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嗤う分身 The Double (2013)

1846年に発表された、フョードル・ドストエフスキーの小説”分身”を基に製作された作品。
内気で冴えない青年が自分と同じ容姿の男性の出現により混乱していく様を描く、製作総指揮マイケル・ケイン、監督、脚本リチャード・アイオアディ、主演ジェシー・アイゼンバーグミア・ワシコウスカウォーレス・ショーンノア・テイラージェームズ・フォックス他共演のブラック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

ミア・ワシコウスカ / Mia Wasikowska / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:リチャード・アイオアディ
製作
ロビン・C・フォックス
アミナ・ダスマル
製作総指揮
グレイアム・コックス
マイケル・ケイン
ナイジェル・ウィリアムズ
テッサ・ロス
脚本
リチャード・アイオアディ
アヴィ・コリン
原作:フョードル・ドストエフスキー分身
原案:アヴィ・コリン
撮影:エリック・ウィルソン
編集
ニック・フェントン
クリス・ディケンズ
音楽:アンドリュー・ヒューイット

出演
サイモン・ジェームズ/ジェームズ・サイモン:ジェシー・アイゼンバーグ
ハナ:ミア・ワシコウスカ
パパドプロス:ウォーレス・ショーン
ハリス:ノア・テイラー
メラニー・パパドプロス:ヤスミン・ペイジ
大佐:ジェームズ・フォックス
キキ:キャシー・モリアーティ
ジェームズ夫人:フィリス・サマーヴィル
警備員/医師:コブナ・ホルドブルック=スミス
ルドルフ:トニー・ロア
リズ:スーザン・ブロンマート
刑事:ジョン・コークス
刑事:クレイグ・ロバーツ
ケアワーカー:ティム・キー
調査員:ロイド・ウルフ
調査員:リディア・フォックス
受付:サリー・ホーキンス
警備員:ソウル・ウィリアムズ
用務員:J・マスシス
労務調査員:クリストファー・モリス
看護師:クリス・オダウド
ジェームズの相手:カーストン・ウェアリング
ジャック:パディ・コンシダイン
裁判官:ジェンマ・チャン
老人:ラデ・シェルベッジア

イギリス 映画
配給 スタジオカナル
2013年製作 93分
公開
イギリス:2014年4月4日
北米:2014年5月9日
日本:2014年11月8日
北米興行収入 $200,406


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
冴えない青年サイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、要領が悪く会社でも存在感が薄かった。

経営者である”大佐”(ジェームズ・フォックス)の会社で働くサイモンは、自分をまったく信用していない上司のパパドプロス(ウォーレス・ショーン)から、見習いである娘メラニー(ヤスミン・ペイジ)の教育係を任される。

そんなサイモンは、コピー係のハナ(ミア・ワシコウスカ)に惹かれていたが、声をかけることもできなかった。

母(フィリス・サマーヴィル)を施設に預けているサイモンは、ケアワーカー(ティム・キー)から、今月の入金が足りないと言われる。
...全てを見る(結末あり)

帰宅したサイモンは、隣の建物に住むハナの部屋を望遠鏡で覗き、彼女が破ってダストシュートに捨てた絵を拾いに行く。

部屋に戻り、それをつなぎ合わせてみたサイモンは、隣の建物を覗き、こちらを見ている男に手を振られる。

それに応えたサイモンだったが、男は飛び降り自殺をしてしまう。

通報したサイモンは、二人の刑事(ジョン・コークス/クレイグ・ロバーツ)から質問される。

二人が帰った後、ハナと話したサイモンは、明日の”大佐の会”に出席するか尋ねる。

強制参加だと言われたサイモンは、彼女とダイナーに向かい、彼女からピアスをしたことなどを知らされる。

実は自殺した男に付きまとわれていたと言うハナは、昨夜、彼に迷惑だと伝えたことをサイモンに話す。

ウエイトレスのキキ(キャシー・モリアーティ)から電話だと言われたサイモンは、それが母からだと分かる。

母と話したサイモンは、女の子といると伝えて電話を切るが、席に戻るとハナの姿はなく、彼女のメモが残されていた。

”大佐の会で・・・”という内容には、彼女が好きな曲”SUKIYAKI/上を向いて歩こう”をかけてほしいと書かれていた。

質屋にテレビを持って行ったサイモンは、ハナに贈るピアスを手に入れる。

大佐の会の会場に向かったサイモンは、受付(サリー・ホーキンス)からIDが無効だと言われ、勤続7年で強制参加だと伝える。

会場に入るものの、警備員(コブナ・ホルドブルック=スミス)に追い出されたサイモンはアパートに戻り、不審者を目撃するものの錯覚のようだった。

翌日、会社のエレベーターでハナと出くわしたサイモンは、贈り物を買ったけど渡すのは不適切だと言ってしまい、彼女はその場を去る。

同僚のハリス(ノア・テイラー)と共にメアリーに指導をしていたサイモンは、パパドプロスが新人を紹介していることに気づく。

新人のジェームズ・サイモンが、自分にソックリだったために驚き気を失ったサイモンは、意識が戻るものの、パパドプロスからドラッグの服用を疑われる。

ハリスにジェームズが自分に似ていないか尋ねても反応しないため、サイモンは彼にそれを認めさせる。

ハリスは、それに気づかなかったのは影が薄くて存在感がないからだと言われる。

翌日、出社しようとしたサイモンは、自分と同じ行動をするジェームズとダイナーに向かう。

キキに注文を伝えたサイモンは、ジェームズが自分と同じ容姿でも、まったく違う態度や考えであることに気づく。

サイモンとは違い社交的なジェームズは、帰りの地下鉄の中で恋のことなどを彼に尋ねる。

想っている人はいるが、自分は何もできない人形のような存在だと言うサイモンは、眠ってしまったジェームズをアパートの部屋に運びベッドに寝かせる。

ハナの部屋を覗いたサイモンは、その後、眠っているジェームズを見つめるが、彼は姿を消す。

翌日、自分の代わりに適性検査を受けるようジェームズから指示されたサイモンは、仕方なくそれに従う。

その間ジェームズは、メラニーの相手をする。

パパドプロスから、検査の結果はバツグンだったと言われたジェームズに扮していたサイモンは、”自分”を無能呼ばわりするパパドプロスに対し、”サイモンを”を庇ったために更に褒められる。

その後も自分に扮するようサイモンに指示したジェームズは、意気投合したメラニーと楽しむ。

ハナがジェームズに惹かれていることを知ったサイモンは、彼から、代役でデートするようにと言われる。

デートを監視されるサイモンは、トイレにいたジェームズに呼ばれる。

上着を変えたジェームズはハナの元に向かい、気分を害していた彼女と話してキスする。

その様子を見ていたサイモンはショックを受ける。

会社でハナに会ったサイモンは、ジェームズのことについて彼女と話す。

そこに現れたメラニーは、いろいろ教わっているとハナに伝えてサイモンに寄り添う。

大佐への提案のレポートをジェームズに横取りされたサイモンは、それを彼の成果だと評価するパパドプロスから、二人で組めばまともな仕事ができると言われる。

母の様子を見に行ったサイモンは、同室のリズ(スーザン・ブロンマート)が刃物を持っていたために驚く。

ケアワーカーにその件を話したサイモンだったが、彼から所持している拳銃を見せられただけだった。

ジェームスの部屋を覗き、メラニーを連れ込んでいることを知ったサイモンは、ハナに電話をして、ジェームズのフリをして彼女を呼び出す。

その様子を覗いていたサイモンは、ジェームズに追い払われたハナが部屋に戻り涙している姿を見て後悔する。

ジェームズと話したサイモンは、ハナには会わないことと、メラニーを弄ぶのをやめるようにと言って、仕事をさたのも自分だと上司に話すよう指示する。

メラニーと写っている写真をパパドプロスに見せると言われ、ジェームズに脅されたサイモンは、彼から部長になったIDを見せられて部屋の鍵を要求される。

仕方なくそれに従ったサイモンは、ハナから、ジェームズが誰と会っているか教えてほしいと言われる。

その要求に応えないサイモンはハナに見限られ、再びジェームズに脅される。

調査員(クリストファー・モリス)に呼ばれ、自分がまったく存在しない人間だと言われたサイモンはショックを受ける。

ジェームズから、サイモンが悩んでいると言われていたハリスは、麻薬の本をサイモンに渡し、レポートは明日までに提出するようにと伝える。

皆の注目の的であるジェームズはニセモノだと言うサイモンは、パパドプロスから、メラニーをそそのかしたことで非難され、その場にいた者達に責められる。

取り乱して興奮するサイモンは、大佐なら分かってくれると言うものの相手にされず、警備員に会社から追い払われる。

帰宅して、メモ用紙に遺言を書いたサイモンは自殺しようとする。

ハナの部屋を覗いたサイモンは、彼女が自殺していることに気づく。

無事だったハナを病院に運んだサイモンは、看護師(クリス・オダウド)に状況を話し、医師(コブナ・ホルドブルック=スミス)から彼女が流産したことを知らされる。

回復したハナと共にアパートに戻ったサイモンだったが、死にたかったので、助けてくれたことに感謝はしないと言われる。

止めないので、あなたが自殺してほしいと言われたサイモンはショックを受け、自分の部屋に向かう。

サイモンのジャケットを着ていたハナは、自分への贈り物のピアスと、捨てたはずの絵を回収して張り合わせてある手帳を確認して動揺する。

留守電のメッセージを聴いたサイモンは、母が亡くなり、その夜、葬儀が行われることを知り墓地に向かう。

その場にいたジェームズの連れの女性(カーストン・ウェアリング)は、同じ顔のサイモンが現れたので混乱する。

憤慨するサイモンはジェームズを殴るものの、自分も鼻から出血する。

神父にスコップで殴られたサイモンは、気を失う。

意識が戻ったサイモンはハナに会い、自分が誰かが分かると言う彼女に別れを告げてその場を去る。

ジェームズが自分の分身であることに気づいたサイモンは、眠っている彼をベッドに手錠でつなぐ。

ハナからの電話に出た後でサイモンは、ジェームズと共に消え去るために建物から飛び降りる。

それに気づいたハナは、地面に倒れているサイモンに駆け寄る。

ベッドから落ちたジェームズは、出血して動かない。

救急車で運ばれるサイモンはハナに付き添われ、その場にいた大佐から、君のような人物は少ないと言われる。

サイモンは、特殊な存在でありたいとつぶやく。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
冴えない青年サイモン・ジェームズは要領が悪く、”大佐”が経営する会社で働いていたが存在感も薄かった。
そんなサイモンは、コピー係のハナにに惹かれていたものの、まともに話もできなかった。
ある日、自分とまったく同じ容姿の新人ジェームズ・サイモンに驚くサイモンは、性格が違う彼が皆の注目を集める存在となったために動揺する。
ジェームズから代役をするよう指示され、いいように利用されたサイモンは、それに従うしかなく彼に翻弄されてしまう・・・。
__________

ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの小説”分身”を基に製作された作品。

コメディアンであるリチャード・アイオアディが脚本を兼ねた作品で、マイケル・ケインが製作総指揮を担当している。

リチャード・アイオアディの監督デビュー作である高い評価を受けた「サブマリン」(2010)のメインキャストが、様々な役柄で出演していることも注目したい。

自分と同じ容姿の男性の出現で混乱していく青年の複雑な心情をシニカルに描く、リチャード・アイオアディの独特の世界観が楽しめる。

米英他、豪華キャスト競演による作品ではあるが、北米では拡大公開されることなく、商業的には成功しなかった作品。

主演のジェシー・アイゼンバーグは、気弱で冴えない存在感の薄い青年と、性格がまったく違うその分身を熱演し、彼が惹かれる女性を謎めいた雰囲気で演ずるミア・ワシコウスカの公演も光る。

主人公の上司ウォーレス・ショーン、その娘で見習いとして主人公の指導を受けるヤスミン・ペイジ、主人公の同僚ノア・テイラー、主人公の会社の経営者”大佐”役ジェームズ・フォックス、ダイナーのウエイトレス、キャシー・モリアーティ、主人公の母親フィリス・サマーヴィル、施設での彼女の同室の老女スーザン・ブロンマート、警備員と医師二役のコブナ・ホルドブルック=スミス、社員のトニー・ロア、刑事のジョン・コークスクレイグ・ロバーツ、主人公の母親のケアワーカー、ティム・キー、調査員のロイド・ウルフリディア・フォックス、”大佐の会”の受付サリー・ホーキンス、警備員のソウル・ウィリアムズ、アパートの用務員J・マスシス、社内労務調査員のクリストファー・モリス、看護師のクリス・オダウド、主人公の母の葬儀の際のジェームズの相手カーストン・ウェアリング、テレビ番組出演者パディ・コンシダイン、同じくジェンマ・チャン、路上の老人ラデ・シェルベッジアなどが共演している。


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