天才発明家トーマス・エジソンと実業家ジョージ・ウェスティングハウスの”電流戦争”を描く、製作総指揮マーティン・スコセッシ、監督アルフォンソ・ゴメス=レホン、製作総指揮、主演ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・シャノン、ニコラス・ホルト、キャサリン・ウォーターストン、トム・ホランド他共演の伝記ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン
製作
ティムール・ベクマンベトフ
ベイジル・イヴァニク
製作総指揮
マーティン・スコセッシ
スティーヴン・ザイリアン
ギャレット・バッシュ
マイケル・ミトニック
アン・ロアク
ミシェル・ウォルコフ
ベネディクト・カンバーバッチ
アダム・アクランド
アダム・シドマン
脚本:マイケル・ミトニック
撮影:チョン・ジョンフン
編集
デヴィッド・トラクテンバーグ
ジャスティン・クローン
音楽
フォルカー・ベルテルマン
ダスティン・オハローラン
出演
トーマス・エジソン:ベネディクト・カンバーバッチ
ジョージ・ウェスティングハウス:マイケル・シャノン
ニコラ・テスラ:ニコラス・ホルト
マーガリート・アースキン・ウェスティングハウス:キャサリン・ウォーターストン
サミュエル・インサル:トム・ホランド
ルイス・ラティマー:サイモン・マニョンダ
フランクリン・ポープ:スタンリー・タウンゼント
メアリー・スティルウェル・エジソン:タペンス・ミドルトン
J.P.モルガン:マシュー・マクファディン
ウィリアム・ケムラー:コナー・マクニール
バーク・コックラン:ダミアン・モロニー
ルドルフ・ヤング:ジョン・シュワブ
トーマス・エジソンJr./ダッシュ:ルイ・アッシュボーン・サーキス
チェスター・A・アーサー:コーリィ・ジョンソン
アメリカ 映画
配給
101 Studios(北米)
Lantern Entertainment(世界)
2017年製作 107分
公開
北米:2019年10月25日
日本:2020年6月19日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $5,979,500
世界 $12,217,200
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1880年、ニュージャージー州、メンロー・パーク。
天才発明家のトーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、開発した”白熱電球”を公表する。
ペンシルベニア州、ピッツバーグ。
”空気ブレーキ”の発明で知られる実業家ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、エジソンの電球の開発は10年後だと考えていた。
エジソンに会う手配をしたウェスティングハウスは、妻マーガリート(キャサリン・ウォーターストン)に、エジソンが夜を葬るらしいと伝える。
ワシントンD.C.、ホワイトハウス。
妻メアリー(タペンス・ミドルトン)と子供たちと共に到着したエジソンは、その場で待つJ.P.モルガン(マシュー・マクファディン)に挨拶する。
モルガンは、自分の援助を期待しているエジソンに付き添う青年が、秘書のサミュエル・インサル(トム・ホランド)だということを知る。
チェスター・A・アーサー大統領(コーリィ・ジョンソン)に”蓄音機”を試してもらったエジソンは、その後、マンハッタンの1.6キロ四方を照らす電球の話をして、ガスより安く安全な”直流”の電流を使うことを伝える。
モルガンに50万ドルの出資を求めるエジソンは、15万ドルの提示に納得できず、その場を去る。
インサルから、武器弾薬を作れば500万ドルを受け取れると言われたエジソンは、人殺しに自分の名を使う気はないと彼に伝える。
エジソンを迎えに行くウェスティングハウスは、マーガリートと共に駅に向かい、ホームにいたエンジニアのフランクリン・ポープ(スタンリー・タウンゼント)に声をかける。 インサルから駅に着くことを知らされたエジソンは、停車するつもりはなかった。 屋敷に戻ったウェスティングハウスは、エジソンと寝食を共にしたことがあるポープに彼のことを尋ね、世界一の金持ちになれるにも拘わらず、エジソンがそれに関心がないことを知る。 エジソンは、軍事協力に対するモルガンからの50万ドルの資金提供を断り、アメリカ全土への電力供給を計画するが、高価な配電インフラが必要だった。 1882年9月4日、ニューヨーク証券取引所。 発電機と変圧器の特許を押さえたウェスティングハウスは、エジソンの直流は誤りだとポープに伝える。 ウェスティングハウスは、より遠くまで電力を送れてコストも安い”交流”の方が優れた技術だと証明し、それをエジソンに認めさせて手を組むことを考える。 ポープは、既にエジソンが試していることをウェスティングハウスに伝える。 海を渡りエジソンを訪ねた電気技師のニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)は、直流ではなく交流を勧めるものの聞き入れられない。 しかしエジソンは、5万ドルの報酬もあり得ることをテスラに伝えて、彼を採用する。 研究に没頭するエジソンは、メアリーの相手もできない場合が度々あり、彼女は眼精疲労が原因の神経痛で倒れてしまう。 グランドフ医師から、メアリーにメガネさせることを勧められたエジソンは、治療費の支払いができない。 エジソンの息子へのサインでそれを了承したグランドフは、メアリーにアヘンチンキを処方する。 その頃、ウェスティングハウスは、安価で効率がいい交流のデモンストレーションの準備を始める。 1886年3月6日、マサチューセッツ州、グレート・バリントン。 それを知ったエジソンは激怒するが、その時、初めてウェスティングハウスが交流を使ったことを知る。 ウェスティングハウスは、エジソンと競う気はなかった。 エジソンは、自分の特許を守るためにウェスティングハウスを訴える。 テスラは、エジソンが自分のアイデアに理解を示さず、報酬の約束も破ったことを不満に思い、彼の元を去る。 エジソンは、ウェスティングハウスの方法は死を招くという考えを記者に話して記事にさせる。 それを知ったウェスティングハウスは、マーガリートから反論するべきだと言われるものの、気にすることなく、自分の優れた技術を信じていた。 1887年、ニューヨーク。 エジソンは、症状が悪化したメアリーのことを気にしながらモルガンと話し合い、奇跡を生むと伝えて資金援助を求める。 その後メアリーは亡くなり、葬儀を済ませたエジソンは悲しみに耐える。 ”シカゴ万国博覧会”に興味がないエジソンは、インサルから、国民の1/3が集まる場で勝利を示すチャンスだと言う彼の話を聞く。 エジソンは、ウェスティングハウスの方法が死を招くことを証明するために、安楽死させられる馬を使い、記者たちを集めてそれを実験してみせる。 エジソンは、死刑委員会のブラウンから、電気を使った処刑装置の開発への協力を求められるものの、それを断る。 内縁の妻を殺害したウィリアム・ケムラー(コナー・マクニール)が、電気椅子による処刑、第一号となることが決まる。 テスラは、出資者ウォマックに騙されて特許を奪い取られ、窮地に立たされる。 資金調達のことを考えるインサルは、エジソンに蓄音機の販売を提案して納得させる。 実験中の事故でポープを失ったウェスティングハウスとマーガリートは、親友の死を悲しむ。 それを知ったエジソンは、ウェスティングハウスの方式が広がる限り、死を招く結果になるとの見解を示す。 ウェスティングハウスに会ったモルガンは、エジソンとの件を解決するために、会社を500万ドルで買収する提案をして合意する。 ウェスティングハウスは、それに不満なマーガリートにエジソンと組める時が来たと伝える。 納得できないマーガリートだったが、ウェスティングハウスの考えは変わらなかった。 しかし、一晩考えたウェスティングハウスは、エジソンをペテン師呼ばわりして、自分の方式が優れていることを証明する決意を社員に伝える。 それを知ったモルガンは、より優れているものを選ぶとエジソンに伝える。 エジソンは、交流の評判を落とすために、武器などの製造に反対していたにも拘わらず、電気椅子の開発を進めようとするブラウンに密かに協力していた。 ブラウンは、処刑に使うための椅子を探し、エジソンの手紙による助言を参考に電気椅子を作る。 それに気づいたウェスティングハウスは、法的手段でエジソンに手を引かせようと考え、バーク・コックラン(ダミアン・モロニー)を雇う。 エジソンは法廷の証言台に立つものの、正義より名声の方が勝るということが証明されただけだった。 1891年。 エジソンに失望したインサルは、考えを新ためるべきだと言って彼に忠告する。 1891年5月20日、コロンビア大学。 それを知ったウェスティングハウスはテスラに会い、”ナイアガラの滝”を利用した電磁モーターの設計図を見せられ、彼がかつてエジソンに雇われていたことを知る。 会社を作るものの騙されたことを話したテスラは、エジソンの会社のための溝を掘る仕事もしたことも伝える。 テスラは、万博では交流による自分のモーターを使うことを提案して、将来的にはナイアガラの電力で街を照らすべきだとウェスティングハウスに伝える。 契約の話になったテスラが5000ドルを提示し、1000ドルに下げたたために、ウェスティングハウスは思わず笑ってしまう。 1馬力に2.5ドル払い数百万ドルになると言うウェスティングハウスは、テスラを納得させる。 そこに家主が現れてテスラに家賃を請求したため、ウェスティングハウスは1年分の家賃を払う。 テスラとの契約で会社を整理する必要があるウェスティングハウスは悩み、エジソンを陥れるために汚い手を使ったことで失望させてとマーガリートに伝える。 マーガリートは、何も言わずにウェスティングハウスにキスする。 1892年、シカゴ。 エジソンは、エジソン・エレクトリックを他社と投合し”ゼネラル・エレクトリック”にすると言われ、社名を変えないことを要求するものの、モルガンはそれを認めなかった。 納得できないエジソンは席を立ち、モルガンは、その場にいたインサルを副社長にいようとする。 その後インサルは、合併を批判しなければ名前を残していいというモルガンの考えと、副社長は断ったことをエジソンに伝える。 エジソン側を代表するインサルと、それに対するウェスティングハウスは、万博の委員会で入札を行う。 その結果、ウェスティングハウスの方式が採用される。 1893年5月1日、シカゴ万国博覧会。 ケムラーの死刑も執行され、そのことをエジソンと話したインサルは、仕事の話題になり、あなたと働くのは楽しいと伝える。 万博会場でウェスティングハウスと話したエジソンは、電球が出来た時の気持ちを訊かれ、言葉では現せないと答えながら、偉大な発明を成し遂げた際のことを語る。 今後の発明が、電気と自分との関係を忘れさせてしまうような、素晴らしいものになるかもしれないとエジソンはウェスティングハウスに伝える。 エジソンは、協力し合えば考えや力は2倍になると言うウェスティングハウスに、話せてよかったと伝えてその場を去る。 ナイアガラ発電の展示の前でテスラは、人は”アイデア”を遺して去り、それにより前進すると人々に語る。 ニコラ・テスラとジョージ・ウェスティングハウスは、ナイアガラの滝で発電所を作り、大規模な配電システムを構築した。 テスラは天才ではあったが、利益を逃すことも多く借金を抱え、1943年、”New Yorker Hotel”の3327号室で孤独に死んだ。 1911年、アメリカ電気学会は、ウェスティングハウスに最高賞”エジソンメダル”を授与した。 ウェスティングハウスは功績だけで記憶されることを望み、個人的な書類などを生前にすべて焼却した。 ”電流戦争”に敗北後トーマス・エジソンは、”キネトグラフ”、”キネトスコープ”の特許を取得し、新産業”映画”を創った。 エジソンの死に際して、その名誉を称え、国中の照明が1分間消された。
...全てを見る(結末あり)
エジソンは、その場を電球で照らすことに成功する。
ウェスティングハウスは交流の実演試験を成功させる。
独立したテスラは、”Tesla Electric Light and Manufacturing”を設立する。
ウェスティングハウスは、電気椅子の開発にエジソンが関与した証拠となる手紙を入手し、彼に電話をかけて牽制し、マスコミに情報を流す。
テスラは、”アメリカ電気学会”の講演で、”高周波数の交流電流による実験と、その人工照明への応用”の実証発表を行う。
モルガンと話したエジソンは、ウェスティングハウスとテスラが手を組み”交流モーター”を作り、彼らの方式が広まっていることを知らされる。
ウェスティングハウスの設置した電灯で、会場は美しく照らされる。
*実際のケムラーの処刑は1890年8月6日。
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*(簡略ストー リー)
”白熱電球”を開発した天才発明家のトーマス・エジソンは、”空気ブレーキ”を発明した実業家ウェスティングハウスと会うことを拒む。
ウェスティングハウスは競うことを目的とせずに、エジソンと手を組み、送電システム開発のために協力的な関係を築こうと考えていた。
会い方なく独自に開発しようとしたウェスティングハウスは、エジソンが進める”直流”に対し、設備費などコストを大幅に節約できる”交流”で対抗しようとするのだが・・・。
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天才発明家トーマス・エジソンと実業家ジョージ・ウェスティングハウスの”電流戦争”を描く伝記ドラマ。
「カジノ」(1995)、「バベル」(2006)、「ジュリー&ジュリア」(2009)などの第二班監督、テレビ界、コマーシャルなどで活躍していたアルフォンソ・ゴメス=レホンの監督作品で、製作総指揮にはマーティン・スコセッシと主演のベネディクト・カンバーバッチも参加している。
有名な”電流戦争”をテーマにした、事実に基づいた伝記映画であり、豪華スター競演が注目の作品であり、刺激的な内容には仕上がっている。
製作者のハーヴェイ・ワインスタインが演出に口を出し、大幅な編集を加えた修正版は酷評された。
その後、ワインスタインはセクハラ告発事件によりクレジットから削除された。
それにより作品にタッチできなくなった監督のアルフォンソ・ゴメス=レホンは、恩師である製作総指揮のマーティン・スコセッシの協力でディレクターズ・カットを発表し、その評価も平凡ではあるものの、修正版よりは評価された。
各キャラクター自体は興味深く描かれているものの、個性派スターの演技に物語がついていけない雰囲気があり、一流の演技者が集結しても出来が悪い典型のような作品に終わったのは残念だ。
様々なトラブルも影響し、北米興行収入は約600万ドル、全世界では約1200万ドルという結果しか残せず、高額とも言えない製作費の3000万ドルも回収できなかった。
世界史に残る天才発明家である反面、癖のある人物だったトーマス・エジソンを熱演するベネディクト・カンバーバッチ、彼とはライバル関係になるが、競う相手とは考えずに協力関係を築こうとする実業家ジョージ・ウェスティングハウスのマイケル・シャノン、エジソンとの確執の末にウェスティングハウスと手を組むニコラ・テスラのニコラス・ホルト、夫を支える意志の強いウェスティングハウスの妻マーガリート・アースキン・ウェスティングハウスのキャサリン・ウォーターストン、エジソンの忠実な秘書サミュエル・インサルのトム・ホランド、エジソンに雇われる発明家ルイス・ラティマーのサイモン・マニョンダ、親友ウェスティングハウスと共に開発を進めるフランクリン・ポープのスタンリー・タウンゼント、エジソンの妻メアリー・スティルウェル・エジソンのタペンス・ミドルトン、エジソンの出資者J.P.モルガンのマシュー・マクファディン、初めて電気椅子処刑される殺人犯ウィリアム・ケムラーのコナー・マクニール、ウェスティングハウスに雇われる法律家バーク・コックランのダミアン・モロニー、エジソンの息子トーマス・エジソンJr./ダッシュのルイ・アッシュボーン・サーキス、チェスター・A・アーサー大統領のコーリィ・ジョンソン、他ジョン・シュワブなどが共演している。