1954年に発表された、ローズマリー・サトクリフの歴史冒険小説”第九軍団のワシ”(児童文学)を基に製作された作品。 ローマ帝国及びブリタニア民族を描く一連の作品の第1作目。 西暦120年に忽然と消息を絶ったローマ帝国・第九軍団の指揮官を父に持つ兵士の戦いを描く、監督ケヴィン・マクドナルド、主演チャニング・テイタム、ジェイミー・ベル、ドナルド・サザーランド、マーク・ストロング他共演の歴史サスペンス・ドラマ。 |
・マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ケヴィン・マクドナルド
製作総指揮
テッサ・ロス
マイルズ・ケトリー
チャールズ・ムーア
製作:ダンカン・ケンワージー
原作:ローズマリー・サトクリフ”第九軍団のワシ”
脚本:ジェレミー・ブロック
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:ジャスティン・ライト
音楽:アトリ・オーヴァーソン
出演
マーカス・フラヴィウス・アクイラ:チャニング・テイタム
エスカ:ジェイミー・ベル
アクイラ:ドナルド・サザーランド
グアーン/ルキウス・カイウス・メテラス:マーク・ストロング
シール族の息子:タハール・ラヒム
ルトリウス:デニス・オヘア
クローディアス・マルセリウス:デイキン・マシューズ
セリヴィウス・プラシダス:ピップ・カーター
シール族の族長:ネッド・デネヒー
アメリカ/イギリス 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)
フォーカス・フィーチャーズ(イギリス)
2011年製作 114分
公開
北米:2011年2月11日
イギリス:2011年3月25日
日本:2012年3月24日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $19,490,040
世界 $27,122,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
西暦120年。
ローマ帝国の第九軍団は、ブリタニア北部に出撃するものの、帰還しなかった。
5000人の兵士と共に、軍団の紋章のワシも消えた。
ローマ皇帝”ハドリアヌス”は、北部との断絶を決めて”長城”を建設し、その先はこの世の果てと呼ばれた。
20年後、ブリタニア。
第九軍団を指揮した父と同じく兵士となった、第二軍団第四大隊長(百人隊長)マーカス・フラヴィウス・アクイラ(チャニング・テイタム)は、現地の砦に到着する。
守備隊長代理ルトリウス(デニス・オヘア)は、部隊の到着が待てずに、隊長が出発したことをマーカスに伝える。
砦の兵士達は、ワシと5000人もの軍団兵と共に消えた、不名誉な指揮官を父に持つマーカスを見下す。 その後マーカスは、傷んでいる砦の補修作業を進め、戦いに備えて士気を高める。 穀物が届いていないことを知ったマーカスは、偵察隊を出すよう命ずる。 その夜、不吉な予感を感じたマーカスは、偵察隊が気になり兵士を武装させる。 兵士達はそれを不満に思うが、砦はケルト人の族民の襲撃を受ける。 激しい戦いの末、軍団はマーカスの指揮下で敵を撃破して、兵士達の彼の見方が変わる。 その後、部族長が、偵察隊の生き残り兵士を連れて現れ一人を斬首する。 マーカスは、自分に責任があると言って予備隊を率い部族の元に向かい、隊列を組み兵士を救おうとする。 敵陣の中で防御円陣を組んだマーカスは、拘束された兵士を解放する。 しかし、族長が戦車で現れ、マーカスらは走って砦に戻ろうとする。 マーカスは、一人で敵に立ち向かおうとするが、転倒した戦車の下敷きになる。 負傷したマーカスは砦から移送され、叔父アクイラに介抱され意識を取り戻す。 マーカスを見舞ったルトリウスは、今回の武勲に対し、大隊に月桂冠が与えられたことを知らせる。 そして、勇敢に戦ったマーカスには腕輪が贈られ、彼は負傷により名誉除隊となる。 ショックを受けたマーカスは、苦しみながら、回復を待つしかなかった。 剣闘士とブリガンテス族の奴隷エスカ(ジェイミー・ベル)の闘いを見たマーカスは、殺されかけた彼の命を救う。 アクイラは、マーカスの世話をさせるためにエスカを買い与え、ローマ人を憎む彼だったが、命の恩人に仕えることを伝える。 処置が適切でなかったため、マーカスの傷は回復せずに手術することになる。 それに耐えて回復したマーカスは、第六軍団の軍団長クローディアス・マルセリウス(デイキン・マシューズ)やその部下セリヴィウス・プラシダス(ピップ・カーター)を、アクイラから紹介される。 クローディアスは、第九軍団のワシが蛮族の神殿に飾られているという噂話を語る。 マーカスは、父の汚名を晴らすために、単独でワシを取り戻すことをアクイラに伝え、”ハドリアヌスの長城”を越えることを考える。 アクイラの制止に耳を貸さないマーカスは、エスカを伴い危険を承知で北に向かう。 壁を越えたマーカスは、ローマ人にとってのワシの重要性をエスカに伝える。 エスカは、ローマとの戦いで父と兄が戦死して、母は、ローマ人に殺される前に父がのどを切って殺したことをマーカスに話す。 その後、ハイランド地方に達した二人は更に北上する。 蛮族に襲われた二人だったが、エスカは、襲ってきた少年を殺すのをためらう。 少年は逃げるが、マーカスは彼にナイフを投げ刺し、容赦なく喉を切り裂く。 ある村落で、北に向かう軍団を見たという情報を得た二人は、それが森から雪山に向かったことも知る。 その後、二人は蛮族に襲われるが取り押さえる。 グアーンというその男は、第九軍団の元ローマ兵士のルキウス・カイウス・メテラス(マーク・ストロング)だった。 マーカスは、軍団をある部族が受け入れたことと、グアーンに妻子もいることを知らされる。 部族集団に襲われた、軍団の殺戮現場を見せられたマーカスは、父が、シール族と戦い最期を遂げた可能性があることを知る。 その戦いにはブリガンテス族も参加したということで、グアーンは、エスカがシール族の居場所を知っていることを伝える。 エスカが全てを知っていたことを責めるマーカスは、彼と格闘になるが、そこにシール族の族長の息子(タハール・ラヒム)が現れる。 ブリガンテス族の族長の息子だというエスカは信用されて、マーカスは彼の奴隷ということで村落に連れて行かれる。 エスカは族長(ネッド・デネヒー)に歓迎され、奴隷であるマーカスを騙しここに連れて来させたことを伝える。 マーカスは、ある儀式でワシを確認した後、それに近づこうとして殴り倒される。 エスカに裏切られたと思ったマーカスだったが、儀式の後、部族が眠り込んでいる隙にワシを奪う考えを彼から聞かされる。 ワシを手にしたマーカスは、それに気づいた族長に襲われるが、彼が父の指輪をはめていることに気づく。 マーカスは族長を殺し、指輪を奪ってその場から逃れようとする。 エスカは、自分を慕っていた少年に声をかけられ、殺すべきだというマーカスに、信用できると答えて生かす。 馬で南に向かうマーカスとエスカだったが、族長の息子は二人が逃げたことを知り追跡する。 怪我をしたマーカスは衰弱し、エスカは馬を失う。 追いつかれた二人は川に身を潜め、かろうじて逃げ延びる。 限界に達したマーカスは、エスカを解放してローマにワシを運ぶよう指示する。 しかし、ワシを受取ろうとしないエスカは、必ず戻ると言い残しその場を離れグアーンに助けを求める。 エスカは、グアーンら第九軍団の生き残り兵士を伴いマーカスの元に戻る。 グアーンは、マーカスの父が最後まで退くことなく勇敢に戦ったことを伝える。 指揮官を見捨てて逃げた自分の行為を悔い嘘をついたことを謝罪したグアーンは、マーカスから、ワシを守れという命令を受ける。 現れた族長の息子は、裏切りの報いだと言って、エスカを慕っていた少年を殺す。 壮絶な戦いは始り、マーカスは族長の息子を倒す。 グアーンも命を落とし、マーカスは、名誉のために戦った全ての者達を称える。 その後、マーカスとエスカはクローディアスの元に戻り、取り戻したワシを渡す。 アクイラ家の名誉が回復されたことをマーカスに伝えたクローディアスは、第九軍団を再編することを伝える。 指揮官になる可能性を告げられたマーカスは、ワシを取り戻した方法をクローディアスに聞かれる。 部下プラシダスは、奴隷のエスカだけでと口にするが、マーカスはそれを遮る。 マーカスはエスカが奴隷ではないと言って、プラシダスよりも名誉と自由について知っていると語り、二人はその場を去る。 エスカは、次に何をするかをマーカスに尋ねる。 マーカスは、”お前が考えろ”と答える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
西暦120年、アクイラ率いるローマ帝国・第九軍団はブリタニア北部に出撃して、5000名の兵士と紋章の”ワシ”と共に消息を絶つ。
20年後、アクイラの息子マーカスは、父と同じ軍人となり、百人隊長としてブリタニアに赴任する。
マーカスは、汚名を着せられた父の名誉回復を誓うのが、蛮族との戦いで負傷し名誉除隊となる。
叔父アクイラの元で静養していたマーカスは、ブリガンテス族の奴隷エスカの命を助ける。
その後、回復したマーカスは、第六軍団軍団長クローディアスから、ワシが蛮族の神殿に飾られているという噂を聞く。
マーカスは、父の汚名を晴らすべく、エスカを伴い”ハドリアヌスの長城”を越え、この世の果てと言われる北の地に向かい、ワシを取り戻そうとするのだが・・・。
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原作が児童文学だけあり、勇気、民族を越えた友情や冒険などが描かれて入るが、第九軍団や、その象徴である紋章”ワシ”が消息を絶った謎に向かって進行する、サスペンスとして楽しめる作品。
若手や実力派、ベテランが揃った魅力的なキャスティングも含め、史劇としては異色作ではあるがファンには嬉しい内容だ。
舞台となるスコットランド及びハイランド地方の自然を映し出す、美しい映像なども注目。
また、ローマ軍団伝統の戦術や衣装なども見事に再現され、大作ではないが手抜きのない仕上がりになっている。
第九軍団の記録が消えるは、本作の舞台設定、ローマ皇帝”ハドリアヌス”より後年の”マルクス・アウレリウス”の時代と言われるが、”ハドリアヌスの長城”を絡め北部民族との対立、この世の果てで起きる事件が、ドラマにミステリアスな雰囲気を漂わせる。
続編ができそうな、ラストの主人公二人のやり取りが気になる。
父の汚名を晴らすために戦い続ける、誇り高きローマ軍団兵を熱演するチャニング・テイタム、彼を決して裏切らない奴隷を好演するジェイミー・ベル、主人公の叔父役ドナルド・サザーランド、第九軍団の生き残りマーク・ストロング、主人公らを襲う部族長(ネッド・デネヒー)の息子タハール・ラヒム、ローマ軍団守備隊長代理デニス・オヘア、第六軍団の軍団長のデイキン・マシューズ、その部下ピップ・カーター等が共演している。