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地球が静止する日 The Day the Earth Stood Still (2008)

ロバート・ワイズが30代半ばで監督したSF映画の名作「地球に静止する日」(1951)のリメイク。
地球の環境を破壊し続ける人類への警告のため飛来した謎の生命体の行動を描く、監督スコット・デリクソン、主演キアヌ・リーヴスジェニファー・コネリーキャシー・ベイツジョン・クリーズジェイデン・スミス他共演のSFアクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト ■
監督:スコット・デリクソン

製作
ポール・ハリス・ボードマン

グレゴリー・グッドマン
アーウィン・ストフ
原作:ハリー・ベイツFarewell to the Master
原案:エドマンド・H・ノース

脚本:デヴィッド・スカルパ
編集:ウェイン・ウォーマン
音楽:タイラー・ベイツ

出演
キアヌ・リーヴス:クラトゥ/登山家
ジェニファー・コネリー:ヘレン・ベンソン
キャシー・ベイツ:レジーナ・ジャクソン国防長官
ジョン・クリーズ:カール・バーンハート博士
ジェイデン・スミス:ジェイコブ・ベンソン
ジョン・ハム:マイケル・グラニエ博士
カイル・チャンドラー:ジョン・ドリスコル
ジェームズ・ホン:ウー
ヒロ・カナガワ:イケガワ博士

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
2008年製作 103分
公開
北米:2008年12月12日
日本:2008年12月19日
製作費 $80,000,000
北米興行収入 $79,366,980
世界 $230,831,980


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1928年、インドカラコルム山脈。
雪山で、ある登山家(キアヌ・リーヴス)が、光る球体を見つけ、彼が表面を壊すと、その場で気を失ってしまう。

登山家が目覚めると球体は消え去り、彼の手には傷痕が残っていた。

現在。
プリンストン大学の著名な宇宙生物学者ヘレン・ベンソン博士(ジェニファー・コネリー)は、義理の息子ジェイコブ(ジェイデン・スミス)と食事を取ろうとしていた時に、政府の機関から強制招集される。

ヘレンは、各分野の専門家や科学者らと、ヘリコプターでニュージャージーリンウッドにある陸軍士官学校に向かう。
...全てを見る(結末あり)

現場で、NASAのマイケル・グラニエ博士(ジョン・ハム)に出くわしたヘレンは、会議場に呼ばれる。

78分後に秒速3万Kmの速度で、マンハッタンに宇宙からの物体が衝突することが分かり、ヘレンらは、それに対処する科学者チームに加わえられる。

地球からの迎撃も不可能になり、衝突のカウントダウンが始まるのだが、衝突寸前で、巨大な光る球体は減速してセントラルパークに舞い降りる。

ヘレンらは、防護服に身をまとい球体に近づき、軍隊がそれを取り囲む。

球体は宇宙船らしく、中から生物が現れ、軍隊の発砲を受けて生物は倒れる。

その後、現れた巨大ロボットは、”クラトゥ、バラタ、ニクト”と生物に語りかけ動きを止める。

対策本部に運ばれた生物は外皮が剥がれ落ち、中から、地球人と同じ人体構造をした男(キアヌ・リーヴス/登山家)が現れる。

その球体の事件は世界経済を混乱させ、マンハッタンから人々は避難し、正副大統領もワシントンD.C.を離れる。

レジーナ・ジャクソン国防長官(キャシー・ベイツ)は、世界の各地に球体が飛来していることを知り、”DSCS”(国防衛星通信網)衛星を介して、国防秘密を全て知られたとの見解に達する。

ただし、彼らが防衛網を破壊していないことから、友好目的で現れたとも考えられた。

意識が戻った男は”ラクトゥ”と名乗り、到着したジャクソン国防長官の監視下に置かれることになる。

ラクトゥは、国連の世界の代表の前で、飛来した目的を話すということを国防長官に伝える。

ジャクソン国務長官はそれを拒絶し、ラクトゥをより厳重な場所へと移送する命令を出す。

グラニエ博士は、人類にとっての重要な発見であることを強調し、強行手段を使ってでも、ラクトゥらが飛来した目的を知ろうとする国防長官を説得する。

あくまで意見を変えない国防長官に対し、ヘレンがラクトゥの尋問の担当を買って出る。

ヘレンは、ラクトゥが拷問されるかもしれないということを知り、彼の逃亡を助ける。

警備を混乱させ施設を脱出したラクトゥを、市民が混乱する厳戒態勢の中、ジャクソン国務長官は捜査を始める指示を出す。

駅で倒れたラクトゥは、警察に収容されてヘレンの名前を出し、彼女に助けを求める。

警察からラクトゥを連れ出したヘレンは、撃たれた傷口が悪化し弱っていた彼に、外皮サンプルを渡す。

ヘレンは、それを塗って傷口を治したラクトゥとジェイコブを連れて逃亡する。

一方、ジャクソン国務長官は、セントラルパークの球体を”MQ-9 リーパー”(無人航空機)で攻撃するが、ロボットにそれを妨害される。

マクドナルド”に立ち寄ったラクトゥは、自分と同じ使命で70年前から地球に潜伏する老人ウー(ジェームズ・ホン)と接触する。

ウーは、破壊的な行為を止めようとしない地球人を、説得するのは無駄だとラクトゥに忠告する。

ラクトゥは、直ちに”計画”を実行に移して、宇宙に飛び立つ準備を始めようとするが、ウーは長年の生活で”地球人”を愛してしまい、この地に残ることをラクトゥに告げる。

軍は巨大ロボットを収容することに成功し、研究施設に運び込もうとする。

ヘレンらはある森に向かい、ラクトゥは池の中に隠れていた球体に指示を出す。

そして、地球上の生物などを捕獲した世界中の球体は、宇宙に飛び去って行き、セントラルパークの巨大球体のみが残る。

ヘレン達の元に戻ったラクトゥは、人間から地球を救うための処置が始ったことを彼女に告げる。

ラクトゥは、世界の指導者達に、人類が地球に対して犯した環境損害を修正することが出来るかの話し合いを求め、それを拒絶された結果だとヘレンに説明する。

その頃、ジャクソン国防長官は、それが”ノアの箱舟”だということに気づく。

ヘレンは、自分が考えるところの、本当の指導者である、ノーベル賞受賞者の物理学者カール・バーンハート博士(ジョン・クリーズ)の元を訪れる。

ジェイコブはラクトゥに不信感を募らせるが、ヘレンは自分を信じるよう彼に言い聞かせる。

ラクトゥは、バーンハート博士の数式を容易に解いてしまい、博士は彼の才能に大いに興味を持つ。

バージニア州、ブルーモント
政府関係者のジョン・ドリスコル(カイル・チャンドラー)は、地下実験施設に運ばれた遺伝子合成型ロボット”ゴート”の調査を急がせる。

バーンハート博士は、地球を滅亡に導こうとする人類の罪を責めるラクトゥに対し、人類は危機に直面し初めて変わろうとするということを説く。

ニュースで、脱獄犯として指名手配されているラクトゥのことを知り、ジェイコブは、緊急連絡先に電話をしてしまう。

軍のヘリが現れたことを知った、ラクトゥとヘレンそしてジェイコブは森に逃げるが、ヘレンが捕らえられてしまう。

攻撃しようとするヘリを撃墜したラクトゥは、ジェイコブを連れて逃亡を続ける。

捕らえられたヘレンは、ジャクソン国防長官に、ラクトゥが、地球を救おうとしていることを告げるが受け入れられない。

その頃、自身の体を微細な金属の昆虫(ナノロボット)に変身させたゴートは、ドリスコルを含む研究員全員を殺して施設を脱出する。

そしてナノロボットは、建物などを破壊して巨大な雲のような大群になりながら、マンハッタンに向けて突き進む。

ジャクソン国防長官は、その惨状を知り、ヘレンにラクトゥを説得させるしか方法がなかった。

グラニエ博士とヘレンは、ラクトゥを捜しにマンハッタンに向かい、連絡をよこしたジェイコブの提案で、彼の戦死した父親の墓地に向かう。

ジェイコブは墓地で、ラクトゥに父親を生き返らせてくれるよう頼むのだが、それはラクトゥにも不可能なことだった。

ショックを受けるジェイコブの元に、現れたへレンが寄り添い、わだかまりのあった二人は、お互いを理解して固く抱き合う。

それを見ていたラクトゥは、人類への考えを変えて救いの道を見つけようとする。

その時、上空をナノロボットが通過し、人類は変わってみせるというヘレンの言葉をラクトゥは信じ、人類絶滅を回避しようとする。

ナノロボットの大群はマンハッタンに近づき、ジャクソン国防長官は、大統領にラクトゥとの話し合いを直訴する。

グラニエ博士の運転する車は、封鎖中のマンハッタンの検問を突破し、セントラルパークに向かう。

しかし、大統領の球体への攻撃命令を受け、ジャクソン国防長官は、彼らの車を攻撃させてしまう。

グラニエ博士は死亡し、球体に逃れようとしたラクトゥらをナノロボットが襲い、ヘレンとジェイコブの体内に入り込んでしまう。

ラクトゥは、ヘレンとジェイコブの体内からナノロボットを吸い出し、窮地に立った人類は変わったとヘレンに伝える。

ラクトゥは、自らを犠牲にしてナノロボットの機能を停止しさせる。

全ての動力を失った地球は静止したようになり、その後、目的を果たしたかのように、球体は宇宙へと飛び立っていく。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
著名な宇宙生物学者ヘレン・ベンソン博士は、政府の機関から強制招集される。
ヘレンは、各分野の科学者らと共に、78分後に秒速3万kmの速度でマンハッタンに衝突する、宇宙からの物体に対処する科学者チームに加わえられる。
その後、巨大な光る球体は衝突寸前で減速し、セントラルパークに舞い降りる。
軍隊がそれを取り囲み、宇宙船らしい球体から生物が現れるのだが、軍隊の発砲を受けて生物は倒れる。
直後に現れた巨大ロボットは、”クラトゥ、バラタ、ニクト”と生物に語りかけて動きを止める。
運ばれた生物の中から、地球人と同じ人体構造をした男が現れる。
同時に、ジャクソン国防長官は、世界各地に球体が飛来していることを知り、衛星を介して国防秘密を全て奪われたという見解に達する。
しかし、破壊活動をしない彼らの行動から、友好目的で現れたとも考えられた。
意識が戻った男は”ラクトゥ”と名乗り、国連で、飛来した目的を話すということを、国防長官に伝える。
しかし、国務長官はそれを拒絶し、ラクトゥをより厳重な監視下に置く。
そのため、ヘレンは、人類にとっての重要な発見の損失を懸念して、ラクトゥの逃亡を助けるのだが・・・。
__________

原作は1940年に発表された、ハリー・ベイツのSF短編小説”Farewell to the Master”で、原案は、旧作の脚本を担当したエドマンド・H・ノース

旧作が、核兵器の侵略など、冷戦下における当時の時代背景を映し出しているのと同じく、本作も、地球の環境を破壊し続ける人類への警告をテーマにしている。

人気スターのキアヌ・リーヴスと、目覚しい活躍を見せる実力派俳優に成長したジェニファー・コネリー共演によるパニック超大作として話題になった。

しかし、主人公クラトゥが謎の球体から現れ、人間の姿を借りて登場するあたりまでは興味深く見られたが、逃亡が始まってからの緊張感も乏しく、押し付けがましいテーマもいまいち深みがなく、中盤から呆気ないラストまで物足りなさを感じてしまう。
全く比較にならない特撮映像などにも拘らず、SF映画のスタンダードとして広く知られる旧作に比べると平凡そのもので、評価も低く、期待が大きかっただけに残念だ。

当然、個人的にも、前作と比べないわけにはいかず、厳しい評価とさせてもらった。

旧作を遥かに上回る巨大さと迫力のロボットの”ゴート”の再登場は嬉しかったのだが、ナノロボットの大群が建物や街を食い尽くしながら移動する、CG映像などもそれ程の驚きはない。

北米興行収入は、上記のように期待外れとなる約7900万ドル、全世界では約2億3100万ドルのヒットとなった。
*製作費 $80,000,000

登山家でも登場し、エイリアンということで、感情を抑え演じていたキアヌ・リーヴスは新鮮味に欠けるが、義理の息子に愛情を注ぐ、母親と科学者を無難に演じたジェニファー・コネリーはまずまずの好演を見せる。

ついに、国防長官にまでなってしまったキャシー・ベイツは貫禄があるものの、ウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスの演技に慣れ過ぎているようなところも気になる。

異星人の心を動かす物理学者で、出番は少ないが印象に残るジョン・クリーズNASAの科学者ジョン・ハム、政府関係者カイル・チャンドラー、70年間も地球人として潜伏していた異星人ジェームズ・ホンなどが共演している。


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