オランダに亡命中のドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世の警護を命ぜられたドイツ軍将校とイギリスのスパイである女性との恋を描く、監督デヴィッド・ルボー、主演リリー・ジェームズ、ジェイ・コートニー、ジャネット・マクティア、クリストファー・プラマー、エディ・マーサン、ベン・ダニエルズ他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・ルボー
製作
ルー・ピット
ジュディ・トッセル
原作:アラン・ジャド”The Kaiser’s Last Kiss”
脚本:サイモン・バーク
撮影:ロマン・オーシン
編集:ニコラス・ガスター
音楽:イラン・エシュケリ
出演
ミーカ・デ・ヨン:リリー・ジェームズ
シュテファン・ブラント大尉:ジェイ・コートニー
ヘルミーネ・ロイス・ツー・グライツ:ジャネット・マクティア
ヴィルヘルム2世:クリストファー・プラマー
ハインリッヒ・ヒムラー:エディ・マーサン
ジーグルト・フォン・イーゼマン大佐:ベン・ダニエルズ
ディートリヒ警部補:マーク・デクスター
ヘンドリックス牧師:クリス・カップペンス
ファルケンベルク将軍:アントン・レッサー
ダークセン:マーティン・サヴェッジ
イギリス/アメリカ 映画
配給
A24(アメリカ)
Signature Entertainment(イギリス)
2017年製作 107分
公開
イギリス:2017年10月2日
北米:2017年6月2日
日本:2017年7月28日
北米興行収入 $708,970
世界 $834,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1940年5月、ベルリン、ドイツ国防軍本部。
ファルケンベルク将軍(アントン・レッサー)に呼ばれたシュテファン・ブラント大尉(ジェイ・コートニー)は、未だにドイツ国民に大きな影響力を持つ、オランダに亡命したヴィルヘルム2世の護衛隊の指揮を命ぜられる。
ユトレヒトに滞在する皇帝の安全を守る任務を名誉に思うようにとファルケンベルクから言われたブラントは、他国での軍の行動はできないと考えるが、今朝、ベルギーとオランダに侵攻したことを知らされる。
オランダに向かったブラントは、皇帝が滞在するユトレヒトの”ドールン館”に到着する。
メイドのミーカ・デ・ヨン(リリー・ジェームズ)に迎えられたブラントは、皇帝の副官ジーグルト・フォン・イーゼマン大佐(ベン・ダニエルズ)に任務を伝える。
屋敷内での指揮とメイドへの手出しは許さないと言われたブラントは、それに従おうとする。
森の中で薪を割っていた皇帝ヴィルヘルム2世(クリストファー・プラマー)は、妻ヘルミーネ・ロイス・ツー・グライツ(ジャネット・マクティア)から、護衛部隊の指揮官が来たことを知らされる。 皇帝は、復権に向けて印象を良くしてほしいと言うヘルミーネの言葉を聞き流す。 村に本部を設置した、ゲシュタポのディートリヒ警部補(マーク・デクスター)の元に向かったブラントは、皇帝の行動を把握したいと言われ、協力を要請される。 ある無線を傍受していたディートリヒは、イギリスのスパイがいると考え、皇帝の暗殺も考えられるとブラントに伝える。 ドイツのオランダ侵攻は戦略的にはあり得ないとフォン・イーゼマンに伝えた皇帝は、お茶を持ってきた新人のミーカが気に入る。 その夜、敷地内の宿舎に向かい、皇帝の明日の晩餐への招待の件をブラントに伝えたミーカは、服を脱ぐようにと言われてそれに従う。 愛し合おうとしたブラントは腹部の傷が痛み、苦しみながら、皇帝には招待を受けると伝えてほしいと言ってミーカを帰す。 翌日の晩餐でフォン・イーゼマンに迎えられたブラントは、左腕が不自由な皇帝への接し方などを話す彼に案内される。 皇帝とヘルミーネを紹介されたブラントは挨拶し、食事を楽しむ。 君主制の必要性などを機嫌よく話す皇帝だったが、ブラントの苦労話を聞き、自分のせいだと言いたいのかと、声を荒げて興奮する。 現状に不満な皇帝は自分は被害者だと言って席を立ち、国を奪われたとつぶやきその場を去る。 発言を謝罪するブラントに、皇帝にヒトラーを批判する意図はないとヘルミーネは伝える。 宿舎に戻ったブラントは、その場にいたミーカから服を脱ぐようにと言われる。 ミーカは、ブラントの腹部の傷を確認して、彼をベッドに押し倒し愛し合う。 ベッドから離れたミーカは、ブラントから行かないでほしいと言われるものの、その場を去る。 翌日、フォン・イーゼマンから、イギリスのスパイがいるようなので、屋敷に移りたいというブラントの要望を知らされた皇帝は、それを気にせず、カモに餌をやりに行く。 餌を持ってきてくれたミーカと話をしていた皇帝は、現れたブラントにスパイの件などを訊く。 心配ないと言われた皇帝は、彼に与える部屋に案内するようミーカに指示する。 肉体関係は禁止だとブラントに伝えたミーカは、自分の部屋の場所を訊かれたために教える。 その後、村に買い物に行くミーカを見つめながら、ディートリと話すブラントは、無線の電波は村が発信元であることを知らされる。 薪を割る皇帝の元に向かったブラントは、木に登った兵士が周囲を監視していることを確認する。 村の教会に向かったスパイだったミーカは、居力者であるヘンドリックス牧師(クリス・カップペンス)に、護衛隊のブラントに気づかれたと伝える。 ゲシュタポも来たことを伝えたミーカは、ヘンドリックスから、君のことは分からないだろうと言われ、皇帝を殺害する件を話す。 実行すれば解放すると言われたミーカは、警戒しながら屋敷に戻る。 その後、部屋で拳銃の手入れをしていたミーカは、呼び出しベルが鳴ったためにそれを隠す。 現れたブラントから、ゲシュタポの警部補が来ているので、何かあったら手助けすると言われる。 その後、皇帝と話し合っいたブラントは、フォン・イーゼマンに皇帝の軍服のコレクションを見せてもらい、スパイの捜査のことを訊かれ、探知機待ちだと答える。 皇帝から家族のことを訊かれ、力になると言われたミーカは、自分を嫌うヘルミーネが現れたためにその場を去る。 部屋に戻ったミーカは、ブラントがいたために驚く。 愛読していたニーチェの”善悪の彼岸”のことをからかわれたミーカは、彼と愛し合う。 その頃、ディートリヒの部下ダークセン(マーティン・サヴェッジ)は、村から発信される電波を確認する。 勲章を受けた理由と傷のことを聞いたミーカは、生き残ったと話すブラントから、榴散弾による傷には弾が残っていると言われる。 前線に派遣されない理由を知ったミーカは、ブラントが命令には背いたことがないのを確認して、自分はユダヤ人だと伝える。 構わないと言うブラントに、いずれ気になると伝えたミーカは、いつかは人は死ぬと考える彼と愛を確認する。 素性は黙っているようにとミーカに伝えたブラントは、部屋を出たところでメイド頭に目撃される。 屋敷の外でタバコを吸ったブラントは、箱についた機械オイルのような臭いが気になる。 そこに現れたディートリヒから、無線元を今夜、捕らえると言われたブラントは、明日、親衛隊長官のハインリッヒ・ヒムラーが来ることを知らされる。 ヒムラーが皇帝の晩餐に同席すると言うディートリヒは、フォン・イーゼマンには伝えず、皇帝だけに知らせるようブラントに指示する。 今日中に屋敷内を調べると言うディートリヒは、その場を去る。 皇帝の元に向かったブラントは、その場に現れたヘルミーネがヒムラーが来ることを興奮しながら話したために、準備をすると言う彼女に後を任せる。 ゲシュタポが屋敷内を調べることをフォン・イーゼマンに知らせたブラントは、皇帝の発言を気にして、ディートリヒには冗談は通じないと伝える。 屋敷内の銃のことをフォン・イーゼマンに尋ねたブラントは、皇帝が持っているが手入れは従僕が行い、メイドは触らないことを確認する。 ヘルミーネから協力を求められたブラントは、ヒムラーの目的は帝政復古だと確信する彼女から、意見を求められても不利益な発言はしないようにと言われる。 到着したディートリヒに、ヒムラーのことは既にヘルミーネに知られていることを伝えたブラントは、彼や部下と共に屋敷内を調べ始める。 自分に断りもなく屋敷を調べられた皇帝は激怒し、フォン・イーゼマンに不満を伝える。 ミーカの部屋に向かったブラントは、オイルの臭いを確認しながら調べる。 それが気名なるミーカは、皇帝がカモに餌をやるのを手伝いながら、恋の話などをして、選択を誤ることなく、未来を恐れずに今を楽しむようにと助言される。 屋敷内は調べ終わり部屋に戻ったミーカは、隠してあった銃が見つからなかったことを確認する。 ディートリヒと明日のことを話したブラントは、急いで村に向かうミーカが気になる。 教会に向かい、ヒムラーが来ることをヘンドリックスに知らせたミーカは、彼を殺すことを伝える。 自殺行為だと言うヘンドリックスに、父と夫は親衛隊に殺されたと伝えたミーカは、考えを変えようとしない。 ヘンドリックスは、明日、屋敷に向かい返事を伝えると言ってミーカを納得させる。 ミーカが去った後で、ロンドンへの通信を傍受されたヘンドリックスは、ゲシュタポに気づかれて逮捕される。 ブラントの部屋に向かったミーカは、彼と愛し合う。 その後、悪夢を見たブラントは、ポーランドの森で女と子供ばかりを親衛隊が殺したとミーカに話す。 倒れていた少女の息はあったが、助けられなかったと言うブラントは、部隊の前で、国民の恥である隊長を殴ったとミーカに伝える。 今はそれが正義だと言うミーカに、それは違うと伝えたブラントは、出て行こうとする彼女に結婚を申し込む。 ミーカからユダヤ人だと言われたブラントは、自分が守ると伝えるものの、無理だと考える彼女を説得出来ず、部屋に押し入ったメイド頭に見つかってしまう。 いつものように薪割りをしていた皇帝は、朝食を運んでくれたフォン・イーゼマンに、ついにこの日がきたと伝えて感無量になるが、屋敷に呼ばれる。 ヘルミーネから、ミーカがブラントの部屋にいたことを知らされた皇帝は、解雇された彼女を引き留める。 辞める必要はないと言う皇帝は、三人で話したいとヘルミーネに伝えるものの、彼女は納得しない。 祖国で皇位は奪われたが、この屋敷のことは自分が決めると言って声を荒げる皇帝は、ヘルミーネを追い出す。 以前話した付き合っている相手がブラントであることをミーカに確認した皇帝は、自分も不道徳なことをしたと話し、偽善は不道徳ではないと言って、辞める必要はないと彼女に伝える。 今後は慎重に行動するようにと言われたミーカは、皇帝に感謝し、ブラントと共にその場を去る。 ディートリヒに呼ばれたブラントは村に向かい、捕らえられたスパイのヘンドリックスが拷問されていることを知り動揺する。 ヘルミーネから、復権を素直に喜ばないことを非難されたフォン・イーゼマンは、今回はリスクが多いと意見する。 短気な皇帝がヒムラーを怒らせればタダでは済まないと言うフォン・イーゼマンは、支援はおろか命も狙われるとヘルミーネに伝える。 フォン・イーゼマンは、前首相のクルト・フォン・シュライヒャーも妻と共に殺された、”長いナイフの夜”を例に出して話す。 戸惑うヘルミーネは、対処するようフォン・イーゼマンに指示する。 拳銃に弾を込めたミーカは、戻って来たブラントらと共にヒムラーを迎える準備をする。 ヘルミーネは緊張するが、皇帝は悠然と待ち構える。 到着したヒムラー(エディ・マーサン)はフォン・イーゼマンに迎えられ、ブラントを紹介される。 皇帝と共に現れたヘルミーネは、ヒムラーに歓迎の言葉を述べる。 晩餐の前に皇帝との謁見を望んだヒムラーは、話しておきたいことがあるとフォン・イーゼマンに伝える。 地下室でミーカと話したブラントは、ヘンドリックスが捕まったことを知らせて、直ぐにすべてがバレると伝える。 自分と寝たのは命令なのか尋ねたブラントは、利用していたことを否定するミーカに、皇帝を殺す計画がいつかを問う。 ブラントから、ヘンドリックスと会っていたのを目撃したと言われたミーカは、兵士としての任務を果たせばいいと伝える。 逃げるようにと言われたミーカは、自分もそうするので、使命を果たすようにとブラントに伝えて抱き合う。 ヒムラーの部屋に向かったヘルミーネは、全裸の情婦がいたために驚き、ドアの外で彼に大金を渡す。 それを受け取ったヒムラーは部屋に戻り、動揺するヘルミーネはその場を去る。 時間を調整したフォン・イーゼマンは、皇帝とヒムラーが庭で話し合う姿を見守る。 自分次第で祖国に帰れるかもしれないことをヘルミーネに伝えた皇帝は、喜ぶ彼女に、今は二人だけの秘密だと伝える。 しかし、ヘルミーネはメイド頭に、皇帝はフォン・イーゼマンにそれを話してしまう。 食事をしていたディートリヒと話したブラントは、ヘンドリックスがまだ何も吐いていないことを知る。 そこにヒムラーが現れ、皇帝には復帰してほしいと話したが、君主制の信奉者や支持者を一掃するのが目的である罠だと二人に伝える。 屋敷の内外を見張るようにと二人に指示したヒムラーは、この場にいるすべての者が誰と通じているか探り、報告するようにと命ずる。 準備ができた屋敷に向かい、ミーカにまだバレていないことを伝えたブラントは、晩餐の席に着く。 ユダヤ人の脅威を含め、他民族を国内から排除する方法などを述べるヒムラーは、障害を持つ子供を苦しませずに殺す実験の話を平然とする。 軍服のコレクションを見ることを皇帝から勧められたヒムラーは、明朝は早いと言って席を立ち、良い返事を待つと皇帝に伝えてその場を去る。 ヒムラーの話が今の正義だと、ミーカはブラントに伝える。 村に戻るディートリヒは、ブラントから、ヘンドリックスが何か話したら教えてほしいと言われる。 フォン・イーゼマンは、ヒムラーの意見に賛同できないような発言をしたことでヘルミーネに非難される。 ブラントから、国家への忠誠に勝るものはあるかと訊かれたフォン・イーゼマンは、国とは何か、忠誠に値するかをよく考えることだと答える。 ヒムラーの皇帝への提案は罠だと、ブラントはフォン・イーゼマンに伝える。 支持者の一掃が狙いだと、皇帝に知らせてほしいとフォン・イーゼマンに伝えて部屋に戻ろうとしたブラントは、ショックを受ける彼に感謝される。 散歩をしていた皇帝は、現れたミーカから、チャーチルの伝言を預かったと言われる。 ミーカがスパイだと知った皇帝は驚く。 屋敷に戻ったミーカは、皇帝が倒れたことをフォン・イーゼマンに伝える。 ブラントから皇帝が死んだのかと訊かれたミーカは、別れてから倒れるのが見えたと答える。 そこに電話が入り、ゲシュタポにバレたことをブラントはミーカに伝える。 ミーカを助けようとするブラントは、銃を向ける彼女に、自分を信じるようにと伝える。 部下に連絡したブラントは、メイドにスパイがいたことを伝えて全員を出動させ、門を封鎖させる。 村にいたダークセンは、屋敷に向かう。 駆け付けたヘルミーネに、ふらついただけだと伝えた皇帝は、チャーチルから亡命を提案されたことを話す。 戦後に皇帝として復帰するようにと言われたこと話す皇帝は、丁重に断ったとヘルミーネに伝える。 ベルリンには戻らず、この場に留まるつもりの皇帝は、ナチとは同じ考えになれないと言って、涙するヘルミーネを気遣う。 これが神の定めだと言う皇帝は、それに従うと伝えてヘルミーネに納得してもらう。 村に戻ろうとするディートリヒは、屋敷に向かうダークセンから、ミーカがスパイだと知らされる。 フォン・イーゼマンと共に車を用意したブラントは皇帝を乗せて、病院に連れて行くとヘルミーネに伝えてその場を去る。 途中でミーカを乗せたブラントは門に向かい、戻ってきたディートリヒに、皇帝が倒れたために病院に行くことを伝える。 車を調べられることを知ったミーカは毒を飲もうとするが、皇帝が制止する。 車のドアを開けたダークセンとディートリヒを射殺したブラントは、その場から逃げる。 ミーカが毒を吐き出したために、皇帝は安堵する。 感謝されたミーカは、皇帝が意識を失ったためにブラントに車を止めさせる。 眠ったようだと伝えたミーカは、去ろうとしてブラントも誘うものの、国は裏切れないと言われる。 殺されると言われたブラントは、病院に向かっただけで、門番を任せたディートリとダークセンは、スパイに殺されたと思われるとミーカに伝える。 守りたいものができたと言われたミーカは、自分もだとブラントに伝えてキスし、森に向かう。 結婚しようと言われたミーカは、捜しに来て、もちろんイエスだと伝えてその場を去る。 拳銃を川に捨ててタバコに火を点けたブラントは、ミーカのことを心配する皇帝に感謝する。 皇帝にタバコを渡したブラントは、病院に向かう。 ベルリン。 中身のニーチェの”善悪の彼岸”には、”愚かな友達へ”という言葉と共に、ロンドンの住所が書かれていた。 空襲警報が鳴る中、ブラントは皇帝に電話をする。 ブラントからの伝言で、朗報が届いたことをフォン・イーゼマンから知らされた皇帝は、よかったと言って微笑む。 ロンドン。 空襲が始まろうとする中、オフィスから避難しようとしないブラントは、本のミーカの言葉を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
本部に戻っていたブラントは、赤十字から届いた小包を受け取る。
公園のベンチに座る妊娠していたミーカは、現れた女性に話しかけられ、チャーチルの元に案内される。
*(簡略ストー リー)
1940年5月。
ドイツ国防軍のブラント大尉は、オランダに亡命中ではあるものの、未だに国民に影響を与える皇帝ヴィルヘルム2世の警護部隊を任される。
ユトレヒトの”ドールン館”に到着したブラントは、現地でスパイを探すゲシュタポのディートリヒ警部補と共に周囲の監視を始める。
メイドのミーカ・デ・ヨンと親密な関係になったブラントは、ユダヤ人の彼女がイギリスのスパイであることを知るのだが・・・。
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2003年に発表された、アラン・ジャドの小説”The Kaiser’s Last Kiss”を基に製作された作品。
長年、舞台で活躍していたデヴィッド・ルボーの映画初監督作品。
オランダに亡命中であった、第9代プロイセン王国国王、第3代ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世の元にメイドとして潜伏するスパイの活動と、彼女と警護隊を指揮するドイツ国防軍将校との恋が描かれたドラマ。
主役ではないが、人間味溢れるヴィルヘルム2世を円熟の演技で演ずるクリストファー・プラマーを中心に、才能豊かな若手や個性派が脇を固め、重厚なドラマに仕上がっている。
本作は、アラン・ジャドの原作を読んだクリストファー・プラマーの提案で映画化が実現した経緯がある。
亡命中の皇帝や、ドイツ国防軍とナチス・ドイツの親衛隊、ゲシュタポの立場の違いなどを理解して観ると、より一層興味深く鑑賞できる作品でもある。
辛い過去と重大な使命感を背負いながら、皇帝のメイドであるイギリスのスパイを好演するリリー・ジェームズ、国家への忠誠に勝るもの・・・それを考えながら彼女を守ろうとするドイツ軍将校を演ずるジェイ・コートニー、復権を夢見る皇后ヘルミーネ・ロイス・ツー・グライツを印象深く演ずるジャネット・マクティア、親衛隊長官ハインリッヒ・ヒムラーのエディ・マーサン、皇帝の副官であるジーグルト・フォン・イーゼマン大佐を雰囲気ある演技で演ずるベン・ダニエルズ、ゲシュタポの警部補マーク・デクスター、その部下マーティン・サヴェッジ、主人公の協力者である牧師クリス・カップペンス、ブラント(ジェイ・コートニー)の上官である将軍のアントン・レッサーなどが共演している。