1950年に発表された、ハードボイルド作家ロス・マクドナルドの”ルー・アーチャー”シリーズの同名小説の映画化で、「動く標的」(1966)と主人公が同じなため続編とも言える作品。 かつて関係のあった富豪夫人のトラブル調査を依頼された私立探偵が油田の利権が絡む陰謀に巻き込まれながら事件を探る姿を描く、監督スチュアート・ローゼンバーグ、主演ポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード、アンソニー・フランシオサ、マーレイ・ハミルトン、メラニー・グリフィス他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
製作
ローレンス・ターマン
デヴィッド・フォスター
原作:ロス・マクドナルド
脚本
トレイシー・キーナン・ウィン
ロレンツォ・センプルJr.
ウォルター・ヒル
撮影:ゴードン・ウィリス
編集:ジョン・C・ハワード
音楽:マイケル・スモール
出演
ポール・ニューマン:ルー・ハーパー
ジョアン・ウッドワード:アイリス・デヴェロー
アンソニー・フランシオサ:ブロサード
マーレイ・ハミルトン:ジェイ・ヒュー・キルボーン
メラニー・グリフィス:スカイラー・デヴェロー
コーラル・ブラウン:オリヴィア・デヴェロー
ゲイル・ストリックランド:メイヴィス・キルボーン
リンダ・ヘインズ:グレッチェン
リチャード・ジャッケル:フランクス
ポール・コスロ:キャンディ
アンディ・ロビンソン:パット・リーヴァス
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1957年製作 108分
公開
北米:1975年6月25日
日本:1976年2月
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ルイジアナ州、ニューオリンズ。
私立探偵ルー・ハーパー(ポール・ニューマン)は、依頼人で6年前に付き合ったアイリス・デヴェロー(ジョアン・ウッドワード)と再会し、翌日に会う約束をする。
モーテルに戻ったハーパーは、突然部屋に現れた少女(メラニー・グリフィス)の誘惑を断り彼女を追い払う。
その後ハーパーは、フランクス刑事(リチャード・ジャッケル)に警察に連行されてしまう。
ハーパーは、未成年者への性的暴行と拳銃の不法所持容疑を言い渡されるが、現れたブロサール署長(アンソニー・フランシオサ)に尋問される。
ブロサードは、町の名士でもある依頼人デヴェローの親子問題には干渉するなと、ハーパーに忠告する。 アイリスの屋敷に向かったハーパーは、夫を脅す元運転手パット・リーヴァス(アンディ・ロビンソン)の脅迫を止めさせるよう彼女に依頼される。 ハーパーはそこで、モーテルに現れた少女が、アイリスの娘スカイラーだということを知る。 リーヴァスのことを調べ始めたハーパーは、屋敷を仕切るアイリスの義母オリヴィア(コーラル・ブラウン)に質問しようとする。 しかしオリヴィアは、ハーパーが彼女が嫌う石油開発業者ジェイ・ヒュー・キルボーン(マーレイ・ハミルトン)の回し者だと思い込み、彼を追い払ってしまう。 屋敷から戻ったハーパーは、見知らぬ男キャンディ(ポール・コスロ)らに車に乗せられ、問題のキルボーンの元に連れて行かれる。 ハーパーは、石油の眠るオリヴィアの土地を狙っていることをキルボーンから知らされる。 キルボーンは、土地の所有権を持つオリヴィアと息子の弱みは握ったが、問題のアイリスを、ハーパーに色仕掛けで説得させようとする。 バーで聞き込みをしていたハーパーの前にフランクスが現れ、彼をブロサールの待つ死体発見現場に連れて行く。 ブロサールは、ハーパーにオリヴィアの他殺体を見せて、彼女に会ったハーパーも容疑者の一人だということを伝える。 ハーパーは、リーヴァスと付き合っていた娼婦グレッチェン(リンダ・ヘインズ)から、彼の居場所を聞き出してその場に向かう。 リーヴァスのアパートで、彼の足取りを掴んだハーパーは、そこで不審な男達に出くわし、謎の女性(ゲイル・ストリックランド)の待つ車に連れて行かれる。 ハーパーは車から突き落とされ、翌日リーヴァスの居場所を突き止めて、彼を警察に連行しようとする。 スカイラーとも付き合い、1万ドルを持っていたリーヴァスが、オリヴィア殺しの犯人だとハーパーは確信する。 リーヴァスは、ハーパーに危険を知らせ手を引かせようとするが、街道でマスクの男達に襲われ、リーヴァスは殺されてしまう。 逃げ延びたハーパーはブロサールと会い、リーヴァスを連行する前に連絡したフランクスから、何も知らされていないことを聞く。 フランクスが怪我で休暇中だと知ったハーパーは、昨夜のマスクの男がフランクスだと察する。 しかし、オリヴィア殺しの犯人をリーヴァスだと決め付けるブロサールは、事件解決として処理してしまう。 ハーパーはグレッチェンのアパートで、リーヴァスの持っていたという”帳簿”の手がかりを探そうとする。 帳簿を隠し持っていたグレッチェンは、それをハーパーに渡し、彼は、油田に絡むキルボーンの政治家への賄賂があったことを知る。 アイリスの夫へのリーヴァスの脅迫状は、スカイラーが書いたことが分かり、ハーパーはそれをアイリスに知らせる。 ハーパーの仕事は終わったが、彼は事件を最後まで見届けようとする。 フランクスを脅したハーパーは、キルボーンから金を受け取りリーヴァスを始末したことを彼に白状させる。 キルボーンのクルーザーに向かったハーパーは、そこで、リーヴァスのアパートから連れ出された時の、謎の女に再会する。 彼女は、キルボーンの妻メイヴィス(ゲイル・ストリックランド)だったのだ。 ハーパーは、オリヴィアをリーヴァスに殺させ、フランクスに彼を始末させたキルボーンを追求するが、彼はそれを否定する。 キルボーンは、リーヴァスをスパイとして屋敷に忍び込ませていたのだった。 しかし、オリヴィアが死に、疑惑がキルボーンにかかると、リーヴァスが1万ドルを要求したため殺害したことを彼は語る。 ハーパーは、キルボーンに帳簿を手に入れたことを伝え、その場を立ち去る。 帳簿をリーヴァスに渡したメイヴィスは、危険を察知して、ハーパーに助けを求める。 アイリスに、リーヴァスが犯人でないことを伝えたハーパーだったが、彼女はそれを聞き入れず彼に町を出るようにと伝える。 キルボーンに捕らえられたハーパーとメイヴィスは、帳簿の在り処を吐かせようと、水治療室に閉じ込められる。 ハーパーは、排水口を塞ぎ水を溢れさせ天窓から脱出しようとするが、窓が開かず窒息しそうになる。 その時、キルボーンとキャンディが現れ、治療室のドアが開けられて、ハーパーとメイヴィスは脱出できる。 キルボーンの銃を奪ったハーパーだったが、見張りを任せたメイヴィスがキルボーンを射殺してしまう。 そしてハーパーは、アイリスが自殺したこととブロサールが彼女と関係していたことを知る。 ハーパーは、スカイラーが母親アイリスに自殺をするよう仕向け、祖母オリヴィアを殺したことを暴く。 さらにハーパーは、スカイラーがブロサールの娘だと知り、屋敷を去る。 リーヴァスの1万ドルをグレッチェンに渡したハーパーは、彼女の誘いを断りロサンゼルスに向かう。
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*(簡略ストー リー)
ルイジアナ州、ニューオリンズ。
私立探偵ルー・ハーパーは、かつて関係のあった富豪夫人アイリス・デヴェローから、夫を脅す元運転手リーヴァスの脅迫を止めさせるようにという依頼を受ける。
ハーパーは、早速、調査を始めるのだが、アイリスの義母オリヴィアが、石油開発業者キルボーンとの、利権が絡むトラブルに巻き込まれていることを知る。
キルボーンは、ハーパーもそれに巻き込もうとするのだが、そんな時、オリヴィアの他殺体が見つかる。
ハーパーは容疑者の一人となってしまうが、彼は、やがて富豪一族の、隠された秘密を知ることになる・・・。
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「暴力脱獄」(1967)のスチュアート・ローゼンバーグとポール・ニューマンのコンビが話題になった作品で、ミステリアスな部分などがやや平凡な感じはするが、結局は、富豪一族の愛憎が起こした事件だったという結末など、面白味のある展開がまずまず楽しめる作品。
3年前にロバータ・フラックが大ヒットさせていた名曲”Killing Me Softly with His ong”のメロディが効果的に使われている。
逞し過ぎず、また砕けた雰囲気のポール・ニューマンの魅力は十分に生かされ、何度となく脅され危機に立たされながらも、それを切り抜ける強さと、人間味溢れるキャラクターを演じ、いい味を出している。
家族の秘密を、主人公に隠しながら自殺する、実生活のP・ニューマン夫人ジョアン・ウッドワード、実は彼女と関係し、娘の罪を隠そうとする警察署長のアンソニー・フランシオサ、油田地帯を奪うことに執着する石油王のマーレイ・ハミルトン、依頼人の娘で異常性欲者という際どい役、まだ10代のメラニー・グリフィス、油田地帯の地主コーラル・ブラウン、石油王の妻ゲイル・ストリックランド、娼婦リンダ・ヘインズ、悪徳警官役のリチャード・ジャッケル、石油王の手下ポール・コスロ、そのスパイアンディ・ロビンソンなどが共演している。