ボブ・ケインとビル・フィンガー原案のアメリカン・コミックスのヒーロー「バットマン」を基に製作された実写映画シリーズ第6作。 前作「バットマンビギンズ」(2005)で”バットマン”誕生までを描き新たなシリーズを誕生させたクリストファー・ノーランによる更にパワーアップした意欲作。 製作、監督、原作、脚本クリストファー・ノーラン、主演クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、マイケル・ケイン、アーロン・エッカート、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、キリアン・マーフィ共演。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:クリストファー・ノーラン
製作
クリストファー・ノーラン
エマ・トーマス
チャールズ・ローヴン
キャラクター創造
ボブ・ケイン
ビル・フィンガー
ジェリー・ロビンソン
原作
クリストファー・ノーラン
デヴィッド・S・ゴイヤー
脚本
クリストファー・ノーラン
ジョナサン・ノーラン
編集:リー・スミス
衣装デザイン:リンディ・ヘミング
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽
ハンス・ジマー
ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
ブルース・ウェイン/バットマン:クリスチャン・ベール
ジョーカー:ヒース・レジャー
ハービー・デント/トゥーフェイス:アーロン・エッカート
ジェームズ・ゴードン:ゲイリー・オールドマン
レイチェル・ドーズ:マギー・ギレンホール
アルフレッド・ペニーワース:マイケル・ケイン
ルーシャス・フォックス:モーガン・フリーマン
ラウ:チン・ハン
ジョナサン・クレイン/スケアクロウ:キリアン・マーフィ
サルヴァトーレ・マローニ:エリック・ロバーツ
アンソニー・ガルシア市長:ネスター・カーボネル
銀行支店長:ウィリアム・フィクナー
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2008年製作 152分
公開
北米:2008年7月18日
日本:2008年8月9日
製作費 $180,000,000
北米興行収入 $533,345,360
世界 $1,001,921,830
■ アカデミー賞 ■
第81回アカデミー賞
・受賞
助演男優(ヒース・レジャー)
音響編集賞
・ノミネート
撮影・美術・メイクアップ・視覚効果・録音・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
マフィアの資金を、マネー・ロンダリングしていた銀行を襲った凶悪犯ジョーカー(ヒース・レジャー)は、仲間を殺して金を独り占めしてしまう。
ゴッサム・シティでは、バットマン/ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)とジェームズ・ゴードン警部(ゲイリー・オールドマン)が、新任検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)を、マフィア撲滅の彼らの計画に賛同させる。
そして彼らは、マフィアと関わる銀行を摘発する行動にでる。
ブルースは、自分の元恋人で検事補のレイチェル・ドーズ(マギー・ギレンホール)が、デントと交際していることを知る。
デントとレイチェルは、組織を牛耳ろうとするマフィアの大物サルヴァトーレ・マローニ(エリック・ロバーツ)を有罪に出来ずにいた。
ブルースは、自分のレストランでデントとレイチェルに出くわし、デントへの協力を申し出る。
資金を絶たれたマフィアのボス達は、香港マフィアのラウ(チン・ハン)と接触する。
しかし、話し合いの席上に突然、姿を現したジョーカーが、バットマン殺害を提案し、その見返りとして、マフィアの全資産の半分を要求する。 警察や地検内に、組織のスパイがいることを察していたデントとゴードンに、バットマンは、香港に帰ったラウを連れ戻すことを約束する。 表面上ブルースの関連会社を任されている、彼の右腕ルーシャス・フォックス(モーガン・フリーマン)は、自分達にも接触してきたラウ側を探るために香港に飛ぶ。 同行したブルースはバットマンに変身し、ラウを誘拐して帰国し、ゴードンに引き渡してしまう。 デントとゴードンそしてレイチェルは、ラウが設立した組織の共同ファンドの件を法廷で証言させ、彼と取り引きしようとする。 そしてゴードンは、共謀容疑でマローニら組織幹部を一斉に逮捕する。 その頃ジョーカーは、正体を明かさなければ市民を毎日殺していくと、バットマンを脅迫する。 ゴッサム・シティを守る、新しいヒーロー(デント)を誕生させるためのパーティーを催したブルースは、バットマンがこの街に必要なくなったことをレイチェルに話す。 判事や市警本部長、そしてデントの命をジョーカーが狙っていることを察したゴードンだったが、判事と本部長は殺されてしまう。 そしてジョーカーは、デントを捜して殺すためにパーティーに姿を現す。 それを知ったブルースはデントを匿い、バットマンに変身して、ジョーカーに襲われたレイチェルを救い出す。 ジョーカーの目的を探るブルースに、執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)は、世の中には、金のためだけでなく行動する悪党もいることを悟らせる。 ジョーカーの居場所を察知したブルースは現場に向かい、本部長の追悼式典で、市長を殺そうとしたジョーカー達の犯行を阻止するが、ゴードンが銃撃を受けて命を落とす。 レイチェルも、命を狙われていることを知ったブルースは、彼女を救うためにもバットマンのマスクを脱ぐ決意をする。 そして、ジョーカーを誘い出すために、デントは自分がバットマンであると発表してしまう。 刑務所に護送されるデントを追ったジョーカーだったが、バットモービルに乗ったバットマンが後を追跡する。 その後、激しい激突などで破損したバットモービルを捨てて、バットポットでジョーカーを追うバットマンは、捨て身の行動に出たジョーカーを避けきれずに転倒してしまう。 しかし、自分が死んだという芝居を打っていたゴードンの協力で、バットマンはジョーカーを捕えることに成功する。 ゴードンは、アンソニー・ガルシア市長(ネスター・カーボネル)から市警本部長に任命さられるものの、デントとレイチェルが姿を消してしまう。 バットマンはジョーカーを追求し、デントとレイチェルが爆薬と共に監禁されていることを知る。 バットマンは、ジョーカーを脅して2人の居場所を聞き出し、デントはバットマンが、レイチェルをゴードンが救出しに向かう。 しかし、 レイチェル救出は間に合わず、彼女は爆死してしまい、デントは間一髪でバッットマンに助けられるものの、左顔面に火傷を負ってしまう。 一方、警察では、ジョーカーが囚人に仕掛けた爆弾が爆発し、その隙にジョーカーとラウは逃亡する。 ジョーカーはマフィアから奪った金を山積みにして、その上にラウを座らせて火を放ち、残りの半分を組織から奪い取ると言い放つ。 病院を吹き飛ばすと脅迫したジョーカーは、レイチェルの死にショックを受けるデントが入院する病院に忍び込み彼を洗脳する。 病院はジョーカーに爆破され、同時に姿を消したデントは、レイチェルを金で売った警察官に制裁を加え、それを阻めなかったゴードンとバットマンに怒りをぶつける。 デントは、昔のあだ名から自らを”トゥーフェイス”と呼び、コインをはじき、その裏表でレイチェルの死に絡んだ者達を抹殺していく。 ゴッサム・シティから、人々を追い出そうとしたジョーカーは、橋やトンネルに爆弾を仕掛けたと脅迫する。 バットマンは、街中の携帯電話や通信機の電波を傍受して、ジョーカーを捜そうとする。 当局はフェリーで人々を避難させ始め、ジョーカーは囚人と市民を運んでいる二隻のフェリーに爆弾を仕掛け、近くのビルからその様子を監視する。 お互いのフェリーには起爆装置が置かれ、どちらかがスイッチを押せば助かるとジョーカーは告げる。 しかし、どちらのフェリーの乗客も、起爆装置のスイッチを押すことは出来なかった。 バットマンはビルの人質を救出し、ジョーカーを見つけてフェリー爆破を阻止し、ジョーカーはSWATにより逮捕される。 しかし、デントはゴードンの家族を誘拐し、警察の腐敗を放置し、結果的にレイチェルを殺した彼の罪を責めて家族を殺そうとする。 そこにバットマンが現れゴードンの家族を救い、デントは廃墟で転落死する。 バットマンは、デントの復讐殺人が明るみに出ると、ようやく彼の出現で光がともった街の正義が再び失われてしまうことを恐れ、自分が罪を被ることをゴードンに伝える。 デントの葬儀で功績を称えたゴードンは、バットシグナルを破壊し、バットマンが必要となる、その”時”が訪れるまで、闇に消えた彼を捜索する指令を下す。 そしてゴードンは、沈黙して人々を監視するバットマン、”ダークナイト”を見守る。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「バットマン」(1989)
・「バットマン・リターンズ」(1992)
・「バットマン・フォーエヴァー」(1995)
・「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」(1997)
・「バットマン ビギンズ」(2005)
・「ダークナイト」(2008)
・「ダークナイト ライジング」(2012)
*(簡略ストー リー)
北米のみで、興行収入約5億3300万ドルを突破し、全世界ではなんと10億ドルを超える超大ヒットとなった。
第81回アカデミー賞では、ヒース・レジャーが助演男優、他、音響編集賞した。
・ノミネート
撮影、美術、メイクアップ、視覚効果、録音、編集賞
圧倒的支持を受ける、アメリカ独自の文化でもあるアメリカン・コミック・ヒーローを、前作同様、配役を含めて、多くのイギリス人スタッフにより製作しているところが注目だ。
他のヒーロー物と全く違い、”闇の自警者”に徹し、時に批判を浴びる、アンチヒーロー的な主人公の人物像がいい。
悪のはびこる荒廃した街は、新任検事登場で光がともるが、それをも悪に引き込んでしまう凶悪犯ジョーカーの存在は恐ろしい。
見終わった後、主人公バットマンの影の薄さばかりが気になる、主演のクリスチャン・ベールを圧倒するジョーカー役ヒース・レジャーの演技は出色で、メイクを落とした彼の素顔を想像することが出来ないほど素晴しい。
20年前のジョーカー役ジャック・ニコルソンも絶賛されたが、その時はバットマンのダークなイメージとは対照的に道化的なジョーカーだったので、一概に比較できないが、同じシリーズで登場する同一キャラクターを、これほど異質、そして見事に演じてみせるとは驚きだ。
ヒース・レジャーは、惜しまれつつこの世を去り、再度登場はないが、彼以上のジョーカーを演じられる役者が出てくることを期待する。
マイケル・ケインやモーガン・フリーマンの、画面を圧倒するような存在感も、作品に奥深さを与えている。
ゲイリー・オールドマンにしては、地味に思える警部役だが、ストーリー半ばでサプライズもあり、その奮闘振りはなかなかなものだ。
アーロン・エッカートのトゥーフェイスのメイクの出来栄えも見事で、火傷の傷のCGだけでもかなりの大金を費やしていることがよく分かる。
マギー・ギレンホールは、男勝りの検事補を好演するが、意外にあっさりジョーカーの魔の手の犠牲になってしまい、やや残念でもある。
スケアクロウのキリアン・マーフィ、マフィアの大物エリック・ロバーツ、市長ネスター・カーボネル、冒頭の銀行支店長ウィリアム・フィクナーなどが共演している。
少し気になるのは、アメリカ国内の図抜けた人気に比べ、その30分の1の日本での興行収入だ。
この傾向はシリーズ1作目から続き、アメリカ人の、このキャラクターやアメリカン・コミックスへの思い入れに並外れたものがあるという感じは否めず、日本では誰にでも受けるキャラクターでもないようだ。
劇場内での評価もやはり冷ややかで、”話が理解できず長い”という意見がほとんどだった。
それはともかく、正にこれぞ”プロの技が光る”見応えある作品だというのが個人的な感想だ。