は、現在もアラスカで心理学者として活躍し、本作へのコメントや参加は拒んだ。 アウォロワ・オドュサミ博士(仮名)は、カナダの名門大学で終身在職権を取得し、シュメール語翻訳の他は協力を拒んだが、タイラー博士の証言は裏付けている。 オーガスト・トンプソン保安官(仮名)は、事件の2年後に引退し、アラスカ北部に住む彼は、本作への協力を拒否した。 現在22歳のロニー・タイラーは、母タイラー博士と疎遠のままである。 ロニーは、母のせいでアシュリーが失踪したと、今でも思っている。 タイラー博士は、アシュリーの行方不明事件を含めて、全ての疑惑に対して潔白とされ、アメリカの東海岸に移った。 健康状態の悪化で寝たきりになったタイラーは、医師の管理下に置かれている。 タイラーは今でも、アシュリーが人間以外の知的生命体に拉致されたと主張している。 アシュリーは、未だに見つかっていない。
...全てを見る(結末あり)
アビゲイル”アビー”タイラー博士(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、同じ心理学者のエイブル・キャンポス博士(イライアス・コティーズ)に夫を殺した男の顔が思い出せず、それが分かれば解決できると伝える。
トミーの催眠治療を始めたタイラーは、誰かが現れたと言って取り乱す彼を目覚めさせて落ち着かせる。
緊急連絡を受けたオーガスト・トンプソン保安官(ウィル・パットン)は、トミーが家族を人質にとり発砲事件を起こしたため、現場に急行する。
タイラー(本人役)は、口述を録音時の状況を思い返そうとしたと答え、誰かが入って来た気配、背中の傷痕、床のドアまでの引っ掻き傷など、手掛かりを知るために必死に思い出す。
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タイラーの話を聞いたオドュサミはノームに向かい、テープの言葉は、完全に解読できていないシュメール語だと伝える。
1960年代から続くアラスカで起きる異常現象を語るタイラー(本人役)は、それにはあるカテゴリーがあり、第一種接近遭遇はUFOの目撃、第二種はUFOの痕跡の目撃、第3種は異星人との接触、そして最も恐ろしいのは、異星人による拉致であると語る。
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拉致した相手と直接話すしかないと考えたタイラーは、キャンポスとオドゥサミに協力してもらい催眠療法を受ける。
彼らが来て自分達をさらったと言うタイラー(本人役)は、3人とも戻されたが、どこで何をされたかは覚えていないとオスンサンミに話す。
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ウィルが自殺したことを認めるタイラー(本人役)は、幻覚などではなく、真実を受け入れられず、そう思うしかなかったと話す。
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*(簡略ストー リー)
2000年10月、アラスカ、ノーム。
不眠症により異常体験をする人々が続出し、それを夫ウィルと研究していた心理学者のアビゲイル・タイラー博士は、2か月前に夫を亡くしていた。
何者かに夫が殺されたと考えるタイラーは、その相手のことを思い出せず、自分自身も苦しみながら、人々を催眠治療で診察していた。
知人の心理学者キャンポスは、タイラーのことを気にして彼女の元へ向かう。
そんな時、フクロウや何者かが現れたと言う不眠症のトミーが、家族を射殺して自らも命を絶つという事件が起きる。
その後、同じ症状のスコットも体が麻痺する事態となり、保安官のトンプソンは、タイラーの睡眠治療に疑問を感じる。
そんな中、自分にも異変が起きたタイラーは研究を続け、キャンポスや古代言語の専門家オドゥサミ博士に協力を求めるのだが・・・。
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アラスカで実際に起きた怪事件を基に製作された作品ということが冒頭で紹介され、実際に撮影された映像や音声が使われることが語られる。
主人公の心理学者を演ずるのがミラ・ジョヴォヴィッチであり、本人役を演ずるシャーロット・ミルチャードが、本作の監督と脚本を兼ねるオラントゥンデ・オスサンミにインタビューを受けるという構成で展開する、ドキュメンタリー・タッチのモキュメンタリー作品。
結局は、実際に起きた事件の映画化と思わせるユニバーサル・ピクチャーズの仕掛けた宣伝であり、作品の内容と同じ事件が、舞台となるアラスカのノームで起きたという事実は確認されていない。
それを知った上で鑑賞してもなかなか凝った内容で、疑わしき現象や映像を含めて、うまく仕上げてあることには感心する。
地球外の知的生命体による”拉致”が、第四種接近遭遇であるという設定、SF、ホラー、オカルト的要素も含めて興味深い。
家族に関わる問題に苦悩しながら怪現象の研究を進める心理学者ミラ・ジョヴォヴィッチ、インタビューを受けるその本人役シャーロット・ミルチャード、主人公の言動に疑問を感じる保安官のウィル・パットン、主人公に協力する心理学者のイライアス・コティーズ、同じく古代言語の専門家ハキーム・ケイ=カジーム、不眠症と怪現象に苦しむ住民コーリイ・ジョンソン、エンゾ・シレンティとその妻アリーシャ・シートン、主人公の娘ミア・マッケンナ=ブルース、息子のラファエル・コールマン、主人公の夫ジュリアン・ヴェルゴフ、主人公の助手ダフネ・アレクサンダー、保安官補のエリック・ローレン、そして、本作の監督と脚本を担当するオラトゥンデ・オスンサンミが、主人公にインタビューする本人役で出演している。