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ジャッカルの日 The Day of the Jackal (1973)

1971年に発表された、フレデリック・フォーサイスの小説”ジャッカルの日”を基に製作された作品。
フランスの極右地下組織”OAS”のシャルル・ド・ゴール大統領暗殺計画とそれを阻止しようとする当局の攻防を描く、監督フレッド・ジンネマン、主演エドワード・フォックスマイケル・ロンズデールデルフィーヌ・セイリグデレク・ジャコビ他共演によるサスペンスの傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:フレッド・ジンネマン

製作:ジョン・ウォルフ
原作:フレデリック・フォーサイスジャッカルの日
脚本:ケネス・ロス

撮影:ジャン・トゥルニエ
編集:ラルフ・ケンプレン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

出演
ジャッカル:エドワード・フォックス

クロード・ルベル警視:マイケル・ロンズデール
モンペリエ男爵夫人:デルフィーヌ・セイリグ
内務大臣:アラン・バデル
コルベール将軍:モーリス・デナム
ローラン大佐:ミシェル・オークレール
ドニース:オルガ・ジョルジュ=ピコ
キャロン:デレク・ジャコビ
ブライアン・トーマス警視:トニー・ブリットン
サンクレール:バリー・インガム
ベルティエ警視総監:ティモシー・ウェスト
マリンソン:ドナルド・シンデン
バリー・ロイド:テレンス・アレキサンダー
連絡員ヴァルミ:ヴァーノン・ドブチェフ
ゴッツィ”ガンスミス”:シリル・キューザック
ロダン大佐:エリック・ポーター
偽造屋:ロナルド・ピックアップ
シャルル・ド・ゴール大統領:アドリアン・カイラ=ルグラン
ヴィクター・ウォレンスキー:ジャン・マルタン
ジャン=マリー・バスチャン=チリージャン・ソレル
尋問官:ヴァーノン・ドブチェフ
警官:フィリップ・レオタール
チャールズ・ハロルド・カルスロップ:エドワード・ハードウィック

イギリス/フランス 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ

1973年製作 142分
公開
イギリス:1973年6月
フランス:1973年9月14日
北米:1973年7月30日
日本:1973年9月15日
世界 $16,056,260


アカデミー賞
第46回アカデミー賞

・ノミネート
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1962年8月、フランス
アルジェリアの独立を認めた大統領シャルル・ド・ゴールは、軍部や右翼過激派の恨みを買った。

8月26日、ペティ・クラマール郊外。
極右地下組織”OAS”(秘密軍事組織)は、閣議を終えて大統領官邸エリゼ宮殿を出たド・ゴールアドリアン・カイラ=ルグラン)と夫人を乗せた車(シトロエン・DS)を襲撃する。

武装した組織メンバーの銃撃を奇跡的に逃れたド・ゴールは、予定通り郊外の空港に到着する。

6ヶ月後。
犯人らは捕らえられ、主犯のジャン=マリー・バスチャン=チリージャン・ソレル)は死刑を宣告されて、1963年3月11日に銃殺刑となる。
...全てを見る(結末あり)

その後、治安当局によりOASは根絶されたと報道される。

オーストリア
OASの新リーダーである元落下傘部隊のロダン大佐(エリック・ポーター)らは、逃亡して潜伏していた。

ド・ゴール暗殺を諦める気のないロダンは、財政状態が悪化する中、逮捕歴のない外国人の殺し屋を雇うことを考える。

6月15日、ウィーン
イギリス人の殺し屋(エドワード・フォックス)が、ロダンらのアジトに呼ばれる。

副官ヴィクター・ウォレンスキー(ジャン・マルタン)を見張りに立てたロダンは、殺し屋を招き入れる。

逃亡方法に問題はあるが、ド・ゴール暗殺は可能だとロダンらに伝えた殺し屋は、世界一警備が厳重で組織が失敗を続けているため、行動しにくいことを伝える。

情報漏れも多い組織の弱点も指摘した殺し屋は、時間と金がかかることを伝え、50万ドルの現金と、その半額の前払いを要求する。

ロダンがそれを承知したため、殺し屋は秘密を守ることを約束させて、スイスの銀行の口座番号を教える。

資金は銀行を襲って調達するようにと告げた殺し屋は、コードネームは”ジャッカル”だと伝えてその場を去る。

その後、OASは銀行などを襲い、組織の犯行の目的を探る当局のコルベール将軍(モーリス・デナム)は、ロダンらがローマに移動したことを部下のローラン大佐(ミシェル・オークレール)から知らされ、監視を強化させる。

ロンドン
大英博物館の図書館に向かったジャッカルは、ド・ゴールに関する資料を調べる。

計画の準備を始めたジャッカルは、1931年に2歳半で死亡した”ポール・オリヴァー・ダガン”に成りすまし、パスポートの申請をする。

更にジャッカルは、空港でデンマーク人ペーア・ルントクビストのパスポートを奪い、彼に扮するための用意をする。

25万ドルの入金があったことを銀行から知らされたジャッカルは、”ヴァルミ”という連絡員の電話番号を受け取り、確認後に焼却する。

その後ジャッカルは、”ダガン”のパスポートでジェノヴァに向かう。

調査の結果、ロダンの副官ウォレンスキーの不審な動きを調べたローランは、それをコルベール将軍に報告する。

パリ
OASの連絡員は、婚約者を亡くしたメンバーのドニース(オルガ・ジョルジュ=ピコ)に、大統領官邸”エリゼ宮”内の役人であるド・ゴールの側近に近づくよう指示する。

8月2日、ジェノヴァ
ガンスミス”のゴッツィ(シリル・キューザック)を訪ねたジャッカルは、サイレンサーと照準器を装備した組み立て式軽量銃の製作を依頼する。

射程距離は約400フィート(約120メートル)で、動かないものがターゲットであり、頭を狙い2発目は撃てないことを確認したゴッツィは、水銀式の破裂弾を使うことを勧める。

アルミパイプに隠せる銃のイラストをゴッツィに見せたジャッカルは、2週間で仕上げられるかを確認する。

8月13日に引き渡すと言われたジャッカルは、約1200ポンドの報酬で手を打ち、ゴッツィに前金の半額を渡してその場を去る。

その後、変装後のIDや運転免許証などを用意しようとしたジャッカルは、偽造屋(ロナルド・ピックアップ)にも報酬の半額を渡し、8月14日の引き渡しを約束させて、ネガとポジも返した後は全て忘れろと警告する。

パリ
街を視察したジャッカルは、モンパルナス駅の”6月18日広場”で、ある建物に目をつけ、その場に侵入して粘土で部屋の鍵の型を取る。

その後ジャッカルは、変装用の古着や勲章を蚤の市で手に入れる。

エリゼ宮の役人サンクレール(バリー・インガム)を確認したドニースは、家族がバカンスに出かけた後で彼に近づくよう指示される。

8月5日、ローマ
コルベール将軍の命令でウォレンスキーは捕らえられ、パリに移送される。

尋問官(ヴァーノン・ドブチェフ)の拷問を受けたウォレンスキーは、潜伏中のホテルで何を待っていたのかを訊かれる。

ウォレンスキーが話したことは細かく分析され、”クライスト”と”ジャ・・・”から始まる言葉が詳しく調べられる。

乗馬中のサンクレールに近づいたドニースは、犬を使って彼を落馬させる。

謝罪したドニースは、サンクレールを介抱して親しくなる。

8月14日。
徹夜で分析を続けたローランは、ウォレンスキーの言葉から、外国人のコードネームらしき”ジャッカル”という、”クライスト”が意味するブロンドの殺し屋がド・ゴール大統領暗殺のために雇われたと断定する。

重要文書を作成したローランは、それを内務大臣(アラン・バデル)に届けさせ、非常事態であることが知らせる。

報告書を受け取った内務大臣は、その内容を大統領に報告する。

ジェノヴァに戻ったジャッカルは、偽造屋からIDなどを受け取る。

しかし、元の免許証を返そうとしない偽造屋から金を要求されたために、ジャッカルは偽造屋を殺害する。

その後、ガッツィの元に向かったジャッカルは銃の出来栄えに満足し、パイプはステンレスに変えたことを知らされる。

試射したいことをガッツィに伝えたジャッカルは、銃を組み立てて感触を確かめ、弾丸を受け取る。

対策会議を開いた内務大臣は、大統領が行事日程の変更を拒んだことをサンクレールを含む出席者に伝える。

極秘で捜査をする大統領命令も言い渡され、コルベール将軍は、ロダンらが、身なりのよい30歳くらいのブロンドの男と6月15日にウィーンで会ったことなどを報告する。

内務大臣からから意見を求められたベルティエ警視総監(ティモシー・ウェスト)は、OAS自体も暗殺計画を把握していない可能性を指摘し、手の打ちようがない状況であるが、男の本名を調べてパスポートや顔を基に逮捕する考えを伝える。

最高の刑事は誰かと内務大臣から訊かれたベルティエは、副総監であるクロード・ルベル警視(マイケル・ロンズデール)だと答える。

内務大臣に呼ばれ会議に出席したルベルは、全権を任される。

本件を最優先するようベルティエから指示されたルベルは、新しいオフィスを用意し、助手のキャロン(デレク・ジャコビ)と共に捜査を始める。

各国の警察と連絡を取りながら捜査を行うことをキャロンに指示したルベルは、どこかにジャッカルの記録があるはずだと考える。

サンクレールと親密になっていたドニースは、会議の内容を彼から聞き出そうとする。

早朝にも拘わらずキャロンからの電話を受けた”スコットランドヤード”の特務部次長マリンソン(ドナルド・シンデン)は、緊急事態だと言われ、8時半にルベルから連絡があることを知らされる。

サンクレールが眠っていることを確認したドニースは、連絡員のヴァルミ(ヴァーノン・ドブチェフ)に電話をして、ジャッカルのことが調べられていることを知らせる。

国内の殺し屋が全て逮捕されていたために外国を頼るルベルは、マリンソンに本件の内容を伝える。

ロンドン
マリンソンは、名前も分からない男の捜査をブライアン・トーマス警視(トニー・ブリットン)に命ずる。

ジェノヴァ
市場でスイカを買ったジャッカルは、郊外の森に向かう。

スイカを木に吊るして歩測したジャッカルは、銃の試射を行い、照準器の調整と破裂弾を試す。

捜査に行き詰まっていたトーマスは、外務部長のバリー・ロイド(テレンス・アレキサンダー)に協力を求め、国際的な殺し屋について調べさせる。

首相に呼ばれたトーマスは、イギリス人がド・ゴールを殺すことを是が非でも阻止するよう命ぜられ、それを信じないマリンソンも、首相から電話のを受けて指示を受ける。

その後、ロイドに会ったトーマスは、1961年、ドミニカ共和国大統領で独裁者のラファエル・トルヒーヨ暗殺が、”チャールズ・ハロルド・カルスロップ”というイギリス人の犯行である可能性を知らされる。

コードネーム”ジャッカル”は、フランス語では”CHACAL/シャカール”であり、”チャールズ・カルスロップ”の頭文字だと考えられるとも言われるが、トーマスは半信半疑だった。

旅券局で同名の資料23名分を手に入れたトーマスは、未確認情報としながら”カルスロップ”の件をルベルに伝える。

ジェノヴァ
車(アルファロメオ・ジュリエッタ/スパイダー)を改造しようとしたジャッカルは、車庫を借りて排気パイプを切断し、その中に銃を隠す。

ロンドン
”チャールズ・カルスロップ”の住居を調べるトーマスは、外国によく出かけるという一人のアパートを調べて所持品を押収し、1960年にドミニカに入国しながら出国スタンプのないパスポートを確認する。

”カルスロップ”が”ジャッカル”であることを確信したトーマスからの連絡を受けたルベルは、それを会議で報告する。

内務大臣は、非常線を張り市内及び近郊の宿泊者を調べ、海外の情報員にも連絡を入れて、極秘事項として捜査を続けることを指示する。

”カルスロップ”の名で入国している者と宿泊者がいないことが分かり、ルベルは、ジャッカルがパスポートを置いていったのは、それが必要でないからだとキャロンに話す。

ロンドン
その連絡を受けたトーマスは、ジャッカルが偽造パスポートで外国にいると考える。

トーマスは、過去3ケ月間のパスポート申請者を調べ、死亡者名簿と照らし合わせるよう部下に命じ、子供の死亡者の名で申請した者が怪しいと伝える。

ジェノヴァ
準備が整ったジャッカルは、陸路、フランスに向けて出発する。

ロンドン
8000人余りいたパスポート申請者の半数のチェックが終わった頃、1931年に2歳半で死亡した”ポール・オリヴァー・ダガン”の名で、7月14日に申請があったことが分かる。

イタリア国境。
パスポートと免許証、そして荷物をチェックされたジャッカルは、問題なくフランスに入国する。

パリ
ジャッカルが”ダガン”の名前で行動していることを内務大臣他に報告したルベルは、捜査を急ぐために退席する。

ヴァルミに連絡したジャッカルは、ウォレンスキーが吐いたために、コードネームを知られたと言われる。

迷いながらもパリに向かうことにしたジャッカルは、グラースのホテルに宿泊することにする。

ジャッカルは、宿泊客のモンペリエ男爵夫人(デルフィーヌ・セイリグ)に近づく。

パリ
その頃ルベルは、ジャッカルが白のアルファロメオで国境を越えて入国したという報告を受ける。

ジャッカルと話をしたモンペリエ夫人は部屋に戻り、その後、宿泊客の老婦人が亡くなり、ホテル内が混乱する。

その隙にジャッカルは、フロントの宿泊帳でモンペリエ夫人の住所を確認する。

夫人の部屋に向かったジャッカルは、彼女と愛し合う。

グラースのホテルにジャッカルが宿泊していることを知ったルベルは、キャロンと共に現地に向かう。

しかし、ジャッカルは既にチェックアウトした後で、ルベルは、ジャッカルが宿泊予定より早くホテルを出たことを疑問に思う。

全従業員を集めて話を聞いたルベルは、ジャッカルがモンペリエ夫人と親密だったことを知り、彼女の屋敷に向かう。

その後、車も割れたとことをヴァルミから知らされたジャッカルは、数日、潜伏しているよう指示される。

街道に停車していた車のナンバープレートを盗んだジャッカルは、森の中で車体の塗装をして青に色を変える。

モンペリエ夫人に会ったルベルだったが、ジャッカルと会ったことは認めるものの、知らない人物だという彼女から何も聞き出せなかった。

排気パイプの銃を取り出したジャッカルは、街道を走行中に、対向車に接触して事故を起こしてしまう。

軽傷で済んだジャッカルは、死亡した事故の相手の車を奪う。

パリ
ジャッカルを見失ったことを会議で報告したたルベルは、ジャッカルが計画を中止したと考えられるという意見を否定し、潜伏して時を待っているような気がすると伝える。

その頃、事故を起こした青の”アルファロメオ”が警官により発見される。

現れたジャッカルに気づき動揺するモンペリエ夫人は、捜査のことは語らずに彼を受け入れてしまう。

事故車が元は白だったことに気づいた警官は、直ちに報告する。

それを知ったルベルは、付近一帯の捜査を命ずる。

夫人と愛し合ったジャッカルは、彼女が警官と話したことを知る。

ジャッカルに惹かれる夫人は、何をしようとしているのかを彼に尋ね、匿うと伝える。

再び夫人を抱こうとしたジャッカルは、彼女を絞殺する。

デンマーク人に扮するため、ジャッカルは髪の毛をブロンドからダーク・ブラウンに染める。

翌早朝、デンマーク人教師”ペーア・ルントクビスト”に扮したジャッカルは、夫人の車を奪いその場を去り、途中”ダガン”として使用した所持品を橋の上から川に捨てる。

チュール
駅で警戒中の警官に質問されたジャッカルは、怪しまれることはなかった。

その頃、モンペリエ夫人の死体を、屋敷の使用人が発見する。

1時間待ったジャッカルは、列車でパリに向かう。

モンペリエ夫人が殺されたことをキャロンから知らされたルベルは、ジャッカルが殺人の容疑者となったために、公開捜査を始める。

夫人の車が駅近くで発見され、チュールから列車に乗ったデンマーク人教師がパリに着くことを知ったルベルは、オステルリッツ駅に急行する。

パリに到着して列車を降り、駅を出てタクシーに乗ったジャッカルはその場を離れ、直後にルベルとキャロンが到着する。

ジャッカルは、ゲイの交流の場でもある浴場に向かう。

ルベルの報告を受けて内部情報が漏れていることも疑われる中、内務大臣は、大統領の行事への出席を中止させようとする。

浴場で話しかけてきたジュールと知り合ったジャッカルは、彼のアパートに誘われる。

デンマーク人がパスポートを盗まれた件を確認するため、ルベルは、ロンドンパリの領事館に問い合わせるようキャロンに指示する。

空港でパスポートを盗まれたデンマーク人教師”ペーア・ルントクビスト”のことを知ったトーマスは、ルベルに報告する。

”ルントクビスト”がパリの宿泊者名簿にないために、ルベルは困惑する。

会議の席でルベルは、”デンマーク人教師を捜している”という、ドニースがヴァルミにかけた盗聴テープを流し、この場から情報が漏れていたことを内務大臣に報告する。

その声が、同居している女友達だと伝えたサンクレールは、謝罪して退席する。

ルベルは、行事の欠席を拒む大統領が、2日後の8月25日の解放記念日に暗殺される可能性を伝える。

2日間、全力をあげて捜査をする指示を出した内務大臣は、その場の全員を対象にした盗聴だったことをルベルから知らされる。

サンクレールは自殺し、それを知ったドニースは、ルベルとキャロンに逮捕される。

”ルントクビスト”の写真が届き、マスコミを使った大規模な公開捜査が行われることになり、ルベルの捜査を評価した内務大臣は、任務が終わったことを伝える。

ジャッカル(ルントクビスト)の顔はテレビで公開され、それを街角で見たジュールはアパートに戻り、そのことをジャッカルに知らせる。

その理由を知らなかったジュールは、ルントクビストがモンペリエ夫人殺害の犯人だというテレビの報道を聴きながら、ジャッカルに殺される。

8月25日、解放記念日
自宅で熟睡していたルベルは、ジャッカルを見つけることができない内務大臣に呼び出される。

厳戒態勢の中、ルベルは、式典が行われる”凱旋門”などの会場を見て回る。

式典は始り、ド・ゴール大統領は各会場の行事に出席する。

モンパルナス駅、”6月18日広場”。
松葉杖をつき片足を失った退役軍人の老人に扮したジャッカルは、警官(フィリップ・レオタール)に呼び止められるものの、近く住んでいると言って通行を許可される。

狙撃するアパートの管理人の老婦人を殺害したジャッカルは、最上階の部屋に向かい、松葉杖に隠してあった銃を組み立てる。

午後4時。
ド・ゴール大統領が会場に到着し、”ラ・マルセイエーズ”の演奏が始まる。

周囲を調べていたルベルは、警官が呼び止めた老人の事を聞き、住まいだと言ったアパートに向かう。

ジャッカルは銃を構え、元レジスタンスに勲章を授けようとしたド・ゴールはキスする。

そのため、ジャッカルの放った弾丸は、ド・ゴールの頭をかすめて外れてしまう。

焦ったジャッカルは弾丸を込めようとするが、警官がマシンガンでドアを破り、ルベルと共に押し入る。

警官を射殺したジャッカルだったが、ルベルが彼を銃撃する。

ルベルはジャッカルの死を確認し、ド・ゴールの出席した行事は滞りなく終わる。

ロンドン
その後、ジャッカルは、警察が捜査していたチャールズ・カルスロップ(エドワード・ハードウィック)とは別人だったことが分かる。

マリンソンは、ジャッカルはイギリス人ではなく、正体不明の男だったとトーマスに話す。

ジャッカルが共同墓地に埋葬されるのを見届けたルベルは、その場を去る。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1963年、フランス
アルジェリアの独立を認めたシャルル・ド・ゴール大統領は、軍や極右地下組織”OAS”の恨みを買う。
ド・ゴール暗殺に失敗したOASのロダン大佐は、イギリス人の謎の殺し屋”ジャッカル”を大金で雇う。
単独で行動を始めたジャッカルは、偽造パスポート類や変装、そして、組み立て式の軽量狙撃銃の準備をする。
一方、フランス当局はOASの動きを監視し続け、コードネーム”ジャッカル”という殺し屋が雇われたことを知る。
内務大臣は最高の刑事を担当させるよう警視総監に命じ、クロード・ルベル警視が捜査の全権を任される。
ジェノヴァでの準備を終えたジャッカルは、完璧な準備を整えてフランスに入国するのだが・・・。
__________

数々の名画を手掛け、監督賞をはじめ4個のアカデミー賞受賞歴のあるフレッド・ジンネマンの作品。
フレッド・ジンネマンが得意とする社会性のある物語を、緊迫感溢れる映像で見せる超一級のサスペンスとして、非常に評価の高い作品。
オーストリア出身のフレッド・ジンネマンは、晩年、ヨーロッパイギリスを拠点にしていた。

フランス大統領シャルル・ド・ゴール暗殺計画を、ドキュメンタリーのように描くリアリズムも追及した作品。
事実を照らし合わせれば、暗殺は成功しないことは分かるのだが、殺し屋”ジャッカル”の緻密な計画の描写や、パリ市全面協力のロケなどと共に、クライマックスまでの緊迫感は、他に類を見ないほどの素晴らしい仕上がりとなっている。

緊張感溢れる場面が続く中で、イギリス人気質などを伝えるユーモアなども盛り込まれた、心憎い演出も注目したい。

少々極端だが、名優シドニー・ポワチエの好演は評価できるが、原作とはかけ離れた内容の、1997年に公開された「ジャッカル」が駄作に思えるほどだ。

第46回アカデミー賞では、編集賞にノミネートされた。

数か月前に小学校を卒業したばかりの自分だったが、公開当時、本作に魅了され、映画の世界にのめり込むきっかけになった作品でもある。

小柄ではあるが、清潔感溢れる知的な紳士、殆どの場面でアスコットタイを巻きスタイルにこだわり、そして、動きに無駄がなく全く隙のない主人公の殺し屋”ジャッカル”を華麗に演じたエドワード・フォックスは、キャリア最高の熱演を見せる。

温厚ではあるが行動力もある、執念の捜査を続ける警視マイケル・ロンズデール、その助手で、公開当時、妙に表情が印象に残り、数十年後の現在は、イギリスを代表する役者となったデレク・ジャコビ、主人公に命を奪われる男爵夫人デルフィーヌ・セイリグ、内務大臣のアラン・バデル、当局の将軍モーリス・デナム、その部下の大佐ミシェル・オークレールOASのスパイ、オルガ・ジョルジュ=ピコに情報を漏らしてしまう大統領官邸の役人バリー・インガムイギリス側での捜査を担当する警視役トニー・ブリットン、上司のドナルド・シンデン、外務部長のテレンス・アレキサンダーフランスの警視総監ティモシー・ウェストOASのリーダー、エリック・ポーター、当局に捕らえられ拷問される副官役のジャン・マルタンOASの連絡員のヴァーノン・ドブチェフガンスミスシリル・キューザックド・ゴール暗殺事件の主犯ジャン=マリー・バスチャン=チリージャン・ソレルフランス当局の尋問官ヴァーノン・ドブチェフ、偽造屋のロナルド・ピックアップ、クライマックスで主人公に殺される警官フィリップ・レオタール、そして、シャルル・ド・ゴール大統領役アドリアン・カイラ=ルグラン、犯人に間違えられるエドワード・ハードウィックなどが共演している。


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