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砂漠の鼠 The Desert Rats (1953)

第二次大戦初期の北アフリカ戦線での”トブルク包囲戦”を描く、監督ロバート・ワイズ、主演リチャード・バートンジェームズ・メイソンロバート・ニュートン他共演の戦争ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・ワイズ

製作:ロバート・L・ジャックス
脚本:リチャード・マーフィ

撮影:ルシエン・バラード
編集:バーバラ・マクレーン
音楽:リー・ハーライン

出演
”タミー”マクロバーツ:リチャード・バートン

エルヴィン・ヨハネス・オイゲン・ロンメルジェームズ・メイソン
トム・バートレット:ロバート・ニュートン
将軍:ロバート・ダグラス
”ブルー”スミス:チップス・ラファティ
バーニー・ホワイト大佐:トリン・サッチャー
ハリー・カーステアーズ:チャールズ・ティングウェル

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX

1953年製作 88分
公開
北米:1953年5月20日
日本:1953年11月


アカデミー賞 ■
第26回アカデミー賞

・ノミネート
オリジナル脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1941年4月中旬、北アフリカリビア
ドイツア・フリカ軍団を率いるエルヴィン・ロンメル大将(ジェームズ・メイソン)は、敗走する連合軍トブルクまで追い詰める。

ロンメルは、鍵がスエズ運河だということを部下に伝え、トブルクを包囲する。

トブルク
オーストラリア陸軍第9オーストラリア師団”本部。
バーニー・ホワイト大佐(トリン・サッチャー)は、連合軍司令官の将軍(ロバート・ダグラス)から、トブルクを2ヶ月間死守するよう命令を受ける。

そして将軍は、ドイツ軍を自軍深くまで誘き寄せる作戦を立案する。

その師団の中隊に、イギリス軍の”タミー”マクロバーツ大尉(リチャード・バートン)が配属されてくる。

統制の整っていない部隊を見て不満気なマクロバーツは、その中に泥酔した兵士がいるのを見つける。
...全てを見る(結末あり)

その兵士トム・バートレット(ロバート・ニュートン)は、なんとマクロバーツの恩師だったのだ。

バートレットを乗せて車で移動したマクロバーツは、イギリスからオーストラリアに移り、酔った勢いで志願してしまったというバートレットの話を聞き、彼を前線へと送り届ける。

その後、マクロバーツは中隊を厳しく鍛え上げるが、部下達は、イギリス人に命令される不満を抑えきれない。

やがて、砂嵐の中、ロンメルの機甲師団は移動を開始し、連合軍の思惑通りに進路を変え進軍を続ける。

そして、ドイツ軍の戦車が射程距離内に入り、十分に引き付けた後に砲撃を開始する。

予定通りの戦いを見せる中隊だったが、負傷者を助けようとしたハリー・カーステアーズ中尉(チャールズ・ティングウェル)が持ち場を離れてしまう。

そのため、防御に穴が空いてしまい、それを知ったマクロバーツの活躍で、何とか敵を退却させる。

マクロバーツは、カーステアーズを軍法会議にかけようとするが部下達は反発する。

バートレットも、カーステアーズは勇気ある行動を執ったと意見する。

しかし、マクロバーツは命令に従う重要性を強調し、今はカーステアーズを救うことも大切だと言うバートレットの助言も無視しようとする。

結局、恩師バートレットの忠告を聞き入れマクロバーツはカーステアーズの告発を取り下げ、将軍は彼に中隊を任せる決断をする。

マクロバーツは大隊を指揮することになり、臨時ではあるが中佐に昇進する。

将軍は、防衛戦を続けているだけではロンメルに敗れる可能性が出てきたため、奇襲作戦を仕掛けようとする。

それを任されたマクロバーツは、未熟な部隊故に被害が大きくなることを不安に思う。

中隊長を招集したマクロバーツは、危険な任務になることを伝え、カーステアーズに告発の取り消しを感謝される。

そして、2ヶ月の間、小部隊が敵陣に侵入し攻撃を仕掛け情報を集めることを繰り返し、大隊は精鋭部隊に変貌していた。

マクロバーツは、危険を伴う弾薬庫を破壊する案を出し、それを自ら指揮しようとする。

バートレットもその作戦に参加を申し出るが、ほとんどが帰還できない可能性がある中で、マクロバーツは彼を気遣い事務職が適任であることを告げ出発する。

1941年7月9日。
イタリア軍のトラックを奪ったマクロバーツらのコマンド部隊は、敵陣に入り弾薬庫を目指す。

奇襲をかけたマクロバーツらは、犠牲者を出しながらも弾薬庫の爆破に成功する。

しかし、爆破のため部下を退避させたマクロバーツとカーステアーズが取り残されてしまう。

カーステアーズは死亡し、マクロバーツら数人は捕虜として捕らえられてしまう。

負傷したマクロバーツは、治療を受けている最中、傷の手当てに現れたロンメルと対面する。

マクロバーツは、敵の司令官を前に臆することなく会話をするが、ロンメルトブルクごときは”鼠の穴”程度の町で、簡単に落とせると豪語する。

しかし、マクロバーツはトブルクは落とせないと反論し、一歩も後に引こうとしない。

ロンメルは、そんなマクロバーツが気に入り、戦後、紳士として再会したいことを告げ、正当な扱いを約束される。

移送させられたマクロバーツは、途中トラックが戦闘機に攻撃され横転し大破してしまう。

その隙にマクロバーツは、部下のスミス(チップス・ラファティ)と共に逃亡しトブルクに向かう。

そして、マクロバーツとスミスは、自軍の前線までたどり着く。

ロンメルトブルクへの攻撃を繰り返し、防衛は4ヶ月もの間続いた。

その後も2ヶ月間防衛を続けた連合軍は、エジプトで態勢を立て直した援軍が期待できるようになる。

エド・ドゥーダの丘を死守する任務に就いた大隊は、厳しい気候の中、3日の予定が9日目となる。

兵力は減少し中隊並みになり、援軍が来る気配もなく絶望する者も現れる。

将軍との連絡でも、依然として援軍の派遣は得られず、敵砲兵隊の接近を知りマクロバーツは撤退を決める。

バートレットは、現場の指揮官マクロバーツになら兵士は従うと言って攻撃することを進言する。

部下達を見殺しにできないマクロバーツは、それを退け撤退命令を出す。

しかし、命令は聞いたものの、部下達が誰一人撤退する意思のないことをマクロバーツは知る。

その時、自ら前哨点に向かったバートレットが、敵の攻撃を知らせるサイレンを鳴らす。

そして、マクロバーツは着剣の指示を出し、”砂漠の鼠”達に突撃命令を出す。

敵陣に向かおうとしたマクロバーツらだったが、彼方からバグパイプの演奏と共に、クルード・オーキンレック将軍指揮下の援軍が現れる。
__________

242日に及ぶ”トブルク包囲戦”は終わり、劣勢の苦戦を強いられた部隊は、忍耐と勇気で、戦闘の歴史に名を残した。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
快進撃を続けるエルヴィン・ロンメル将軍率いるドイツ・アフリカ軍団は、連合軍リビアトブルクまで追い詰めていた。
指揮官は、トブルクを死守して敵を誘き寄せる作戦を考える。
連合軍は、オーストラリア陸軍の一中隊をイギリス陸軍の大尉”タミー”マクロバーツに任せて態勢を整えようとするが、部隊の士気は低下していた。
マクロバーツは、部下から憎まれながらも中隊を鍛え上げるが、兵士達の彼への不満は増していく一方だった。
そんな中マクロバーツは、恩師であるバートレットの助言などで次第に部下達の信頼を得ていく。
弾薬庫爆破を成功させて自ら捕虜となり宿敵ロンメルとも対面したマクロバーツは、逃亡して帰還した後に、最大の消耗戦を任される。
そして、ひたすら援軍を待つマクロバーツは、疲弊しきった部隊を撤退させようとするのだが・・・。
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1951年に公開の、第二次大戦を舞台にした戦争ドラマの秀作「砂漠の鬼将軍」の続編ではない。

その主人公エルヴィン・ロンメルを演じたジェームズ・メイソンが再び同じ役を演ずるが、スタッフ、 キャスト共に関連はなく、姉妹編という位置づけの作品。
オーストラリア陸軍を主人公にした作品でもある。
*両作共に、勇ましいオープニングの音楽は同じ。

前作が、戦争映画というよりもロンメルの悲運を描いたサスペンス・タッチの人間ドラマであるのに対し、本作は、実戦場面の多い迫力映像が存分に楽しめる娯楽性の高い作品に仕上がっている。

第26回アカデミー賞では、オリジナル脚本賞にノミネートされた。

部隊としての統制は取れていないがプライドだけは高いオーストラリア軍と、軍務にこだわる情け無用のイギリス陸軍指揮官との対立が、嫌味のない男の友情に変わっていくところなどが興味深い。

優秀ではあるが頑迷な指揮官が、恩師である兵士に方向修正され、人間性を芽生えさせられ成長していく過程などを、まだ30代のロバート・ワイズは確かな演出で見る者に訴える見事な作品に仕上げている。

主演のリチャード・バートンは、上記のように人間的には成長過程の士官を演ずるものの、既に舞台などで10年近いキャリアがあるだけに、撮影当時27歳とは思えない、貫禄を感じる演技を見せてくれる。

前作のやや温厚なロンメル役から、歴戦の勇士として輝ける武勲を挙げている時代ということもあり、”猛将”というイメージで登場するジェームズ・メイソンも、要所要所で存在感を発揮している。

アル中の元教師ではあるが、確かな洞察力で教え子を人として育て上げるロバート・ニュートン連合軍の司令官ロバート・ダグラス、その参謀トリン・サッチャー、中隊の下士官役チップス・ラファティ、中尉チャールズ・ティングウェルなどが共演している。


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