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ドリーマーズ The Dreamers (2003)

5月革命前夜のパリを舞台に、映画を愛するアメリカ人留学生と双子の姉弟の奇妙な関係を描く、監督ベルナルド・ベルトルッチ、主演マイケル・ピットエヴァ・グリーンルイ・ガレル他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ベルナルド・ベルトルッチ

製作:ジェレミー・トーマス
原作:ギルバート・アデアThe Holy Innocents
脚本:ギルバート・アデア
撮影:ファビオ・チャンチェッティ
編集:ジャコポ・カドリ

出演
マシュー:マイケル・ピット
イザベル:エヴァ・グリーン
テオ:ルイ・ガレル
ジョルジュ:ロバン・ヌルーチ
母親:アンナ・チャンセラー
本人:ジャン=ピエール・カルフォン
本人:ジャン=ピエール・レオ
本人:ジャン=ポール・ベルモンド(映像)
本人:アンリ・ラングロワ(映像)
本人:フランソワ・トリュフォー(映像)

イギリス/フランス/イタリア 映画
配給
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
TFM Distribution(フランス)
Medusa Distribuzione(イタリア)
2003年製作 115分
公開
イタリア:2003年10月10日
フランス:2003年12月10日
イギリス:2004年2月6日
北米:2004年2月20日
日本:2004年7月31日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $2,531,460
世界 $15,121,170


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1968年2月、パリ
20歳のアメリカ人留学生マシュー(マイケル・ピット)は、フランス語を学ぶのが目的だったが、人生そのものを学んでいた。

文化大臣アンドレ・マルローが”シネマテーク・フランセーズ”の創設者であるアンリ・ラングロワを追放したため、映画を愛する者達は抗議活動を始める。

集会でイザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)の姉弟と出会ったマシューは、二人と意気投合して、映画や政治、音楽のことなどを延々と話し続けた。

翌日、テオからの電話で食事に誘われたマシューは、その前に待ち合わせをして、イザベルとテオと共に二人の自宅に向かう。
...全てを見る(結末あり)

マシューを紹介された母親(アンナ・チャンセラー)だったが、何も言われていなかったために食事の用意はしていなかった。

母親はマシューを歓迎し、彼は作家である父親のジョルジュ(ロバン・ヌルーチ)にも挨拶する。

その後、食事になり、ジョルジュは、自分の話を聞いていない様子のマシューに、イザベルのライターをいじっている理由を尋ねる。

ライターから宇宙の調和に発展する考えを語るマシューに、ジョルジュは興味を持つ。

デモ活動のことでテオと意見が合わないジョルジュは、翌日から旅行に出かけるため、妻と共に寝室に向かう。

母親からマシューを泊めるようにと言われたイザベラは、彼の話に感心し、テオは神の真似事をする父親をバカにする。

イザベルは部屋に向い、マシューもベッドに案内される。

夜中にトイレに起きたマシューは、イザベルとテオが裸で寝ている姿を見てしまい驚く。

翌朝、起こしてくれたイザベルが、”クリスチナ女王”のグレタ・ガルボの真似をしていたため、マシューがそのシーンを当てる。

その後、帰ろうとしたマシューは、両親が1か月は戻ってこないため、ここで暮らすようにとテオから提案されて荷物を運ぶ。

マシューとテオは、バスター・キートンチャールズ・チャップリンの好みで意見が分かれて議論になる。

イザベルは、ジャン=リュック・ゴダールの”はなればなれに”の話を始め、ルーブル美術館内を駆け抜ける9分45秒の記録を自分達も破ることをマシューに提案する。

自分はアメリカ人なので、捕まったら強制送還になると言って心配するマシューは、これはテストだと言うイザベルにそれを強要される。

ルーブル美術館
館内を駆け抜けた三人は警備員を振り切り、記録は17秒早い9分28秒だった。

マシューは仲間として認められ、雨の中、ずぶ濡れになって家に戻る。

三人は服を着替え、ある映画のシーンを真似たイザベルは、作品名を答えられないテオを侮辱する。

降参したテオは、マレーネ・ディートリッヒが主演する”ブロンド・ヴィナス”だと言って、彼に罰ゲームを与える。

ドアに貼ってある、マレーネ・ディートリッヒのポスターを見ながら自慰行為をするようにと言われたテオは、それに従う。

カフェにマシューを誘ったテオは、自分とイザベルが似ていると言われ、一卵性双生児であることを教える。

イザベルとテオの関係が理解できないマシューは、異常事態になって来たと気づきながらも二人との時間を楽しむ。

テオが演じた、ハワード・ホークスの”暗黒街の顔役”のシーンが分からなかったマシューとイザベルは、罰ゲームで愛し合うことになる。

目の前で半裸になったイザベルに驚き、トイレに行くと言ってその場を離れたマシューはテオに追われる。

テオと全裸のイザベルに捕まってしまったマシューは、二人が一緒に寝ているのを見てしまったことを伝える。

下着を脱がされたマシューは、イザベルの写真を隠してあったことを知られてしまう。

一瞬、気を失ってしまったマシューは、床に横たわっているイザベルと愛し合う。

それを見ながら料理を始めたテオは、通りを見下ろしながら、デモ隊を追う警官を目撃する。

イザベルが初体験だったことを知ったマシューは、彼女を抱きしめる。

その後も、マシューはイザベルと何度も愛し合い、姉弟で寝ていることが両親に知られたらどうすると彼女に尋ねる。

ありえないと答えるイザベルは、そうなったら自殺するとマシューに伝える。

その後、自分も姉弟の一部になれたような気がするとテオに伝えたマシューは、自分達は一卵性双生児でもあるし、3人1組にはなれないと言われる。

食料も所持金も尽きてしまったイザベルは、父ジョルジュに電話をするもののつながらない。

仕方なく、テオがゴミ箱から食べられそうなものを探してくる。

運動に参加しなくなったテオは友人に非難されてしまうが、マシューとイザベルとの時間を楽しむ。

キートンチャップリンと同じく、エリック・クラプトンを支持するテオとジミ・ヘンドリックス派のマシューは言い争いになり、反戦の話に発展する。

三人は愛を語り始め、真剣に愛されたいと言うマシューは、その証として陰毛を剃ろうとするイザベルとテオに呆れてしまう。

二人の行動が理解できないマシューは、そろそろ目を覚ますようにと言って、このままでは一生、大人になれないと伝える。

テオ以外の男性とは付き合ったことがないとイザベルから言われたマシューは、彼女と二人だけでデートをする。

カフェや映画館で恋人気分を味わったマシューとイザベルは、世の中で起きている運動を思い出し、激しさを増していることに気づく。

帰宅したイザベルはテオが女性といることに気づき、マシューは彼女の部屋に行きたいと言う。

それを拒んだイザベルだったが、マシューは部屋に入れてもらう。

しかし、テオのことが気になるイザベルが取り乱したため、マシューは自分の部屋に向かう。

その後、”毛沢東思想”について語り、毛沢東が映画監督と同じだと思わないかとテオから言われたマシューは、社会が変化しているこの国の活動に身を投じるべきだと語る。

マシューとテオは、イザベルが居間に作った寝床を見せられ、三人はその場で眠る。

夜中に目覚めたイザベルは、自分達の愛が永遠に続くかが不安になり、テオに話しかけてそれを確かめる。

翌朝、家に戻ったジョルジュと妻は、部屋は荒れ果て、イザベルとテオ、そしてマシューが全裸で眠っている姿を見て驚く。

小切手を切ったジョルジュは、それを置いて妻と共にその場を去る。

目覚めて小切手を見つけたイザベルは、両親が戻ったことに気づくが二人はいなかった。

ホースをガス栓につなげたイザベルは、それを居間まで引っ張り横になる。

窓から石が投げ入れられ、通りの大規模なデモに気づいた三人は、それに参加する。

火炎瓶を手にしたテオを制止し、暴力は間違っていると言って愛を伝えたマシューだったが、聞き入れてもらえない。

テオはイザベルを連れて警官隊に向かって走り出し、愕然とするマシューはその場を去る。

火炎瓶に火を点けたテオは、警官隊に向かってそれを投げる。

警官隊は、デモ隊に向かって突進する。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
1968年、パリ

20歳のアメリカ人留学生マシューは、”シネマテーク・フランセーズ”の創設者であるアンリ・ラングロワが追放されたことへの抗議集会で、イザベルとテオの姉弟と知り合う。
映画好きの三人は意気投合し、時を忘れて語り合う。
イザベルとテオの自宅に招待されたマシューは、両親が休暇旅行で不在になるため滞在することになる。
マシューは、ベッドを共にするイザベルとテオの異常な関係などを気にしながらも、二人との時間を楽しむのだが・・・。
__________

1988年に発表された、ギルバート・アデアの小説”The Holy Innocents”を基に製作された作品。

5月革命前夜の揺れ動くパリを舞台に、その社会情勢の中で奔放に生きる若間達の自由気ままな日々を描く作品。

抗議活動に参加しながら三角関係にも夢中になり、運動は疎かになるものの、”革命勃発”と共に再びそれに身を投じる、若者の揺れ動く心を捉えた、独特の映像美で人の心に訴える、ベルナルド・ベルトルッチの感性が光る一作。

姉弟の近臣相関的な愛や、二人に関係するアメリカ人留学生との三角関係や性描写も大胆だが、ベルナルド・ベルトルッチらしい、いやらしさを感じさせない”美”を追及した描写、映像に注目したい。

映画を愛する三人の若者が主人公であるため、ヌーヴェル・ヴァーグハリウッド作品へのオマージュ的な内容でもあり、ファンには興味深い作品に仕上がっている。

”異常”な関係の姉弟に翻弄される、ナイーヴなアメリカ人留学生を好演するマイケル・ピット、本作がデビュー作とは思えない、大胆な演技は驚きのエヴァ・グリーン、異様な雰囲気を感じるその弟ルイ・ガレル、二人の両親ロバン・ヌルーチアンナ・チャンセラー、本人や映像などで、ジャン=ピエール・カルフォンジャン=ピエール・レオジャン=ポール・ベルモンドアンリ・ラングロワフランソワ・トリュフォーなどが登場する。


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