サイトアイコン That's Movie Talk!

まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響 The Effect of Gamma Rays on Man-in-the-Moon Marigolds (1972)

1970年にブロードウェイで初演された、ポール・ジンデルの同名の舞台劇の映画化。
世間の人々や社会に反感を持ち肉親である娘達にも愛情を注げない中年女性の生き様を科学に興味を持つ内気な次女の目から描く、製作、監督ポール・ニューマンと主演ジョアン・ウッドワードの娘ネル・ポッツ他共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:ポール・ニューマン

製作:ポール・ニューマン
製作総指揮:ジョン・フォアマン
原作:ポール・ジンデル(戯曲)
脚本:アルヴィン・サージェント

撮影:アダム・ホレンダー
編集:エヴァン・A・ロットマン
音楽:モーリス・ジャール

出演
ジョアン・ウッドワード:ベアトリス・ハンズドーファー
ネル・ポッツ:マチルダ・ハンズドーファー
ロバータ・ウォラック:ルース・ハンズドーファー
ジュディス・ロウリー:ナニー
デヴィッド・スピルバーグ:グッドマン
リチャード・ヴェンチャー:フロイド
キャロリン・コーツ:マッケイ夫人
ウィル・ヘア:骨董品屋
ジェス・オスーナ:サニー・ガンダーソン

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1972年製作 100分
公開
北米:1972年12月20日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
シングルマザーのベアトリス・ハンズドーファー(ジョアン・ウッドワード)は、ませているルース(ロバータ・ウォラック)と内気なマチルダ(ネル・ポッツ)の2人の娘と暮らしていた。

マチルダは、科学の教師グッドマン(デヴィッド・スピルバーグ)の授業に興味を抱き、ウサギを飼ったり、ガンマ線を放射した”まだらキンセンカ”を栽培していた。

そんなマチルダの気持ちを理解しないベアトリスは、彼女の飼っているウサギのフンに腹を立て、ヒステリーばかり起こし、彼女を問題児扱いする。

ルースは、時々てんかんの発作を起こし、ベアトリスは娘を優しく抱き寄せて、なだめることしかできなかった。

生活苦のベアトリスは、家の部屋を間貸ししようとするが、現れたのは年老いた老女ナニー(ジュディス・ロウリー)だった。
...全てを見る(結末あり)

ナニーの娘マッケイ夫人(キャロリン・コーツ)に、母親を押し付けられたようなベアトリスだったが、以前も病人を預かったことがあり、彼女を預かることを決める。

学歴も資格もないベアトリスだったが、いつも新聞の不動産広告に目を通し、こじんまりとした店を持つのが夢だった。

ある日ルースは、その様子を茶化して真似した寸劇を学校で披露し、大いに受けてしまう。

それを知ったベアトリスはルースを責めるが、その後も広告を見ては夢を膨らませる。

ある物件を見つけたベアトリスは、銀行に融資を求めるが断られてしまう。

ベアトリスは、銀行員で、死んだ夫の弟フロイド(リチャード・ヴェンチャー)に相談に行くが聞き入れられず、癇癪を起こしてその場を立ち去る。

自棄酒を飲んでいたバーで、骨董品屋(ウィル・ヘア)と出会ったベアトリスは、ランプを売るため彼の自宅に向かう。

しかし、骨董品屋はベアトリスに襲い掛かり、彼女は彼を殴り倒して、その場から逃れる。

街道で夜を明かしたベアトリスは、通りがかったパトロール警官サニー・ガンダーソン(ジェス・オスーナ)に質問されるが、彼はベアトリスの同級生で久し振りの再会を喜ぶ。

帰宅したベアトリスは、教師のグッドマンからの電話を受け、キンセンカやウサギが、マチルダに悪影響を与えていると抗議する。

その場にいた、ベアトリスの旧友の教師が、学生時代の彼女のおかしな行動をグッドマンに話して聞かせ、それをルースが聞いてしまう。

やがて、科学フェアの決勝進出者が発表され、何百人もの生徒の中から、マチルダも選ばれる。

それを聞いたベアトリスは、生徒が母親とステージに上がることを知らされ、それを喜べないまま、ナニーの世話を嫌がるルースと言い争いを始めてしまう。

ショックを受けたマチルダは、益々引きこもってしまうが、きれいに咲いたキンセンカを持って科学フェアに向かう。

着飾って科学フェアに出かけようとするベアトリスに、留守番をすることになったルースが、変人呼ばわりされていたことを話し、ベアトリスは呆然と部屋にたたずむ。

ベアトリスは酒を飲んだ勢いで学校に抗議の電話をかけ、ナニーをマッケイ夫人に引き渡そうとするが、彼女が留守だったために、科学フェアに連れて行ってしまう。

マチルダは、キンセンカの種に放射したガンマ線の影響で、花が変質した実験の観察結果を発表し、会場に来ていたルースの前で見事に優勝する。

ベアトリスは酔ってふらつきながら会場に現れ、マチルダに”胸が一杯”と語りかけ、自分を嘲り笑う人々にも、同じくそれを言い放ちその場を立ち去る。

帰宅したマチルダは、ベアトリスがカッとなって殺してしまったウサギを抱き、裏庭で酒を飲み騒ぐ母親の前に置いて立ち去る。

それを見たルースも、その場を離れ、ベアトリスは裏庭に取り残される。

全ての物の素である原子に魅了されたマチルダは、今回の研究で自信をつけ、原子について学びたいという意欲が湧いてくる。

原子”は、母ベアトリスのように、世間を憎まないことをマチルダは学んだ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
自堕落な生活を送る、シングルマザーのベアトリス・ハンズドーファーは、ルースとマチルダの2人の娘と暮らしていた。
内気なマチルダは、科学の授業に興味を抱き、ウサギを飼ったり、ガンマ線を放射した”まだらキンセンカ”を栽培していた。
一方、ベアトリスに性格が似ているルースは、時々てんかんの発作を起こしていた。
ベアトリスは、そんな娘達の教育などにも関心がなく、自分の店を持つのが夢だったが・・・。
__________

ポール・ニューマンが、製作も兼ねて監督した作品で、主演は私生活での妻ジョアン・ウッドワードと、彼女との間に生まれた長女ネル・ポッツという、”ニューマン一家”作品である。

ネル・ポッツは、両親の顔立ちを丁度半々受け継いだようで、特にその青い瞳と目元は、ポール・ニューマンにそっくりで、自閉症気味の少女を好演している。

どこまでも懲りない性分の、夢だけを追い続ける、わがままな母親を演じたジョアン・ウッドワードの熱演は各方面から絶賛されたが、アカデミー賞にはノミネートすらされなかった。

また、長女役のロバータ・ウォラックは名優イーライ・ウォラックの娘でもある。

1973年のカンヌ国際映画祭では、ジョアン・ウッドワードが女優賞を獲得し、監督ポール・ニューマンパルム・ドールにノミネートされた。
ジョアン・ウッドワードは、ゴールデングローブ賞でもドラマ部門で主演女優賞にノミネートされた。

過剰に使われることのない音楽はモーリス・ジャールが担当している。

次女(N・ポッツ)の科学フェアの優勝により、母親(J・ウッドワード)が改心し、最後には家族の愛を取り戻し丸く収まるのかと思いきや、世間への憎しみのあまり、弱者の象徴のようなウサギまで殺してしまう母親を、娘達は見限る。
特に次女の、自分が美しいとこよなく感じるようになった”原子”と、醜い心が消え去ることのない母親を冷静に比較するラストは、衝撃的結末でもある。


モバイルバージョンを終了