ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリン死去後の権力闘争を描く、監督、脚本アーマンド・イアヌッチ、主演スティーヴ・ブシェミ、サイモン・ラッセル・ビール、パディ・コンシダイン、ルパート・フレンド、ジェイソン・アイザックス、マイケル・ペイリン、アンドレア・ライズボロー、ジェフリー・タンバー、オルガ・キュリレンコ他共演のブラック・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アーマンド・イアヌッチ
製作
ヤン・ゼヌー
ローラン・ゼトゥンヌ
ニコラ・デュヴァル・アダソフスキ
ケヴィン・ローダー
製作総指揮
ジャン=クリストフ・コールソン
原作
”La Mort de Staline”
ファビアン・ニュリ
ティエリー・ロバン
脚本
ファビアン・ニュリ
アーマンド・イアヌッチ
デヴィッド・シュナイダー
イアン・マーティン
撮影:ザック・ニコルソン
編集:ピーター・ランバート
音楽:クリストファー・ウィリス
出演
ニキータ・フルシチョフ:スティーヴ・ブシェミ
ラヴレンチー・ベリヤ:サイモン・ラッセル・ビール
ユーリ・アンドレーエフ:パディ・コンシダイン
ワシーリー・スターリン:ルパート・フレンド
ゲオルギー・ジューコフ:ジェイソン・アイザックス
ヴャチェスラフ・モロトフ:マイケル・ペイリン
スヴェトラーナ・アリルーエワ:アンドレア・ライズボロー
ゲオルギー・マレンコフ:ジェフリー・タンバー
ヨシフ・スターリン:エイドリアン・マクラフリン
マリヤ・ユーディナ:オルガ・キュリレンコ
アナスタス・ミコヤン:ポール・ホワイトハウス
ニコライ・ブルガーニン:ポール・チャヒディ
ラーザリ・カガノーヴィチ:ダーモット・クロウリー
クリメント・ヴォロシーロフ将軍:ジェームズ・バリスケール
ジューコフの参謀:リーロイ・マレー
イワン・コーネフ:ダニエル・フェーン
キリル・モスカレンコ:ルーク・ディシルバ
レオニード・ブレジネフ:ジェラルド・レプコウスキー
周恩来:デイブ・ウォン
アナトリー・タラソフ:リチャード・ブレイク
ポリーナ・モロトワ:ダイアナ・クイック
スパルタク・ソコロフ:ジャスティン・エドワーズ
セルゲイ:トム・ブルック
ボリス・ブレスナヴィッチ:ニコラス・ウッドソン
ルコムスキー医師:カール・ジョンソン
リディヤ・ティマシュク:カーラ・ホーガン
メツニコフ:ジョナサン・アリス
音楽家:ロジャー・アシュトン=グリフィス
ニーナ・フルシチェワ:シルヴェストラ・ル・トゥーゼル
デロフ:ポール・レディ
イギリス/フランス /ベルギー 映画
配給
Entertainment One(イギリス)
IFC Films(北米)
2017年製作 107分
公開
イギリス:2017年10月20日
北米:2018年3月9日
日本:2018年8月3日
製作費 $13,000,000
北米興行収入 $8,047,860
世界 $24,646,060
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1953年、ソ連、モスクワ。
”NKDV/内務人民委員部”は、ヨシフ・スターリン(ルパート・フレンド)政権下で、”敵”と見なした者をリストにして粛清していた。
*実際にはNKDVは1946年に解散している。
ラジオ・モスクワ(モスクワ放送)。
ピアニストのマリヤ・ユーディナ(オルガ・キュリレンコ)の演奏会の放送中、ディレクターのユーリ・アンドレーエフ(パディ・コンシダイン)は、17分後にスターリンに電話をすることを指示される。
NKDVの内務人民委員ラヴレンチー・ベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)は、スターリンから受け取った粛清リストを部下に渡し、一斉検挙が開始される。
時間になったためにスターリンに電話したアンドレーエフは、行われている演奏の録音を届けるようにという指示を受ける。
録音していないことを知ったアンドレーエフは焦り、観客を戻してもう一度、演奏しようとする。
その頃、スターリンはダーチャ(別荘)で、党政治局員のニキータ・フルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)、ベリヤ、外務大臣のヴャチェスラフ・モロトフ(マイケル・ペイリン)、閣僚会議副議長のゲオルギー・マレンコフ(ジェフリー・タンバー)らと共に食事をして西部劇を楽しむ。 スターリンに家族を殺されたマリヤは演奏を拒むものの、アンドレーエフは、報酬を払うことで何とか彼女を説得する。 ところが、指揮者のスパルタク・ソコロフ(ジャスティン・エドワーズ)が倒れて意識を失い、アンドレーエフは代わりを探す。 指揮者のボリス・ブレスナヴィッチ(ニコラス・ウッドソン)は、人が来たために連行されることを覚悟するものの、ラジオ・モスクワからの迎えだった。 観客と指揮者が用意できたアンドレーエフは、演奏を始めさせて録音する。 アンドレーエフは、録音されたレコードをNKDVに渡し、マリヤは、スターリン宛のメッセージをそれに添える。 レコードを受け取ったスターリンは録音を聴きながら、落ちたメモを拾って読む。 ”国家を裏切り国民を破滅させた 死を祈り神の赦しを願う暴君よ”という内容を読んだスターリンは、発作を起こして倒れる。 翌朝、スターリンが重体だと知ったベリヤは、彼のダーチャに急行する。 妻ニーナ・フルシチェワ(シルヴェストラ・ル・トゥーゼル)と話をしていたフルシチョフは、マレンコフが急いで走り去る姿を目撃する。 電話を受けたフルシチョフは、スターリンが倒れ、既にベリヤが向かったことを知り、慌てて出かける。 最初に着いたベリヤは、発見した使用人から医師を呼ぶべきだと言われるものの、党の決まりに従うと伝え下がらせる。 落ちていたメモを拾い、金庫のリストを取り出したベリヤは、それを外で待つ部下に渡す。 そこに現れたマレンコフは、スターリンの姿を見て動揺し、ベリヤと医者を呼ぶ話になる。 現れたフルシチョフは哀れな指導者の姿を見て悲しみ、マレンコフから、医師を呼ぶには一定の賛成がいると言われて戸惑う。 そこに労働大臣のラーザリ・カガノーヴィチ(ダーモット・クロウリー)、貿易大臣のアナスタス・ミコヤン(ポール・ホワイトハウス)、国防大臣のニコライ・ブルガーニン(ポール・チャヒディ)が現れ、その場は混乱する。 フルシチョフらはスターリンをベッドに運び、粛清で優秀な医師がいない中、医師団事件で告発したリディヤ・ティマシュク(カーラ・ホーガン)が医師の居場所を知っていると考え、誰かを探そうとする。 犬の散歩中のルコムスキー医師(カール・ジョンソン)は、リディアの通報で連行され、他の医師と共にダーチャに向かう。 今後の情勢を考えながらベリヤらを牽制するフルシチョフは、スターリンの娘スヴェトラーナ・アリルーエワ(アンドレア・ライズボロー)が到着したことを知り、彼女に駆け寄る。 ホッケーチームの指導をしていたスターリンの息子ワシーリー(ルパート・フレンド)は、迎えの者と共にその場を去る。 医師団の診察が終り、ルコムスキーらは、スターリンが脳出血で半身不随だと診断する。 スターリンの回復が難しいことを確認したベリヤは、モスクワの封鎖を指示し、市内の警備については軍とNKDVを交代させて、リストからモロトフを外す。 スヴェトラーナと話していたフルシチョフは、スターリンの意識が戻ったことを知り驚くが、既に政権交代の準備をしていたベリヤは悔しがる。 その直後にスターリンは亡くなり、脳の手術が始まり、そこにワシーリーが到着して騒ぎになるものの、取り押さえられる。 スターリンの遺体は運ばれフルシチョフらはそれを追い、ルコムスキーら医師と使用人などは連行または殺害され、屋敷内の物は撤去される。 ベリヤは、逮捕監禁されたいたモロトフの妻ポリーナ・モロトワ(ダイアナ・クイック)に、スターリンが死んだことを知らせて解放する。 モロトフと話したフルシチョフは、スターリンとベリヤが政敵と考えてリストに入れたことを伝え、彼を自分たちの仲間に引き入れようとする。 ベリヤがポリーナを殺させたと言う話になった二人だったが、そこにベリヤが現れ、彼女の悪口を言い始める。 ところが、ポリーナが解放されたことを知ったモロトフは喜び、ベリヤは、彼女を自分が守ったと二人に伝える。 その後ベリヤは、スターリンのダーチャから連れて来た使用人の少女の元に向か、翌朝、彼女は迎えに来た両親と共に家に戻る。 書記長となるマレンコフは、ベリヤを側近として職務を行うことになり、スターリンと少女の写真に習い、同じようなイメージを国民に示すためにその少女を捜させる。 ベリヤは、腰の悪いマレンコフが女もののコルセットしていることに気づきながら、会議に向かう。 会議でマレンコフとベリヤの職務は決まり、フルシチョフは葬儀委員長となり、ベリヤは政治犯の釈放やリストの凍結などを提案し、反対意見が出るものの承認される。 フルシチョフが仕切る葬儀の準備状況を確認したマレンコフは、代わりの少女が連れて来られたために納得できず、引き続き本人を捜させる。 葬儀で演奏するマリヤは、姪にピアノを習わせたことがあるフルシチョフに迎えられ、ベリヤを紹介される。 そこに陸軍最高司令官ゲオルギー・ジューコフ元帥(ジェイソン・アイザックス)が現れ、軍ではなくNKDVが市内を警備をしていることを気にする。 マリヤと話したベリヤは、スターリンに書いたメッセージを持っていることを伝える。 ジューコフは、警備のことをマレンコフにも確認し、ベリヤの考えに納得できず、フルシチョフも自分が管轄する鉄道を止めたことでベリヤを批判する。 スターリンの死を悼む多くの市民が弔問する中、ワシーリーが再び騒ぎを起こし、ジューコフが彼を叩きのめす。 弔辞を述べたいと言い出すワシーリーに手を焼くフルシチョフは、粛清の指揮を執りながらも考えを変えたベリヤを責める。 マリヤがスターリンの命を狙っていたと言うベリヤは、彼女が書いたメッセージのコピーをフルシチョフに見せて、以前なら家族と共に抹殺されているので、新体制に感謝しろと伝える。 納得いかないフルシチョフは、列車の運行を再開する指示を出してしまう。 その夜、モスクワに押し寄せた人々に対し、警備のNKDVは容赦なく発砲して多数の死傷者が出る。 メッセージのことをマリヤに確認したフルシチョフは、自分たちの関係も疑われていると伝え、楽観的な彼女の話しを聞く気になれない。 写真の少女が見つかるものの成長していたために、フルシチョフは、同じくらいの背丈の代わりを探すよう指示する。 ジューコフに協力を求めたフルシチョフはベリヤの失脚を画策し、賛成する彼から、マレンコフを説得するよう指示される。 その後フルシチョフとベリヤは、列車を運行させたことと死傷者の件で互いを責める。 代わりの少女が見つかったマレンコフは、バルコニーに出ようとする。 フルシチョフをはじめ幹部から見放されたベリヤは、孤立して取り乱す。 自分も抹殺されると言われたマレンコフは、それを無視して少女と共にバルコニーに向かい、広場に集まった人々に手を振る。 葬儀の朝、カガノーヴィチと共にモロトフに会ったフルシチョフは、ベリヤを失脚させることで意見が一致する。 葬儀は始まり、マレンコフらと棺を担ぐフルシチョフは、ジューコフに全員の意見は一致したと伝える。 ジューコフからの指示を受けた兵士は、ベリヤ暗殺のための準備を始める。 葬儀を終えたフルシチョフは、ベリヤの暗殺の件をマレンコフに話すものの、とりあえずは降格させるべきだと意見される。 会議が開かれ、一方的に非難されたベリヤは興奮して助けを求めるが、押し入ってきたジューコフが彼を叩きのめす。 マレンコフは、フルシチョフからベリヤの処刑に同意するサインを求められ、仕方なくそれに従う。 ベリヤを倉庫に連れて行ったフルシチョフは、幹部らの前で、国家反逆及び子供と変態行為を行った罪状などを読み上げ、彼を銃殺刑に処す。 その後フルシチョフは、ワシーリーのことは任せてほしいとスヴェトラーナに伝えて、彼女をウィーンに向かわせる。 ラジオ・モスクワでマリヤの演奏会が開かれ、フルシチョフら幹部も彼女の演奏を聴く。 政治局の正式メンバーとなったレオニード・ブレジネフ(ジェラルド・レプコウスキー)は、フルシチョフの後席に座る。 1953年にベリヤが処刑され、共産党中央委員会がソ連の最高機関となった。
...全てを見る(結末あり)
__________
*(簡略ストー リー)
1953年3月5日、ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンが死去する。
党政治局員のニキータ・フルシチョフや粛清を仕切っていたベリヤは、後継者を指名しないままスターリンが亡くなったことから代行となったマレンコフを操りながら、葬儀の準備を始める。
ベリヤを失脚させたいフルシチョフは、軍トップのジューコフ元帥と手を組み、幹部たちを巻き込んで政権掌握を画策するのだが・・・。
__________
ファビアン・ニュリとティエリー・ロバンによるグラフィック・ノベル”La Mort de Staline”を基に製作された作品。
ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリン死去後の権力闘争を描くブラック・コメディ。
放送作家として高く評価されているスコットランド出身のアーマンド・イアヌッチが、脚本を兼ねて監督した作品。
恐怖の大粛清時代を背景に、ソ連共産党の権力争いをシニカル且つユーモラスに描く、コメディの快作に仕上がっている。
共産党幹部他、各キャラクターを演ずる出演者の個性を活かし、アーマンド・イアヌッチの見事な脚本と軽快な演出は冴え渡る。
ドラマの中で重要な存在となる”NKDV/内務人民委員部”が、舞台となる時代には存在していなかった歴史的事実などを気にする声などもあるが、細かいことは抜きにして楽しめる傑作コメディであり、批評家からも絶賛された作品。
持ち味を活かしニキータ・フルシチョフを怪演するスティーヴ・ブシェミ、大粛清のキーマン、そして”変態”でもあり失脚し処刑されるラヴレンチー・ベリヤのサイモン・ラッセル・ビール、”ラジオ・モスクワ”のディレクター、パディ・コンシダイン、スターリンの息子ワシーリー・スターリンのルパート・フレンド、その妹スヴェトラーナ・アリルーエワのアンドレア・ライズボロー、ゲオルギー・ジューコフ元帥を豪快に演ずるジェイソン・アイザックス、外務大臣ヴャチェスラフ・モロトフのマイケル・ペイリン、最高指導者代行となるオルギー・マレンコフのジェフリー・タンバー、ヨシフ・スターリンのエイドリアン・マクラフリン、ピアニスト、マリヤ・ユーディナのオルガ・キュリレンコ、貿易大臣アナスタス・ミコヤンのポール・ホワイトハウス、国防大臣ニコライ・ブルガーニンのポール・チャヒディ、労働大臣ラーザリ・カガノーヴィチのダーモット・クロウリー、陸軍の将軍ジェームズ・バリスケール、同じくイワン・コーネフのダニエル・フェーン、同じくキリル・モスカレンコのルーク・ディシルバ、ジューコフの参謀リーロイ・マレー、レオニード・ブレジネフのジェラルド・レプコウスキー、周恩来のデイブ・ウォン、アイスホッケー・コーチ、アナトリー・タラソフのリチャード・ブレイク、モロトフの妻ポリーナ・モロトワのダイアナ・クイック、指揮者のジャスティン・エドワーズ、怪我をした彼の代理ニコラス・ウッドソン、ラジオ・モスクワのアシスタント、トム・ブルック、スターリンを診察する老医師のカール・ジョンソン、彼のことを当局に通報するカーラ・ホーガン、NKDVのジョナサン・アリスとポール・レディ、音楽家のロジャー・アシュトン=グリフィス、フルシチョフの妻ニーナ・フルシチェワのシルヴェストラ・ル・トゥーゼルなどが共演している。