1979年に発表された、スティーヴン・キングの小説”デッド・ゾーン”を基に製作された作品。 超能力を身につけた青年の苦悩を描く、製作総指揮ディノ・デ・ラウレンティス、監督デヴィッド・クローネンバーグ、主演クリストファー・ウォーケン、ブルック・アダムス、トム・スケリット、ハーバート・ロム、マーティン・シーン、アンソニー・ザーブ、コリーン・デューハースト他共演のSFサスペンス。 |
・SF
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
製作:デブラ・ヒル
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
原作:”デッド・ゾーン”スティーヴン・キング
脚本:ジェフリー・ボーム
撮影:マーク・アーウィン
編集:ロナルド・サンダース
音楽:マイケル・ケイメン
出演
ジョニー・スミス:クリストファー・ウォーケン
サラ・ブラックネル:ブルック・アダムス
ジョージ・バナーマン保安官:トム・スケリット
サム・ウイーザック医師:ハーバート・ロム
グレッグ・スティルソン:マーティン・シーン
ロジャー・スチュアート:アンソニー・ザーブ
ヘンリエッタ・ドッド:コリーン・デューハースト
フランク・ドッド保安官補:ニコラス・キャンベル
ハーブ・スミス:ショーン・サリヴァン
ヴェラ・スミス:ジャッキー・バロウズ
アメリカ 映画
配給
パラマウント・ピクチャーズ(北米)
De Laurentiis Entertainment Group(世界)
1983年製作 103分
公開
北米:1983年10月21日
日本:1987年6月20日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $20,766,620
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューハンプシャー州、キャッスルロック。
教師のジョニー・スミス(クリストファー・ウォーケン)は、同僚である恋人のサラ・ブラックネル(ブルック・アダムス)と放課後に遊園地に向かい、ジェットコースターに乗り楽しむ。
突然、頭痛がしたジョニーは、心配してくれるサラを家に送る。
サラに誘われたジョニーはそれを断り、雨の中、車で家に向かう。
居眠りをしながら運転していたタンクローリーのドライバーは、ハンドルを誤り事故を起こす。
タンクローリーは横転して街道を塞ぎ、それを避け切れなかったジョニーは衝突してしまう。
無事だったタンクローリーの意運転手は、ジョニーの様子を見に行く。
ジョニーが事故を起こし病院に運ばれたことを知ったサラは、その場に向かい、重傷を負い意識不明の彼に話しかける。
ウィーザック・クリニック。 重傷だったにも拘わらず傷がないことを不思議に思うジョニーは、ウィーザックから両親が来ていることを知らされる。 父ハーブ(ショーン・サリヴァン)と母ヴェラ(ジャッキー・バロウズ)から奇跡だと言われたジョニーは、昏睡状態で5年ぶりに意識が戻ったことを知らされて驚く。 結婚を約束していたサラが結婚したことを知ったジョニーは、ショックを受ける。 その後、眠っていたジョニーは突然、目覚め、様子を見に来た看護師の手を握る。 燃えている部屋で叫んでいる看護師の娘エイミーが見えたジョニーは、家が火事だと彼女に伝える。 まだ間に合うと看護師に伝えたジョニーは、家に向かうよう指示する。 家に戻った看護師は、消防士に助けられた娘のエイミーを抱きしめる。 車椅子生活のジョニーは、必ず歩けるようになると言うウィーザックの手を握り感謝する。 その瞬間にジョニーは、第二次大戦時の光景が見える。 ジョニーから、戦時中に死に別れた母親が生きていると言われたウィーザックは、それを信じようとしない。 居場所も分かると言うジョニーが怯えているために落ち着かせたウィーザックは、彼が話した場所に電話をする。 母の生存を確認したウィーザックは、ジョニーに、超能力を身につけたようだと伝える。 ウィーザックは、母に電話をしたものの、何も話せなかったとジョニーに伝える。 リハビリを始めたジョニーは、面会に来たサラと話をする。 サラに子供もいることを知ったジョニーは、あの日、引き留めるべきだったと言う彼女から、皆が自分の噂をしているという話を聞く。 超能力のことを新聞も記事にしていると言われたジョニーは、更にエスカレートしていくことが怖いと彼女に伝える。 その場を去るサラは、涙しながら車を運転して家に向かう。 マスコミに追い回されたくないジョニーは、記者会見を開き決着をつける考えをウィーザックに伝える。 病院で記者会見を開いたジョニーは、自分を侮辱するテレビ局の記者とトラブルになる。 その様子を見ていたヴェラは、興奮して卒倒してしまう。 ウィーザックに付き添われて病院に向かったジョニーは、母ヴェラの手を握るものの、彼女は息を引き取る。 クリスマスが近づき、父ハーブと暮らすようになったジョニーは、訪ねて来たキャッスルロックのジョージ・バナーマン保安官(トム・スケリット)から、連続殺人事件を解決するための協力を求めらる。 超能力を使った捜査協力だったためにためらうジョニーは、それが神からの贈り物だと言われて苛立ち、辛い思いをしたことをバナーマンに伝える。 諦めたバナーマンはその場を去り、パトカーで待っていたフランク・ドッド保安官補(ニコラス・キャンベル)と共に町に戻る。 その後ジョニーは、幼い息子デニーを連れて訪ねて来たサラを歓迎する。 息子を寝かしたサラは、ジョニーと愛し合う。 夜になり、外出していたハーブは戻り、ジョニーは、夕食を作ってくれたサラと楽しい時間を過ごす。 サラを見送ったジョニーは、連続殺人事件を報道するニュースを見て、バナーマンに協力する気になる。 バナーマンとフランクと共に殺人現場のトンネルに向かったジョニーは、犯人が吸ったと思われるタバコの箱を触り、何かを感じようとする。 何も見えないと言って戸惑うジョニーを気遣うバナーマンは、新たな犯行があったという連絡を受ける。 現場の見晴台に向かい、フランクが知っていた被害者アルマの手を握ったジョニーは、犯行の様子が見える。 アルマに声をかけた知人の男性は、彼女を呼び寄せてハサミで刺殺する。 ジョニーから犯人はフランクだと言われて驚いたバナーマンは、フランクが姿を消したことを知る。 フランクの家の向かったバナーマンは、同行したジョニーをパトカーに残し、警戒しながら入り口に向かう。 対応したフランクの母ヘンリエッタ(コリーン・デューハースト)から、息子は留守だと言われたバナーマンは、ジョニーからフランクが二階にいることを知らされて押し入る。 制止するヘンリエッタの手を握ったジョニーは、彼女が犯行のことを知っていたことに気づく。 バスルームに向かったフランクは、ハサミを使い自殺する。 鍵がかかったドアを蹴破ったバナーマンは、血だらけのフランクを発見する。 フランクの銃を手にしたヘンリエッタは、部屋から出て来たジョニーを銃撃し、バナーマンに射殺される。 その後、別の町で独り暮らしを始めたジョニーは、訪ねて来たウィーザックから、超能力の力が強くなるに従い、肉体は衰えていくことを知らされる。 その進行を抑えるためにクリニックに戻る提案をされたジョニーは、それを拒む。 説得するウィーザックは、自分に協力を求める全国から届いた手紙の山を見せらるジョニーから、孤独が安全だと考えていると言われ、納得するしかなかった。 家庭教師をしていたジョニーは、富豪のロジャー・スチュアート(アンソニー・ザーブ)から、息子のクリスのことで相談を受ける。 心を閉ざすクリスを助けてほしいと言われたジョニーは、外出はしない主義だったが、一度だけ屋敷を訪れることで納得する。 スチュアート邸に着いたジョニーは、その場にいた上院議員候補のグレッグ・スティルソン(マーティン・シーン)とボディーガードのソニーを紹介される。 クリスに会ったジョニーは、直ぐに打ち解けて仲良くなり、その様子を見たロジャーは満足する。 ジョニーにスティルソンのキャンペーン映像を見せたロジャーは、危険人物だと伝える。 ロジャーは、今朝は仲良くしていたと言うジョニーに、こういう人間には付き合い方があり、いい友人と思わせておくだけだと伝える。 大統領を狙うスティルソンは、選挙妨害と言える批判記事を書いた記者を脅す。 それに屈しようとしない記者だったが、浮気現場の写真を見せられたため、納得するしかなかった。 自宅に通うクリスと過ごしていたジョニーは、スティルソンの選挙を手伝う、ボランティアの男性ウォルトの訪問を受ける。 ウォルトがサラの夫だと知ったジョニーは、彼女と再会して動揺する。 二人が帰った後で涙するジョニーは、気遣ってくれるクリスを抱きしめる。 その瞬間ジョニーは、ホッケーの試合中にクリスと友達が、池の氷が割れて溺れ死ぬ姿を見てしまう。 それをロジャーに知らせたジョニーは、ホッケー・チームと共に出かけようとする彼を引き止めようとして興奮する。 ばかげた話だと言って憤慨するロジャーは、ジョニーをクビにしてホッケーの試合は諦める。 その場を去ろうとしたジョニーはクリスの手を握り、彼の無事を確認して別れを告げる。 その後、ジョニーを追い払う口実だと言ってクリスと出かけようとしたロジャーは、それを拒まれて諦める。 スケート事故で二人が死亡した新聞記事を見たジョニーは、スチュアート邸に電話をする。 事故のことを考え放心状態のロジャーは、電話に出る気になれない。 電話に出たクリスの無事を確認したジョニーは、自分だと分かった彼に何も語らなかった。 家の前のスティルソンの集会場にサラが姿を現したため、ジョニーは道路を渡ってその場に向かう。 現れたスティルソンと握手をしたジョニーは、ある光景が見える。 大統領となったスティルソンは、核ミサイル発射ボタンを押す。 その件についてウィーザックに助言を求めようとしたジョニーは、戦前にヒトラーに会い、未来を知っていたとしたら殺すか尋ねる。 クリスのことも話したジョニーは、溺れる光景を見ている中で、空白のような”デッドゾーン”を感じたと話し、父親を引き止めたために、子供は無事だったと伝える。 未来を見るだけでなく変える能力もある、それがデッドゾーンだと言われたジョニーは、質問の答えをウィーザックに求める。 ウィーザックは、悪魔であるヒトラーを迷わず殺すだろうと答える。 実家に向かったジョニーは、ライフルと銃弾を持ち出す。 サラに手紙を出したジョニーは、スティルソンのキャンペーン集会が行われる町に到着する。 集会場に侵入したジョニーは、夜明けを待つ。 集会は始まり、到着したスティルソンは、サラやウォルトなど支持者に歓迎される。 銃を構えたジョニーに気づいたサラは、彼の名を呼び叫ぶ。 発砲した弾丸は外れ、スティルソンは、サラの幼い息子デニーを盾にする。 その様子は参加者に撮影され、ソニーがジョニーを銃撃する。 二階から落下した瀕死のジョニーは、自分に言い寄るスティルソンの手を握り、写真が記事になり破滅した彼が自殺する様子が見える。 ジョニーから終わりだと言われたスティルソンは、写真を撮られたことを気にしながら苛立ち、その場を去る。 寄り添うサラを抱きしめたジョニーは別れを告げ、彼女から愛していると言われながら息を引き取る。
院長である精神科医サム・ウイーザック(ハーバート・ロム)の治療を受けていたジョニーは、昏睡状態から目覚める。
...全てを見る(結末あり)
ライフルに銃弾を込めたジョニーは、スティルソンの演説を聞きながらチャンスを待つ。
*(簡略ストー リー)
ニューハンプシャー州、キャッスルロック。
教師のジョニー・スミスは、同僚である恋人サラを送った後で事故を起こす。
重傷を負ったジョニーは、精神科医のウィーザックの元で5年間の昏睡状態から目覚め、両親からはサラも結婚したことを知らされてショックを受ける。
そんなジョニーは、触れた相手の未来が予知できる能力に気づき、それが世間で騒がれることを恐れる・・・。
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「スキャナーズ」(1981)、「ヴィデオドローム」(1983)で世界的に評価されたデヴィッド・クローネンバーグが、スティーヴン・キングの原作を基に製作した作品。
前二作を上回る高評価を得たデヴィッド・クローネンバーグは、次回作の「ザ・フライ」(1986)の成功により、ホラー映画界をリードする存在となった。
未来を予知する超能力を持つ人物を扱う内容自体は珍しくないが、若手とは言え40歳目前だったクリストファー・ウォーケン他、魅力的なキャスティング、デヴィッド・クローネンバーグのメリハリあるスリリングな演出と映像は注目だ。
原作者スティーヴン・キングが望んだ主人公を演ずる役者はビル・マーレイだったが、自分に備わった超能力に怯えて苦悩し、使命を果たし悲劇的な死を遂げる悲壮感が漂う主人公を、持ち味を活かしたクリストファー・ウォーケンが見事に演じ切っている。
主人公を愛する元恋人のブルック・アダムス、主人公に連続殺人事件捜査の協力を求める保安官トム・スケリット、主人公の主治医である精神科医ハーバート・ロム、大統領になるために手段を選ばない上院議員候補のマーティン・シーン、心を閉ざす息子を主人公に任せる富豪のアンソニー・ザーブ、連続殺人犯だった保安官補ニコラス・キャンベル、その母親コリーン・デューハースト、主人公の両親ショーン・サリヴァンとジャッキー・バロウズ、上院議員候補スティルソンが子供を盾にした瞬間を撮影する役を、マーティン・シーンの息子ラモン・エステベスが演じている。