1980年に上演されたロナルド・ハーウッドの舞台劇の映画化。 シェイクスピア劇団の座長と付き人の確執や友情を描く、製作、監督ピーター・イエーツ、アルバート・フィニー、トム・コートネイ、エドワード・フォックス他共演の傑作ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ピーター・イエーツ
製作:ピーター・イエーツ
原作:ロナルド・ハーウッド
脚本:ロナルド・ハーウッド
撮影:ケヴィン・パイク
編集:レイ・ラヴジョイ
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演
アルバート・フィニー:サー
トム・コートネイ:ノーマン
エドワード・フォックス:オクセンビー
ゼナ・ウォーカー:座長夫人”奥様”
アイリーン・アトキンス:マッジ
マイケル・ガフ:フランク・カーリントン
キャサリン・ハリソン:アイリーニ
イギリス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1983年製作 118分
公開
イギリス:1984年3月20日
北米:1983年12月6日
日本:1984年8月
北米興行収入 $5,310,750
■ アカデミー賞 ■
第56回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(アルバート・フィニー/トム・コートネイ)
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1942年、第二次大戦下のイギリス。
ロンドンのある劇場で、シェイクスピア劇団が”オセロ”を上演している。
主役を演じる座長(アルバート・フィニー)は熱演し、その付き人兼ドレッサーのノーマン(トム・コートネイ)が慌しく働いている。
自尊心が高く、何でも思い通りにならないと気がすまない座長”サー”は、劇団を率い次なる巡業先ブラッドフォードに向かう。
ブラッドフォードに到着した劇団だったが、公演先であるグランド劇場が空襲で破壊されてしまい、サーは精神錯乱を起こしてしまい、一座の興行が危ぶまれる。 前売り券は売れてしまい、代わりの劇場を探して”リア王”を上演しなければならないノーマンは焦る。 愕然とするサーの妻”奥様”(ゼナ・ウォーカー)と古株の舞台監督マッジ(アイリーン・アトキンス)は、仕方なく公演中止を決める。 しかし、サーは病院を抜け出し、予定通り公演の準備を始めようとする。 再びわがままを言い始め、錯乱状態となったサーに対し、ノーマンの必死の説得と彼独特の操縦術で、何とかサーを舞台に立たせる気にさせる。 ノーマンは、不安が消えない団員達に、サーの準備が整ったことを伝えて回る。 ところが、サーは”オセロ”のメイクをしてしまい、ノーマンは思わず噴き出してしまう。 一座の堅物オクセンビー(エドワード・フォックス)は、サーに対して冷酷な眼差しをぶつけ、彼もそれを恐れていた。 開演30分前、”リア王”のメイクが完成したサーは、再び自信をなくなしてしまい、もう後には引けないノーマンが、最後の渇を入れる。 しかし、サーの返事は、”227回も演じたが、最初のセリフが思い出せない”だった。 オクセンビーの冷ややかな目線を避け、コーデリア役の妻に励まされながら、サーは”戦いの場”に向かう。 開演5分前、突然、空襲警報が鳴り響き、爆撃音の中、ノーマンが臨時の舞台挨拶を始める。 そして舞台の幕は開き、”リア王”登場のファンファーレが鳴るが、サーはなかなか舞台に出られない。 無理やり舞台に追いやられたサーは、拍手を浴びて、一気に役にのめり込む。 楽屋に戻ったサーは、熱演を見て安心するノーマンを尻目に、マッジに、好意の印の指輪を贈ろうとしたり、女優志望の若いアイリーニ(キャサリン・ハリソン)を誘惑する。 ノーマンは、サーの考えを見通していて、アイリーニの目方を量るために抱きかかえたのだと彼女に言い放つ。 今や容易でない、コーデリア役の妻を抱きかかえ舞台に現れたサーは、迫真の演技で観客を魅了し、舞台は幕を閉じる。 そして、喝采の中、カーテンコールに立ったサーは、締めくくりの舞台挨拶をする。 精根尽き果てたサーは楽屋でメイクを落とし、”わが生涯”と題して書き始めた自伝を、ノーマンに読んでもらいながら息を引き取る。 ノーマンは、その書面に自分への感謝がないのに失望し、居場所がなくなった彼は、息を引き取ったサーを罵倒する。 しかしノーマンは、結局は、自分を残して逝ってしまった友の死を嘆く。
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*(簡略ストー リー)
1942年、第二次大戦下のイギリス。
自尊心が高く、思い通り事が運ばないと気がすまないシェイクスピア劇団座長のサーは、劇団を率い、次なる巡業先ブラッドフォードに向かう。
劇団は現地に到着するものの、公演先の劇場が空襲で破壊されていて、サーは精神錯乱状態に陥る。
サーの付き人兼ドレッサーのノーマンは、前売り券が完売していることを知り焦り、サーの妻と舞台監督マッジは、仕方なく、”リア王”の公演中止を決める。
サーは病院を抜け出し、予定通り公演の準備を始めるものの、再びわがままを言いい錯乱状態となる。
ノーマンは、彼独特の操縦術で、何とかサーを舞台に立たせようとして、団員に準備を始めたことを伝える。
ところが、サーは”オセロ”のメイクをしてしまい、これにはノーマンも思わず噴き出す。
そして、”リア王”のメイクが完成したサーだったが、再び自信をなくなしてしまい、後には引けないノーマンは、彼に、最後の気合を入れるのだが・・・。
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プロのレーシング・ドライバーでもあるピーター・イエーツは、刑事ドラマ「ブリット」(1968)ではサスペンス・アクション、青春映画の傑作である「ヤング・ゼネレーション」(1979)と本作では、アカデミー賞で作品、監督賞にノミネートもされた鬼才だ。
第56回アカデミー賞では作品、監督、主演男優(アルバート・フィニー/トム・コートネイ)、脚色賞にノミネートされた。
第二次大戦下の人々の心や思い、また情景などの描写も素晴らしく、暗い密室が多いシーンの連続でも、全く飽きの来ない見事な演出には驚く。
ジェームズ・ホーナーの、しっとりとした 美しい音楽も印象に残る。
同じアカデミー主演賞にノミネートされた、アルバート・フィニーとトム・コートネイ両名優の、激しい演技のぶつかり合いは、映画史上に残る名演と言っても過言ではないほどだ。
傲慢で自尊心は高いが、微妙に臆病なアルバート・フィニー、その座長を容赦なくたしなめる、憎めない付き人トム・コートネイとの、ユーモラスでもある掛け合いは絶妙だ。
座長が、どうしても苦手とする堅物エドワード・フォックス、”Her Ladyship”(奥様)と呼ばれる座長夫人ゼナ・ウォーカー、長年舞台監督を務め、座長に思いを寄せていたアイリーン・アトキンス、レックス・ハリソンの孫で、女優志願キャサリン・ハリソン、目立たないが”バットマン”シリーズの執事アルフレッド役のマイケル・ガフも、座員の一人として出演している。