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フロリダ・プロジェクト The Florida Project (2017)

ディズニー・ワールド”に近いモーテルでその日暮らしをする母娘の日常を描く、製作、監督、脚本ショーン・ベイカー、出演ブルックリン・プリンスブリア・ヴィネイトウィレム・デフォー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ショーン・ベイカー
製作
ショーン・ベイカー
クリス・バーゴッチ
ツォウ・シンチン
ケヴィン・チノイ
アンドリュー・ダンカン
アレックス・サクス
フランチェスカ・シルヴェストリ
脚本
ショーン・ベイカー
クリス・バーゴッチ
撮影:アレクシス・サベ
編集:ショーン・ベイカー
音楽:ローン・バルフ

出演
ムーニー:ブルックリン・プリンス
ヘイリー:ブリア・ヴィネイト
ボビー・ヒックス:ウィレム・デフォー
ジャンシー:ヴァレリア・コット
アシュリー:メラ・マーダー
スクーティ:クリストファー・リヴェラ
ディッキー:アイデン・マリク
ジョン・ヒックス:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
ステイシー:ジョシー・オリーヴォ
ジョン:メイコン・ブレア

アメリカ 映画
配給 A24
2017年製作 111分
公開
北米:2017年10月6日
日本:2018年5月22日
製作費 $2,000,000
北米興行収入 $5,904,370
世界 $11,295,320


アカデミー賞
第90回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(ウィレム・デフォー


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
フロリダ州、キミシー
6歳のムーニー(ブルックリン・プリンス)は、その日暮らしの母ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)と共に、”ディズニー・ワールド”に近いモーテル”マジック・キャッスル”で暮らしていた。

ムーニーと下の階に住む友人のスクーティ(クリストファー・リヴェラ)は、隣りのモーテル”フューチャーランド”に住む友人のディッキー(アイデン・マリク)から、新しい住人が来たことを知らされる。

住人の車を確認した三人は二階に向かい、唾を吐きかける。

それに気づいた車の持ち主のステイシー(ジョシー・オリーヴォ)は、三人を叱り注意する。

ステイシーを相手にしないムーニーらは彼女を罵倒し、部屋から出てきた孫のジャンシー(ヴァレリア・コット)にも唾を吐く。
...全てを見る(結末あり)

三人はその場から逃げるが、父に呼ばれたディッキーは部屋に戻る。

モーテルに戻ったムーニーは、スクーティと共に部屋に入る。

ステイシーの苦情を聞いた”マジック・キャッスル”の管理人ボビー・ヒックス(ウィレム・デフォー)は、彼女を連れてヘイリーの部屋に向かう。

対応したヘイリーはステイシーから事情を聞き、嫌々ながらムーニーとスクーティを連れて隣のモーテルに向かう。

ムーニーとスクーティは車の掃除をさせられ、ジャンシーもそれを手伝う。

子供の教育に無関心なヘイリーに呆れるステイシーだったが、つまらない話をしながら彼女と盛り上がってしまう。

母アシュリー(メラ・マーダー)が働くダイナーにムーニーと向かったスクーティは、裏口でワッフルを受け取る。

その夜、アシュリーと出かけたヘイリーは、同僚が昇進したが、自分が店長になったら雇うと言われる。

翌週ヘイリーは、生活保護を受けようとするものの思うようにならず、職も見つからずに苛立つ。

ディッキーを誘いに行ったムーニーとスクーティだったが、父親から、先日の件で1週間外出禁止だと言われる。

ついでにステイシーの部屋に向かったムーニーとスクーティは、ジャンシーを誘って遊びに行く。

近くのアイスクリーム・スタンドに向かった三人は、客からもらった小銭を集める。

アイスクリームを買った三人は、一つを回して食べながら楽しむ。

ジャンシーを連れてモーテルに戻ったムーニーとスクーティは、立ち入り禁止の部屋に入ってしまう。

事務処理をしていたボビーは停電になり、客に文句を言われながら機械室に向かい、切れていた電力電源を入れる。

監視カメラをチェックしたボビーは、ムーニーら子供達が機械室に入ったことをヘイリーに話し、次は出て行ってもらうと伝える。

ボビーから、その他にも不満を言われたヘイリーは、部屋代も請求されたためにそれを払う。

その夜、”ディズニー・ワールド”のマジック・キングダム”に来た新婚旅行客がモーテルに着き、場所が違うと言う夫婦はボビーに確認する。

夫からここに泊まるしかないと言われた妻は納得できず、その様子を見に来たムーニーとスクーティは、荷物を運んでチップをもらおうとする。

翌日、ムーニーは、いつも訪れるボランティア団体の配給車に向かい、パンをもらって部屋に戻る。

ボビーは、害虫だらけの部屋の片づけを息子のジョン(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に手伝わせる。

ムーニーらのイタズラに手を焼くボビーだったが、彼女らを守るために監視するのも仕事だと考えていた。

モーテルの住人である初老の女性グロリアが、トップレスで日光浴していることを知ったムーニーらは、プールにいる彼女を冷やかす。

そこに現れたボビーは、子供たちが見ているので胸を隠すようにとグロリアに伝える。

それに従わないグロリアの胸を隠したボビーは、からかうムーニーらを追い払う。

翌日ボビーは、人の出入りが激しい客を、規則違反だと言って強引に追い出す。

ムーニーを連れて問屋に向かったヘイリーは、偽物の香水を仕入れ、本物だと言ってホテルの入り口などで売りさばく。

ボビーに部屋代を払ったヘイリーは、遅れる場合は連絡するようにと言われたために揉める。

家族と共にニューオーリンズに向かうことになったディッキーは、父親から新しいものを買ってあげると言われ、ムーニーらにおもちゃを渡して旅立つ。

モーテルの壁を塗っていたボビーは、ピクニックテーブルで遊んでいるムーニーら子供たちに話しかける老人に気づく。

ソーダの自販機を探しているという老人を不審に思ったボビーは、変質者だと気づき、二度と来るなと言って脅し、財布を奪い名前を確認して追い払う。

空き家に向かったムーニーとスクーティ、そしてジャンシーは、中に入りものを壊して遊ぶ。

暖炉にまくらなどを詰めてライターで火を点けた三人は、火事になったために急いで逃げる。

祖母ステイシーには内緒だとジャンシーに伝えたムーニーは彼女と別れ、モーテルに戻り、スクーティにもアシュリーには何も言わないことを約束させる。

火事は騒ぎとなり、ヘイリーはムーニーを連れて見に行こうとする。

ヘイリーに誘われたアシュリーは、スクーティの様子がおかしいことに気づく。

スクーティが火事に関わっていると考えたアシュリーは、彼を追及する。

火事の現場には消防隊が駆け付け、ヘイリーとムーニーら野次馬は消火活動を見物する。

グロリアからタバコをもらって話したボビーは、放火かもしれないと言われる。

翌日、ジャンシーとダイナーに向かったムーニーは、アシュリーにスクーティがいないことを尋ねるが、もう食べ物は渡さないと言われる。

スクーティは友人の家だと言うアシュリーは、店に来ることを禁じて、もう息子とは遊ばないでほしいとムーニーに伝える。

アシュリーがスクーティをムーニーと遊ばせないことに腹を立てたヘイリーは、ダイナーに向かう。

まともに話そうとしないアシュリーに理由を訊いたヘイリーは、今後は付き合わないと言われたために苛立つ。

一日中いるつもりだと言うヘイリーは、何でも注文していいとムーニーに伝える。

食べきれないほど注文したヘイリーとムーニーは、残りは持ち帰ると言ってアシュリーにパックさせる。

店を出たヘイリーは、持ち帰った食べ物を地面に投げつけて捨ててしまう。

停職を持たないジョンにモーテルの雑用のバイトをさせたボビーだったが、彼との関係はギクシャクする。

ムーニーと共に香水を売っていたヘイリーは、ホテルの警備員に注意され、その場から逃げる。

部屋代が払えないために、ボビーに部屋から追い出されたヘイリーとムーニーは荷物を移し、数日後に清算するようにと言われる。

近所のモーテルに向かったヘイリーは、料金を上げたと言われたためにトラブルになり、ボビーに電話をする。

その場に現れたボビーは、協定に従った料金について話すもののオーナーに納得してもらえない。

仕方なく宿泊料を払ったボビーだったが、それを受け取る気のないオーナーは、口論になったヘイリーを追い払う。

ステイシーの部屋に向かったヘイリーとムーニーは、そこに泊めてもらえることになる。

その後、ボビーに部屋代を払ったヘイリーとムーニーは部屋に戻る。

水着を着たヘイリーは、ムーニーと共に自撮りをする。

部屋代が払えるようになったヘイリーは、ムーニーとジャンシーを連れてある場所に向かう。

ジャンシーの誕生日を祝ったヘイリーとムーニーは、”ディズニー・ワールド”の花火を見ながら楽しい夜を過ごす。

スクーティと共にプールに向かったアシュリーは、掃除をしていたボビーから、ヘイリーに部屋代を貸しているか訊かれるものの、口も利いていないと答える。

スクーティと泳ぎたいムーニーは、アシュリーがいる間はダメだと言うヘイリーに、その理由を答えてもらえない。

自撮り写真を利用して売春を始めていたヘイリーは、客のジョン(メイコン・ブレア)を部屋に連れ込み、バスルームにいたムーニーは、知らない男の人が入ってきたために驚く。

翌日、”ディズニー・ワールド”のマジックバンドを手に入れて売りに行ったヘイリーは、買取を断れれてしまう。

チケットを買いに来た旅行客を呼び止めたヘイリーは、マジックバンドの方がお得だと言って、4本を400ドルで売る。

久しぶりに大金が入り買い物をしたヘイリーとムーニーは、モーテルに戻りボビーに部屋代を払う。

ヘイリーの最近の行動が気になるボビーは、その件を彼女に尋ねるもののまともに答えてもらえない。

マジックバンドをヘイリーに盗まれたジョンは彼女の部屋に向かい、ドアを開けないために苛立つ。

その場に現れたボビーに、私物をヘイリーに奪われたと伝えたジョンは、話をつけてもらおうとする。

知らないと言うヘイリーの話を一応信じたボビーは、それをジョンに伝える。

納得しないジョンは興奮し、ボビーから、警察を呼ぶのでこの部屋に来た理由も話すようにと言われ、仕方なくその場を去る。

ボビーから、今後は訪問者もフロントを通し身分証も預けるようにと言われたヘイリーは苛立ち、彼を罵倒しながらフロントに向かう。

憤慨したボビーは、今すぐに出て行かなければ今夜、追い出すと言ってヘイリーを追い払う。

アシュリーと話し、ムーニーが何かしたのなら誤ると伝えたヘイリーは、それと自分たちの関係は別だと言って、彼女に部屋代を借りようとする。

携帯電話の写真を見せながら、売春をしていることは知っていると言うアシュリーは、スクーティのいる所で客を取ったら殺すとヘイリーに伝える。

アシュリーに襲い掛かったヘイリーは、スクーティの目の前で彼女を殴りその場を去る。

部屋に戻ったヘイリーは、トイレで吐いてしまい涙する。

翌日、児童家庭局の局員が現れ、ヘイリーは彼女らに食って掛かり、ボビーが間に入る。

怒っているヘイリーの様子を気にするムーニーは、ボビーから、話し合っているだけだと言われる。

局員に質問されたムーニーは、まともに答えようとしない。

ヘイリーは、通報したと思われるアシュリーを恨みながら、児童家庭局の指示に従い部屋の片づけなどを始める。

モーテルの洗濯係のバーサにマリファナを渡したヘイリーは、気にしないようにと言う彼女に抱きしめられる。

ムーニーを連れてホテルのビュッフェに向かったヘイリーは、客を装い食事をする。

モーテルに戻ったヘイリーは、警官と共に待っていた児童家庭局の局員から、防犯カメラに映っていた9人の男性の出入りについて訊かれる。

立ち会ったボビーはムーニーを外に出し、局員は、性的行為を誘う内容のWEB広告も入手していることをヘイリーに伝える。

局員と話したムーニーは、少しの間ヘイリーと別れて暮らすと言われる。

里親の話をされたヘイリーは、スクーティに別れを言わせるためにムーニーを連れて行ったことを知り、荷造りをするように指示される。

局員から事情を聞いたアシュリーは、スクーティと共にムーニーに別れを告げる。

他の家で暮らすことを拒むムーニーは興奮し始め、局員はヘイリーを呼びに行く。

娘を連れ去る手伝いなどできないと言うヘイリーは憤慨し、警官が彼女を落ち着かせる。

ボビーは騒ぎが気になるが、何もしてやることができない。

ムーニーはその場から逃げだし、ヘイリーは取り乱す。

ボビーは、モーテルからハイウェイの方向に走り去ったムーニーのことを心配する。

怒りが収まらないヘイリーは、ムーニーが逃げたことを知り叫び声をあげる。

隣りのモーテルに向かいジャンシーに会ったムーニーは、親友だけど、もうきっと会えないと言って泣き出す。

理由を訊かれても泣くだけのムーニーは、ジャンシーにさよならとしか言えなかった。

ステイシーは、二人の様子を気にする。

悲しくなったジャンシーは、ムーニーと共にその場から走り去る。

マジック・キングダム”に着いた二人は”シンデレラ城”に向かう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
フロリダ州、キミシー
6歳のムーニーは、その日暮らしの母ヘイリーと共に、”ディズニー・ワールド”に近いモーテル”マジック・キャッスル”で暮らしていた。
イタズラしたのをきっかけに、隣のモーテルに住む少女ジャンシーと友達になったムーニーは、下の階に住むスクーティと共に楽しい日々を過ごす。
モーテルの管理人ボビーは、偽物の香水を売り小銭を稼ぎ何とか部屋代を払うヘイリーとムーニーのイタズラに手を焼きながらも、彼女らを見守っていた・・・。
__________

「チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密」(2012)、全編”iPhone 5S”で撮影した「タンジェリン」(2015)などで注目されたショーン・ベイカーが、製作と脚本を兼ねて監督した作品。

ディズニー・ワールド”の近くのモーテルでその日暮らしをする母娘の身に起きる出来事を描くドラマ。

社会の底辺で生きる人々の暮らしを描いている作品であるため、その生き方や子供の育て方を不快に感じる場面も多いが、アメリカの抱える社会問題を切実に描いた内容は、多くの人々に支持された。

実力派スターのウィレム・デフォー以外は無名の出演陣の中で、母親を演ずるブリア・ヴィネイトは、”インスタグラム”を見たショーン・ベイカーからの連絡を受けて出演が決まったという経緯がある。

ブルックリン・プリンスが演ずる少女の目線で描かれた作品であり、子供たちに演技をさせているというより、彼女らの行動をそのまま撮影しながら物語として構成している、ショーン・ベイカーの演出手腕が見どころの作品でもある。

舞台となるフロリダ州のキミシーは、”ディズニー・ワールド”に近い街ではあるが、ラストで登場する”マジック・キングダム”とは約30km離れた場所にあり、子供が走って行くことは不可能なのだが、”夢の国”のファンタジー思わせるかたちで終わるラストは感動的だ。

その”マジック・キングダム”では、スタッフと少女たちの保護者数人で、入場客に気づかれないようにして”iPhone 6S”での秘密撮影が行われた。

本作は各方面で絶賛され、第90回アカデミー賞ではウィレム・デフォーが助演男優賞にノミネートされた。

犯罪者に近い自堕落な若い母親ブリア・ヴィネイトと共に気ままに生きる少女を見事に演ずるブルックリン・プリンス、彼女らに手を焼くものの見守るモーテルの管理人を好演するウィレム・デフォー、主人公らと親しくなる隣りのモーテルに住む少女ヴァレリア・コット、その祖母で、主人公らと揉めるものの、その後、親しくなるジョシー・オリーヴォ、主人公らの下の階に住む友人のメラ・マーダー、その息子クリストファー・リヴェラ、その友人で隣のモーテルに住む少年アイデン・マリク、ボビー(ウィレム・デフォー)の息子ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)に”マジックバンドを”盗まれる旅行者の男性メイコン・ブレアなどが共演している。


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