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愛情物語 The Eddy Duchin Story (1956)

1930~1940年代にかけて活躍したピアニスト、エディ・デューチンの半生を描く、監督ジョージ・シドニー、主演タイロン・パワーキム・ノヴァクジェームズ・ホイットモアビクトリア・ショウ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

キム・ノヴァク / Kim Novak / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・シドニー

製作:ジェリー・ウォルド
脚本:サミュエル・A・テイラー
撮影:ハリー・ストラドリング
編集
ヴァイオラ・ローレンス

ジャック・オギルヴィー
音楽:ジョージ・ダニング

出演
エディ・デューチンタイロン・パワー

マージョリー・オールリックス・デューチンキム・ノヴァク
チキータ・ウィン:ビクトリア・ショウ
ルー・シャーウッド:ジェームズ・ホイットモア
ピーター・デューチンレックス・トンプスン
シャーマン・ワズワース:シェパード・ストラドウィック
エディス・ワズワース:フリーダ・イネスコート
レオ・ライスマンラリーキーティング
ピアノ調律師:ジャック・アルバートソン

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1956年製作 123分
公開
北米:1956年6月21日
日本:1956年6月21日


アカデミー賞 ■
第29回アカデミー賞

・ノミネート
原案・撮影(カラー)・ミュージカル音楽・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
青年エディ・デューチン(タイロン・パワー)は、ピアニストとして身を立てるために、”セントラル・パーク・カジノ”に向かう。

デューチンはルー・シャーウッド(ジェームズ・ホイットモア)を訪ね、指揮者レオ・ライスマン(ラリーキーティング)に会うが、雇う気のないことを告げられてしまう。

家を飛び出し、ボストンから希望に燃えていたにも拘らず、現実の厳しさにさらされた失意のデューチンは、ホールのピアノを弾いてしまう。

それを聴いた、資産家令嬢のマージョリー・オールリックス(キム・ノヴァク)は、彼の演奏が気に入り、ライスマンに頼み込み、デューチンは楽団の一員になることができる。

マージョリーが準備していたパーティーは始まり、デューチンは、控えめに演奏するよう言われてピアノを弾き始める。

ダンスの合間の演奏ということで、テーブルに着いた人々は、デューチンの演奏に気づきもしなかった。
...全てを見る(結末あり)

それに気づいたマージョリーは、デューチンのために、おじのシャーマン・ワズワース(シェパード・ストラドウィック)を誘い踊り始める。

翌日、デューチンは、心遣いに感謝するつもりで、装飾家のマージョリーの元に向かい親交を深める。

正式に楽団員になったデューチンは、オーケストラ演奏の合間だけではあるが、ピアノの演奏を任されるようになる。

その後、才能を認められたデューチンは、楽団のピアニストとなり、名が知られるようになる。

マージョリーの育ての親でもある、銀行家のシャーマンと妻のエディス(フリーダ・イネスコート)に招かれたデューチンは、中古で買った車に乗り、颯爽とワズワース邸に向かう。

デューチンマージョリーに迎えられるが、自分が招待客ではなく、単なるピアノ演奏のために呼ばれたことを知り、気分を害し帰ろうとする。

しかし、気を取り戻したデューチンは引き返してピアノを弾き始め、マージョリーは、彼の気持ちを察して励ます。

惹かれ合うようになったデューチンマージョリーは、愛を深めていく。

さらに活躍を始めたデューチンは、呼び寄せた両親を前に、マージョリーにプロポーズして、彼女はそれを受け入れる。

そして、二人は人々に祝福されながら結婚式を挙げ、カジノを見下ろせる高級アパートを新居に幸せを実感する。

やがてマージョリーは妊娠し、その後デューチンは自分の楽団を持ちバンド・リーダーとなる。

クリスマスの夜、息子ピーターが生まれたデューチンは、演奏を終え病院に向かうのだが、マージョリーの命がわずかだということを知らされ愕然とする。

マージョリーに面会したデューチンだったが、彼女は暫くして息を引き取り、28歳の生涯を閉じる。

デューチンは、カジノのホールに戻り、独り泣き崩れる。

マージョリーを亡くし、心を閉ざしたデューチンは、演奏活動は続けるものの、息子ピーターをワズワース夫妻に預けて会おうとしなかった。

ニューヨークを離れて5年、演奏旅行を続けるデューチンは、現実に向き合うべきだと言うシャーウッドに助言されて、息子のピーターに会うことにする。

しかしデューチンは、息子として接することのないピーターと、心通わせることができなかった。

その後、アメリカは第二次大戦に参戦し、デューチン海軍に入隊する。

デューチンは、慰問活動の依頼に対し、戦場での生活が自分には救いになると、それを頑なに断り続ける。

ミンダナオ島
上陸したデューチンは、廃墟となった建物で、焼け爛れた一台のピアノを見つける。

地元民の少年と共にピアノを弾き、デューチンは触れ合いを感じ、息子のピーターに、手紙を書いてみようという気持ちになる。

しかし、終戦を迎えたために、デューチンは書き始めていた手紙を捨てて、ピーターの元に向かう。

ニューヨーク
ワズワース夫妻に歓迎されたデューチンは、今後はピーターと生活を始めることを二人に告げる。

ピーター(レックス・トンプスン)と再会したデューチンは、未だ余所余所しいものの、今回は時間をかけて息子と触れ合う努力をするつもりでいた。

そしてデューチンは、ピーターと仲がよいという、シャーマンがイギリスから連れてきた戦争孤児のチキータ・ウィン(ビクトリア・ショウ)と顔を合わせる。

デューチンは、子供だと思い込んでいたチキータが、美しい女性だったために驚いてしまう。

そしてデューチンは、ピーターが自分の才能を引き継ぎピアノを弾くことを知る。

しかし、ピーターが、チキータとは親子以上の関係に見えることを気にしたデューチンは、息子を自分のペースで躾けて育てようとする。

それを不服に思うチキータは、デューチンに対し遠慮なく意見し、彼は息子のことを理解していないことを認める。

そのことで苦しんでいるデューチンは、チキータの意見を受け入れ、彼女に助言を求める。

デューチンは、ピーターやその友人達を楽団の稽古場に呼び寄せ、親交を深めたりもする。

ウォルドルフ=アストリア”で開催されたコンサートの際、家族と共に父デューチンの演奏を聴いたピーターは、喝采を浴びる父の姿を目の当たりにして誇りを感じる。

その時、デューチンは手の痺れを感じ、シャーウッドは彼の身を案ずる。

その夜、マージョリーと同じように嵐を怖がるピーターは、デューチンのベッドで寝たいことを伝え、彼は父の愛を求め、親子の心は通じ合う。

ようやく真実の幸せを掴みかけ、チキータへの愛も感じ始めた頃、デューチンは、医師の診察で白血病と診断されてしまう。

そんな時デューチンは、チキータがイギリスに帰ると聞いて驚き、彼女への尊敬の気持ちと、愛を伝えようとするがそれができない。

デューチンは、自分が余命一年であることをチキータに伝えるが、彼女は愛していることを告げ、二人は困難を乗り越え結婚することになる。

デューチンピーターの愛情が深まるに連れ、二人の傍らにいるチキータは居たたまれなくなる。

チキータは、ピーターに全てを打ち明けることをデューチンに提案するが、それができない彼は、死を恐れて苦悩する。

決心したデューチンは、ピーターと”セントラル・パーク”に向かい、病気のことを話す。

ピーターは、その現実を受け入れ、父デューチンにチキータは自分が守ることを伝える。

デューチンは、自宅の二台のグランド・ピアノで、ピーターと共に、ショパンの”夜想曲第2番”をアレンジした”Two Love again”を連弾する。

それを見守るチキータに寄り添ったデューチンは、ピーターが悲しみを堪える姿を見て、彼を励ますように再び演奏を始める。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
希望に燃え、ボストンからニューヨークにやってきたピアニストのエディ・デューチンは、富豪令嬢マージョリー・オールリックスの口添えで、何とかレオ・ライスマン楽団の一員となる。
その後、才能を認められたデューチンは楽団で活躍を始め、惹かれ合うようになっていたマージョリーとの愛を深め、やがて二人は結婚する。
自分の楽団を持つこともできたデューチンは、順調な演奏活動を続け、マージョリーとの間に息子ピーターが生まれる。
しかし、愛するマージョリーは出産後に亡くなり、失意のデューチンは心を閉ざし息子ピーターとの生活を拒んでしまう。
ピーターを、マージョリーのおじ夫妻に預けたデューチンは、演奏旅行に旅立ち、数年が経ち、彼はマネージャーのシャーウッドの助言で息子に会うことにする。
しかし、デューチンは、親子の触れ合い方を知らないため、ピーターと打ち解けることもできずに、海軍に入隊してしまう。
戦場の少年との触れ合いで、息子と生活する気になったデューチンは、ピーターの元に向かう。
ぞしてデューチンは、ピーターと仲のよい女性チキータの助言を受け、親子の関係を修復しようとするのだが・・・。
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1950年代に入り、他のスターの台頭で影が薄くなってきたタイロン・パワーが、前年の「長い灰色の線」(1955)に続き実在の人物を熱演した、ジョージ・シドニーの情感のこもった演出も光る作品。

2年後に、心臓麻痺により44歳の若さでこの世を去るタイロン・パワーの、主人公の人生ともダブる生涯を知りつつ観ると、一層感慨深いメロ・ドラマの秀作でもある。

40代前半にしてはやつれているようにも見えるタイロン・パワーだが、代役を使わないピアノ演奏は見事である。

また、余りにも有名な、カーメン・キャバレロの演奏による、ショパンの”夜想曲第2番”をアレンジした”Two Love again”も大ヒットした。

第29回アカデミー賞では、原案・撮影(カラー)ミュージカル音楽・録音賞にノミネートされた。

大筋ではエディ・デューチンの生涯を事実に基づき描いてはいるが、父の後を継ぎ自身もピアニストになるピーター・デューチンは実際には7月生まれであり、物語ではクリスマスの日に誕生し、妻の悲劇が起きる設定となっていてドラマチックに脚色されている。

主人公が息子と妻に見守られながら、ピアノの前から突然、姿を消すラストも印象に残る。

ドラマの中盤にも至らない時点で亡くなってしまう、主人公を献身的に支え、わずか28歳の生涯を閉じる妻マージョリー・オールリックス・デューチンを演ずるキム・ノヴァクの、短い出演は残念なのだが、その後、登場する、凛とした言動と美しさで、後半を支えるビクトリア・ショウの好演も見逃せない。

主人公の良き理解者、マネージャーでもあるジェームズ・ホイットモア、主人公の息子ピーターレックス・トンプスンマージョリーのおじ夫妻シェパード・ストラドウィックフリーダ・イネスコート、バンド・リーダーのレオ・ライスマンを演ずるラリーキーティングなどが共演している。


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